課題遂行におよぼす目標設定と自律性の効果 著者 雑誌名 巻 ページ 発行年 URL 三浦 麻子 大阪大学人間科学部紀要 22 111‑132 1996‑03 http://hdl.handle.net/10236/13753 111 課題遂行 にお よぼす 目標設定 と自律性 の効果 三 浦 麻 目 次 1.は じめ に 2.序 論 3.研 究 の 目的 4.第1実 験 5.第2実 験 6.総 合論 議 子 113 課題遂行 におよぼす 目標設定 と自律性 の効果 三浦 麻子 1.は じめ に 個 人 や 集 団 が あ る 課 題 を 遂 行 す る場 面 を 考 えた 場 合 、 それ に際 して何 らかの 「目標(9Qa1)」 を設 定 して 課 題 に 取 り組 む こ とは 、 日常 生 活 の 中 で頻 繁 に お こな わ れ て い る事 柄 で あ る。 目標 とは 、個 人 や 集 団 が成 し遂 げ よ う と試 み る もの で あ り、彼 らの行 動 の対 象 とな る もの で あ る。 す な わ ち 、行 動 は 目標 を持 つ こ とに よ っ て は じめ て方 向 づ け られ、 完 遂 に 向 け て の現 実 的 手 段 や方 略 を考 え る こ とが可 能 とな る。 こ うい っ た見 地 で考 え れ ば、 意 図的 に惹 起 さ れ る行 動 は、 す べ て 目標 を伴 う もの で あ ろ う。 こ の 目標 が持 つ 心 理 学 的 な特 性 を解 明 し、 さ ま ざ ま な状 況 下 で の パ フ ォー マ ン ス や動 機 づ け に お よぼ す 効 果 を探 る こ とを 目指 した の がLockeに 標 設 定理 論(goa1‑settingtheory)」 始 ま る 「目 で あ る。 本 研 究 は 、 この 目標 設 定 理 論 に依 拠 しつ つ 、 目標 設 定 が お こ な われ る課 題 遂 行 に関 して個 人 や 集 団 に どの程 度 自 由裁 量 性 が与 え られ る か(自 律 性)が どの よ うな効 果 を持 つ か に特 に着 目 し、 これ を実 験 的 に検 討 した もの で あ る。 2.序 2‑1目 論 標設定 目標 設 定 理 論 は 、Lockeに よ っ て1960年 代 に 提 唱 さ れ た 理 論 で あ り、 現 在 ま で に 基 礎 的 な 実 験 室 実 験 か ら仕 事 場 面 な ど に 代 表 さ れ る 実 際 場 面 を 対 象 と した フ ィ ー ル ド研 究 に 至 る ま で 、 数 多 く の 研 究 が 蓄 積 さ れ て き て い る(Locke(1969),Mento,Steel,&Karren(1987),Garland (1984),Huber(1985)な ど)。Locke(1969)に る も の で あ り、 行 為(action)の (purpose)や 意 志(intent)の よ れ ば 、 目標 とは 「個 人 が 達 成 し よ う と試 み 対 象 あ る い は 目的 」 で あ る とさ れ て い る。 そ の 概 念 は 目的 概 念 に 近 似 し て お り、 個 人 が お か れ た 状 況 に よ っ て 、 パ フ ォ ー マ ソ ス の 基 準 、 仕 事 の 分 担 ・規 準 ・課 題 な どの 概 念 が 「目標 」 に 該 当 す る も の とな る 。 目標 設 114 定 と課 題(task)の パ フ ォー マ ン ス の 関 係 を検 証 した一 連 の 研 究 に っ い て は 、Locke,Shaw, Saari,&Latham(1981)が 実 験 室 ・フ ィー ル ド両 方 の 研 究 につ い て詳 細 な レビ ュー をお こな って お り、 そ れ らの研 究 の 大 多 数 に お い て、 明確 で挑 戦 性 の あ る 目標 がrdoone'sbest」 に代 表 され る単 純 な 目標 よ りも高 い パ フ ォー マ ン ス を生 ん で い る こ とを指 摘 して い る。 ま た、 目標 が 、 そ れ に被 験 者 が 注 意 を 向 け る こ と、 努 力 を結 集 させ る こ と、 あ るい は 課 題 遂 行 の 方 略 を発 展 させ る動 機 づ け 要 因 とな る こ とに よ って 、 パ フ ォー マ ン ス に影 響 を お よぼ す こ とも指 摘 して い る。 彼 らは 同 時 に、 どの よ うな 状 況 で どの よ うな 目標 が パ フ ォー マ ソ ス に効 果 的 で あ るか に つ い て も考 察 を加 え、 目標 が 明 確 か つ 十 分 に挑 戦 性 を持 って い る時 、 被 験 者 が十 分 な 能 力 を持 って い る時 、 課 題 の 遂 行 度 に関 す る フ ィー ドバ ックが 与 え られ る時 、 実 験 者 や管 理 者 が支 持 的 で あ る時 、 そ して 目標 が 被験 老 に受 容 さ れ て い る時 に 、 パ フ ォー マ ン ス を向 上 させ る傾 向 にあ る と述 べ た 。ま た 、目標 を設 定 す るの が 実 験 者 で あ るか 、被 験 者 で あ るか とい う こ とは パ フ ォー マ ン ス に 影 響 を お よぼ さな い 、 とい う傾 向 も見 い だ され た(Lockeetal.,1981)。 ま た 、 先 行 研 究 で は 、 挑 戦 性 の あ る特 定 か つ 困 難 な 目標 は 、 「doone'sbest」 の よ うな 曖 昧 で 単 純 な 目標 よ り も高 い パ フ ォー マ ン ス を 引 き 出 す と い う結 果 が ほ ぼ 一 貫 して見 い だ さ れ て い る。 ま た 、 「doone'sbest」 を 目標 と して 提 示 され た 集 団 を 対 象 と した 研 究 で 得 られ た 結 果 と、 ま った く 目標 を割 りあ て られ な か っ た集 団(い わ ゆ る 「無 目標 集 団 」)を 対 象 に した研 究 で 得 られ た 結 果 との 間 には 、 パ フ ォー マ ン ス に お け る有 意 差 は認 め られ な か っ た 。LockeetaL (1981)は 、 この 結 果 を 、 無 目標 集 団 の 被 験 者 は 、 割 りあ て られ た 課 題 に関 して で き るだ け の こ と を しよ う と して い る、 す な わ ち 「doone'sbest」 目標 を持 つ 被 験 者 とほ ぼ 同様 の 状 態 で あ る こ とが 多 い こ と に よ るの で は な い か 、 と解 釈 して い る。 この よ う に、 目標 設 定 とパ フ ォー マ ン ス の 関 係 を検 証 した 研 究 は 数 多 くあ るが 、 課 題 遂 行 に 関 す る被 験 者 の 主 観 的 感 覚 にっ い て 測 定 され て い る もの が はほ とん どな く、 目標 設 定 との 関 係 は あ ま りよ く分 か って い な い 。 あ るい は 課 題 の 質 的 パ フ ォー マ ンス(例 えば ブ レー ンス トー ミ ン グ で どの 程 度 独 創 的 な 意 見 が 出 た か 等)に 対 す る影 響 につ い て も ま った くデー タが 収 集 され て い な い 。 しか し、 パ フ ォー マ ン ス は 本 来 単 な る量 的 な 性 質 の み を持 つ もの で は な い こ とは 明 らか で あ り、 質 的 側 面 検 討 も(も しそ れ が 可 能 で あ る課 題 で あ れ ば)必 要 で あ ろ う。 また 、 課 題 遂 行 の 結 果 を客 観 的 な 指 標 で あ るパ フ ォー マ ソ ス の み で 測 定 す るの で はな く、 被 験 者 が 課 題 遂 行 の 諸 側 面 に 関 して どの よ うな 感 情 ・評 価 を 持 って い るか とい う主 観 的 な 指 標 を導 入 す る こ とも、 人 間 の 行 動 を 包 括 的 に 理 解 す るた め に は 不 可 欠 な 要 素 で あ る と考 え られ る。 2‑2自 律性 で は 次 に、 目標 設 定 と課題 パ フ ォー マ ン ス ・被験 者 の 主 観 的 感 覚 の 間 を仲 介 す る状 況 変 数 と して は どの よ うな もの が 考 え られ るか を検 討 す る。先 行 研 究 で は、例 えば 課 題 遂 行 結 果 の フ ィー ドバ ッ ク(Locke&Latham,1984な ど)に つ い て は そ の 回 数 や タイ ミ ン グ な ど詳 細 な部 分 に い た るま で 研 究 が 進 め られ て い る し、 あ るい は 目標 設 定 へ の 被 験 者 の 参 加 の 効 果 な ども実 験 的 115 課題遂行 におよぼ す 目標設定 と自律性の効果 に検 証 さ れ て い る(Schweiger&Leana,1986)。 しか し、 個 人 や 集 団(の 成 員)が 、 自分 の 置 か れて い る環 境 に関 して どれ だ け裁 量 を持 って い る か の程 度 、 そ して そ れ に よっ て生 ず る 自 律 の 感 覚 を持 っ て行 動 で きる程 度 を あ らわ す 自律 性(autonomy)に つ いて は 、 個 人 や 集 団 が 課 題 を遂 行 す る に あ た って 、 パ フ ォーマ ン ス や主 観 的 感 覚 に大 きな影 響 を お よぼ す こ とが予 想 さ れ る変 数 で あ る に も関 わ らず 、 目標 設 定 場 面 に限 らず 、 従 来 この 自律 性 を要 因 と して統 制 した 実 験 的 研 究 は皆 無 に等 しい。 