Sustainabilityと人文知・プロジェクト 〈人文知・社会知からサステイナビリティを考える〉シンポジウム 環境と地球環境 人間科学的統合知 2012 / 3 / 10 総合地球環境学研究所 立 本 成 文 TACHIMOTO Narifumi 〈環境〉 • 環境は“主観的”なものである • 生物学者ユクスキュルの • 環世界 Umwelt (ドイツ語としては1800年頃の造語で 身の回りの世界=環境の意味。Weltは世界の意味。) (ユクスキュル/クリサート『生物から見た世界』〈日高敏 隆・羽田節子訳〉 岩波文庫、2005年) • フランス語ではmilieu(中央、環境)、environ(おおよそ、周辺) • 英語のenvironmentはフランス語から。 • 生物の環世界+文化⇒人間の生活世界 これが人間にとっての〈環境〉 2 〈地球環境〉 地球環境問題 • 地球環境という術語は日本語辞書にはまだ 無い。 • 地球環境とは、「地球次元での環境」⇒人類 の住む天体(惑星)の全体を人類の環境とし てみる。言い換えれば地球と言う環境。 ⇒ 地球を”客観的な“全体として捉える。 ⇒ 環境〈環世界〉から地球環境〈地球システ ム〉へ • 地球環境は“客観的な”地球全体(システム) 3 〈地球システム〉 • “客観的な”環境=地球システムの定義 (人間及びその活動の結果である文明もその一部である惑星としての地球) • E = (N, H) E: The Earth System E = (N, H) (Schellnhuber 1999) when N = (a,b,c,…); H = (A,S) (N) atmosphere; biosphere; cryosphere; … (H) A (anthroposphere); S (global subject) 人間圏、社会、文化、…(ことば、道具、火、エネルギー…) • 実は“客観的な「地球環境」があると言うよりは、人 間がシステム(体系)として作り上げたもの • 環境問題をグローバルに考える、といってもよい 4 風土 文化 社会 環世界 自然生態 地球システム 地球 世界単位 Augustin Berque 2011 [高谷 1993;立本 1996] 地域圏 立本 2000; 高谷 2001 5 環境と文化のオントロジー 風土 生活世界 文化 環世界 環境問題 社会 地球 環境変動 自然生態 Berque 2011 立本 1996 6 文化 社会 環境の三つの姿(生態) 自然生態 生活形態・生存様式 精神のエコロジー 文化 心・ことば・シンボル 社会のエコロジー 社会 人間・制度 自然 自然のエコロジー ヒト・生物・地球 〔Guattari 1989〕 7 文化 社会 自然生態 地球システムの中の人間 • 個人・集団・社会/地域 • 家族・コミュニティ(共同体)・組織・国家は協 働の秩序維持(保全)のためのディバイス • リアリティのレベルを超えるための関係・つな がり • ひととひととのつながり=命の絆、おもいやり、共感 • ひとともの・自然とのつながり=生存原理 • ものとものとのつながり=人間が作った科学原理 因果関係・継起関係・平行関係 9 環境問題はなぜ大事か • 環境と文化という問題は、結局「人間とは 何か」という問いかけに行き着く。 • 〈人間性(人間である証)はつなぐ能力にあ る。〉その原動力は「おもいやり」(sympathy & care)。 • 人が共に生きるあり方を考えねばならない 。 よく生きるために 10 復旧・復興・新興 • Restoration, retrieval, recovery • Reconstruction, revival • Renewal⇒Emergence, alternative (alter=other) • よく生きるためのオルターナティブ 持続可能な発展 11 統合の考え方 • グローバル・システム (ボールディング) 世界コミュニケーション (ボルツ) システム/環境 (ルーマン、パーソンズ) • Consilience The unity of knowledge(ウイルソン1998年) 統摂、知識大融通; • Transdisciplinarity cf. William Whewell 1840 Jean Piaget, Edgar Morin, Eric Jantsch 1970 ①‘among’②‘through’③‘beyond’ of fields of knowledge • Transdisciplinary Humanics 量子論的consilience; cf. Roger I. Wiiliams 1864? 12 Sustainability学 新しい 超学的な学術 ・ グ ロ ー バ ル サ ス テ ナ ビ リ テ ィ ユネスコDESD 13 Survivability 持続型生存基 盤パラダイム 14 総合地球環境学 • 環境問題の解決に資するため • 人間と自然との相互作用環を根本的に 解明し Research Institute for Humanity and Nature • 未来可能な社会の設計を目指す Sustainabilityではなく Futurability sustainable development 15 人間科学としての統 合coined in the mid-19th • Humanics was century by an American chemist Robert I. Williams. • Here it is used to mean the transdisciplinary, integrative study of man and nature as distinct from the humanities or anthropology. 