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蒸 気 タ ー ビン に つ い て の規 格 ・標 準 …(1) 269
〔展 望 ・解 説 〕
蒸気 ター ビン に つ い て の規 格 ・標 準
和
近年 、油 を燃 料 とした蒸気 ター ビ ンの設 備 に代 り原
子力 に よる発 電 設備 の伸 率が 顕 著 であ る。
気 幹 雄*
略)の ため に設置 す る機械 、器 具(中 略)そ の他 の工
作物(政 令 で定 め る もの を除 く)」 と定義 され て い る。
それ に伴 い環 境面 での保 全 と品質面 での安全 性 ・信
(法2条)
頼 性 につ いて よ り高 度 の ものが求 め られ る時代 とな っ
蒸気 ター ビ ン及 び その付属 設備 につ いての技 術 上 の
て きた。 これ ら社会 的 ニー ズ を満 た すた め に もこれ か
基 準 は、材 料 、構造 、強 度及 び機 能 に関 す る もの と、
らの蒸気 ター ビン設 備 につ いて は設計 よ り製作 ・運転
溶 接に関す る もの とが あ る。 前 者 は、 「法 」48条 の 規
そ して保 守 の各 過程 におい て調和 の とれ た きめ細 か い
要 とし要求 され る主 目的 は ここにあ る とい って も過 言
定 を受 けた 「
設 備 の技術基 準 」 として1‑1で
述 べる
「
発 電 用火力 設備 に関す る技術 基 準 を定 め る省令
」な
どがあ る。 これ らは 「
維持 基準 」 で あ る と共 に、新 規
で はない。
設 置及 至 は変更 設 置 時 に達 成 す べ き基準 として、 「工
品質 への配慮 が 必 要 とな って くる。基 準 とか標準 を必
規 格 とか基 準 ・標 準 とい った もの は、一 般 には 自主
事計 画」(法41条)、 使 用前検 査(法43条)な
どが定 め
的判 断 に よる任意 性 の もの と法 の規 制 によ る遵守 義務
られて い る。 後者 に関 し、 「法 」46条 の規 定 を受 けて
を負わ ね ばな らな い もの があ る。 国 内で は前者 につ い
1‑3で
て最 も広 く知 られ てい る もの にJISが あ りJEACが
る。後者 につい て は蒸 気 ター ビンの設備 が電気 事 業 に
を定 め る省 令 」が あ る。本 稿 で は、1‑2で
述べる
「
発電 用火 力設 備 に関 す る技 術基 準 の細 目を定 め る告
供 され る場 合 は、国 の電気 事業 法 お よび その法体 系 の
示」 も含 め、 これ らの最 近 の改正 点 を主 として概説 す
中での各種 法令 に よ る規制 が あ る。
る。
あ
本 稿 で は、 これ らの概要 につ いて紹介 労 々若干 の解
説 を加 え参 考 に供 したい。
1‑1発
述べ る 「
電気工 作物 の 溶 接 に関す る技 術 基準
電 用 火力設備 に関 す る技術基 準 を定 め る
省令
発電用 火力 設 備 に関す る技術 基 準 を定 め る省令(昭
1.電
気事 業法
電 気事 業法(昭39法
律170号 、 以下 「
法 」 とい う)
40省 令60号 、以下 「火力設備 技 術基 準 」 とい う)に は、
「この省 令 は
、 火力(地 熱又 は液 化 ガスが気 化 す る と
の 目的 は、 「公 共 の安 全 を確 保 し、公 害 の 防止 を図 り、
きに発生 す る冷 熱 を含 む)を 原 動 力 として、電気 を発
電 気工 作 物 の工 事 ・維 持及 び運 用 を規制 す る」(法1
生 す るた めに施設 す る電気 工作 物(中 略)に つ い て適
条 要 旨の み)と 定 め られて い る。 従 って、 「電 気工 作
用 す る」(1条)と
物 」 として使 用 され る蒸気 タ ー ビ ンについ て も、事 業
気 ター ビン及 びその付 属設備 に関 す る基 準 であ る。一
用又 は自家 用 を問わ ず、本 「
法 」 の体 系 下 にあ る 「
政
方、 「発 電 用 原 子力 設 備 に関す る技 術基 準 を定 め る省
規 定 して い る。同 省 令3章 は、 蒸