わず か に関 連 領 域 に おけ る研 究 と して、 産 業 心 理 学 に おけ る職 務 特 性Gobcharacteristics)と して の 自律 性 を扱 っ た もの が あ り、 こ こで は そ れ につ い て 紹 介 す る。 産 業 心 理 学 の 職 務 特 性 研 究 にお いて は 、 自律 性 が 非 常 に重 要 な 概 念 と して 位 置 づ け られ て き た 。 仕 事 、 あ る いは 職 務 につ い て は、 古 くはTaylorの 科 学 的 管理 法 の 下 で 、 作 業 内 容 をで き るだ け 単 純 化 す る こ とに よ って 生 産 性 を向 上 させ る こ とが 追 求 され て きた 。 しか し次 第 に、 単 純 な仕 事 は 、 労 働 に おけ る疲 労 や 阻 害 、 モ ラー ル の 低 下 や 欠 勤 率 の 増 加 な どの さ ま ざ まな 悪 影 響 を生 み 出 す 、 とい う弊 害 が 取 り上 げ られ るに 至 り、 現 在 で は 、 単 調 で な く複 雑 性 の 高 い 仕 事 が 従 業 員 の 満 足 度 や 動 機 づ け を高 め る、 とい う考 え方 が 職 務 設 計 の 流 れ にお い て 優 勢 とな って い る(H:erzberg,Mausner,&Snydemlan,1959)。 人 間 が よ り複 雑 な 仕 事 を通 じて 満 足 感 や 充 実 感 を得 て 、 積 極 的 に仕 事 に動 機 づ け られ 、 そ の 結 果 生 産 性 も向 上 す る、 とい う図 式 が 成 り立 つ とす れ ば 、 そ の 複 雑 さ を規 定 す る仕 事 そ の もの が どん な 特 性 を持 つ の か が 重 要 な 意 味 を持 って くる。 そ こで 、 仕 事 は どん な 特 性 次 元 に よ って 構 成 され 、 そ れ らが どの よ う に個 人 の 満 足 度 や 動 機 づ け と関 わ って い るの か 、 とい う問 題 意識 か ら複 雑 性 の 次 元 を軸 と した さま ざま な 職務 特 性 の構 造 分 析 が お こな わ れ て きた 。 そ の 中 で も 代 表 的 な もの がHac㎞an&Lawler(1971)の 自律 性(3)課 題 ア イ デ ン テ ィテ ィ(4)フ 研 究 で あ り、 彼 らは仕 事 を(1)多 ィー ドバ ッ ク(5)他 様 性(2) 者 との 関 わ り(6)友 成 の 機 会 、 の6次 元 に分 類 した 。 特 に 自律 性 に つ い て、Hackman&Lawlerは 人形 、 「仕 事 に お け る作 業 計 画 の 立案 や技 術 、 あ る い は 手続 きな どの選 択 や決 定 の 際 に 、個 人 が これ を 自由 に設 定 して 実 行 す る こ とや 、 発 言 す る こ とが許 さ れ て い る程 度 」 と定 義 して い る 。 この 職務 特性 に お け る 自律 性 に つ い て は 、 これ ま で数 多 くの の研 究 が お こな わ れ て お り、 そ の重 要 性 が確 か め ら れ て い る。 三 浦(1992,1994)は 、 この 自律 性 が仕 事 に対 す る動 機 づ け に お よぼ す 影 響 を 、企 業組 織 の 研 究 ・開 発 に携 わ る個 人 を対 象 と した質 問紙 調 査 の結 果 を基 に検 討 して い る。 この研 究 で は 、 研 究 ・開 発職 の場 合 、 他職 種 よ り も、職 務 に お い て 自律感 が得 られ る か ど うか が 、仕 事 の 楽 しさ や 仕事 を す る 中 で感 じる生 きが い に影 響 を お よぼ して い る とい う結 果 が得 られ た 。 例 に 挙 げ た よ う な先 行 研 究 は い ず れ も質 問 紙 に よる 調 査 結 果 を 分 析 ・検 討 した もの で あ る が 、 実験 的研 究 に お い て も これ と同様 に 、課 題 を遂 行 す るに あ た って 自律性 を持 ち 、 そ れ に よ って 個 人 が 自律 感 を感 じて 作業 す る こ とが、 課 題 に対 す る評 価 や満 足 とい った個 人 の 内的 感 覚 に 影 響 を お よぼ し、 そ れ らを高 め る こ とが予 想 さ れ る 。 ま た 、 そ れ らの 内 的 感 覚 が高 ま る こ と に よ って パ フ ォー マ ン ス に も向上 が 見 られ る こ とが考 え られ る。 116 3.研 究 の 目的 こ の よ う に、 個 人 や 集 団 が 課 題 遂 行 をす る 際 に適 切 な 目標 設 定 が お こ な わ れ る こ とは パ フ ォー マ ン ス に ポ ジ テ ィ ブな 効 果 を持 つ こ とが多 くの実 験 的 研 究 か ら明 らか に され て い る。 この 知 見 と合 わせ 、 前 章 で 述 べ た研 究 の流 れ に基 づ い て、 本 研 究 で は以 下 の2つ の予 想 を立 て て第 1実 験 を計 画 、 実 施 した 。 課 題 遂 行 に関 す る 自律 性 がパ フ ォーマ ン ス に お よぼ す影 響 に つ い て は実 験 的 に検 討 さ れ た研 究 は ほ とん ど見 られ な い が 、 前 述 した 概 念 的 定 義 か ら考 え る と、 この 変 数 につ い て もパ フ ォー マ ソ ス に対 して ポ ジ テ ィブ な 効 果 を持 つ こ とが予 想 され る。 また 、 課 題 に関 す る被 験 者 の 主 観 的 感 覚 に つ い て も、 目標 設 定 が お こな わ れ る こ と、 あ る い は 自律 性 が 保 障 され る こ とが 被 験 者 の 課 題 に対 す る動 機 づ け を高 め 、 課 題 に関 してポ ジ テ ィブ な 印 象 を 持 た せ る もの と予 想 され る。 4.第1実 4‑1概 験 要 第1実 験 で は 、2名 集 団 を被 験 者 と した 集 団 実 験 を実 施 した 。 課 題 と して は、 遂 行 にあ た っ て 創 造 性 ・独 創 性 を必 要 とす る いわ ゆ る 「創 造 性 課 題 」 を用 い た。 この 課 題 を選 択 したの は、 課 題 パ フ ォー マ ン ス に被 験 者 の 能 力 の 影 響 が ほ とん どな い こ とが予 想 さ れ、 目標 設 定 お よび 自 律 性 の 実 験 操 作 の 影 響 が よ り明確 な形 で 検 証 で き る と考 え られ る こ と、 ま た、 先 行 研 究 の 多 く で用 い られて きた 課 題(例 ・ア ナ グ ラ ム課 題 、 キ ー入 力課 題)で は測 定 不 可 能 で あ っ た質 的パ フ ォー マ ン ス につ い て も検 討 す る こ とが で き るか らで あ る 。 課 題 作 成 に あ た っ て は 、Hack‑ man&Vidmar(1970)の 下 位 検 査 の1つ 生産 課 題 、rS‑A創 で あ るテ ス ト2(生 造 性 検 査 」(創 造 性 心 理 研 究 会 編 ・東 京 心 理)の 産 力 領 域)を な どを参 考 に した 。Hackman&Vidmar (1970)の 生 産 課 題 は 、 あ る問 題 に つ い て ア イ デ ィア や イ メー ジの 提 示 を求 め る もの で あ り、 また 、 「S‑A創 造 性 検 査 」 テ ス ト2は 、 あ る品 物 につ い て 、 そ の 品 物 が どの よ うな もの で あ っ た ら よい か 、 夢 を書 か せ る もの で あ る。 以 上2つ の 課 題 に基 づ いて 、 本 実 験 で は、 題 材 と して 提 示 され た品 物 が 「どの よ うな もの で あ れ ば よ りよ いか 、どの よ うな もの だ った ら よ り便 利 か 」 につ いて ア イ デ ィ ア を考 案 し、 記 録 す る こ とを 求 め た 。題 材 と して は 、 「S‑A創 造 性 検 査 」 で 題 材 と して 用 い られ て い る 「か さ」 と、 予 備 実 験 の 結 果 、 題 材 と して用 い る の が妥 当 で あ る と 判 断 した 「や かん 」 を用 い た。 4‑2方 【被 験 者 】 法 被験 者 は 女 子 短 期 大 学 生170名(平 均 年 齢18.8歳)で あ る。 実 験 は2つ の 短 期 大 学 の 授 業 中 に教 室 で 集 団 実 施 され た 。 これ らの 被 験 者 か ら2名1組 の 集 団(以 下 「チ ー ム 」 と 117 課題遂行 におよぼす 目標設定 と自律性 の効果 称 す る ・合 計85チ ー ム)を ラ ン ダ ム に構 成 し、 チ ー ム単 位 で課 題 遂 行 を お こ なわ せ た。 な お、 課 題 に関 す る質 問 紙 回 答 につ い て5名 に欠 損 値 が見 られ た ため 、 こ れ らの 被 験 者 の デ ー タ は以 降の 主 観 的 感 覚 に関 す る分 析 の 対 象 か ら除外 さ れ た。 【独 立 変 数 】 仮 説 に基 づ き、 目標 設 定 お よ び課 題 選 択 に関 す る 自律 性 付 与(以 下 「自律 性 」 と略 す る)が 独 立 変 数 と して操 作 さ れた 。 実 験 は、 目標 設 定2水 準(あ 水 準(高/低)の2要 り/な し)× 自律 性2 因 計 画 で 実 施 され た 。 