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原 子 力 タ ー ビ ン の ラ ビ リ ン ス と シ ー ル シ ス テ ム …(1)
〔展 望
・解 説 〕
原 子 カ ター ビ ンの ラ ビ リン ス とシ ー ル シ ス テ ム
戸 田 朝 春*
山 岸 弘 樹*
1.ま
えが き
す よ う な4種
蒸 気 タ ー ビ ン の ラ ビ リ ン ス パ ッキ ン は 、 段 落 間
シ ール を 目的 と した ノ ズ ル ラ ビ リ ン ス と、 グ ラ ン
a.単
ドラ ビ リ ン ス と に 大 別 さ れ る。 漏 れ 蒸 気 の 量 が 多
け れ ば タ ー ビ ン効率 を損 な うの で 、 ラ ビ リンス の
位 長 さ 当 りに で き る だ け 多 く の 絞 り を お
くこ と
b.ひ
設 計 は 重 要 で あ る。
と つ の 絞 り か ら 次 の 絞 りへ の 運 動 エ ネ ル
ギ の キャ リオ ー バ を最 小 とす る た め 、絞 り
タ ー ビ ン 軸 とパ ッ キ ン の 歯 先 と の 接 触(い
る ラ ビ ン グ)は
類 の パ ッ キ ン 形 式 に 大 別 で き る。 ラ
ビ リンス に必 要 と され る 条件 は 、
わゆ
、 軸 振 動 の 原 因 と な り運 転 信 頼 性
と絞 り の 距 離 を 十 分 長 く と る こ と
で あ る 。 こ の2つ
は ほ とん ど相 反 す る要 求 で あ る。
を損 ね る。 ラ ビ ン グが 発 生 す れ ばパ ッ キ ン歯 先 が
図1の
摩 耗 ・変 形 す る 結 果 、 ラ ビ リ ン ス 効 果 が 低 下 す る
た もの で あ り 、 形 式(用
の で ター ビ ン効 率 に影 響 す る。 こ れ を避 け るた め
て い る 。 ラ ビ リ ン ス 効 果 は 、 ス ト レ ー ト、 シ ン グ
に パ ッキ ン のす き まの選 定 に は 特別 な 考 慮 をは ら
ル ス ラ ン ト、 ダ プ ル ス ラ ン ト、 ハ イ ロ ー の 順 に 大
っ て い る。
き く な る。
タ ー ビ ン の グ ラ ン ド部 は 、一 定 圧 力 の 蒸 気 の 封
ラ ビ リ ン ス は そ れ ぞ れ こ の要 求 を妥 協 させ
途)毎
に 妥 協 点 を異 に し
図,2に 示 す よ う に パ ッ キ ン リ ン グ は 円 周 で4分
入 お よ び 漏 洩 蒸 気 の 吸 引 ・復 水 に よ る 密 封 方 法 を
割 以 上 の偶 数 個 の セ グ メ ン トに分 割 され る。 お の
採 っ て い る 。 封 入 や 吸 引 な ど を全 て 自 動 で 行 な う
お の の セ グ メ ン トは 、 ノ ズ ル ダ イ ヤ フ ラム ま た は
シ ー ル シ ス テ ム は20年 近 い 火 力 蒸 気 タ ー ビ ン の 実
グ ラ ン ド部 パ ッ キ ン ケ ー シ ン グの 内 周 に 設 け ら れ
績 が あ る 。 一 方 、 沸 騰 水 形 原 子 炉 と組 み 合 わ さ れ
た 環 状 溝 の 中 に か ん 合 さ れ る 。 セ グ メ ン ト毎 に 背
る 蒸 気 タ ー ビ ンの グ ラ ン ド部 シ ー ル 蒸 気 に 、 蒸 化
面 に板 ば ね を有 し 、 タ ー ビン軸 に 向 け て 円 周 方 向
器 で 発 生 さ せ た 非 放 射 性 蒸 気 を用 い る 方 法 は 比 較
に 押 し付 け ら れ て い る。
的 新 ら し い 技 術 で あ る 。Separated
Systemあ
る い は4Sの
Steam
Seal
名 で親 しまれ て い る。