会 」・「通 産省 令 」・「通 産 省 告 示 」 な どに よ る手 続 き
令」(昭40省 令62号)の34条3項
及 び遵 守 すべ き技術 上 の基 準 に よ り規制 され る(表1
施 設 す る蒸 気 タ ー ビン設 備 につ い て も上記3章 を準 用
参 照)。 なお 、 「電 気 工作物 」 とは、「発 電 ・変電(中
す る旨規 定 され てい る。 従 って 、電気 工作 物 であ る蒸
*三 菱 重 工 業(株)高砂 製 作 所
原 稿 受 付 日 昭 和61年1月6日
気 ター ビン及 び その付属 設備 は全 て本 省令 「
火力 設 備
で、原 子力発 電 所 に
技 術基準 」 に よ る こ とにな る。 本 省令 で は、蒸気 ター
ター ボ機械第14巻 第5号
19
蒸 気 ター ビ ンに つ い て の 規 格'標
270
準 …(2)
ビ ン本体 に関 して は、16条 〜23条 に、安全 性(回 転 、
振 動への耐 性、危 険 速 度)、 調 速 装 置 、非 常停止 装置 、
注.*印
を付 した条 の詳細 は告 示 で定 めて いる。
1‑2発
潤 滑油装置 、計 測装 置 、警報装 置(軸 振動 、振 幅の制
限、表2参 照)水 圧試験 、検 査 な どにつ い てそれ ぞれ
電 用 火力設備 に関す る技 術基 準の細 目 を
定 め る告示
発電 用 火力 設備 に関 す る技 術基 準 の細 目を定 め る告
規 定 されて い るが、 強度計 算方 法 な どの構 造及 び材 料
示(昭40告
示270号)は
、「火力 設 備 技 術 基 準 」 を受
に関す る規定 は ない。一方 、蒸気 ター ビンの付属設 備
けて その細 目を定 めて いる。従 って、付 属設備 に属 す
に属 す る容器 及 び管 の大気 圧 を超 え る耐 圧部 分 につ い
る容器及 び管 に関 す る材 料 の許 容 応力 、耐圧部 強 度計
ては、上記 水圧 試験 、検 査 な ど材料 及 び安全 弁 につ い
算方 法、構 造 、安 全弁 の容量計 算 方 法 な どの詳細 規定
ての規定 が あ り、その細 部 につ いて は 「
告 示」 で定 め
をその 内容 として い る。
昭和58年 の改正 に よる主 な改正 点 は、 材料 の範 囲拡
てい る。
なお、昭 和58年 の改正 で 、誘 導発電 機 を駆動 す る場
大(JIS新
規 格 の大 幅 な取 り入 れ な ど)、 リベ ッ ト継
合 は、調 速装 置 の規 定が除 外 され た(18条 ただ し書 き)・
手 の規 定廃 止 、冷 熱発電 設備 に関す る 「
火 力設備 技術
また、冷熱 発電 用蒸 気 ター ビ ン及 び その付 属設備 につ
基準 」 に対 応 した改正及 び全 体 の引 用JISの 年 号改 訂
いて、改正 前 は省令 に規 定 され てい なか ったが 、液化
であ る。
ガ ス用燃料 燃 焼設 備 に係 る規 定 が準 用 され る こ とにな
1‑3電
った(23条4及
気 工作 物 の溶接 に関 す る技術基 準 を定 め
る省令
び5項)。 この 結 果、 付 属 設備 に関 し
て は、上 記 水圧 試験 、検査 な ど材料及 び安全 弁 の規 定
電 気 工作 物 の溶 接 に関 す る技 術 基 準 を定 め る省 令
か ら、ガ ス又 は液化 ガス に用 い る もの を除 外す る と共
(昭45省 令81号 、以下 「
溶 接技術 基準 」 とい う)は 、
「法」46条1項 に よる溶 接検 査(輸 入 品 を除 く)の 合
に、新 し く次 の事 項が規 定 された 。
―蒸気 ター ビン及 び その付属 設備 につい て ―
格 基準 の一 つ で あ り、従 って法的 には溶 接検 査対 象 品
・離隔距離*(41条)
の みに適 用 され る。溶 接検 査 の対 象範 囲 は 「
電気 事 業
・ガスの滞溜 防 止(47条)
施行 規則 」(昭40省令51号)で 規 定 され てお り(同 規 則
・電気設 備 の防 爆(48条)
45条)、 対象 の機種 として は、容器 及 び管 であ る。
なお、溶 接検 査(輸 入 品 を除 く)の 今 一 つの合 格基
・警報装 置(50条4、5号)
・ガスの置 換(53条)