目標 設 定 は、 課 題 遂 行 に よ って 生 成 され るア イデ ィア数 に関 し て 目標 値 を提 示 す る か否 か に よ って2水 準 を操 作 した 。 自律 性 につ いて は、 題 材 とな る品 物 の 選 択 方 法 の 違 い に よ って2水 準 を操 作 した 。 〈 目標 設 定 〉 目標 設 定 あ り条 件 で は、 課 題 遂 行 に よ って 生 成 され るア イ デ ィア 数 につ い て 具 体 的 な数 値 を 目標 と して 提 示 した 。 「達 成 困難 だ が不 可能 で は な い 目標 」 を設 定 す る意 図 か ら、 大 学 生 を被 験 者 と して お こ なわ れ た 予 備 実 験 での ア イ デ ィ ア数 の 最 大 値28個 を達 成 す べ き 目標 値 と して 提 示 した 。 目標 設 定 な し条 件 で は 、 課 題 遂 行 に よ って 生 成 され るア イ デ ィア 数 の 目標 と して具 体 的 な数 値 を提 示 せ ず 、 「で きる だ け た くさ ん」 の ア イ デ ィア を 出 す よ うに教 示 した。 〈 自律 性 〉 自律 性 高 条 件 で は、 課 題 の 題 材 とな る 品物 「や か ん 」 「か さ」 の2種 類 を課 題 開 始 前 にチ ー ム メン バ ー2名 に提 示 し、好 きな方 、や りた い 方 を選 択 させ た 。 自律 性 低 条 件 で は、 課 題 の 題 材 とな る品 物 を課 題 遂 行 開 始 前 に被 験 者 に提 示 せ ず 、 実験 者 が 指 定 した 。 【手 続 き】 ① 実 験 全 般 に 関 す る教 示 被験 者 に この 実験 に興 味 を 抱 か せ 、 積 極 的 に 取 り組 も う との動 機 づ け を 高 め る こ とを 意 図 して 、彼 女 らに と って 現在 重要 な トピ ック で あ る と思 わ れ る 「就 職 」 に 非常 に 関連 の 深 い 内容 の テ ス トで あ る と教 示 した。 ② チ ー ム の作 成 ・自律 性 条 件 の提 示 実 際 に実 験 を遂 行 す るチ ー ム メ ソバ ー を決 定 す るた め の 「く じ引 き」 を お こな った。 ま た、 この くじ引 きの結 果(引 い た カ ー ドの番 号)に よ っ て どち らの 自律 性 条 件 に割 り当 て られ るか を決 定 した。 被 験 者 に対 して も、 自律 性 の高 低 条 件 が存 在 す る こ とを被 験 者 に 明確 に意 識 さ せ る こ とを意 図 した教 示 、 お よび座 席 配 置 を お こな っ た。 ま た 、チ ー ム 間 の 相 互 作 用 に よ って 結 果 に歪 み が 生 じる こ とが 危 惧 され た た め 、実 験 実 施 中 は チー ム メ ンバ ー 以外 の 周 囲 の被 験 者 とは話 を しな い よ うに特 に繰 り返 し教 示 した。 ③ 自律 性 条 件 の操 作 自律 性 高 条 件 チー ムの 被 験 者 に は、 題 材 とな る2種 類 の品 物 を実 験 者 が 提 示 して、 二 人 で相 談 して どち らで も好 きな 品物 の方 を選 ぶ よ うに指 示 した。 自律 性 低 条 件 の チ ー ム に は、 自律 性 条 件 間 で選 択 した品 物 に偏 りが 出 な い よう に配 慮 した上 で、 題 材 とな る品 物 が書 か れ た紙 を実 験 用 紙 一 式 が入 っ た封 筒 に入 れ、 実 験 者 が各 チ ー ム に配 布 した。 ④ 目標 設 定 条 件 の 操 作 教 示 の 有 無 、 配 布 さ れた 用 紙 に 目標 値 が 明示 してあ るか どう か に よっ て 目標 設 定 条 件 の 操 作 を お こな っ た。 ⑤課題実 施 課 題 は 、 チ ー ム メ ン バ ー の 二 人 で よ く相 談 して 、 「か さ」 あ る い は 「や か ん 」 に つ い て どん な もの で あ っ た らよ りよ い か、 よ り便 利 か に関 す る ア イ デ ィア を記 録 用 紙 に箇 条 書 きの 形 で 書 き留 め る形 式 に よ った 。 実 施 時 間 は20分 で あ っ た。 118 ⑥ 質 問紙 回答 課 題 に 関 す る 主 観 的 感 覚 な ど を 問 う質 問 紙 に 対 し て 回 答 を 求 め た 。 ⑦ 実 験 用 紙 回 収 ・デ ブ リー フ ィ ソ グ 【測 定 項 目 】 ① ア イ デ ィ ア数 実 施 時 間 内 に 出 さ れ た ア イ デ ィア数 の チ ー ム総 計 ② ア イ デ ィア の独 創 性 研 究 者 お よ び 他2名 の 評 定 者(い ず れ も大 学 院 学 生)の 協 議 に よ り、 独 創 性 得 点 を算 出 した。 得 点 化 は各 ア イ デ ィア の 出現 頻 度 に基 づ い て お こ な わ れ た。 詳 細 な手 法 に つ い て は 、 沼 崎 ・工 藤 ・北 村(1993)を 参 考 に した。 ③ 主 観 的 感 覚Hackman&Vidmar(1970),Frank&Anderson(1971),Larson&Schau‑ mann(1993)を 参 考 に して 、 リ ッ カ ー トタ イ プ の7点 法 に よ る19項 目を作 成 した。 ④ 自 律 性 条 件 操 作 チ ェ ヅ クBacharach&Aiken(1977),Beehr(1976)を トタ イ プ の7点 4‑3結 法 に よ る7項 参 考 に して リ ヅカ ー 目を作 成 した。 果 【操 作 チ ェ ック】 自律 性 に関 連 す る7項 因 子 を抽 出 した 。2つ 目に つ い て主 因子 法 に よる 因子 分 析 を お こな い、2 の 因子 の う ち、 第1因 子 「自律 感 」 に 高 い 負 荷 量 を 持 つ5項 目(α=. 80)に 対 す る評 点 を逆 転 項 目に配 慮 しつ つ単 純 に加 算 して合 成 変 数 を算 出 し、 これ を 自律 性 条 件 の 操 作 チ ェ ッ ク指 標 と した(項 目例:「 課 題 の 決 定 に は チ ー ム の意 思 が 十 分反 映 され て い る」 「自分 た ちが や りた い と思 う課 題 を す る こ とが で き た」)。こ の合 成 変 数 に つ い て 「自律 性 」 高 低 条 件 間 で平 均 値 のt検 定 を 行 った と ころ有 意 差 が認 め られ た(自 律 性 低M=15.97,自 M=26。61,p〈 律性高 。01)。よ って 「自律 性 」 に関 す る本 実 験 の 操 作 は妥 当 な もの で あ った と認 め ら れ る。 な お、 も う1つ の独 立 変 数 で あ る 目標 設 定 の有 無 に つ い て は 、操 作 が非 常 に 明確 に お こな わ れて い る と判 断 して、 特 に質 問 紙 に よ る操 作 チ ェ ック は お こな わ な か っ た。 【因子 分 析 】 課 題 遂 行 に 関 す る主 観 的 感 覚 を 問 う19項 目に つ い て 主 因 子法 ・バ リマ ック ス 回 転 に よ る 因子 分 析 を行 っ た(Table1)。4因 子 解 か ら7因 子 解 ま で を検 討 した 結 果4因 子 解 を採 用 し、 そ れ ぞ れ に つ い て意 味 を解 釈 して命 名 を行 っ た。 第1因 子 は 「課 題 に 関 す る認 知 ・ コ ミ ッ トメ ン ト」、 第2因 子 は 「課 題 進 行 に関 す る認 知 」、 第3因 子 は 「チ ー ム ワ ー ク に関 す る 認 知 」、 第4因 子 は 「チ ー ム メ ソ バ ー に関 す る認 知 」 と命 名 され た 。 課題遂行 におよぼす 目標設定 と自律性 の効果 119 Table1主 観 的 感 覚 項 目の 因 子 分 析 結 果 (主 因子 法 ・バ リマ ック ス 回転) 質 問項 目 Fac1 作 業 は お も しろ か った 作 業 は楽 しか っ た 興 味 を持 っ て作 業 に取 り組 む こ とが で き た 今 や っ た作 業 を もっ とや りた い 作 業 は魅 力的 だ っ た 作 業 に熱 中 した 作 業 は退 屈 だ っ た 作 業 は ス ム ーズ に進 ん だ 自分 たち の や りた い よ う に作 業 を進 め る こ と ができた 作 業 中満 足 のい く話 し合 いが で きた 作 業 で満 足 で き る結 果 を 出せ た 作 業 はや りに くか った 作 業 には 熱 心 に取 り組 ん だ チ ー ム メ ンバ ー は 私 の 言 う こ とに よ く耳 を傾 け た '私は チ ー ム メソ バ ー の 言 う こ とに Fac2 Fac4 .82* ,22 .20 .19 .77* .23 .28 .22 .70ホ .33 .02 .35 一 .01 .09 .68* .59* .38 .17 .21 .52* .36 .48* .73* 一 .29 .02 .16 一 .13 一 .11 .22 .68串 .27 .20 .32 .67串 .20 .22 .28 .57串 .26 .44* .22 .56串 .13 .15 一 .09 一 .32 一 .36 一 .50* .37 .30 .70* .08 .07 .06 .62* .41* .13 .11 .59* .11 .18 .24 .40* ,26 巾 * ρ0 [﹂ 7冨 7 .23 .10 4 0 1 り4 ‑ だU り白 り白 84 11 よ く耳 を傾 け た 作 業 中は 自分 の 意 見 や ア イ デ ィア を 十分言 えた また 同 じ作 業 をす る機 会 が あ った ら 今 の パ ー トナ ー と一 緒 に した い 今 一 緒 の チ ー ム だ った 人 とな ら この 次 も う ま く作 業 が で き る チ ー ム メン バ ー は 友 好 的 だ った Fac3 .49* .64* 串:FactorIρading> .40 第1因 子 か ら第4因 子 に つ い て 、 そ れ ぞ れ に 高 く負 荷 す る項 目 を2な い し3項 目選 ん で 合 成 変 数 を 作 成 した 。 