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中国薬事関係法規制
1. 医薬品製造品質管理規範・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1
付録
① 無菌薬品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・86
② 原薬・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・114
③ 生物学的製剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・134
④ 血液製剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・148
⑤ 中薬製剤・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・157
⑥ 放射性医薬品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・167
⑦ 中薬飲片(刻み生薬)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 176
⑧ 医療用酸素・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・186
⑨ サンプリング・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・196
⑩ コンピュータ化システム・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・205
⑪ 確認とバリデーション・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・213
⑫ 生化学的医薬品・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・229
2. 中華人民共和国衛生部令・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・241
3. 中華人民共和国ワクチン管理法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・267
注:原文と齟齬があった場合には、原文を参照すること
以下の法規制については、中日医薬情報ネット(www.cjpi.org.cn/zryyxxwjp/index.htm)
を参照のこと
4. 中華人民共和国医薬品管理法
5. 中華人民共和国医薬品管理法実施条例
6. 臨床試験品質管理規範
7. 医療機器監督管理条例
8. 薬品登録管理弁法
9. 薬品生産監督管理弁法
10. 薬物非臨床試験管理規範
11. 医薬品副作用個別症例収集と報告ガイドライン
医薬品製造品質管理規範(2010 年改訂)
(衛生部令第 79 号)
「医薬品製造品質管理規範(2010 年改訂)」は 2010 年 10 月
19 日に衛生部の部務会議の審議を経て可決され、ここに公布し、
2011 年 3 月 1 日から施行する。
部
長
陳竺
2011 年 1 月 17 日
第1章 総
第1条
則
医薬品の製造品質管理を規範化するために、「中華人
民共和国医薬品管理法」、「中華人民共和国医薬品管理法実施条
例」に基づき、本規範を制定する。
第 2 条 企業は医薬品品質管理システムを構築しなければならな
い。このシステムは、医薬品品質を使用目的に適合するための組織
的、計画的な全ての活動を含む、医薬品品質に影響する全ての要因
をカバーしなければならない。
第 3 条 本規範は、品質管理システムの一部として、医薬品製造
管理及び品質管理の基本的要求であり、医薬品製造過程における汚
染、交叉汚染、混同、ミスなどのリスクを最大限に低減し、使用目
的や登録要件に適合する医薬品の持続的かつ安定的な製造を確保す
るものである。
第 4 条 企業は本規範を厳格に実行し、信義誠実の原則を遵守し、
いかなる虚偽又は詐欺の行為を禁止する。
第 2 章 品質管理
第1節
第 5 条
原 則