準 は、溶 接が 予 め通産大 臣 の認 可 を受 けた方 法 に従 っ
―蒸気 ター ビンの付属 設備 につ いて ―
・材料*(42条
ポ)ンフ吸 び圧 縮機 を除 く。43〜45条 も
同 じ。 容器 、 管 の耐 圧部 分 に適 用)
・構造(43条)
・耐圧 試験(44条)
・気密試験*(45条)
9683号)が 示 され てい る。 この 中 に は、溶接 部 の設計
及 び溶 接施 行 法 につい ての規 定が あ り、実質 上重 要 な
「
技術 基準 」 の一部 であ る。
溶 接技 術基 準 において は、機器 を 「
発電 用火 力機 器 」
と 「
発電 用原 子 力機器 」 に区分 し、 それ ぞれ を表3の
・安全弁*(46条)
・計測装 置(49条1〜3及
てい るこ とで あ り、認 可の基 準 が資源 エ ネル ギー庁 長
官通 達 「溶 接 方 法の認 可 に つい て」(昭50、50資 庁 第
・警報装 置(50条1〜3号)
び5号)
ように更 に細 区分 し、適 用 す る基 準 を定 めて い る。
「
溶 接技術 基 準」 は、主 として"C"の
含有 量 に よる
・緊急 しゃ断装 置(51条1項1号)
溶接 の制 限、 開先 、溶 接部 に関 す る各 種 の規制及 び検
・しゃ断装 置(52条1号)
査 ・試験 等 につ い て規 定 され てい る。
r溶接 技 術基 準」 は、昭和59年8月 及 び昭和60年10
・表示(54条)
・貯 槽 の耐 熱 措置(55条)
・貯槽 の相互 間距 離(56条)
月 に改 正 され た。 主要改 正点 は次 の通 りであ る。
・原 子力機 器 の 区分定義 の変 更(1条)
・貯槽 の安全 装 置(57条)
・開先面 清浄 さな どの規定(4条)
・防液堤 の規 格*(58条)
・母 材 の 区分 、 溶 接部 強度 の特 例 を規定(5条1項
・液化 ガス 用気化 器 の加 熱部(60条)
20
1986年5月
別表15)
、
蒸 気 タ ー ビ ン につ いて の 規 格 ・標 準 …(3)
表1
電 事法体系
注1.()内
2.□
3.本
表3「
注1.大
2.記
271
番 号 は電 事 法 の 該 当 す る条 番 号 を示 す 。
内 は、 蒸 気 タ ー ビ ンに 直 接 関係 の あ る法 令 の制 定 年 と制 定 法 令 番 号 を示 す 。〔〕内 は最 新 の 改 訂 年及 び 改訂 法 令 番 号 を示 す 。
表 は昭 和60年11月
現 在 の もの を示 す 。
溶接の技術基 準」各機器別条番号対比 表
枠 内 の 数 字 は 該 当 条 番 号 を示 し 、"準"を 付 し て い る もの は 準 用 の もの を示 す 。
号 の 説 明B:ボ
イ ラー 等2V第2種
容器 一以下同 じ
H:熱
交 換 器 等1P:第1種
管
L:液
化 ガ ス 用 燃 料 燃 焼 装 置3P:第3種
管‑以 下 同 じ
1V:第1種
容 器A/B:補
助 ボ イ ラ ー及 び そ の 付 属 機 器
ターボ機 械第14巻 第5号
21
272
蒸 気 タ ー ビ ン につ い て の 規 格 ・標 準 …(4)
表2
JISは 前記 の ご と く法 の規 制に よ る遵守 義務 は有 し
タ ー ビ ン軸 振 動 の 警 報 値
ないが 、設計 よ り製 作 ・運転 に至 る迄 広範 囲 にわた り
準拠 規 格 として多 用 され て い る。
2.1蒸
JIS
気 タ ー ビ ンの 一般 仕様
B 8101は 昭 和37年 に制 定 され、 その後 昭和52
年 に第1回 目の改正 が され た。改 正 の内容 は国際単位
系 の併 記 が行 われた もの であ り、 内容 的 に は制 定 時の
もの と変 わ りない。
JIS
B
8101制 定 時 の 基 本 方 針 として は、「IEC
(International
注.昭 和48年 の改 正 に よ り出 力400MW以
上の蒸気タ ービン
に つ い て表 値 を 超 え る振 動 が 出 た 場 合 に は警 報 を 出 す 装
置 が 必 要 とな っ た 。
Publication
bines"規
Electrotechnical
45"Specification
Commision)
for Steam
たが 、IEC
