2型糖尿病における脂質介入治療の動向 ~メタボ系への介入~ 東入間医師会学術講演会 2012年1月13日(金) 19:00~20:00 東入間医師会館 ふじみ野市駒林元町三丁目一番二十号 埼玉医科大学 総合医療センター 内分泌・糖尿病内科 Department of Endocrinology and Diabetes, Saitama Medical Center, Saitama Medical University 松田 昌文 Matsuda, Masafumi 21世紀の生活習慣病のマルチケア 心血管イベント リスク 高脂血症 (脂質異常症) 高血圧 (高血糖状態) 糖尿病 内臓脂肪・インスリン抵抗性 過食 + 運動不足 21世紀の生活習慣病のマルチケア 心血管イベント リスク 高脂血症 (脂質異常症) 高血圧 (高血糖状態) 糖尿病 内臓脂肪・インスリン抵抗性 過食 + 運動不足 血糖介入による心血管疾患イベント抑制 -15% 有意差あり Lancet 2009; 373: 1765–72 血糖介入による脳血管疾患イベント抑制 -7% 有意差なし Lancet 2009; 373: 1765–72 ACCORD 収縮期血圧(mmHg) 拡張期血圧(mmHg) LDLコレステロール(mg/dl) ADVANCE 収縮期血圧(mmHg) 拡張期血圧(mmHg) LDLコレステロール(mg/dl) VADT 収縮期血圧(mmHg) 拡張期血圧(mmHg) LDLコレステロール(mg/dl) Standard群 127±17 68±11 Intensive群 126±17 67±11 91±34 91±34 Standard群 138±18 74±10 Intensive群 136±18 74±10 102±41 102±37 Standard群 125±15 69±10 80±31 Intensive群 127±16 68±10 80±33 P value 0.27 0.20 0.98 21世紀の生活習慣病のマルチケア 心血管イベント リスク 高脂血症 (脂質異常症) 高血圧 (高血糖状態) 糖尿病 内臓脂肪・インスリン抵抗性 過食 + 運動不足 脂質異常症とメタボリックシンドロームは 心血管イベントと糖尿病の発症リスク 脂質異常症 (高LDL-C) メタボリックシンドローム 糖尿病 心血管イベントの発症 JAMA 2001;285:2486-2497. 冠血管危険因子集積状態= Syndrome X インスリン抵抗性 耐糖能異常 高インスリン血症 VLDL-TG上昇 HDL-C低下 高血圧 Dr.Reaven 1988 メタボリック シンドローム Deadly Quintet りんご型 肥満 (android) 耐糖能異常 高TG血症 高血圧 上半身肥満 喫煙 Dr.Kaplan 1989 洋ナシ型 肥満 (gynoid) Insulin Resistance Syndrome 2型糖尿病 高インスリン血症 異常脂質血症 高血圧 肥満 Dr.DeFronzo 1991 腹腔内脂肪蓄積症候群 耐糖能異常 高TG血症 HDL-C低下 高血圧 内臓脂肪蓄積 Kylin E: 高血圧・高血糖・高尿酸血症候群 松澤先生 1987 Dr. Kissebah 1982 Zentralblatt fuer Innere Medizin 44:105-127, 1923 内臓脂肪型肥満者と皮下脂肪型肥満者 の臍レベルCTスキャン像 Diabetes & Endocrine Division, Kawasaki Medical School 2型糖尿病患者のBMIと内臓脂肪面積 n (M/F) 429(M/F 244/185) 年齢 (歳) 61.0±13.1 罹病期間 (年) 11.9±9.7 2 BMI (kg/m ) 24.6±4.6 HbA1c (%) 9.1±2.2 FPG (mg/dl) 180±76 TG (mg/dl) 166±85 T-chol (mg/dl) 208±54 HDL-chol (mg/dl) 48±16 収縮期血圧(mmHg) 133±18 拡張期血圧(mmHg) 75±9 内蔵脂肪面積が 100cm2以上 BMI ≧ 25 kg/m2 男性患者の89% 女性患者の88% BMI < 25 kg/m2 男性患者の50% 女性患者の32% 300 (cm2) male female r=0.60 p<0.0001 250 male 200 内 臓 脂 150 肪 面 積 100 female 50 0 15 20 25 30 35 40 BMI(kg/m2) 川崎医科大学附属病院糖尿病内分泌内科 入院患者 マルチプルリスクファクター症候群における 冠動脈疾患発症オッズ比 危険因子 の保有数 0 1 2 3~4 危険因子 の保有数 0 1 2 3~4 単変量オッズ比* p値 p for linear trend 1.00 4.0(1.7~9.2) 8.4(3.0~23.3) 10.6(3.3~33.8) 0.0011 0.0001 0.0001 p = 0.0001 多変量オッズ比* p値 p for linear trend 1.00 5.1(1.8~14.5) 9.7(2.7~34.6) 31.3(5.8~168.9) 