企業は医薬品品質管理要件を満たした品質目標を確立
し、医薬品製造、コントロール、製品出荷、保管、発送の全過程
において、医薬品登録に関わる安全性、有効性、品質コントロー
ルの関連の全ての要件を体系的に徹底し、製品を使用目的と登録
要件に適合するようにしなければならない。
第 6 条 企業経営者は、既定の品質目標の実現を確保し、各層の
人員、サプライヤー及び販売業者は共同関与し、それぞれ責任を持
たなければならない。
第 7 条 企業は要件を満たした人員、工場、施設及び設備を十分
に配備し、品質目標の達成に必要な条件を提供しなければならない。
第2節
品質保証
第 8 条 品質保証は品質管理システムの一部である。企業は品質
保証システムを構築すると同時に、完全な文書システムを構築し、
システムの有効性を保証しなければならない。
第9条
品質保証システムは下記の事項を満たさなければならな
い。
1.医薬品の設計及び研究開発に対する本規範要件の反映。
2.製造管理と品質管理活動の本規範要件への適合。
3.管理責任の明確化。
4.購買及び使用する原薬、添加剤及び包材の正確化。
5.中間体の管理の有効化。
6.確認、バリデーションの実施。
7.設定手順に厳格に従った製造、検査、バリデーション、審査。
8.ロットごとの AP(Authorized Person)による承認後の製品出
荷。
9.保管、発送及びその後の各種作業における医薬品の品質を保証
するための適切な措置。
10.自己点検作業手順に従った品質保証システムの有効性及び適
格性に対する定期的な検査と評価。
第 10 条
医薬品製造及び品質管理に関する基本的要件。
1.製造工程を規定し、その製造工程に従って適合する製品を持続
的かつ安定的に製造することができることを体系的に見直し、
証明しなければならない。
2.製造工程及びその重大な変更に対して、バリデーションを行う
こと。
3.少なくとも下記の必要なリソースを配備すること。
(1)適切な資質を有し、且つ教育研修に合格された人員
(2)十分な工場とスペース
(3)適切な設備と保守の保証
(4)正確な原薬、添加剤、包材、ラベル
(5)承認された工程手順と作業手順
(6)適切な貯蔵、輸送条件
4.正確かつ分かり易い言葉で作業手順を作成しなければならない。
5.作業者は教育研修を受けて、作業手順に従って正しい作業を行
える。
6.全ての製造工程について記録し、全ての逸脱について調査し、
記録しなければならない。
7.ロット記録と発送記録は、毎ロットの製品の全履歴を追跡でき
ように記録し、適切に保存、容易に確認できるようにしなけれ
ばならない。
8.医薬品出荷過程での品質リスクを低減する。
9.医薬品回収システムを構築し、出荷、販売された全ての製品を
回収できるよう確保する。
10.医薬品へのクレームや品質欠陥の原因を調査し、対策を講じ
て類似の欠陥の再発を防止する。
第3節
品質コントロール
第 11 条
品質コントロールは該当の組織構成、文書システム、
サンプリング、バリデーションなどを含め、原材料又は製品の出荷
までに必要なバリデーションを終え、その品質が要件に満たしてい
ることを確認する。
第 12 条
品質コントロールの基本的要件
1.適切な施設、設備、装置及び教育研修済の人員を配備し、全て
の品質コントロールに関わる活動を効果的かつ確実に完成しな
ければならない。
2.原薬、添加剤、包材、中間体、未包装製品及び完成品のサンプ
リング、検査、バリデーション及び製品の安定性評価に用いる
承認された作業手順がなければならない。必要に応じて環境モ
ニタリングを行い、本規範の要件に適合するようにしなければ
ならない。
3.有資格者による所定の方法での原薬、添加剤、包材、
中間体、未包装製品、完成品に対するサンプリング。
4.検査方法はバリデーション又は確認を受けなければならない。
5.サンプリング、検査、バリデーションは記録を取り、逸脱は調
査し、記録を取ること。
6.原材料、中間体、未包装製品、完成品は、品質規格に基づき、
検査、バリデーションして記録を取ること。
7.必要な検査に備えるために、原材料と最終包装済の完成品は十
分な保存サンプルを有し、完成品の保存サンプルの包装は、最
終包装容器が過大な場合を除き、最終包装と同じでなければな
らない。
第4節
第 13 条
品質リスク管理