Publication
45の その後 の改 正 〔
制定
・非破 壊試験 の適 用原則 を一 覧 表 に し、一部 変 更(6
1931年(昭 和6年)、 第1回 改正1962年(昭
条 他、別 表1)
・規 定非 破壊 試験 が 困難 な ときの規 定(6条
第3回 改正1970年(昭
他)
Tur‑
格 にで き るだ け合 せ る」 とい う もの で あ っ
和45年)で
和37年)、
現 在 に至 ってい る〕
もあ り国 際 性 を持 たせ る意 味 か ら も最新 のIEC規
格
・突合 せ溶 接 に よる継手 面 の喰 い違 いの規 定 一部変 更
に合 わせ項 目の配列 等 につ い て もJISと の対比 が容 易
(7条 他)
・継 手 の仕上 規 定一部 変更(9条
術基 準 等 との調和 も図 り1981年(昭 和56年)2回
とな る よ う配 慮す る と共 に従来 のJISや 発 電 用火 力技
他 、別表15)
・応 力除 去 を溶 接 後熱処 理 と改 め、温度範 囲 、保持 時
間、 方法 及 び適 用 除外規 定 を一 覧表 に し、 一部 変更
(10条他 、別 表3〜5、15)
・機械 試 験 の適 用 原則 、要領 及 び合格基 準 を一 覧表 に
し、一部 変 更(12条 他 、別 表11及 び12、付 表)
・再試 験 の適 用原 則、 要領 及 び合格基 準 を一 覧表 に し、
一部 変 更(13条 他、別 表13)
目の改
正 が な された。
JIS
B
8101(1981)は
、 その名 の通 り 黛蒸気 ター
ビンの一 般仕様"で あ り、蒸 気 ター ビンの 設計 ・製作 ・
運 転 等 にた ず さわ る関係 者 に とって は特 に 目新 しい も
の で はない。通 常 の仕様 書 等 に記 載 され る仕様 条件 の
基本 事 項 の抜す い版 と理 解 して も良 い内容 であ る。蒸
気 タ ー ビ ンの適用 範 囲か ら運転 ・保安 ・監 視 に至 る25
・耐 圧試 験 の適 用 区分 及 び試 験圧力 を一 覧表 とし、一
部 変更 。 か つ、耐圧 試験 が 著 し く困難 で あ る場 合 の
項 目の本文 と3種 類 の付属 書 よ り構 成 され て いる。解
説 版 に はIECと
の対 比 等 が要 所 要所 に記 載 されて お
り参 考 とな る。 これ らの中 よ り主 な もの を抜 すい し概
規定(14条 他 、別表14)
説す る。
2.蒸
JIS(日
(1)適 用範 囲
気 タ ー ビン とJIS規 格
本 工業 規格)は 昭 和24年(1949年)に
公布
された工 業標 準化 法 に も とづ き、鉱 工業 品の生 産 ・流
通 ・消費 に またが る技 術 的事 項 を全 国的 に統 一 す るた
めの基 準 として主務 大臣 が 日本工 業標準調 査 会 に はか
つて定 め られ た国家規 格 で あ る。
蒸気 ター ビ ンに関係 す る もの としては2種 類 の規格
が ある。JIS
JIS
B
B
8101(蒸 気 タ ー ビンの一 般仕 様)と
8102(蒸 気 ター ビンの受渡試 験 方法)で あ る。
発 電 用 の復 水 ター ビ ンにつ いて規 定 され、 そ の他 の
用途 も準用 可 として い る。
(2)出 力 の定義
発電 用 タ ー ビンの定 格 出力 とは回転数 、 タ ー ビン入
口で の蒸 気 条 件(圧 力 ・温 度)・ 給水加 熱 条件 ・排気
圧 力及 び再熱 条件 な どが所定 の条 件下 で運転 され る場
合 の発電 機端 子 にお け る保証 最大 連続 出力 を指 してい
る。 ボイ ラ給 水 ポ ンプ につい て は、 主 ター ビンでの駆
この他 、機 械 の要素 別、 材料 ・試 験 ・品質 等間接 的
動或 は抽 気蒸気で駆 動 され る別 設置 式 のタ ー ビ ンによ
に関係 す るJISは 数 多 くあ り、蒸気 ター ビン に も幅広
つて駆 動 され る場 合 は、 その 駆動動 力 は別途 に評 価 し
く活 用 されて い る。
てい る。
22
1986年5月
蒸 気 タ ー ビ ン に つ い て の 規 格 ・標 準 …(5) 273
(3)蒸 気(熱)消 費率 の保 証