0.0023 0.0005 0.0001 p = 0.0001 *( )は95%信頼区間 危険因子:高BMI、高血圧、高血糖、高トリグリセリド血症 Jpn Circ J, 2001; 65: 11 メタボリックシンドロームの診断基準 2005年 ● 内臓脂肪(腹腔内脂肪)の蓄積(必須項目) ウエスト周囲径 男性 ≧ 85cm以上 女性 ≧ 90cm以上 ● 上記に加え以下のうち2項目以上 1)高トリグリセリド血症 かつ/または 低HDLコレステロール血症 2)収縮期血圧 かつ/または 拡張期血圧 3)空腹時高血糖 ≧150mg/dl <40mg/dl ≧130mmHg ≧85mg ≧1 10mg/dl 日本内科学会雑誌:94:794-809,2005 外来で診る脂質異常症患者 • 検査値異常 • 黄色腫・眼病変 • 腹腔内脂肪蓄積 • 脂肪肝 • 動脈硬化病変 まず,脂質異常症について認識を! 脂質代謝に関する略語 ・TC : Total Choelesterol 総コレステロール ・TG:triglyceride 中性脂肪 ・CE : cholesterol ester コレステロールエステル ・VLDL:very low density lipoprotein 超低比重リポ蛋白 ・IDL:intermediate density lipoprotein 中間型リポ蛋白 ・LDL: low density lipoprotein 低比重リポ蛋白 ・HDL: high density lipoprotein 高比重リポ蛋白 ・FFA:free fatty acid 遊離脂肪酸(NEFA) ・Lp(a): lipoprotein(a) リポ蛋白(a) ・LPL:lipoprotein lipase リポ蛋白リパーゼ ・HTGL:hepatic triglyceride lipase 肝性TGリパーゼ ・CETP:cholesteryl ester transfer protein CE転送蛋白 ・FH:familial hypercholesterolemia 家族性高TC血症 脂質代謝に関する略語 ・TC : Total Choelesterol 総コレステロール ・TG:triglyceride 中性脂肪 ・VLDL-C:超低比重リポ蛋白コレステロール ・LDL-C: 低比重リポ蛋白コレステロール ・HDL-C: 高比重リポ蛋白コレステロール ・n-3系(ω3系)/ n-6系(ω6系) <コレステロール逆転送系> コレステロール 食事 肝臓 胆汁酸 HMG-CoA 小腸 原始HDL SR-BⅠ LCAT AⅠ HTGL コレステロール LDL 受容体 TG レムナント 受容体 B-48 カイロミクロン B-48 カイロミクロン レムナント E AⅠ HDL3 HDL2 LCAT AⅡ E CETP B-100 VLDL AⅠ B-100 LPL CⅡ E <内因性経路> LPL CⅡ<外因性経路> IDL E HTGL CⅡ 末梢組織 B-100 LDL Dalcetrapib プラーク形成のメカニズム 単球 内腔 LDL MCP-1 内皮細胞 接着分子 マクロファージ 内膜 酸化LDL スカベンジャー 受容体 糖化LDL 泡沫細胞 プラーク 形成 スタチン介入大規模臨床試験における LDL-Cと冠動脈疾患イベント発症率の関係 4S DM (placebo) Diabetes secondary Patient with CHD event (mean%) Secondary prevention Primary prevention 30 CARE DM 4S DM (placebo) (simvastatin) LIPID DM (pravastatin) 20 20 CARE DM (pravastatin) 15 10 CARE (pravastatin) 5 4S (simvastatin) CARE (placebo) LIPID (pravastatin) LIPID DM (placebo) LIPID (placebo) 1.5 58 2.0 77 2.5 3.0 116 WOSCOPS (placebo) WOSCOPS (pravastatin) AFCAPS (lovastatin ) 0 4S (placebo) AFCAPS (placebo) 3.5 4.0 154 4.5 Mean LDL cholesterol ( mmol / l ) (mg/dl) 5.0 193 5.5 Fisher M:Heart,90(3),336-340(2004) 脂質代謝異常:脂質異常症の定義 生体内で利用しきれないカイロクロン、VLDL、 レムナント、LDLは血中に蓄積して高脂血症 (高トリグリセリド血症、高コレステロール血症) を引き起こす。 低HDL血症も脂質代謝異常として重要である。 これらの総称として脂質異常症という。 これらの脂質代謝異常は動脈硬化性疾患の危 険因子となる 高脂血症の病型分類 表現型による分類(WHO 分類) ● I型:高カイロミクロン血症、血清TG値は1000mg/dlを超 える。LPLの欠損あるいは自己免疫機序による活性の 著明な低下による。稀である。 ● IIa型:TC (またはLDL-C)の上昇、TGは正常。 