歯 は 、 パ ッキ ン リ ン グ 母 体 か ら1一体 で 削 り 出 す
形 式 と 、 別 体 で加 工 し た 歯 を パ ッ キ ン リ ン グへ 植
以 下 、 本 稿 では 蒸 気 タ ー ビン の ラ ビ リ ンスパ ッ
込 む 形 式 と が あ る 。 ス ラ ン ト形 の ラ ビ リ ン ス 以 外
キ ン とパ ッ キ ンす き ま の 問 題 に つ い て 解 説 し 、4S
は植 込 み 式 とす るの が一 般 で あ る。 植 込 み 式 の加
を 採 用 し た 第1号
工 工 程 は 次 の 通 り。
タ ー ビン にお け る実 例 を 紹介 す
る。
ロ ー ル 曲 げ を行 な っ た パ ッ キ ン リ ン ク板 材 を 焼
鈍 の の ち 中 削 りし 、 歯 の 植 込 み 溝 を加 工 す る。 歯
2.ラ
(1)構
ビ リンスパ ッキ ン
を 植 込 ん で か ら鋸 盤 で セ グ メ ン トに 分 割 し 、 次 い
造 と種 類
で切 断 面 に シ ム を は さ ん で 治 具 に よ り円環 状 に 固
歯 の形 状 、 歯 の 間 の チャ ンバ の 形 状 、 歯の 前 面
が 流 れ に 対 し て つ く る 角 度 な どに よ っ て 図1に
36.1979年7月
る 。 植 込 ん だ 歯 の 固 定 は 全 周 の ロ ー ル か しめ に よ
っ て い る 。 オ フ セ ッ ト加 工 、 手 仕 上 げ 、 調 整 削 り
*東 京 芝 浦 電 気(株)ター ビ ン工 場
原稿受付 日
原 稿 入稿 日
示
定 す る 。 そ の 後 、 外 径 削 り内 径 削 りの 順 に 加 工 す
昭 和54年3月15日
昭 和54年3月27日
原子 力 タ ー ビ ンの ラ ビリン ス と シ ー ル シス テ ム…(2) 421
図2
(c)
ダ ブ ル ス ラ ン ト形
図1
(d)
ス ト レ ー ト形
ラ ビ リン スパ ッキ ンの種 類
を終 え た完 成 品 は 、か ん合 部 各 部 の径 と幅 、
歯のピ
パ ッキ ン リ ン グの 分 割(4分
割 の 場 合)
N:
ラ ビ リ ンス歯 数
P1:
上 流 側 の 蒸 気 圧 力kg/cm2
V1:
上 流 側 の 蒸 気 の 比 体 積m3/kg
P2:
下 流 側 の 蒸 気 圧 力kg/cm 2abs
abs
衝 動 ター ビ ンの ノ ズルラ ビ リンス の 漏 れ 蒸気 は 、
ッ チ お よ び 歯先 の幅 や 角 度 を検 査 す る。 か しめ 固
通 常 、段 落 蒸 気 流 量 の 数 パ ー セ ン ト内 に抑 え る よ
定 の 良 否 や 打 ち きず の 有 無 な どにつ い て 全 般 的 に
う に して い る。 グ ラ ン ドラ ビ リンス の 漏 れ 蒸 気 お
外 観 検 査 が 行 な わ れ る。 ラ ビ リ ンス 歯 先 の 幅 は 百
よ び シー ル 蒸 気 の 量 は 、 ラ ビ リ ン ス歯 先 が 過 度 に
分 の1ミ
摩 耗 した 場合 を想 定 し たす き まで 計 算 す る。 この
リメー トルの 精 度 で 尖 鋭 に仕 上 げ られ る。
材 料 は設 計 温 度 に よ っ て 選 定 し、 高 温 部 はCr‑
Mo鋼
また はMo鋼 の パ ッキ ン リ ン グにCr‑Mo鋼
の
歯 が 、低 温部 に は 炭 素 鋼 の パ ッキ ン リン グに 洋 白
蒸 気 量 に よ って シ ー ル シ ス テ ム の 各 機 器 の 容 量 や
配 管 の ロ径 な ど を定 め る。
(3)ラ
ビ リ ンス の す き ま
また は リン青 銅 の 歯 が使 わ れ る。 削 り出 し形 の 場
回 転 中の タ ー ビ ン軸 に 静 止 部 品が 接 触 す れ ば 、