そ れ ぞ れ の項 目に 対 す る評 定 値 を 単 純 加 算 した もの を合 成 変 数 と して そ れ ぞ れ の 因 子 の 指 標 と した 。 な お 、 逆 転 項 目に つ い て は(8一 評 定 値)の 式 で 求 め られ る補 正 値 を 加 算 した。 合 成 変 数 を構 成 す る項 目の 信 頼 性 係 数 は 、 第1因 子(α ニ.90)・ 85)・ 第3因 子(α=.74)・ 【分 散 分 析 】 定(あ る/な 第4因 子(α=.82)で あ る。 各 変 数 の 条 件 別 平 均 値(SD)はTable2の し2水 準)と 自律 性(高/低2水 マ ソ ス 指 標 とな る2変 数(ア 準)の2つ イ デ ィア数 ・独 創性)お 変 数 を 用 い た2要 因 分 散 分 析 を 行 った。 第2因 子(α ニ. とお りで あ る。 要 因 と して 目標 設 の独 立 変 数 、従 属変 数 と して パ フ ォー よび 被験 者 の 主 観 的 感 覚 の 指標 とな る4 120 Table2各 従 属 変 数 の条 件 別 平 均 値(カ ッコ 内SD) 目標設定な し 自律性低 12.86(5 9.14(4 13.59(4 14.21(3 17.56(2 10.36(2 ア イ デ ィア 数 独創性得点 課題認知 作業進行認知 チームワー ク チ ー ム メ ンバ ー 目標 設 定 あ り 自律性高 41) 97) 33) 58) 73) 30) 自律性低 16,15(6.33) 12.65(6.26) 13.20(3.98) 15.58(3.52) 17.75(2.15) 10.55(1.78) 自律性高 24.18(5.32) 20.77(8.76) 16.05(4.02) 15.09(3.40) 18.64(2.21) 10.77(2.10) 22.05(4.77) 20。62(6.86) 14.33(4.56) 13.98(3.64) 17.50(3.09) 10.29(2.48) ま ず 、 ア イ デ ィ ア 数 に 関 して は 、 目標 設 定 の 主 効 果(F(1,84)=52.50,p〈 目標 設 定 あ り条 件(M=23.14)の 方 が 目標 設 定 な し条 件(M=14.43)よ 有 意 に 多 か っ た 。 ま た 自 律 性 の 主 効 果(F(1,84)=5.20,p〈.05)も (M;20.36)の 。01)が 方 が 自律 性 低 条 件(Mゴ17.35)よ 見 られ 、 りもア イ デ ィア 数 は 見 られ 、 自律 性 高 条 件 り もア イ デ ィア 数 が 有 意 に 多 か った 。 次 に 、 ア イ デ ィ ア の 独 創 性 に 関 し て は 、 目標 設 定 の 主 効 果(F(1,84);43.30,p<.01)が られ た 。 目標 設 定 あ り条 件(M=20.70)の 見 方 が 、 目標 設 定 な し条 件(M=10.81)よ りも独 創 性 得 点 が 有 意 に 高 く、 こ の 傾 向 は 自 律 性 の 高 低 い ず れ の 条 件 に お い て も 変 わ らな か っ た 。 ま た 、 主 観 的 感 覚 に っ い て は 、 第1因 標 設 定 の 主 効 果(F(1,164)=7.42,pく.01)が が 、 目標 設 定 な し(M;13.39)条 子 「課 題 に 関 す る 認 知 ・コ ミ ッ トメ ン ト」 に 関 して 目 見 ら れ 、 目標 設 定 あ り条 件(M=15.21)の 方 件 よ り も課 題 を お も し ろ く、 楽 しい も の で あ っ た と 評 価 し ていた。 ま た 、 第2因 p<.05)が 子 見 ら れ た 。 目標 設 定 の 有 無 に 関 わ ら ず 、 自 律 性 高 条 件(M=15.32)の 低 条 件(M=14.09)よ な お 、 他 の2因 4‑5論 「課 題 進 行 に 関 す る 認 知 」 に 関 し て は 、 自 律 性 の 主 効 果(F(1,164)=5.05, 方 が 自律 性 り も課 題 進 行 が ス ム ー ズ で 、 満 足 の い く も の で あ っ た と評 価 し て い る 。 子 に 関 して は 有 意 な 主 効 果 ・交 互 作 用 は 見 られ な か っ た 。 議 パ フ ォー マ ン ス(ア イ デ ィア 数 ・独 創 性)を 従 属 変 数 と した 分 散 分 析 で は 目標 設 定 の 有 無 の 効 果 が 強 く見 られ た 。 目標 設 定 が お こな わ れ て い る方 が パ フ ォー マ ソ ス が有 意 に高 く、 目標 設 定 が お こ な わ れ な か った 場 合 との差 は非 常 に顕 著 な もの で あ った 。 こ れ は 、 「目標 設 定 が 被 験 者 の 課 題 に対 す る動 機 づ け を高 め 、 パ フ ォー マ ソ ス に 向上 が 見 られ る」 とい う仮 説 を支 持 す る 結 果 で あ り、 これ まで お こな わ れ て きた 多 くの 目標 設 定 に 関 す る先 行 研 究 にお け る知 見 とも一 致 す る もの で あ る。 一 方 、 自律 性 の 効 果 が 見 られ た の は ア イデ ィア 数 を従 属 変 数 に した 場 合 の み で あ り、 目標 設 定 の 有 無 が 非 常 に パ フ ォー マ ン ス に 効 果 を 持 って い た こ とに比 べ る と、 自律 性 の 効 果 は あ ま り強 い もの で は な か った 。 しか し、 目標 設 定 が お こな わ れ な か った 場 合 に限 る と自律 性 が パ フ ォー マ ソ ス に効 果 を 持 つ傾 向 が 見 られ 、 自律 性 が 高 い 場 合 の 方 が パ フ ォー マ ン 課題遂 行にお よぼす 目標設 定 と自律性 の効果 121 ス が有 意 に高 か っ た。 目標 設 定 場 面 に お い て は、 目標 設 定 とい う条 件 操 作 が非 常 に動 機 づ け効 果 を持 つ た め に、 自律 性 を付 与 さ れ な くと もパ フ ォー マ ソ ス は非 常 に 高 い もの に な る が、 目標 を与 え られ な か った場 合 は 、課 題 を 自分 た ち の意 思 で選 択 で き る とい う 自律 性 が動 機 づ け に対 して効 果 を持 ち、 課 題 を指 定 さ れ る場 合 よ り もパ フ ォー マ ン ス が 向上 した の で は な い か と考 え られ る。 ア イ デ ィア数 に 関 して の み 目標 設 定 を お こな っ て い る に も関 わ らず、 独 創 性 に つ い て もその 効 果 が見 られ た。 今 回 の よ うな 出現 度 を規 準 と した算 出方 法 を用 い た場 合 、 独 創 性 得 点 は ア イ デ ィア数 を反 映 した もの とな る ため 、 ア イ デ ィア数 に おけ る結 果 と同様 の傾 向 を痔 つ こ とはあ る程 度 予 測 さ れ た こ とで は あ る が、創 造 性 課 題 遂 行 に あ た って 量 的 な 目標 を 設 定 す るの み で も、 質 的 パ フ ォー マ ソ ス も同時 に 向上 させ る こ とがで き る とい う可 能 性 を示 唆 す る結 果 で あ る。 ま た、 課 題 に関 す る認 知 ・コ ミ ッ トメ ン トに関 す る評 価 に関 す る分 散 分 析 の 結 果 で は、 具 体 的 な 目標 設 定 が お こ な わ れ て い る場 合 に よ り肯 定 的 な評 価 が な さ れ て い る こ とが 特 徴 的 で あ る。 目標 が具 体 的 に提 示 さ れ る こ とに よ って 課 題 に対 す る関 与 意 識 が高 ま り、 そ の 結 果 課 題 が お も しろ く、 楽 しい もの に感 じ られ た の だ と考 え られ る。 これ は 、 目標 設 定 は 課 題 遂 行 の 際 の 被 験 者 の 動 機 づけ を高 め る、 とい う先 行 研 究 の 知 見 を再 現 す る結 果 とな って い る。 自律 性 につ い て は、 目標 設 定 がお こ なわ れ た 場 合 は 相 乗 効 果 が生 まれ 、 課 題 内 容 に関 す る評 価 を高 め て い るが 、 目標 設 定 が お こな わ れ な か った 場 合 に は 、 課 題 選 択 の 自 由が 付 与 され 、 自律 性 が 高 ま っ ただ け で は 課 題 内 容 に対 す る評 価 を左 右 す る要 因 とは な らな か った 。 課 題 進 行 に 関 す る認 知 を 従 属 変 数 と した 分散 分 析 で 自律性 の 主 効果 の み が認 め られ た の は 、 課 題 の 進 め 方 につ い て 題 材 を 選択(あ るい は指 定)す る以前 に教 示 した 結 果 、 自律 性高 群 の被 験 者 は 題 材 選 択 の 際 に 「課題 が よ りス ム ー ズ に で きる」 品物 を選 択 す る こ とを考 え た こ とに起 因 す るの で は な い か と考 え られ る。 