IIb型: TC (またはLDL-C)とTGの両者が上昇。 ● III型:リポ蛋白電気泳動でbroad bが出現。アポEの遺 伝子型がE2のホモタイプ。稀である。 ● IV型:TGが増加。 ● V型:カイロミクロンとVLDLの両者が増加。血清 値は1000mg/dlを超える。 TG 脂質異常:原発性と続発性 • WHOの分類は原発性高脂血症を基本 的に対象としている。でも高/低HDLchol血症は分類されていない。 • 糖尿病ではⅢ型様高脂血症とは言う が,Ⅲ型高脂血症とは言わない。 • 治療ガイドラインはLDL-chol,TGを主 要な治療ターゲットとしており,分類は臨 床家にはあまり意味がないかもしれな い。 血清脂質の測定 ●血清脂質濃度の測定:TC, TG, HDL-C, LDL-C リン脂質、FFA, リポ蛋白電気泳動(PAG)、 LP(a),RLP-C,アポ蛋白、EPA/AA(脂肪酸分画) などが測定可能。 ● 日常診療:TC(LDL-C), TG, HDL-Cをまず測定 著しい異常があればさらに精査を進める。 ● 原則として早朝空腹時に採血をする。 LDL-コレステロール ・管理目標値はLDL-C値を基準とする。 ・原則としてLDL-C値はFriedewald の式により換算した ものを用いる。 ・Friedewaldの式はトリグリセリドが400mg/dl以上およ びⅢ型高脂血症では使用できない。 Friedewaldの式 LDL-C=(総コレステロール)-(HDL-C)-(トリグリセリド/5) 糖尿病患者における高脂血症の合併頻度 高TG血症 高脂血症の約83% 正脂血症 高脂血症 52.2% n=136 Ⅳ型 49.3% Ⅴ型 1.4% Ⅱb型 Ⅱa型 32.4% 16.9% 高LDL-C血症 低HDL-C血症については評価していないが,高TG血症とオーバーラップする場合が多い。 大久保実:診断と治療,78,115,1990. 糖尿病における脂質代謝異常発症機序 脂肪細胞 TG分解 促進 肝臓 門脈中 FFA増加 TG合成増加 高血糖 インスリン抵抗性 LPL産生 抑制 高インスリン 血症 血中TG増加= VLDL増加 LPL活性低下 HDL低下 VLDLレムナント、small dense LDL増加 脂質異常症患者の管理 血清脂質値の測定 LDL-C、HDL-C、TGの評価 動脈硬化のリスク評価 各危険因子の評価 マルチプルリスクファクター症候群 絶対リスクの評価 ライフスタイルの改善 薬物療法 運動療法指針 運動強度 * 最大酸素摂取量の約50% 量・頻度 30~60分/日、週3回以上 種 速歩、ジョギング、水泳、サイクリングなど 類 *:運動強度 1) 運動時の脈拍から推定する方法: ① カルボーネンの式 (運動時の心拍数) 心拍数 (脈拍/分)={(220-年齢)-安静時心拍数}×運動強度+安静時心拍数 ② 簡易法(運動強度50%のとき) 心拍数 (脈拍/分)=138-(年齢/2) 2) 自覚的な感じから推定する方法: ボルグ・スケール(主観的運動強度)で11~13(楽である~ややきつい) 高脂血症における食事療法の基本 第1段階(総摂取エネルギー、栄養素配分およびコレステロール摂取量の適正化) 1)総摂取エネルギーの適正化 適正エネルギー摂取量=標準体重*×25~30(kcal) 2 *:標準体重=[身長(m)] ×22 2)栄養素配分の適正化 炭水化物:60% タンパク:15~20% (獣鳥肉より魚肉、大豆タンパクを多くする) 脂肪:20~25% (獣鳥性脂肪を少なくし、植物性・魚類性脂肪を多くする) コレステロール:1日300mg以下 食物繊維:25g以上 アルコール:25g以下 (他の合併症を考慮して指導する) その他:ビタミン (C、E、B6、B12、葉酸など)やポリフェノールの含量が 多い野 菜、果物などの食品を多くとる (果物は単糖類の含量も多いので摂取量は1日80~100kcal以内が望ましい) 第1段階で血清脂質が目標値とならない場合は第2段階へ進む 高脂血症における食事療法の基本 第2段階(病型別食事療法と適正な脂肪酸摂取) 1)高LDL-C血症(高コレステロール血症)が持続する場合 脂質制限の強化:脂肪由来エネルギーを総摂取エネルギーの20%以下 コレステロール摂取量の制限:1日200mg以下 飽和脂肪酸/一価不飽和脂肪酸/多価不飽和脂肪酸の摂取比率:3/4/3程度 2)高トリグリセリド血症が持続する場合 アルコール:禁酒 炭水化物の制限:炭水化物由来エネルギーを総摂取エネルギーの50%以下 単糖類:可能なかぎり制限、できれば1日80~100kcal以内の果物を除き調味料 のみでの使用とする。 