合 は 歯 の材 料 に 合 わせ た パ ッキ ン リ ン グ とす る。
摩 擦 に よ る軸 の局 部 的 発 熱 を伴 な う。 ラ ビン グで
板 ば ね はNi基 の 超 合 金 を用 い て い る。
あ って 、 タ ー ビ ンの 振 動 原 因 の ひ とつ で あ る。 ラ
(2)漏
ビ リン スパ ッ キ ン は 小 さい す き ま で ター ビン軸 に
れ 蒸 気 量の 計 算
ラ ビ リン スパ ッキ ンか らの 漏 れ 蒸 気 の 量 は 、す
相 対 す るの で 、 ラ ビン グ振 動 防 止 の 観 点 か らの配
き ま 、上 流 と下 流 の圧 力 比 、お よび 上 流 に お け る
慮 を要 す る。 ター ビ ン性 能 と安 全 運 転 と を調 和 さ
蒸 気 の 圧 力 と温度 に よって 定 まる。Martinの
せ た す き まの 決 定 が重 要 な わ け で あ る。
次の
式 に よ って 計 算 す る こ とが で き る。
a.軸
方 向す きま
タ ー ビ ン軸 方 向 の ラ ピン グは径 方 向 ラ ビン グに
こ こ で 、G:
K:
Ae:
ラ ビ リ ン ス か ら の 漏 れ 量kg/hr
比 較 して接 触 面 積 が 大 き く、 軸 の 発 熱 量 が 多い の
ラ ビ リン ス す き ま と 歯 の 形 式 に よ り
が 通 常 であ る。 した が っ て 振動 増 加 が 著 る しい傾
決 ま る 係 数(≒45〜80)
向 が あ るの で 適 正 な 軸 方 向 す き ま を与 え ね ば な ら
平 均 す き まに 相 当 す る 環 状 面 積cm2
な い 。 この 目的 で 静 止 部 と回 転 部 との 熱 に よ る伸
β: 圧 力 比 と 歯 の 数 に よ り決 ま る ラ ビ リ
ンス係 数
び差 を
イ.設 計 最 大 出 力運 転 時 の伸 び差
ロ.冷 機 起 動 お よ び 急 速 負 荷 上 昇 時 の伸 び差
ハ.急 速 停 止 お よ び 冷 却 停 止 時 の伸 び差
ター ボ機械 第7巻 第7号.37.
422
原 子 力 タ ー ビ ンの ラ ビ 。)ンス と シ ー ル シ ス テ ム …(3)
(a)上
と下 、 左 と右 の オ フセ ッ ト
半 径 す き ま(mm)
図3半
径 す きまの増加 が熱消 費率 におよぼす 影響
に つ い て計 算 す る。 こ こ で得 られ た必 要 最 小 す き
まに 、遠 心 力 に よ る タ ー ビ ン軸 の 縮 み 、 ノ ズル ダ
イ ヤ フ ラム の 撓 み 、真 空 荷 重 に よ る低 圧 タ ー ビン
車 室 の 変 形 の 軸 方 向 成 分 、 な どを考 慮 し てパ ッ キ
ンの軸 方 向 す き ま を定 め て い る。 こ の 軸 方 向 す き
まに対 し加 工 ・計 測 上 の 許 容 誤 差 を与 え 、 ター ビ
ン組 立 時 に 計 測 して 検 査 記 緑 に と どめ 、 そ の 後 の
経年 的 な変 化 を追 跡 し て 監視 す る。
低 圧 タ ー ビンの グ ラ ン ド部 な どは伸 び差 が 大 き
く、ス ラ ン ト形や ス トレ ー ト形 の ラ ビ Ⅲ ンス を採
(b)上
図4半
と下 の み の オ フセ ッ ト
径 す き まの オ フセ ッ トの例
用 せ ざ る を得 ない。
b.半
径 す きま
お よそ10年 近 く前 か らター ビ ン軸 周 囲 の 上 と下 、
た例 を図3に 示 す 。
現 在 は 、 タ ー ビ ンの 単 機 容 量 の 増 加 と 、 そ れ に
左 と右 で 異 な った半 径 す き ま を与 え る 、 オ フ セ ッ
伴 な う ター ビ ン軸 の 長 大 化 に よ り、 た と え軽 度 の