これ に対 して 、題 材 選 択 の 自由 の な い 、 す な わ ち 自律 性 の 低 い チ ー ム の 場 合 は 、課 題 開 始 の 時 点 で題 材 とな る品物 を初 め て知 る た め に 、 自律 性 高 群 に は 生 じな い題 材 に対 す る戸 惑 い が生 ま れ 、 ス ム ー ズ な課 題 進 行 を妨 げ た の で は な い だ ろ うか。 チ ー ム ワ ー ク 、 チ ー ム メ ン バ ー に 関 す る認 知 に つ い て は有 意 な主 効 果 ・交 互 作 用 と もに見 ら れ な か った 。 これ は 、 今 回 の 実験 の被 験 者 が い ず れ も同 じ短 期 大 学 に在 籍 して お り、 か つ ふ だ ん か ら同一 の講 義 を共 に受 講 して い る とい う状 況 に あ っ た た め に、 く じ引 き に よ っ て ラ ン ダム に チ ー ム メ ンバ ー を 決定 して も、 チ ー ム メ ンバ ー に対 して は実 験 実 施 以 前 か ら好 意 的 な 印象 を 持 っ て い る被 験 者 が 多 か っ た た め で あ る と考 え られ る。 そ の た め、 チ ー ム ワ ー ク に関 す る評 価 も同様 に高 ま った可 能 性 が あ ろ う。 この実 験 で は、 目標 設 定 の有 無 が従 属 変 数 に非 常 に強 い影 響 を お よ ぼす 結 果 とな った ため 、 目標 設 定 あ り条 件 の場 合 に 自律 性 の効 果 を 明確 な形 で取 り出 す こ とが 困難 で あ った 。 そ こで 、 第2実 験 で は 目標 設 定 条 件 を新 た に容 易 目標 ・困難 目標 の2条 件 に分 割 して 、 それ ぞ れの 目標 条 件 に お け る 自律 性 の効 果 を検 証 す る。 従 来 の 研 究 では 、 容 易 に達 成 で き る低 い 目標 が 設 定 さ れ た場 合 よ り も、 高 めの 困難 な 目標 が設 定 され た場 合 の 方 が 、 努 力 の 集 中 や行 動 の 持 続 が 維 持 122 さ れ、動 機 づ け も高 ま る とい う結 果 が 得 られ て お り、先 行 研 究 の多 くで 目標 の 困難 度 とパ フ ォー マ ン ス との 間 に正 の 相 関 関係 が見 い だ さ れ て い る。 そ こで、 第1実 験 で用 い た よ うな創 造 性 課 題 の場 合 も同様 の傾 向 が見 られ る の か ど うか を検 討 す る。 加 え て、 目標 困難 度 と 自律 性 条 件 と の 関連 に つ い て検 討 す る。 ま た、 新 た な変 数 と して 目標 コ ミ ッ トメ シ ト(GoalCommitment)に つ いて も測 定 し、 パ フ ォー マ ン ス そ の他 の 変 数 との 関係 を検 討 す る。 目標 コ ミ ッ トメ ン トとは、 当初 か らの 目標 を達 成 す る た め の努 力 の 程 度 で あ り、 目標 を 断 念 した り低 め た りす る こ と を 不 本 意 とす る こ と (Locke,etal.,1981)、 あ る い は 達 成 に 向 け て の 継 続 的 な努 力 、 お よ び予 想 に 反 した 結 果 に 直 面 して も初 期 の 目標 を維 持 し よ う とす る こ と(CampionandLord,1982)と 定 義 さ れ る概 念 であ る。 つ ま り、 目標 コ ミ ッ トメ ソ トとい う概 念 は、 目標 を理 解 し受 け 入 れ る 目標 受 容(E‑ rez&Zidon,1984)か ら 目標 に対 す る積 極 的 関 与 動 機 、 達 成 動 機 に続 く一 連 の プ ロセ ス を含 む もの で あ る と言 え る。 課 題 遂 行 の プ ロ セ ス を考 え る場 合 、 単 純 に 「目標 を設 定 した方 が課 題 遂 行 に対 す る動 機 づ け が高 ま り、 そ の結 果 パ フ ォー マ ン ス が 向上 す る」 とい う図式 で は な く、 そ の 目標 に以 下 に個 人(あ る い は集 団)が 関 与 す る か が重 要 で は な い か とい う示 唆 は 以前 か ら あ っ た が、 これ を実 際 に測 定 し、 パ フ ォー マ ン ス との関 連 を検 討 した研 究 は ほ とん どお こな わ れ て こ な か っ た の が実 状 で あ り、 近 年 よ うや く測 定 尺 度 の検 討 が お こな わ れ始 め た ば か りで あ る(Honenbeck,Williams,&Klein,1989,Tubbs&Dahl,1991な ど)。 第2実 験 で は、 目標 困難 度 を操 作 した課 題 遂 行 状 況 で、 自律 性 とパ フ ォー マ ソ ス ・主 観 的 感 覚 の 関係 を仲 介 す る変 数 と して この 目標 コ ミ ッ トメ ソ トを位 置 づ け、 先 行 研 究 に即 した項 目を用 い て測 定 ・分 析 を お こな う。 5.第2実 5‑1概 験 要 第2実 験 で は、 第1実 験 の結 果 を ふ ま え て、 特 に 目標 設 定 状 況 に 限 って 自律 性 の有 無 がパ フ ォー マ ン ス ・主 観 的 感覚 に影 響 を お よぼ す か ど うか を検 討 す る こ とを 目的 とす る。 目標 困難 度 (容 易/困 難)を 操 作 す る こ とで 自律 性 の効 果 に違 い が あ る か ど うか に着 目 した実 験 が 計 画 さ れ た。 ま た、 被 験 者 が どの程 度 目標 を受 け入 れ、 達 成 し よ う とす る動 機 づ け を 抱 い て い る か を 示 す 目標 コ ミ ッ トメ ソ トもパ フ ォー マ ン ス ・主 観 的感 覚 に影 響 を お よぼ して い る こ とを想 定 し て、 測 定 ・分 析 を お こな っ た。 課 題 に つ い て は、 題 材 とな る 品物 が 「か さ」 と 「や か ん」 か ら 「か さ」 と 「さ い ふ」 に変 更 さ れ た 以 外 は第1実 験 と同一 で あ る。 ま た、 今 回 の課 題 は個 人 に よっ て遂 行 さ れ た。 5‑2方 【被 験 者 】 法 被 験 者 は兵 庫 県 の 医療 系 専 門学 校 学 生92名(男 性61名 ・女 性31名 ・平 均 年 齢19.6 課題遂行 にお よぼす 目標設定 と自律性の効果 123 歳)で あ る。 実 験 は 「心 理 学 」 の 講 義 中 に4ク ラス に分 け て 集 団 実 施 され た 。 【独 立 変 数 】 水 準(あ 目標 困 難 度 お よび 自律 性 が 独 立 変 数 と して 操 作 され た 。 実 験 は 、 目標 困 難 度2 り/な し)× 自律 性2水 準(高/低)の2要 因 計 画 で 実 施 され た 。 目標 困難 度 は ア イ デ ィア 数 の 目標 値 の 高 低 に よ って2水 準 を操 作 した 。 自律 性 につ い て は 、 第1実 験 と同 様 の操 作 をお こな った 。 〈 目標 困 難 度 〉 目標 困 難 度 は 、 各 ク ラス に異 な る 目標 数(予 備 実験 に よ り選 定)を 提 示 す る こ とに よ っ て操 作 した(2条 時 間(18分 間)中 件 に2ク ラス ず つ 配 置)。 困 難 目標 条 件 の被 験 者 には 、 課 題 遂 行 に32個 の ア イ デ ィア を出 す よ う に教 示 し、 容 易 目標 条件 の被 験 者 に は 、 同 じ く12個 の ア イ デ ィア を 出 す よ うに 教 示 した 。 目標 値 は そ れ ぞ れ 、予 備 実験 に お け る ア イ デ ィア 数 平 均 値(22,4個)±2標 〈 自律 性 〉 準 偏差 を基 準 と して 選 定 され て い る。 第1実 験 と同様 に 、課 題 とな る品物 を 「被 験者 が選 択 」 す るか 「実験 老 が指 定 」 す るか に よ って操 作 した 。 【手 続 き】 第1実 験 とほ ぼ 同様 で あ るが 、第2実 験 で は 目標 困 難度 条件 の操 作 を お こな った 直 後 に 目標 コ ミ ッ トメ ン ト質 問紙 に対 す る 回答 を 求 め 、 そ の後 課 題 を実 施 した。 【測 定項 目】 第1実 験 で 測 定 した① 〜④ の項 目に 加 え て、 目標 コ ミ ッ トメ ソ トを測 定 す る9 項 目に つ い て も回答 を求 め た。 今 回 は い ず れ も リ ッカ ー トタ イ プ の5点 尺 度 を使 用 した。 測 定 項 目に はHollenbeck,Klein,0'Leary,&Wright(1989)に よ って作 成 さ れ、 信 頼 性 ・妥 当 性 が確 認 さ れ た項 目を研 究 者 が 日本語 に翻 案 した もの を用 い た。 ま た、 主 観 的 感 覚 項 目に つ い て は、 第1実 験 で使 用 した項 目の うち第1因 子 、 第2因 子 に高 く負 荷 した項 目を 中心 に若 干 文 言 に修 正 を加 え た12項 目を使 用 した。 5‑4結 果 【操 作 チ ェ ック】 第1実 験 と同様 に 自律 性 の 操 作 チ ェ ック を お こな い、 操 作 の 妥 当性 が確 認 さ れた 。 