品質リスク管理は、前向きと後向きの方式による製品
ライフサイクルの全体における品質リスクを評価、管理、連携、審
査を行う体系的プロセスである。
第 14 条
科学的知識や経験に基づき、品質リスクの評価を行い、
製品品質を保証しなければならない。
第 15 条
品質リスクの管理過程で使用した方法、対策、型式及
び作成された文書は、リスクグレードによって制定する。
第3章
第1節
第 16 条
機関と人員
原
則
企業は医薬品製造に適した管理組織を構築し、組織図
を作成しなければならない。
企業は独立した品質管理部門を設立し、品質保証及び品質コン
トロールの責任を履行しなければならない。品質管理部門は品質
保証部門と品質コントロール部門をそれぞれ設立できる。
第 17 条
品質管理部門は品質に関連した全ての活動に関与し、
本規範に関連するあらゆる資料の監査に対して責任を持つ。品質管
理部門の人員は、責務を他部門の人員に委託してはならない。
第 18 条
企業は十分な人数で適切な資質(学歴、教育研修・実
務経験を含む)を有する管理者、作業者を配置し、各部門と各職位
の責務を明確にしなければならない。職位責任は漏れがあってはな
らず、交叉する責任に対する明確な規定を有しなければならない。
一人当たりの責務は多過ぎてはならない。
全ての人員は己の責務を明確にして理解し、その責務に関する要
件を熟知し、必要な研修(事前研修と継続研修を含む)を受けなけ
ればならない。
第 19 条
責務は、通常、他者に委託してはならない。委託する
必要がある場合、その責務を相応な資格を持つあらかじめ任命され
た人員に委託しなければならない。
第2節
第 20 条
主要人員
主要人員はフルタイムの社員であり、少なくとも企業
の責任者、製造管理責任者、品質管理責任者及び AP(Authorized
Person)を含める。
品質管理責任と製造管理責任者は互いに兼任してはならない。
品質管理責任者と AP(Authorized Person)は兼任できる。作業手
順を作成し、品質管理の AP(Authorized Person)が企業責任者及
びその他者からの干渉を受けず、独立して責務を履行できるよう
にする。
第 21 条
企業責任者
企業責任者は医薬品品質の主な責任者であり、企業の日常管理に
対して全責任を負う。品質目標の達成と品質規範の要件に従った医
薬品製造を行うためには、企業責任者は必要なリソースを提供し、
合理的に計画、組織、調整し、品質管理部門が独立して責務を履行
できることを保証する。
第 22 条
製造管理責任者
1.資格
製造管理責任者は薬学又はその関連する専攻の大学卒以上の学歴
(又は中級専門技術職や薬剤師の資格)、三年以上の医薬品製造や
品質管理の実務経験(そのうち一年以上の医薬品製造管理経験)を
持ち、該当製品関連専門知識の教育研修を受けなければならない。
2.主な責務
(1)医薬品の品質を保証するために、承認された製造工程手順
で製造、保管を行うこと。
(2)製造作業に関わる各種の作業手順を厳格に実行する。
(3)ロット記録とロット包装記録は、指定した者の審査を受け、
品質管理部門に渡すようにしなければならない。
(4)良好な作動状態を保つために、工場、設備の保守を確保す
る。
(5)様々な必要なバリデーション作業が確実に行われる。
(6)製造の関連人員に必要な事前研修と継続研修を受けさせ、
必要に応じた研修内容を調整する。
第 23 条
品質管理責任者
1.資質
品質管理責任者は薬学又はその関連専攻の大卒以上の学歴(又は
中級専門技術職や薬剤師の資格)、五年以上の医薬品製造や品質管
理の実務経験(そのうち一年以上の医薬品品質管理経験)、該当製
品の関連専門知識の研修受けなければならない。
2.主な責務
(1)原薬、添加剤、包材、中間体、未包装製品及び完成品は承
認された要件、品質規格を満たすようにする。
(2)製品の出荷までにロット記録に対する審査を完了させる。
(3)あらゆる必要な検査の完了を確保する。
(4)品質規格、サンプリング方法、検査方法、その他品質管理
の作業手順の承認を行う。
(5)品質関連の変更に対する審査、承認を行う。
(6)全ての重大な逸脱や規格外試験結果に対して調査し速やか
に処理されるよう確保する。
(7)委託検査の承認、監督を行う。
(8)良好な作動状態を保つために工場、設備の保守を確保する。