ト法 を採 用 して い る。 以 前 に は 、 タ ー ビ ン軸 とラ
ラ ビ ン グで は あ っ て も ラ ビ ン グの 発 生 は 避 け るべ
ビ リンス 歯 先 との摺 り合 い が あ って も そ れ は 運 転
き で あ る と い う考 え を採 っ て い る。
の初 期 に の み 発生 す る もの で あ り、歯 先 の 摩 滅 に
全 周 均 一 なす き まの 拡 大 は安 易 で は あ るが タ ー
よ りそ の タ ー ビンに 最 も適 した 円周 上 の す き ま分
ビ ン 熱 消 費率 の 増加 を もた らす ° よ っ て 、タ ー ビ
布 が完 成 さ れ る とい う考 え が 採 られ て い た。 個 々
ン軸 と ラ ビ リン ス との 相 対 位 置 の 変 化 を もた らす
の リン グセ グメ ン トは互 い に 独 立 して お り、 半径
要 因 を 、起 動 、停 止 時 と運 転 時 の 全 て の 範 囲 に わ
方 向 の接 触 が あ って も背 面 の 板 ば ね が ス プ リン グ
バ ッ クす る の で重 度 の ラ ピン グ とは な ら ず 、 また
た っ て きめ こ まか く分 類 し 、検 討 して ラ ビ ン グが
ラ ビ リンス 歯 先 は尖 鋭 で あ る た め容 易 に 摩 滅 す る、
て い る、 図4に
とい う理 由 か らで あ っ た と思 わ れ る。
加工 した ラ ビ リン ス歯 先 円 を オ フセ ッ トさせ て組
経年 的 な半 径 す き ま の 増 加 が タ ー ビ ン熱 消 費率
に お よ ぼ す 影 響 を 、 火 力 タ ー ビンに つ い て 試 算 し
38.1979年7月
発 生 し ない よ う なす き ま とオ フ セ ッ ト量 と を定 め
オ フ セ ッ トの 一例 を示 す 。 真 円 に
立 て る場 合 と、 予 め 楕 円 形 状 に オ フ セ ッ ト加 工 し
て お く場 合 とが あ る。
原 子 力 タ ー ビ ン の ラ ビ リ ン ス と シ ー ル シ ス テ ム …(4)
図5
423
グラン ド蒸気系統図
半径 す き まお よび オ フセ ッ ト量 の 決 定 因 子 は 下
尚 、 半径 す き まに 許 容 誤 差 範 囲 を定 め て タ ー ビ
記 の もの が あ るが 、発 電 所 お よ び工 場 での 試 験 研
ン分 解 点 検 時 の検 査 間 隙 と して 運 用 す る点 は 、軸
究 結 果 に 経 験 と実 積 を加 味 し て定 め て い る。
方 向 す き ま と同 様 で あ る。
イ.タ ー ビ ン軸 と静 止部 と の熱 に よ る伸 び差
ロ.タ ー ビ ン 軸 の 遠心 力 に よ る伸 び
ハ.車
室 の 上 下 半 の 温度 差 に よ る そ り
3.原
子 力 タ ー ビ ンの グ ラ ン ドシ ー ル
沸 騰 水 形 原 子 力発 電 所 に お け る放 射 性 気 体 廃棄
ニ.真 空 荷 重 に よ る低 圧 車 室 の 変 形
物 の ひ とつ と して 、 蒸気 シ ー ル系 統 の グ ラ ン ド蒸
ホ.円 錘 形 軸 受 台 部 の 真 空荷 重 に よ る下 が り
気 復 水 器 排 風 機 排 出 ガス が 挙 げ られ て い た 。 安 全
へ.固 有 振 動 に お け る タ ー ビ ン軸 の 振 れ
上 か ら 見 る限 り、 従 来 の 気 体 廃 棄 物 処 理 の 方 法
ト.軸 受 油 膜 に よ る タ ー ビ ン軸 の 浮 き上 が り
(減 衰 時 間 をか せ ぐため の タ ン ク貯 留 お よ び ろ過)
ター ボ機械第7巻 第7号.39.