【因子 分 析 】 主 観 的 感 覚 項 目、 目標 コ ミ ッ トメ ン ト項 目に つ い て因 子 分 析 を お こ な った 。 主 観 的 感 覚 項 目につ い て は3因 子 構 造 が 認 め られ た(主 因 子 法 ・バ リマ ック ス回 転;Table3)。 そ れ ぞ れ に つ い て 意 味 を解 釈 して 命 名 を お こ な い、 第1因 子 は 「課 題 に 関 す る認 知 」、 第2因 子 は 「作 業 へ の コ ミ ッ トメ ソ ト」、 第3因 子 は 「作 業 進 行 に 関 す る認 知 」 と名 付 け られ た 。 第 1実 験 にお け る主 観 的 感 覚 の 第1因 子 「課 題 に関 す る認 知 ・コ ミ ッ トメン ト」 が 第2実 験 で は 第1因 子 と第2因 子 に分 かれ て 解 釈 さ れ る こ と とな った 。 そ れぞ れの 因 子 に高 く負 荷 した 項 目 を用 い て(第1・3因 子3項 目、 第2因 子2項 目)、 逆 転 項 目に 配 慮 しつ つ 単 純 加 算 に よ って 合 成 変 数 を作 成 した 。 合 成 変 数 を 構 成 す る項 目の 信 頼 性 係 数 は、 第1因 子(α=.88)・ 因 子(α=.84)・ 第3因 子(α=.84)で あ る。 第2 124 Table3主 観 的 感 覚 項 目の 因 子 分 析 結 果 (主因 子 法 ・バ リマ ッ クス 回 転) Fac1 Fac2 Fac3 .88* .12 .02 .80* .15 .16 .78* .08 .09 一 .75* 一 .16 一 .17 ,74* .00 .01 .35 .71* .15 .28 .65* .06 .18 .66* 質問項 目 課 題 は とて も面 白か った 課 題 の 内 容 は 魅 力 的 だ った 課 題 は 非 常 に 楽 しか った 課 題 は とて も退 屈 だ った 課 題 は も って課 題 に取 り組 め た 課 題遂 行 に 熱 中 した 課 題 に 熱 心 に取 り組 ん だ 自分 のや りた いよ うに課題 を進 める ことがで きた ・ 満 足 で き る結果 を 出 せ た と思 う 課 題 は や りに くか っ た .08 一 一 .11 一 .18 .02 。55* 一 .48* 一 .15 *:FactorLoading> .40 また 、 目標 コ ミ ッ トメ ソ ト項 目に つ い て は 、 主 因 子 法 ・バ リマ ック ス 回 転 に よる 因子 分析 の 結 果 、Table4に 示 す とお り2因 子 が 抽 出 さ れ 、 そ れ ぞ れ の意 味 を解 釈 して 「目標 に対 す る 積 極 的 関 与 」 「目標 達 成 に よる メ リ ッ ト」 と命 名 した 。 しか し、 先 行 研 究 で は9項 目す べ て に 対 す る 回答 を逆 転 項 目に 配慮 しつ つ単 純 加算 した もの を 目標 コ ミ ッ トメ ン トの 指標 と して用 い て 以 降 の 分 析 に 用 い て い るた め 、 本 実験 に 関 す る結 果 の 分 析 にお い て も これ に倣 う こ と と し、 因子 ご との分 析 は お こな わ な か っ た。 Table4目 標 コ ミ ッ トメ ソ ト測 定 項 目の 因子 分 析 結 果 (主因 子 法 ・バ リマ ッ クス 回 転) Fac1 質問項 目 今 目標 を 追 求 す る こ と を強 く心 に 誓 って い る この 目標 は 目指 す に は 適 当 な 目標 だ と思 う この 目標に到達することを期待されるのは非現実的だ 私 に この 目標 を あ き らめ させ る こ とは 簡 単 だ この 目標 を 本 気 で 実 行 す る こ とは 難 しい この 目標 を達成 するため に多 くの努 力を傾 け る この 目標を達成しようとすることで得るものは少ない この 目標 を達 成 しよう と しま い と私 は構 わな い この 目標 は成 りゆ き次第 で修正 され る必要 があ る Fac2 .84* 一 .31 .81* 一 .08 一 .75* 一 .26 一 .60* .31 一 .42* 一 .19 .01 一 .68* .08 .60* 一 .01 .58* 一 .25 .13 *:FactorLoading> 【分散 分析 】 各変 数 の 条件 別平 均値(SD)はTable5,6の 因 と して 目標 コ ミ ッ トメ ン ト(高/低2水 分 類)と 自律性(高/低2水 準)の2っ る2変 数(ア イ デ ィア数 ・独 創性)お 要 因 分散 分 析 を お こな っ た。 .40 とお りで あ る。 目標 条 件 別 に、 要 準;合 成 変 数 の 得 点 分 布 を 元 に 被験 者 を 高 低2群 に の 独立 変数 、 従 属変 数 と して パ フ ォー マ ン ス指 標 とな よび 被験 者 の 主 観 的 感 覚 の 指標 とな る3変 数 を 用 い た2 課題遂行 におよぼす 目標設定 と自律性 の効果 Table5各 従 属 変 数 の 条 件 別 平 均 値(カ 125 ッ コ 内SD) (容易 目標 条 件) 自律性低 コ ミ ッ トメ ン ト低 コ ミ ヅ トメ ソ ト高 コ ミ ッ トメ ン ト低 21.99(4.69) 16.32(3.78) 12.18(1.78) 11.04(1.46) 9.37(1.51) ア イ デ ィ ア 数19,67(5.12) 独 創 性 得 点15.21(3.34) 課 題 認 知10.49(2.11) 作 業 進 行 認 知11.46(1.97) 課 題 コ ミ ッ トメ ン ト7.67(1.21) Table6各 自律性高 コ ミ ッ トメ ン ト高 20.10(6.01) 22.79(5.97) 15.97(4.23) 16.13(2.94) 10.28(2.13) 13.25(2.03) 11.13(2.11) 11.68(1.63) 8。22(L80) 従 属 変 数 の 条 件 別 平 均 値(カ 11塾41(1塾67) ッ コ 内SD) (困難 目標 条 件) 自律性低 コ ミ ッ トメ ン ト低 ア イ デ ィ ア 数24.98(4.12) 独 創 性 得 点20.13(3.14) 課 題 認 知11.49(1.86) 作 業 進 行 認 知10.31(1.32) 課 題 コ ミ ッ トメ ソ ト7.78(L11) 自律性高 コ ミ ヅ トメ ン ト高 コ ミ ッ トメ ン ト低 29,62(5.78) 23.35(3.45) lL36(1.43) 8.15(1.64) 8,92(1,39) コ ミ ッ トメ ソ ト高 25.29(5.13) 21.34(2.99) 11.06(2.04) 10.74(2.01) 7.82(1,24) 29.54(4.96) 23.11(4,01) 13.14(2.11) 9.24(1.78) 9.18(1.55) 〈 容 易 目標 条 件 〉 ア イ デ ィ ア 数 に 関 して は 、 目標 コ ミ ッ トメ ン トの 主 効 果 の 傾 向(F(1,45)=2.92,p〈 が 見 ら れ た 。 目 標 コ ミ ッ トメ ソ ト高 群(M=22.39)が 。06) 目標 コ ミ ッ トメ ン ト低 群(M=19.89) よ り も ア イ デ ィ ア 数 を 多 く出 す 傾 向 に あ っ た 。 ア イ デ ィ ア の 独 創 性 に 関 し て は 、 目標 コ ミ ッ トメ ン ト、 自 律 性 の 主 効 果 ・両 者 の 交 互 作 用 と も見 られ な か った 。 ま た 、 主 観 的 感 覚 に つ い て は 、 第1因 子 「課 題 に 関 す る認 知 ・コ ミ ッ トメ ソ ト」 に 関 し て 目 標 コ ミ ッ トメ ン トの 主 効 果(F(1,45)=5.45,P<.05)が 高 群(M=12.67)の 見 い だ さ れ た 。 目標 コ ミ ッ トメ ソ ト 方 が 目標 コ ミ ッ トメ ン ト低 群(M=10.39)よ り も作 業 へ の コ ミ ッ トメ ソ トが 有 意 に 高 か っ た 。 第2因 子 「作 業 へ の コ ミ ッ トメ ン ト」 に 関 し て は 、 目 標 コ ミ ッ トメ ン トの 主 効 果(F(1,45) =10.38,p<。01)お よ び 自 律 性 の 主 効 果 の 傾 向(F(1,45)ニ2 標 コ ミ ッ トメ ン ト高 群(M=10.39)の .27,p<.09)が 方 が 目標 コ ミ ッ トメ ン ト低 群(M=7.95)よ へ の コ ミ ヅ トメ ン トが 有 意 に 高 く、 ま た 、 自 律 性 に つ い て も高 群(Mニ11.82)の (M;10.52)よ 第3因 子 認 め られ た 。 目 りも作 業 方 が 低群 り も作 業 へ の コ ミ ッ トメ ソ トが 高 い 傾 向 が 見 ら れ た 。 「作 業 進 行 に 関 す る 認 知 」 に 関 し て は 、 目標 コ ミ ッ トメ ン ト、 自 律 性 の 主 効 果 ・両 126 者 の 交互 作 用 と も見 られ な か っ た。 〈 困 難 目標 条 件 〉 ア イ デ ィ ア 数 に 関 して は 、 目標 コ ミ ッ トメ ン トの 主 効 果(F(1,45)=9.18,p<.01)が れ た 。 目標 コ ミ ッ トメ ソ ト高 群(M=29.58)が 見 ら 目標 コ ミ ッ トメ ン ト低 群(M;25.14)よ りも ア イ デ ィ ア 数 を 有 意 に 多 く出 し て い た 。 ア イ デ ィ ア の 独 創 性 に 関 して は 、 目標 設 定 の 主 効 果 の 傾 向(F(1,45)=2.72,p〈.07)が ら れ た 。 