16 知の統合(文理融合)は レベルの統合 • リアリティのレベルの統合 歴史や文化を前提する人間精神世界 必ずしも人間存在(文化、認識)を前提と しない物理的存在 • レベルのつながり: hierarchyではなく、 heterarchy ⇔ 偶然性 contingency • レベルを乗り越える方法論(人間性の視点) transdisciplinarity ⇒ 新しい領域設計科学 17 TRANSDISCIPLINARITY LEVELS of REALITY values normative pragmatic interdisicplinarity (Max-Neef 2005: 9) 18 Epistemological Differences NORMAL SCIENCES ・ Principle of noncontradiction無矛盾性 ・ Principle of excluded middle 排中律 ・ Principle of TRANSDISCIPLINARITY ・ Levels of reality オントロジー的包摂 ・ The logic of the included middle 含中律 ・ Complexity 複雑性 identity斉一性 Nicolescu, B. Transdisciplinarité, Rocher, 1996; Brenner, J.E. Logic in Reality, Springer ,2008; Nicolescu, B. Qu’est-ce que la réalité?: Réflections autour de l’oeuvre de Stéphane Lupasco, Liber, 2009. 19 Roland W. Sholz Environmental Literacy in Science and Society: From Knowledge to Decisions Cambridge University Press, 2011 20 設計科学としての統合 問題群 problematiquesに対応 ⇒解決のデザイ ン 科学と社会の接点・新しい社会的なニーズ 社会的価値に結びつける(目的意識)イノベーション 人間・社会の全体性と向き合う科学技術 設計:あるべきもの〔目的⇒value〕の探求 意図・目的意識性(価値)のある仕事 人間・社会(人のために役に立つような組織)のための学術 science for society ⇒ humanic integration 21 TRANSDISCIPLINARITY LEVELS of REALITY Humanic Integration values 知 の 統 合 normative pragmatic interdisicplinarity (Mac-Neef 2005: 9) 22 HUMANIC INTEGRATION DESIGNING SCIENCE t r a n s d i s c i p l i n a r i t y values Weltanschauung pragmatic/normative designing COGNIZING SCIENCE modeling EPISTEMIC INTEGRATION 23 Transdisciplinarity 1 across; 2 on or to the other side of (a) one discipline / (b) disciplines Trans-science 総合地球環境学 生存知 ethos 風水土 山野河海 gaia oikos 24 25 生とシステムのデザイン 地球地域学(Global Ecosophy)から 地球システムの人間科学へ (Environmental Humanics of the Earth System) ⇒ 総合地球環境学 認識科学に基づいた設計科学 社会のための科学 環境とは 真理とは transdisciplinarity 自己とは 人間科学(humanics) = f 〔哲学;人類学、社会学、地域研究; 環境学;環境科学〕 CODA 知の統合の在り処 統合するのは個人の研究者である。 An integrating synthesis is not achieved through the accumulation of different brains. It must occur inside each of the brains. (Max-Neef 2005: 5) … rather than investing in knowledge ‘products’, universities should focus on developing capacity for transdisciplinarity, and for knowledge production generally. (Russel et al. 2007:460) 共同研究: バラバラでいっしょ ―差異(ちがい)を認めあう世界 Singular parts, sharing the common world or Weltanschauung