424原
子 力 タ ー ビ ン の ラ ビ リ ン ス と シ ー ル シ ス テ ム …(5)
1
図6グ
ラ ン ド部 シール蒸気の流 れ
は 十分 で あ っ た。 しか しよ り優 れ た 方 法 として 、
せ 、 発 生 蒸 気 を シー ル 蒸 気 圧 力 調 整装 置 を通 して
最 近 の 大容 量 原 子 力 タ ー ビ ンの グラ ン ド蒸 気 シー
各 軸 封 部 へ供 給 す る。 ター ビン の通 常 運 転 時 に は 、
ル系 統 に は 、SepaiatedSteamSealSystem(4S)
プ ラ ン ト効 率 向 上 の ため 、 タ ー ビ ン抽 気 を加 熱 蒸
が 採用 さ れ て い る。
気 と して 使 用 す る
(1)4Sの
図5に4S方
概要
法 に よ るグラ ン ド蒸 気 系 統 を示 す。
4Sは 、蒸 化 器 を設 置 して 非 放 射 性 蒸 気 を発生 させ 、
(2)4Sを
採 用 した ター ビ ン グ ラ ン ド
従 来 形 と4S採 用 形 の グ ラン ド部 シ ー ル 蒸 気 の流
れ を比 較 して 図6に 示 す 。
この 蒸気 に よ っ て発電 所 内機 器 の 軸 封 部 の シー ル
a.従
を行 な う。4Sの 第 一 の 目的 は 、 蒸 気 ター ビン、 主
高 圧 タ ー ビンで 膨 張 し た放 射 性 蒸 気 が グ ラ ン ド
来 形 の グラ ン ド
蒸 気 止 め 弁 、 蒸 気 加 減 弁 、 ター ビンバ イパ ス弁 、
ラ ビ リ ンス か ら スチー ム シー ルヘ ッダへ 流 出 す る。
組 合 せ中 間弁 お よび 原 子 炉 給 水 ポ ン プ 駆動 用 蒸気
そ の 大 部 分 は0.21〜0.28kg/cm2gに
タ ー ビ ン な どの 各 軸 封 部 か ら 漏 れ 出 る放 射 性 ガス
を含 む 蒸 気 を、抽 気 ラ イ ンお よ び復 水 器 へ 全 量逃
タ ー ビン の グラ ン ドや 、 そ の 他 の 機 器 の 軸 封 部 シ
ー ル 蒸 気 と し て使 用 され る。 高圧 ター ビ ン グ ラ ン
が す こ とに あ る。 第二 の 目的 は 、 上 記 各 機 器 の 軸
ドの 大 気 側 ポケ ッ ト部 は 、 グラ ン ド蒸 気復 水 器 に
調 圧 されて低 圧
封 部 の 外側 に清 浄 な 蒸気 また は放 射 性 濃度 の 非 常
よ って 水 柱80〜130mの
に 少 な い 蒸 気 を送 ってシー ル を行 な う こ とに あ る。
トライ ン に接 続 され て い る。 高 圧 グ ラ ン ドか らの
負圧 に 保 持 されてい るベ ン
第二 の 目的 に対 して 、プ ラ ン ト起 動 時 は 所 内 ボ
漏 れ 蒸 気 とタ ー ビ ン室 内か らの 漏 入 空気 が こ の ラ
イ ラよ り清 浄 な 蒸気 を 蒸気 圧 力調 整 装 置 を通 して
イ ンに 流 れ る。 低 圧 ター ビ ンの グ ラ ン ドに供 給 さ
各 軸 封 部 へ 供 給 し 、 タ ー ビ ン主 蒸 気 圧 力 が 一 定 値
れ た蒸 気 も 、 そ の ほ ぼ半 量 が ター ビ ン室 内 空 気 と
に到 達 した 時 点 で こ の主 蒸気 を加 熱 蒸 気 源 と して
共 に グ ラ ン ド蒸 気 復 水 器 へ 導 び か れ る。 こ こ で 凝
蒸化 器 に送 り、復 水 貯 蔵 タ ン クか ら の水 を沸 騰 さ
縮 しな い空気 と放 射 性 希 ガス は排 風 機 で 排 出 さ れ 、