目標 コ ミ ヅ トメ ン ト高 群(M=23.23)が 見 目 標 コ ミ ッ トメ ソ ト低 群(M;20.74)よ り もア イ デ ィア の独 創 性 が高 い傾 向 に あ っ た。 ま た 、 主 観 的 感 覚 に つ い て は 、 第1因 子 「課 題 に 関 す る 認 知 ・コ ミ ッ トメ ン ト」 に 関 し て 目 標 コ ミ ッ トメ ン ト と 自 律 性 の 交 互 作 用(F(1,45)=4.17,p<.05)が 見 ら れ た(Fig.1)。 下位 検 定 を お こ な っ た と こ ろ 、 自律 性 低 群 の 場 合 は 、 目標 コ ミ ッ トメ ン トの 高 低 に よ る 課 題 に 対 す る 認 知 ・コ ミ ッ トメ ン トの 差 は 見 ら れ な か っ た(目 M=11,49)が 標 コ ミ ッ トメ ソ ト高 群:M=11.36,低 、 自 律 性 高 群 の 場 合 は 、 目 標 コ ミ ッ トメ ン ト高 群(M=13.14)の (M=11.06)よ 群: 方 が 低群 り も課 題 に 対 す る認 知 が ポ ジ テ ィ ブ で あ っ た(p<。05)。 4 1 一 墨 一 自 律 性Low ハσ 湖 り乙 課 題 に関 す る 認 知 ﹂■1 0 1 High Low 目 標 コミットメント Figure1 「 課題に関する認知」条件別平均値(困 難 目標条件) 127 課題遂行 にお よぼす 目標設定 と自律性の効果 第2因 子 「作 業 へ の コ ミ ッ トメ ン ト」 に 関 し て は 、 目標 コ ミ ッ トメ ン トの 主 効 果(F(1,45) =4.97,p〈.05)が 7.80)よ 第3因 =13 見 ら れ た 。 目標 コ ミ ッ トメ ン トが 高 い 群(M=9.01)の 方 が 低 い 群(M= り も 作 業 に 対 す る コ ミ ヅ トメ ン トが 有 意 に 高 か っ た 。 子 「作 業 進 行 に 関 す る 認 知 」 に 関 し て は 、 目 標 コ ミ ッ トメ ソ トの 主 効 果(F(1,91) .24,p〈.01)お よ び 目標 コ ミ ッ トメ ソ ト と 自 律 性 の 交 互 作 用(F(1,45)=5.11,p<.05) が 見 ら れ た(Fig.2)。 目標 コ ミ ッ トメ ン トが 高 い 群(M=8.70)の 方 が 低 い 群(M=10.53) よ り も作 業 進 行 を ス ム ー ズ で な い と認 知 して お り、 下 位 検 定 の 結 果 、 そ の 傾 向 は 自 律 性 が 低 い 群 に お いて 顕 著 で あ った 。 1 1 築 タ .● 一 自 律 性Lowl{擁 0 1 藻罫 1爆: 1㌦ ・ 』、 ︑ 作 業 進 行 に関 す る 認知 二 ■一 自律 性Highl霧i 、 ︑ 9 , 駕 、 ︑ '歪 曝 .ポP 飯 壌 .篤.難; 8 High Low 目 標 コミットメント Figure2 「 作業進行に関する認知」条件別平均値(困 難目標条件) な お 、 困 難 目標 条 件 と容 易 目標 条 件 の 間 で 各 従 属 変 数 を比 較 す る と、 パ フ ォー マ ン ス(ア イ デ ィ ア数 ・独 創 性)に つ い て は 困 難 目標 条 件 の 方 が有 意 に高 か っ た(pく.01)が 、主観 的感 覚 につ い て は 有 意 差 は 見 られ な か った 。 5‑4論 議 実 験 結 果 の 分 析 に 当 た っ て は 、 目標 条 件 別 に 自 律 性 ・目標 コ ミ ッ トメ ン トが パ フ ォ ー マ ン ス 128 ・主観 的感 覚 に お よぼ す 影響 を検 討 した が 、 条 件別 に効 果 に違 い が 見 られ て い る。 容 易 目標 条 件 の場 合 は 、 困難 目標 条 件 の場 合 と比 較 す る と、 自律性 条件 お よび 目標 コ ミ ッ ト メ ン トの高 低 がパ フ ォー マ ン ス ・主 観 的感 覚 に お よぼ す 影響 が 弱 い傾 向 が 見 られ た。 特 に 自律 性 条 件 に つ い て は 、 わ ず か に 「作業 へ の コ ミ ヅ トメ ン ト」 につ い て 主 効 果 が 得 られ た に と どま った。 この条 件 下 で与 え られ た 目標 値(18分 達 成 で き な か った 被 験 者 は46名 中2名 間 で12個 の ア イ デ ィア を考 案 す る)を と非 常 に少 な く(全 被 験 者 平 均 ア イ デ ィア 数M=21. 12)、 ほ とん どの 被 験 者 が 目標 値 を 大 き く上 回 る パ フ ォー マ ン ス を達 成 して い る。 この よ うな 「誰 に で も達 成 可 能 な」 目標 が設 定 さ れ た場 合 は 、課 題 を選 択 す る とい う 自律 性 が 被験 者 に 与 え られ た と して も、 そ の こ と 自体 はパ フ ォー マ ン ス に 関 して動 機 づ け 効果 を持 た な い傾 向 が あ る こ とが示 唆 さ れ た 。 目標 コ ミ ッ トメ ン トが 各従 属 変 数 に お よぼ す 効果 に つ い て は 、 困難 目標 条件 よ りも弱 い もの で は あ る が、 傾 向差 も含 め て 全般 的 に ポ ジ テ ィブ な もの で あ った 。達 成 が 容 易 な 目標 が 与 え ら れ た場 合 に は 、 目標 を達 成 しよ う とす る積 極 的 な 関 与動 機 が そ の まま 課題 に対 す る動機 づ け に つ な が り、 そ の結 果 パ フ ォー マ ン ス も高 め る効果 を 持 っ こ とが示 唆 され た 。 一 方 、 困難 目標 条 件 の場 合 は、 パ フ ォー マ ン ス に 関 して は 容 易 目標 条 件 と同様 に 、 目標 コ ミ ッ トメ ン トの ポ ジ テ ィブ な 効 果 の み が 見 られ た 。特 にア イ デ ィア 数 に 関 して 見 る と、 容 易 目標 条 件 よ り も困 難 目標 条 件 の 方 が 有 意 に多 くな っ て お り、 目標 設 定 を お こな う こ と 自体 がパ フ ォー マ ン ス 向上 に効 果 を持 つ こ と も第1実 験 と同様 確 認 され た。 そ して これ に 加 え て 、 特 に 目 標 が 困難 な場 合 に つ い て は、目標 に対 す る コ ミ ッ トメ ン トが 動 機 づ け に対 して 相 乗 効 果 を持 ち、 よ り一 層 のパ フ ォー マ ン ス の 向上 を もた らす こ とが示 唆 さ れ た。 主 観 的感 覚 に つ い て は、 「作 業 進 行 に 関 す る認 知 」 に つ い て 目標 コ ミ ッ トメ ソ トが 容 易 目標 条 件 と異 な る ネ ガ テ ィブ な効 果 を持 つ こ とが 明 らか に な った 。 困 難 な 目標 を提 示 さ れ た場 合 、 そ れ を達 成 し よ う との動 機 づ け が 強 い被 験 者 は 目標 を達 成 で きな か っ た こ とを作 業 が 円滑 に遂 行 で きな か っ た こ とに帰 属 し、 そ の結 果 作 業 進 行 に 関 す る認 知 が よ りネ ガ テ ィブ に な る の で は な い か と思 わ れ る。 自律 性 に つ い て は、 「課 題 に 関 す る認 知 」 と 「作 業 進 行 に関 す る認 知 」 に お い て 目標 コ ミ ヅ トメ ン トの 交 互 作 用 が得 られ た 。 「課 題 に関 す る認 知 」 に つ い て は、 自律 性 が 高 く、 か つ 目標 コ ミ ッ トメ ン トが 高 い場 合 に の み課 題 を楽 し く、面 白い もの に感 じる傾 向 が見 い だ され た。 困 難 な 目標 が設 定 さ れ た場 合 は 、 自律 性 が保 障 さ れ る こ とが直 接 的 に課 題 の認 知 に影 響 を お よぼ す こ とは な く、 そ れ に加 え て 目標 に対 して コ ミ ッ トメ ン トを持 っ て い る か ど うか が課 題 に 関 す る認 知 を よ りポ ジ テ ィブ な もの に して い る こ とが わ か る。 ま た 、 「作 業 に 関 す る認 知 」 に つ い て は、 目標 コ ミ ッ トメ ン トの 高低 が認 知 に与 え る影 響(コ る認 知 が ネ ガ テ ィブ に な る)が ミ ッ トメ ン トが 高 い ほ ど作 業 に 関 す 自律 性 が低 い条 件 で特 に顕 著 で あ る との結 果 が得 られ た。 これ は 、 目標 コ ミ ッ トメ ソ トが 自律性 と主 観 的 感 覚 の 関 係 を 仲 介 して い る 、 とい う図式 で は な く、 む しろ 自律 性 が 目標 コ ミ ッ トメ ン トと主 観 的感 覚 の 関係 を仲 介 す る変 数 と して機 能 して い る も 課題遂行にお よぼす 目標設定 と自律性の効果 129 の と解 釈 で き る。 以 上 の 結 果 、 お よび 第1実 験 の 結 果 も含 め て 考 えれ ば 、 課 題 選 択 に際 す る 自律 性 は 、 ア イ デ ィア 数 、 独 創 性 とい った 課 題 に関 す る客 観 的 パ フ ォー マ ン ス よ りもむ しろ課 題 を遂 行 す る被 験 者 自身 の 主 観 的 感 覚 に 強 い 影 響 を持 つ 変 数 で あ る可 能 性 が 示 唆 され よ う。 6.