3)高コレステロール血症と高トリグリセリド血症がともに持続する場合 1)と2)で示した食事療法を併用する 4)高カイロミクロン血症の場合 脂肪の制限:15%以下 あぶら(脂・油)の種類 動物性脂肪に多く含まれる 飽和脂肪酸 脂 固い脂肪酸 一価不飽和脂肪酸 オレイン酸 オリーブ油に多い 肪 リノール酸系 不飽和脂肪酸 (n-6系) コーン油、ひまわり油、サフラワー油 多価不飽和脂肪酸 柔らかい脂肪酸 αリノレン酸系 しその実など (n-3系) EPA・DHA 海草や青身の魚など 脂肪酸:ω6系とω3系 血栓形成 気管支収縮 不整脈 (ω6) トロンボキサン リ ノ ー ル 酸 アラキドン酸 細 胞 膜 (ω3) アレルギー 炎症 プロスタグランジン 競合 リ ノ レ ン 酸 ロイコトリエン EPA 細 胞 膜 活性が非常に弱い プロスタグランジン ロイコトリエン トロンボキサン DHA アトピー 花粉症 喘息 痛み、ガン 悪玉コレステロール 中性脂肪を減らす 日本の食品成分表示 Cis double bonds produce a bend in the molecule that impairs crystallization and keeps the oil liquid. To convert vegetable and marine oils into fats of various degrees of plasticity, manufacturers of edible fat straighten out cis unsaturated fatty acids by converting them to trans isomers or saturated fatty acids in a process called hydrogenation. 薬物による脂質代謝異常の是正 ①Ⅳ型:TG高値 --- メタボ系の異常 フィブラート、EPA、ニコチン酸 ② ll a型:LDL-Cのみ高値 軽症:プラバスタチン、重症:ピタバスタチン・ロスバスタチン ③ ll b型:TGとLDL-C両方高値--- メタボ系の異常 アトルバスタチン、ピタバスタチン、ロスパスタチン フィブラート(LDL軽度上昇の時) フィブラートとスタチンの併用(腎不全のない時) 注意! ④Ⅲ型:TGとTCの両方高値、レムナント高値 フィブラート ⑤Ⅴ型:TG>700mg/dl、カイロミクロン高値 フィブラート、EPA、ニコチン スタチン使用は必須! LDL-Cは70mg/dl程度に! メタボ系:フィブラート、EPA、ニコチン酸 併用はどれを用いるのか? Henry N. Ginsberg, M.D., Marshall B. Elam, M.D., Laura C. Lovato, M.S., John R. Crouse III, M.D., Lawrence A. Leiter, M.D., Peter Linz, M.D., William T. Friedewald, M.D., John B. Buse, M.D., Ph.D., Hertzel C. Gerstein, M.D., Jeffrey Probstfield, M.D., Richard H. Grimm, M.D., Ph.D., Faramarz IsmailBeigi, M.D., Ph.D., J. Thomas Bigger, M.D., David C. Goff, Jr., M.D., Ph.D., William C. Cushman, M.D., Denise G. Simons-Morton, M.D., Ph.D., and Robert P. Byington, Ph.D. N Engl J Med. 2010 Apr 29;362(17):1563-74. Shown are the cumulative incidence of the primary outcome (nonfatal myocardial infarction, nonfatal stroke, or death from cardiovascular causes) (Panel A), the expanded macrovascular outcome (a combination of the primary outcome plus revascularization or hospitalization for congestive heart failure) (Panel B), and death from any cause (Panel C) or from cardiovascular causes (Panel D) during follow- up. The insets show close-up versions of the graphs in each panel. The combination of fenofibrate and simvastatin did not reduce the rate of fatal cardiovascular events, nonfatal myocardial infarction, or nonfatal stroke, as compared with simvastatin alone. These results do not support the routine use of combination therapy with fenofibrate and simvastatin to reduce cardiovascular risk in the majority of high-risk patients with type 2 diabetes. Serum Creatinine