40.1979年7月
原 子 力 タ ー ビ ン の ラ ビ リ ン ス と シ ー ル シ ス テ ム …(6)425
図7蒸
約2分
間 ホ ール ドア ップ 管 で保 持 さ れ た後 ・排 気
筒 か ら放 出 され る。
b.4S採
用 の グラン ド
高 圧 タ ー ビ ン排 気 か ら グ ラ ン ドラ ビ リ ンス を漏
化器
か つ 引 抜 き可 能 な よ うに 、サ サ エ板 の 下 部 に 滑 り
板 を取 り付 け 、 本体 内部 に 設 置 し た レ ー ル上 を滑
らす 構造 と して い る。
発 生 蒸 気 用 復 水 は復 水 貯 蔵 タ ン クか ら復 水 移 送
れ て くる 蒸気 は 、抽 気 ラ イ ンお よ び復 水 器 へ 全 量
ポ ンプ で 補 給 す る。 この と き蒸 化 器 内 の復 水 の水
逃 が し、 そ の 外側 の ポケ ッ ト部 お よ び低 圧 タ ー ビ
位 が 一 定 に保 たれ る よ うに 制 御 が な され る。 蒸 化
ン の グラ ン ドに は 蒸 化 器 発生 蒸 気 を供 給 して 軸 シ
ー ル を行 な う。4Sの
場 合 、 高 圧 ター ビ ン グラ ン
器 内 部 に は 水 滴 の キ ャ リオ ー バ を防 止 す る ス プ ラ
ドの 漏 れ 蒸気 を低 圧 ター ビ ン グラ ン ドや 他 の 機 器
に湿 分 分 離 装 置 を設 置 し て い る。 管 外 の復 水 との
の 軸 封 部 シ ー ル 蒸 気 と し て使 う こ とが な いの で 、
熱交 換 で 凝 縮 し た加 熱 蒸 気 ドレ ン は ドレ ン タ ン ク
漏 れ 蒸 気 の 量 を最 小 にす る 目的 か ら高圧 グラ ン ド
に導 び き 、 こ こで ドレ ン水 位 が 制 御 さ れ る。 起 動
は ラ ビ リ ンス効 果 の 最 も大 きい ハ イ ロー 形 パ ッキ
時 お よ び低 負 荷 時 の 加 熱 蒸 気 は減 圧 した 主 蒸 気 で
ン を使 っ て い る。
あ り、 こ の ドレ ンは復 水 器 へ 導 び く。 一 方 、 通 常
ッシ ュバ ッフ ル を取 り付 け 、 また 発 生 蒸 気 出 口部
(3)蒸 化 器
運 転 時 の加 熱 蒸気 で あ る タ ー ビ ン抽 気 の ドレ ンは
蒸 化 器 は タ ー ビ ン系 第3種 容 器 に属 す る。 図7
給 水 加 熱 器 へ 回収 す る。 加 熱 蒸 気 中の 不 凝 縮 ガ ス
に示 す よ う な 多管 円 筒 型 熱 交 換 器 で あ る。 ス テ ン
は 、 オ リフ ィス を介 して 復 水 器 へ 導 び く 。 ま た 、
レス鋼 製 のU字
型 加 熱 管 、 サ サ エ 板 お よび ス テ ー
本体 内 の 復 水 中 の 放 射 性 レベ ルお よ び不 純 物 濃 度
パ イプ か ら構 成 さ れ る管 束 は 、 本体 の 復 水 中 に 没
が 高 くな ら ない よ うに 、復 水 の 一部 を連 続 し て ブ
してお り、 管 内 に放 射 性 蒸 気 を 流 し 、管 外 の復 水
ロー し 、復 水 器 に 回収 して い る。
を蒸 発 させ て 、 非放 射性 の グ ラ ン ドシ ー ル蒸 気 を
(4)4Sの
発生 させ る。 管 束 は 、 本 体 との 熱 膨 張 差 を吸 収 し
4Sは
実 機 に よ る検 証
、東 京電 力株 式 会 社 福 島 第一 原 子 力 発 電
ター ボ機械 第7巻 第7号.41.