総 合 論 議 目標設 定 に つ い て は 、課 題遂 行 の 際 に 明 確 な 目標 を 提 示 す る こ とが パ フ ォー マ ン ス や主 観 的 感 覚 に大 きな 影 響 を 持 つ こ とが 先 行 研 究 と同 様 に 確認 され 、 特 に パ フ ォー マ ソ ス に 関 して は そ の傾 向 が 非常 に顕 著 で あ った 。 これ はLocke(1969)以 来 の 目標 設 定 に 関 す る諸 研究 を支 持 す る結 果 で あ る。 主観 的 感 覚 に つ い て も、 目標 設 定 が 人 間 の課 題 遂行 に あ た って 強 い動 機 づ け効 果 を 持 ち 、課 題 や 作業 進 行 に 関 す るポ ジ テ ィブ な 認知 を高 め るで あ ろ う とい う仮 説 が検 証 され る こ と とな った 。 ま た 、目標 困 難 度 はそ れ ぞ れ の 従 属 変 数 に対 して 異 な る方 向性 の 効 果 を持 つ こ とが 示 され た 。 パ フ ォー マ ン ス に 関 して は 、 困 難 な 目標 を与 え られ た場 合 の方 が 、 容 易 な 目標 を与 え られ た場 合 よ りもア イ デ ィ ア数 ・独 創 性 共 に 高 ま る 結 果 とな った 。Locke(1982)は 、 本 研 究 で用 い た 創 造 性 課 題 に類 似 した性 質 を持 つ ブ レー ソ ス トー ミン グ課 題 を 用 い て、 目標 の高 さ(す な わ ち 目標 数 の 多 さ)と パ フ ォー マ ン ス は線 形 関 係 に あ る こ とを 見 い だ して い る が 、本 研 究 の結 果 も これ を支 持 す る もの で あ る。 主 観 的感 覚 に 関 して は、 パ フ ォー マ ン ス に お い て見 られ た よ うな 一 貫 した ポ ジ テ ィブ な傾 向 は見 られ ず、 因子 ご とに異 な る結 果 が得 られ て い る。 しか し、 先 行 研 究 が少 な い こ と もあ り、 本 研 究 の 結 果 のみ に基 づ い て 目標 困 難 度 と主 観 的 感 覚 の 関 係 を推 定 す る こ とは で きな い。 これ か らの デ ー タ の蓄 積 が必 要 で あ ろ う。 目標 コ ミ ッ トメ ン トにつ い て は 、Wright,0'leary‑Kelly,Cortina,Klein,&Hollenbeck (1994)の 研 究 で は 目標 設 定 とパ フ ォー マ ン ス を仲 介 す る変 数 と して位 置 づ け られて お り、 目 標 が容 易 か困 難 か に よ らず 、 目標 コ ミ ッ トメ ン トが高 い被 験 者 の パ フ ォー マ ソス は低 い被 験 者 の そ れ よ り も向上 す る との 結 果 を得 て い る。 本 研 究 の 場 合 もほ ぼ こ れ を支 持 す る結 果 が得 られ て い る。 しか し、 測 定 尺 度 に関 して若 干 の 問 題 が残 され た 。Wrightら の 一 連 の 研 究 で は 、9 項 目がす べて1因 子 に負 荷 す る単 一 因 子 構 造 を持 つ とされ たの に対 して 、 今 回 は 解 釈 可 能 な2 因 子 が抽 出 され て い る。 これ は 目標 コ ミ ッ トメン トとい う概 念 自体 の 多 次 元 性 を示 唆 す る もの であ り、 これ は今 後 さ らに多 くの デー タ を収 集 した上 での 検 討 課 題 と言 え よ う。 自律 性 につ い て は 、 第1実 験 の 目標 設 定 な し条 件 に おい て パ フ ォー マ ン ス や 主 観 的 感 覚 に対 す る ポ ジ テ ィ ブな 効 果 が 、 お よ び第2実 験 の 困難 目標 条 件 にお いて 主 観 的 感 覚 に対 す るポ ジテ ィブ な 効 果 が 見 い だ され た 。 目標 設 定 な し条 件 で 自律 性 が パ フ ォー マ ン ス や 主 観 的 感 覚 に ポ ジ テ ィ ブな 影 響 を与 えた こ とに関 して は、 例 えば 杉 万(1976)が 、 意 思 決 定 にお け る参 加 が 成 員 の 意 思 決 定 に 対 す る満 足 度 にお よぼ す 効 果 を検 証 す る実 験 をお こな い 、 参 加 水 準 が 高 い ほ ど意 130 思 決 定 に対 す る満 足 度 が 高 い とい う結 果 を 得 て い る こ とな どが 類 似 した 知 見 と して 挙 げ られ る。 目標 困難 度 と 自律 性 の効 果 の 関 係 に つ い て は 、 今 回 の研 究 結 果 の み に基 づ い て 明確 な傾 向 を示 す こ とは で きな い が、 パ フ ォー マ ン ス よ り もむ しろ主 観 的 感 覚 に 強 い 影 響 を お よぼ す変 数 で あ る こ とは示 唆 さ れ よ う。 今 後 、 目標 困難 度 を 多段 階 に操 作 した 実験 を実 施 す る こ とに よっ て、 な お一 層 詳 細 な検 討 が必 要 で あ る と思 わ れ る。 ま た、 本 研 究 で は 自律 性 、 す な わ ち課 題 遂 行 に お け る 自己決 定 性 を 「課 題 選 択 」 「課 題 指 定 」 の い ず れ かの 条 件 に被 験 者 を割 り当 て る こ とに よ って統 制 した が、 これ だ け で課 題 遂 行 中 の 自 律 性 を完 全 に統 制 で き て い る とは言 い難 い。 今後 は 自律 性 の よ り妥 当 な統 制 方 法 に つ い て も検 討 を深 め て い く必 要 が あ る。 加 えて 、 今 回 は課 題 を集 団 で遂 行 す る(第1実 験)か 、 個 人 で遂 行 す る(第2実 験)か によ る差 異 につ い ては 特 に分 析 ・考 察 を お こ な っ て い な い。 個 人 と集 団 の課 題 遂 行 の 差 異 につ い て は、 例 え ばTorrance(1971)が 大 学 生 の 個 人 的創 造 性 と2名 集 団 の創 造 性 を 比 較 した 研 究 を 行 い 、2名 集 団 の 成 員 は 、 個 人 で 仕 事 をす る よ り も高 い水 準 の 独 創 性 を獲 得 し、 よ り強 い刺 激 の 感 情 、 喜 び 、 お よび 表 現 の 独 創 性 を経 験 した こ とを見 い だ して お り、 集 団 が創 造 性 を促 進 す る要 素 を持 つ もの で あ る こ とが 示 唆 され て い る。 しか し、 個 人 と2名 集 団の 課 題 遂 行 に限 れば 特 に差 異 は見 られ ない との 研 究 もあ るな ど、先 行 研 究 の 知 見 に も一 致 が 見 られ るわ け で は な い 。 集 団 サ イ ズ に よ る差 異 も含 め て 、 今 後 の 検 討 課 題 と して残 され て い る。 将 来 的 には 、 従 来 の 目標 設 定 研 究 で 検 討 さ れて きた フ ィー ドバ ック な どの 諸 変 数 と今 回操 作 ・測 定 した変 数 との関 係 を も考 慮 す る こ とに よっ て、 課 題 遂 行 場 面 に お け る ダ イ ナ ミク ス を よ り総 合 的 に考 察 して い きた い。 ま た、 労 働 場 面 、 学 習 場 面 な どに 目を転 じて も、 日々 の職 務 遂 行 ・学 習 の 中 で さ ま ざ まな 目標 が設 定 さ れ、 その 達 成 に 向 け て の方 策 が さ ま ざ ま な側 面 か ら考 え 出 され て い る こ とは言 う ま で もな い。 よっ て、 本 研 究 の よ うな実 験 場 面 に お け る検 討 だ け で はな く、 よ り応 用 的 な 方 向性 も視 野 に入 れて 検 討 して い くべ き で あ ろ う。 引用文献 Bacharach,S.B.&Aiken,M.(1977).Communicationinadministrativebureaucracies.Academアof 1肋2aga1η ε12オ.10z11刀謡20,497‑515. 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Inthefirstexperiment,acreativitytaskwasperformedindyad,withgoal‑setting(specific goa1/"todoone'sbest"goa1)andautonomy(high/low)beingcontrolled.Fromtheresult oftheANOVAanalysis,theeffectofgoa1‑settingwasfoundtobeverystrong,autonomyhad onlyasecondaryeffectonthedependentvariables. Inthesecondexperiment,thesubjectswereperformedthetaskalone.Goaldifficulty(easy /difficult)andautonomywerecontrolled.Inadditiontothesetwovariables,goal‑commit‑ ment(thedeterminationtotryforagoalandthepersistenceinpursuingitovertime(Locke ,Shaw,Saari,&Latham,1981))wasalsomeasured.Theresultsindicatethattheinter‑ actionofautonomyandgoalcommitmentonSs'cognitionofthetaskwasfoundinthedifficult goalcondition.