3項 に記 載 のJIS B 8102(蒸 気 ター ビンの受 渡 試
表4
振動 の振 幅
験 方法)の 規 定 を参 照。
その細 目等 につい ては当事 者 間の契 約仕 様 に よ り取
決 め るよ うコ メン トしてい る。
(4)調 速 装 置
定格 負 荷 をしゃ断 した場合 に非 常調 速機構 が作 動 す
注.振
幅 値 が 表 に 示 す値 の2倍
る こ とが望 ま しい 。
る回転数迄 回転が上 昇 す るの を防止 す る調 速装 置 を設
を超 え た場 合 に は 非 常 停 止 す
ける よう規定 してい る。
無 負荷 〜定 格負 荷 までの整 定 回転数 調定 率 は定格 回
転数 の3%〜5%、
又 、無 負荷 にお けるター ビンの 回
転数 調整 範 囲 は定 格 回転数 の上 下各6%と
す る。
なお タ ー ビン ・発電 機 に は運用 上定格 回転 数 の98%
以下 、101%以
上 での連 続 運 転 の 要求 を して はな らな
い と して い る。
一 ビン軸受 の 出口温 度 につ いて は77℃ を超 えて は な ら
ない としてい る。
(11)標 準装 備 品
ター ビン と共 に供給 す べ き標 準 装備 品の 品 目 を指 定
してい る。
(拗 監 視計 器 ・保安装 置
ター ビン について の常識 的 かつ必 要最小 限 と判 断 さ
(5)最 大 回転数
タ ー ビンの過 速 度 試 験 は115%以 下 が望 ましい とし
れ る ものが示 されて い る。
てお り、如 何 な る理 由 が あっ て も120%を 超 えて はな
(13)付 属書
らな い と規 定 して いる。又 、 この試験 は製造 者 の工場
付属 書‑1と
で実施 す るこ とを勧 め てお り、試 験 回数 は1回 限 りと
し試験時 間 は2分 間 以 内 と規 定 して い る。
して 「蒸気 ター ビ ンの引合 又 は購入仕
様 書 記 載事項 」 につ いて、 付属 書 一2と して 「
再成タ
ー ビン」 としてター ビンが 再生 サ イ クル と して構 成 さ
(6)非 常 停 止装置
れ る場合 の購 入 に関す る事項 につ いて、又 付 属 書 一3
調 速装 置 とは別 の装 置 として、 ター ビン定 格 回転数
と して 「給水 ポ ンプ駆動 装置 」 として ター ビ ン主 機 に
の111%以
下 で作 動 す る非 常調 速装 置 を設置 しな けれ
よ り機 械的 に駆動 され るか 、 ター ビンか らの抽 気 蒸気
ばな らな い。 この他 に も必 要 に応 じて排 気圧 力 の限度
で駆動 され る別置 きの ター ビン によ り駆動 され る場合
値以 上 の上 昇、 潤滑油圧 力 の 限度値 以下 の低 下及 びス
の それ ぞれ につ いて設 計 ・製 作 をすす め る上 で 明確 に
ラス ト軸 受 の限度値 以上 の摩 耗 と温 度上 昇の 防止装 置
して おか ね ば な らな い諸 事 項 につ いて規定 され て いる。
を要 求 して い る。
3.蒸
(7)振 動
轍
び轍
での ター ビンの振 動 の上 限値 を運転 の ガ
イ ド値 として 表4に 示 して い る。
気 タ ー ビン受 渡 試 験 方法
この規 格 はJIS
B 8102と して昭和43年 に制 定 され、
その後 昭 和52年 に第1回 目の改 正 が された。改正 の 内
解説 に よれ ば この表の制 限 値 はJEACの
制 限値 を基
としてい る と述べ られ てい る。
容 は2項 の蒸 気 ター ビ ンの一般 仕様 の場合 と同様 に国
際 単位 系 の併 記が行 わ れた もの で あ る。
JIS
あ る。
B
8102制 定 の基本 方 針 は 「IECの 規 格(Rul‑
(8)水 圧 試験
es for Aeceptance
大気 圧以 上 の蒸気圧 力 のか か る部 分 で は最 高使 用圧
tion 46‑2nd
力 の1,5倍 以 上 での水 圧試 験 の実 施 を規 定 して い る。
(9)圧 力 及 び温度変 化 に対 す る許 容 限度
蒸気 タ ー ビ ンの運用 にお いて定 格運 転 時 の蒸気 条件
を超 え る許 容範 囲 につい て きめ細 か く規 程 して い る。