426原
子 力 タ ー ビ ン の ラ ビ リン ス と シ ー ル シ ス テ ム …(7)
所 の3号 機 、784MWタ
ー ビンに国 の 内 外 を通 じて
最 初 に 採 用 さ れ た。 自動 化 さ れ て い る4Sの
4.あ
信頼
永 年 に わ た る経 験 で 積 み 上 げ ら れ た 技術 と 、 開
発研 究 で 確 か め られ た理 論 との 、 それ ぞれ の 葦 を
性 と、 蒸 化 器 の性 能 を検 証 す る 目的 で 、実 機 の 試
運 転 期 間 を利 用 して各 種 の 試 験 を 実 施 した。
a.起
結 集 して 高 信 頼性 ・高 効 率 を求 め た結 果 、近 年 の
動確 認試験
蒸 気 タ― ビ ンは 外 見か らは 窺 え な い複 雑 で精 巧 な
プ ラ ン ト起動 時 の シ ー ル 蒸 気 源 で あ る所 内 ボ イ
機 械 とな っ て い る。 ミ リメ ー トル の 運 転 間 隙 で タ
ー ビ ン軸 に対 し て い る ラ ビ リ ンス に つ い て 要 点 を
ラ 発生 蒸 気 か ら、 蒸 化 器 発 生 蒸 気 へ の切 り替 えが
自動 で ス ム ー ズに行 な わ れ る こ と を確 認 した。
b.蒸
とが き
御 理 解 載 け た と思 う。 タ ー ビ ン グ ラ ン ド以 外 の シ
ー ル 技術 に つ い て は文 献(1)に
、 ラ ビ リ ンス パ ッキ
ン の摩 耗 が タ ー ビ ン性 能 に お よぼ す 影 響 は文 献(2)
化器性能試 験
蒸気 の 発 生 量 、圧 力 、湿 り度 な ど を計 測 して 蒸
化 器 と湿 分 分 離 装 置 の性 能 を試 験 し 、計 画 通 りの
に 詳 述 さ れ て い る。 また 、4Sの
性 能 を発 揮 して い る こ と を確 認 した。
験 結 果 の 詳 細 は 文 献(3)を御 覧 載 き度 い。 尚 、運 転
C.過
渡応 答試験
実 機 にお け る試
中 の ター ビ ンの ラ ビ ン グ を 自動 的 に検 出 す る装 置
シ ー ル系 統 が安 定 状 態 に あ る と き に 、 外乱 が 生
に つ い て 興 味 が お あ りの方 は文 献(4)を一 読 され る
じた場 合 の制 御 系 応 答 の 動 特 性調 査 を 、下記 の 項
こ と をお 奨 め す る。 最 後 に 、4Sを
目に つ い て 行 な った。
力 タ ー ビ ンの 運 転 実 績 が3年
採 用 した 原 子
をか ぞ え順 調 に稼 動
イ.ド レ ン タ ン ク水位 変 動 試 験
し て い る こ と を、4Sの
ロ.蒸 化 器 本体 水位 変 動 試 験
い た 各 位 へ の 感 謝 の 意 と併 せ て付 記 し た い。
ハ.蒸 化 器 加 熱 蒸気 変 動 試 験
実 現 に 際 して 御 援 助 を 載
〈参考 文 献 〉
(1) 佐 藤 ・銭 場 、 火 力機 器 、機 械 設 計 、18‑7(昭49‑7)
、93(
2) 清 水 、 蒸気 タ ー ビン の性 能 管理 、 火 力原 子 力 発電 、25‑8(昭
49‑5)、755
(3) 板 橋 、原 子 力 タ ー ビン用 軸 封 シ ス テム 、 火 力原 子 力 発電 、
27‑6(昭51‑6)、559
(4) 大 川 、 今 泉 、新 し い タ ー ビ ン の振 動 監 視 装 置、 東 芝 レ ビュ
ー 、29‑5(昭49‑5)、469
二.所 内 ボ イ ラに よ る バ ッ クア ップ 試 験
ホ.蒸 化 器 発 生 蒸 気 量 変動 試 験
いず れ の 試 験 結 果 も実 際 の使 用 に対 して 十 分 満
足 のい く もの であ る こ とが確 認 で き た。
論 文 の 討 論 につ い て
本 誌 に 掲 載 さ れ た論 文 に対 す る 討 論 は 下 記 に よ り行 な っ て お り ます 。
1.論
文 に 対 す る討 論(質
問,意
見)は
,当
該 論 文 掲 載 誌 の 発 行 時 か ら2ヶ
月
間 タ ー ボ機 械 協 会 で 受 付 け ま す 。
2.受
理 さ れ た 討 論 に つ い て は,直
ち に論 文 著 者 へ 送 付 し て そ の 回 答 を依 頼 し
ます 。
42.1979年7月
3.討
論 の 回 答 は で き る だ け早 い 機 会 に,討
4.原
稿 用 紙 は 自由。
論 と共 に 会 誌 に掲 載 し ま す
5.提
出 さ れ た 討 論 の 採 否 に つ い て は 編 修 理 事 会 に一 任 して 下 さ い
。
。
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