(9)必要な各種確認又はバリデーションの完了、確認・バリデ
ーションの計画及び報告の審査、承認を確保する。
(10)自己点検の完了を確保する。
(11)原材料のサプライヤーの評価及び承認を行う。
(12)製品品質関連の全てのクレームは調査され、速やかかつ
正確に処理されていることを確保する。
(13)製品の持続的かつ安定性評価計画を完成し、安定性デー
タの提供を確保する。
(14)製品品質のレビューの完了を確保する。
(15)品質管理者と品質保証者に必要な事前研修と継続研修を
完了させ、必要に応じて研修内容を調整するようにしな
ければならない。
第 24 条
製造管理責任者と品質管理責任者は、通常、次の共同
の責務がある。
1.製品工程手順、作業手順などの文書の審査、承認。
2.工場区域の衛生状況の監督。
3.重要設備の確認されることの確保。
4.製造工程バリデーションの完了の確保。
5.製造関係者に必要な事前研修と継続研修を受けさせ、必要に応
じた研修内容の調整を確保すること。
6.委託検査の承認、監督。
7.原材料と製品の保管条件の確定、監視。
8.記録の保存。
9.本規範の実行状況に対する監督。
10.製品の品質に影響する要因の監視。
第 25 条 AP(Authorized Person)
1.資格
AP(Authorized Person)は薬学又はその関連専攻の大卒以上の
学歴(又は中級専門技術職や薬剤師の資格)、五年以上の医薬品製
造や品質管理の実務経験を有し、医薬品製造過程の管理及び品質検
査の従事経験がある。
AP(Authorized Person)が単独で責務を担うためには、必要な
専門的理論と知識を有し、製品出荷に関する研修を完了していなけ
ればならない。
2.主な責務
(1)企業の品質システムの構築、内部自己点検、外部品質監査
及びバリデーション、医薬品の副作用報告並びに製品回収
などの品質管理活動に関与する。
(2)出荷した各ロットの製品の製造、検査が関連法規、医薬品
登録要件及び品質規格に適合するよう、製品出荷の責務を
持つ。
(3)製品出荷する前に、AP(Authorized Person)は前述の第 2
項の要件に従って製品出荷審査記録を発行し、ロット記録
に組み入れること。
第 3 節 教育研修
第 26 条
企業は研修管理責任者として特定の部門又は専任者を
指定し、製造管理責任者又は品質管理責任者の審査又は承認を受け
た研修計画を有し、研修記録は保存しなければならない。
第 27 条
医薬品の製造及び品質に関わる全ての人員は研修を受
け、研修内容は部署の要件に適合しなければならない。本規範の理
論、実践的研修のほか、関連法規、対応部署の責務、技能に関する
研修も行い、定期的な研修効果に対する評価も行わなければならな
い。
第 28 条
高リスク作業区域(例えば、高活性、高毒性、感染性、
高感作性の原材料の製造区域)のスタッフは特別な研修を受けな
ければならない。
第 4 節 人員の衛生
第 29 条
全ての人員は所要の衛生研修を受け、企業は人員衛生
作業手順を確立し、最大限に医薬品の人員に対する汚染リスクを低
減しなければならない。
第 30 条
人員衛生作業手順には、健康、衛生習慣、人員の服装
に関する内容を含む。製造区域と品質コントロール区域の人員は関
連する人員衛生作業手順を正しく理解しなければならない。企業は
人員衛生作業手順の実行を確保するよう対策を講じなければならな
い。
第 31 条
企業は人員の健康管理を行い、健康状態のファイルを
作成しなければならない。医薬品に直接に接触する製造人員は、事
前に健康診断を受け、その後年に一回以上の健康診断を受診しなけ
ればならない。
第 32 条
企業は適切な対策を講じ、体表に傷があったり、感染
症にかかっていたり、医薬品を汚染する可能性があるその他の疾患
がかかっていたりする人員が医薬品に直接に接触するような製造を
防止しなければならない。
第 33 条
見学者及び教育研修を受けていない人員は製造区域と
品質コントロール区域に進入してはならない。特別な事情で進入す
る必要のある場合には、あらかじめ個人衛生、更衣などに関して指
導すること。
第 34 条
製造区域に進入する全ての人員は、手順に従って更衣
しなければならない。作業服の素材選定、デザイン及び着用方法は、