(10)潤 滑油
ター ビ ン油(JIS
Test‑1962、IEC
edition)を
publica‑
尊重 し、更 に 日本 の国情 な
らび に従 来 の 国内規格 を考慮 して制 定 され た もの であ
る。JIS
B 8102‑1977の 主 な 内容 は次 の通 りで あ る。
(1)基 本 節囲 と適用 機種
この規 格 は、
(a)出 力
K
2213)を
指 定 してい る。又 タ
(b)蒸 気 消 費率 また は熱 消費 率 また は入 口蒸気 量
ターボ機 械第14巻 第5号
23
274
蒸 気 ター ビ ン に つ い て の 規 格 ・標 準 …(6)
表5
(c)調 速 の特 性
(d)非 常調速 機 の性能
の4事 項につ いて の保 証値 を確 認 す るた めの試験方 法
が規 定 されてお り、適 用 す る ター ビンの種 類 は9形 式
の もの を範 囲 としてい る。
(2)用 語 の定 義他
80項 目にお よぶ試 験或 は計 算用 語 の説明 、前記(b)項
特 定 の もの或 は予 め協定 され て い る もの につ いて は試
験 後に も校 正 され る。
(6)補 正
試験 の条 件 が保証 値 の基準 条件 と相 違 した場合 に は、
修正 或 は補 正 され た係数 ・曲線 を用 い る こ とがで き る。
(7)裕 度
蒸 気 消 費 率 等 に お け る保 証 値 の裕 度 は一 般 に は.
の定 義、試 験 ・計測 要領 等製 造者 と受 取者 とで協 定 す
JEC等
で の規 程 値 が 採 用 さ れて い るが、JISで は必
べ き事 項等 につ いての詳 細 が記述 されて い る。
要 に応 じ受渡 当事 者 間 に よる協定 事 項 とされて い る。
(3)試 験 ・計 測値 の最 大許 容偏 差 と最大 許 容変動
受 渡試験 は安 定 した条件下 で実施 され る ことが望 ま
しいが 、現 実 に は多少 の変動 は避 け られ な い場合 もあ
る。 このた めの許容 値 を表5に 現定 され て い る。
4.発
電 用 タ‑ビ
(JEAC
ン ロ‑タ 非 破 壊 検 査 規 定
3202‑1979)
欧米 諸国 にお ける運 転稼 動 中 での蒸気 ター ビ ンロー
(4)試 験の継 続 時 間
タの破 壊事 故、或 は 日本 で は昭和40年 代 半 ばにお け る
蒸気 消費率 等 の性能 試験 につい て は、 継続 時 間 は1
蒸 気 タ ー ビンロー タの回 転試 験 中で の破壊 事故 等 の発
時間以 上 とし、 出力決 定 の試験 継続時 間 は15分 とす る。
生 に よ り、関係 業界 で は運転 時 にお け る信 頼 性、安 全
上 記試験 に関係 す る電 力計 ・流 量計 な らびに圧力 ・温
性 の両面 よ り何 らか の規制 を必要 とす る との声が高 ま
度 等 につ いて は1分 ご ととし、 その他 の主 要 な測定 は
って きた。
5分 ごとに行 う こ とが で きる。
これ を背景 と して運 転面 につ い て は、 法 の規制 と し
(5)測 定用 計器 と計 器 の較 正
て昭和48年 に電 気事 業 法の改 正 に よ り運 転 中の蒸気 タ
ー ビンにつ いて 回転 を制御 す る各 種 の規 程 が設 け られ
計測 器具 につ いて も規定 され てお り、 測 定方 法 につ
い て も詳述 され て い る。計 器 は試 験前 に校正 され る。
24
1986年5月
た。 中 で も出力400MW以
上 の 蒸 気 タ ー ビ ンについ て
蒸 気 タ ー ビ ン に つ い て の 規 格 ・標 準 …(7) 275
表2 に示 す よ うな振 動 警 報 値 が規定 され400MW未
満
表6試
験項 目、試験箇所及 び試験時期
表7品
質 レベ ル
の蒸 気 ター ビンにつ いて もこれ に準 ず る ことが望 ま し
い とされて い る。
一 方、 ロー タの材料(素 材)面 にお け る規制 につ い
て は法 に よ る規制 は無理 が あ ると して、民 間 の関係 業
界 に よる 自主 規制 として後 述 のJEACに
よって 「
発電
用蒸気 ター ビンロー タの非破 壊 検査規 程」 が定 め られ