Levels Over Time Since Randomization Mean (+ 95% confidence interval) serum levels of creatinine (mg/dl) at baseline and annually thereafter in the fenofibrate (red) and placebo (blue) groups. N Engl J Med. 2010 Apr 29;362(17):1563-74. primary-prevention trial with gemfibrozil in middle-aged men with dyslipidemia. Safety of treatment, changes in risk factors, and incidence of coronary heart disease. N Engl J Med 1987;317:1237-45. Secondary prevention by raising HDL cholesterol and reducing triglycerides in patients with coronary artery disease: the Bezafibrate Infarction Prevention (BIP) study. Circulation 2000;102:21-7. Effects of long-term fenofibrate therapy on cardiovascular events in 9795 people with type 2 diabetes mellitus Lancet 2005;366:1849-61. Atherothrombosis Intervention in Metabolic Syndrome with Low HDL/High Triglycerides: Impact on Global Health Outcomes (AIM-HIGH) Trial William E. Boden, M.D., University at Buffalo, Buffalo, NY; Jeffrey L. Probstfield, M.D., University of Washington, Seattle; Todd Anderson, M.D., University of Calgary and Libin Cardiovascular Institute, Calgary, AB, Canada; Bernard R. Chaitman, M.D., Saint Louis University, St. Louis; Patrice Desvignes-Nickens, M.D., National Institutes of Health, National Heart, Lung, and Blood Institute, Bethesda, MD; Kent Koprowicz, M.S., Axio Research, Seattle; Ruth McBride, Sc.B., Axio Research, Seattle; Koon Teo, M.B., Ph.D., McMaster University, Hamilton, ON, Canada; and William Weintraub, M.D., Christiana Care Health Services, Wilmington, DE 10.1056/nejmoa1107579 nejm.org Lancet 2007;369:1090-1098 EPAは脳卒中の再発を抑制した (%) 15 脳 卒 中 累 積 再 発 率 対照群 10 5 20%低下 EPA群 ハザード比: 0.80 (0.64-0.997) P = 0.047 NNT: 27 0 症例数 対照群 EPA群 0 1 2 3 4 457 485 425 459 406 441 389 419 361 400 (年齢、性別、高血圧、糖尿病、喫煙で調整) 5 (年) 334 378 Tanaka K, et al. Stroke 2008; 39: 2052-8 高TG/低HDL-C症例におけるEPAの主要冠動脈イベント抑制効果 JELIS 一次予防サブ解析 (%) 5 TG≧150mg/dL/HDL-C<40mg/dL 主 要 冠 動 脈 イ ベ ン ト 累 積 発 症 率 53%低下 対照群 3 2 EPA群 1 0 症例数 対照群 EPA群 ハザード比:0.47 (0.23-0.98) P=0.043 4 0 1 2 3 4 475 482 444 455 432 443 414 427 400 413 (年齢、性別、喫煙、糖尿病、高血圧で調整) 5 (年) 392 403 Saito Y, et al. Atherosclerosis 2008; 200: 135-40 IGT患者における EPAの冠動脈イベント発症抑制効果 (JELIS DMサブ解析) 7.0 主 要 冠 動 脈 イ ベ ン ト 累 積 発 症 率 ( % ) 6.0 IGT(糖代謝異常) 5.0 HR : 0.78 (0.60-0.998) P = 0.048 4.0 3.0 EPA群 対照群 2.0 –18% EPA群 NGT(血糖正常) 1.0 症例数 IGT 対照群 EPA群 NGT 対照群 EPA群 –22% 対照群 HR : 0.82 (0.66-1.01) P = 0.062 0 0 1 2 3 4 5 2,262 2,303 7,057 7,023 2,146 2,173 6,785 6,756 2,075 2,090 6,596 6,568 1,996 2,014 6,438 6,378 1,923 1,940 6,270 6,215 1,835 1,867 6,123 6,057 (年) 年齢、性別、喫煙、CADの既往、高血圧で調整 Oikawa S, et al. Atherosclerosis 2009; 206: 535-9 EPA投与による血中EPA濃度上昇が冠動脈イベントを抑制する JELIS 脂肪酸サブ解析 【対象】 大規模臨床試験JELIS参加者18,645例の内、血漿脂肪酸を測定した16,397例 【方法】 食事療法+スタチン投与を行った「対照群」と高純度EPA製剤1,800mg/日を追加投与した「EPA群」に 無作為に割り付け、それぞれの血漿脂肪酸と冠動脈イベントとの関連を検討 脂肪酸(μg/mL:平均値) パルミチン酸 (736) ステアリン酸 (227) 対照群 0.5 1 2 P=0.586 0.73(0.50~1.07) P=0.103 オレイン酸 (678) 1.18(0.80~1.73) P=0.401 リノール酸 (825) 1.33(1.02~1.74) P=0.039 アラキドン酸 (168) 0.90(0.69~1.16) P=0.415 EPA ( 95) 0.83(0.62~1.10) P=0.186 DHA (165) 1.22(0.91~1.65) P=0.187 脂肪酸(μg/mL:平均値) パルミチン酸 (710) EPA群 ハザード比(95%CI) 0.89(0.60~1.34) ハザード比(95%CI) 1.16(0.72~1.86) 2 P=0.543 0.5 1 ステアリン酸 (224) 0.74(0.48~1.12) P=0.148 オレイン酸 (634) 0.88(0.55~1.39) P=0.571 リノール酸 (773) 1.12(0.82~1.53) P=0.469 アラキドン酸 (152) 0.86(0.64~1.17) P=0.336 EPA (170) 0.71(0.54~0.94) P=0.018 DHA (154) 0.88(0.64~1.20) P=0.414 Itakura H, et al. J Atheroscler Thromb 2011; 18: 99-107 冠動脈イベントリスクとEPA/AA比 JELIS 脂肪酸サブ解析 【対象】 大規模臨床試験JELIS参加者18,645例の内、血清脂肪酸を測定した16,397例 【方法】 血漿EPA/AA比と冠動脈イベントとの関連を検討 EPA/AA比 ハザード比(95% CI) 低値群(0.50未満) vs 高値群(0.50以上) 0.94(0.77~1.14) P=0.519 低値群(0.75未満) vs 高値群(0.75以上) 0.83(0.69~0.98) P=0.031 低値群(1未満) vs 高値群(1以上) 0.80(0.67~0.97) P=0.021 0.5 1.0 1.5 Itakura H, et al. J Atheroscler Thromb 2011; 18: 99-107 EPA/AA比の患者分布JELIS 脂肪酸サブ解析 【対象】 大規模臨床試験JELIS参加者18,645例の内、血漿脂肪酸を測定した16,397例 【方法】治療中の血漿EPA/AA比レベル別患者割合(%)を検討 EPA/AA比と患者分布(EPA群) 40 EPA投与により EPA/AA比上昇 患 者 割 20 (%) 合 EPA投与 前 EPA投与 後 EPA/AA推移(EPA群) 1.4 1.2 1.2 1 0.8 0.6 0.6 0.4 0.2 0 <0.25 0.25<0.5 0.5- 0.75- 1.0- 1.25- 1.5- 1.75<0.75 <1.0 <1.25 <1.5 <1.75 <2.0 ≥2.0 0 投与前 投与後 Itakura H, et al. J Atheroscler Thromb 2011; 18: 99-107 —— JELIS脂肪酸サブ解析 —— 血漿脂肪酸組成と冠動脈疾患リスクとの関連 論文 Point ①EPA投与によりEPA/AA比とイベント抑制との 関連性がみられた ②EPA/AA比0.75以上の群は0.75未満に比べて 有意にイベントリスクが低かった ③EPA投与により血中EPA/AA比は0.6から1.2に 上昇した 魚食の多い日本人に対してもEPAの投与が EPA/AA比を上昇させイベント抑制に有用である ? 日本循環器学会:心筋梗塞2次予防に関するガイドライン 2011年改訂版 川越市広報室撮影 2009年11月14日 http://www.endo-smc.umin.jp 松田昌文撮影 iPhone 4S 2011年11月14日 油脂の加工・精製でできるもの