る ことにな った。 蒸気 タ ー ビンロ ータ素材 の非破 壊検
査 とそ の欠 陥 の評 価等 に つい ては、 ター ビンメー カ は
素材 メ ーカ に対 し非破 壊 検査 の種 目 とその検 査種 目毎
に許 容欠 陥サ イ ズ を提示 し遵 守 を義務 付 けて い るが 、
ター ビンメ ー カに よって その内容 は相違 す る。従 って、
規 程 の制 定 は困難 視 された が2年 有余 にわた り関係 業
界(電 力会 社 ・製鋼 メ ー カ'タ ー ビ ンメ ーカ)が 主体
とな って審 議 を重 ね昭和50年 にJEAC3202と
し て制
定 された。 以降 広 く実用 に供 されて い るが 、昭 和54年
蒸 気 ター ビンロー タの大形 化 に伴 い一部 検査 要領 の見
直 しが必 要 とな り改 正 され た。
この規 程 で は欠陥評 価 のべ 一 ス とな る もの として破
壊 力学 の考 え方 を取入 れ安 全性 につ いての評価 がな さ
る と共 に ター ビ ンの運 用(起 動 ・停止 の頻 度)に よる
れて い る。 以下JEAC3202発
き裂 の成 長 も配慮 した もの で な くて はな らない。 これ
電 用 ター ビンロー タ非
破 壊検 査規程 の骨子 を紹介 す る。
(1)適 用範 囲
検 査対 象 は出力75000kW以 上 の蒸気 ター ビ ンロー タ
素材(以 下 「ロータ素 材」 とい う)
必 要 に応 じ使用 中 のタ ー ビ ンロータ の点検 時の検 査
に本規 程 の適 用 も可 とす る。
らを総 合 的 に判 断 して破壊 力 学手 法で の計 算 結果 で評
価 す べ きで あ ると して い る。
以上 の方 式 に基 き許 容欠 陥 サ イズで実 際 の使 用 条件 、
作 用応 力 を極 めて厳 し く適 用 して計 算 した場 合、 限界
欠 陥大 き さに対 す る安 全倍 率 は4倍 〜10倍 とな り十 分
な る裕度 を有 した もの とい え る。
(2)非 破 壊 検査 の項 目 とそ の内容
検査 は ロー タ素材 の外 表面 と中心孔 内面 に重 点 をお
い てい る。
5.国
内 民 間 団 体 に よ る規 準
蒸 気 タ ー ビンに限定 した 場合 の該 当す る民 間団体 の
検 査の項 目 とその内容 を表6に 示 す。
規 準 として最 も良 く使 用 され てい る もの にJEAC(日
尚、染色 探 傷検査 は磁 粉探 傷検 査 の補助 手段 とした
本 電 気協 会 ・電気 技術規 程)が あ る。
位 置付 け とされ てい る。
又 、 ロータ 素材 が全 円周 に わた り均 一 に熱処 理 され
て い るか を確認 す る 目的で 「
硬 さ検 査 」 を規 定 してい
る。
(3)許 容欠 陥サ イズ
特 に 広 く使 わ れ て い る もの と して、JEAC370‑
1985(発 電用 蒸気 ター ビン規 程)な らび にJEAC3202‑
1979(発 電用 タ ー ビンロー タ非破 壊検査 規程)が あ る。
その他 に はJEC(電
気 学 会 ・電 気 規 格 調 査 会標 準規
格)が あ るが直 接 的な かか わ りのあ る もの は少 い。
各検 査項 目毎 の許容 欠 陥 サイ ズ(品 質 レベル)を 表
7に 示 す。 こ こで注意 す べ きこ とは、 この規 程 で は許
容 欠陥 サ イズ を超 えた場 合 で も不合 格 との判 定 を否定
して い る ことであ る。
合 否 の評 価 は欠陥 の形態 、 密集度 合 等 を十分 考 慮 す
6.海
外諸 国 にお け る蒸 気 タ ー ビン 関連 規 格
わ が国 に は 日本工 業標 準 としてJISが あ るよ うに、
海 外先 進諸 国 に もそれ ぞれ 国家 的規 格 が制 定 され てい
る。例 えば英 国で はBS規 格 、 ドイツで はDIN規
ター ボ機 械第14巻 第5号
格、
25
276
蒸 気 タ ー ビ ンに つ い て の 規 格 ・標 進 …(8)
カ ナ ダ で はCSA規
格 、 フ ラ ンス で はNF規
る 。 更 に 団 体(学
会)の
界 的 に著 名 な もの にASME規
つ い て はASTM規
格(何
格 な どが あ
販
規 格 と して 広 く利 用 さ れ 、 世
と し て は 、 ね じ(TC‑1)、
格 、 また 、 材 料 関 係 に
れ も米 国)が
映 に努 め て い る。 一 方 、ISOの
ン に 直 接 関 係 す るTCは
あ る。
(TC‑2)、
近 年 、 海 外 諸 国 か ら の 蒸 気 タ ー ビ ン プ ラ ン トの 引 合
方 に は蒸 気 タ ー ビ
な い 。 間 接 的 に 関 連 す る もの
ボ ル ト/ナ ッ ト及 び付 属 品
単 位 ・記 号 等(TC‑12)、
衝 撃(TC‑108)な
機 械 的 振動 及 び
どが 挙 げ られ る。
も多 く、 わ が 国 か らの 輸 出 も年 々盛 ん に な っ て い る が 、
そ れ らの 国 の 購 入 仕 様 書 に 指 定 さ れ る規 格 に は 、 前 述
7.お
の もの が 多 い 。 最 近 は 国 際 化 の進 展 に伴 な っ て 、 国 際
以 上 、 蒸 気 タ ー ビ ン 設 備 の 規 格 ・標 準 に つ い て の概
要 を簡 単 な解 説 と共 に 紹 介 した 。
標 準 化 の ニ ー ズ が 高 ま っ て い る 。工 業 標 準 化 に つ い て
そ の 内 容 は 一 般 的 、 常 識 的 な もの で あ り、 蒸 気 タ ー
代 表 的 な 国 際 機 関 と して は 、 国 際 標 準 化 機 構(ISO:
International
Orgarization
tion)と2章
Standardiza‑
ビ ンに か か わ りの あ る方 々 に と っ て は 、 特 に参 考 とな
で も述 べ て い る 国 際 電 気 標 準 会 議(IEC)
が あ る 。 両 者 共Technical
Committee(略
る もの は な い と思 わ れ るが 、 日常 、 蒸 気 タ ー ビ ン に か
称TC、
か わ りの少 い 方 々 に とっ て 何 ら か の 参 考 と な っ た とす
設 け て 規 格 を審 議 し て い る。IECは
れ ば 幸 い で あ る 。 更 に一 歩 詳 し く必 要 とす る もの が あ
専 門 委 員 会)を
TC‑5と
for
わ りに
し て 「蒸 気 タ ー ビ ン」 とい う専 門 委 員 会 が 設
れ ば 本 稿 中 に記 載 の 原 文 を詳 続 願 う よ う お 願 い す る 。
け られ て い る。 近 年 日 本 も ワ ー キ ン グ グ ル ー プ(WG)
<参考文献>
(1) 寺 山(東芝): ターボ機械第7巻 第9号 、昭 和54年9月 号
の メ ンバ ー と して 細 か い 審 議 ・討 議 に 参 加 し 日本 の 意
昭 和60年 度(第13期)通
常 総 会 開 催 ご通 知
拝啓
時 下 益 々 ご清 祥 の こ と とお 慶 び 申 し上 げ ます 。
さて
本 協 会 昭 和60年 度 第13期 通 常 総 会 を 下 記 の 通 り開 催 い た し ま す の で 、 ぜ ひ ご出 席 下 さ い ま す よ う ご
通 知 申 し上 げ ます 。
な お 、 総 会 の 成 立 に は 規 約 に よ り会 員 の3分
方 は必 ず 別 紙 委 任 状 を5月12日
26
昭 和60年
度(第13期)通
の1以
常 総 会 議 案
日
時:昭
和61年5月16日(金)9時30分
会
場:学
士 会 館(東 京 都 千 代 田 区 神 田 錦 町3‑28
議
案:第1号
1986年5月
上 の 出 席 を必 要 と し ます の で 、 や む を 得 ず ご 欠 席 の
ま で に本 協 会 に お 送 り くだ さ る よ う お 願 い い た し ま す 。
〜10時00分
議案
昭 和60年 度 事 業 報 告 の 件
第2号
議案
昭 和60年 度 収 支 決 算 報 告 の 件
第3号
議案
昭 和61年 度 事 業 計 画 の 件
第4号
議案
昭 和61年 度 収 支 予 算 の 件
第5号
議案
昭 和61年 度 役 員 改 選 の 件
TEL
03‑292‑5931)
監 査報 告
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