作業内容及び空気清浄度ランクの要件に適合しなければならない。
第 35 条
クリーン製造区域に進入した人員は化粧をしたり、ア
クセサリーを身につけたりしてはならない。
第 36 条
製造区域、保管区域は、喫煙及び飲食を禁止し、食品、
飲料、たばこ、個人用医薬品などの非製造用品の保管を禁止する。
第 37 条
作業者は素手で医薬品、医薬品に直接に接触する包材、
設備の表面に直接触れてはらない。
第4章
第1節
第 38 条
工場と施設
原
則
工場敷地の選定、設計、配置、施工、改築及び保守は、
医薬品製造の要件に適合し、最大限に汚染、交叉汚染、混同及びミ
スのリスクを低減し、清掃、作業、保守のしやすいようにしなけれ
ばならない。
第 39 条
工場及び製造防護対策に応じて敷地の選定を総合的に
検討し、工場のおける環境は、原材料又は製品を汚染から守るよう
リスクを最大限に低減させなければならない。
第 40 条
企業は整然とした製造環境を有しなければならない。
工場区域の地面、路面及び輸送は、医薬品の製造に汚染をもたらし
てはならない。製造、管理、居住及び補助区域の全体的配置は合理
的で、互いに妨害してはならない。工場区域及び工場内の人及び物
流の動線は合理的でなければならない。
第 41 条
工場の適切な保守を行い、その保守活動が医薬品の品
質に影響を与えてはならない。詳細な書面上操作手順に従い、工場
の清掃又は必要な消毒を行わなければならない。
第 42 条
工場には適切な照明、温度、湿度及び換気が必要であ
り、製造、保管した製品の品質及び関連設備の機能が直接又は間
接的な影響を受けないようにしなければならない。
第 43 条
工場、施設の設計及び据付は、昆虫又はその他の動物
の進入を有効に防止できるようにしなければならない。必要な措置
を講じ、使用されている殺鼠剤、殺虫剤、燻蒸剤などが設備、原材
料、製品を汚染することを防止しなければならない。
第 44 条
適切な措置を講じ、無許可での人員の進入を防止する
こと。製造、保管、品質コントロール区域は本区域以外の人員の直
接的通路になってはならない。
第 45 条
工場、共用施設、固定配管の施工又は改築後の竣工図
を保存しなければならない。
第2節
第 46 条
製造区域
汚染及び交叉汚染のリスクを低減するためには、工
場、製造施設及び設備は製造された医薬品の特性、工程フロー及び
各工程に相応しい清浄度ランクの要件に応じて合理的に設計、使用
し、次の要件に満たさなければならない。
1.医薬品の特性、工程、使用目的などの要素を総合的に考慮し、
工場、製造施設、設備の複数製品共用の可能性を確立し、適切
な評価報告を行わなければならない。
2.特殊な性質を持つ医薬品、例えば高感作性医薬品(ペニシリン
系等)又は生物学的製品(BCG ワクチン又は活性微生物で製造
されたほかの医薬品など)の製造は、専用の独立した工場、製
造施設及び設備を使用しなければならない。ペニシリン系医薬
品の粉塵発生量が多い作業区域は、相対陰圧に保ち、室外に排
出された排気ガスは浄化処理を経て要件を満たし、排気口は他
の空気浄化システムの空気進入口から遠く離れていなければな
らない。
3.β-ラクタム系抗菌剤、性ホルモン類の避妊薬の製造は、専用
の施設(独立した空気浄化システム)を使用し、その他の医薬
品の製造区域と厳格に分離しなければならない。
4.特定のホルモン類、細胞毒性類、高活性化学医薬品の製造は、
専用の施設(独立した空気浄化システムなど)と設備を使用し
なければならない。特殊な状況において、特別な防護措置を講
じ、必要なバリデーションを行った場合、上記の医薬品はキャ
ンペーン生産方式を採用して同じ製造施設・設備を共用できる。
5.上記の 2 項、3 項、4 項に用いる空気浄化システムの排気は、
浄化処理をしていなければならない。
6.医薬品製造工場は、医薬品品質に悪影響を与える非医薬品の製
造に用いてはならない。
第 47 条
製造区域及び保管区域は、設備、原材料、中間体、未
包装製品及び完成品を整然と保管し、異なった製品又は原材料の混
同、交叉汚染を避け、製造又は品質コントロール作業における漏れ
又はミスを防止できるよう、十分なスペースを有しなければならな
い。
第 48 条
医薬品の品目、製造作業の要件及び外部環境などに応
じて空調浄化システムを配置し、製造区域を効果的に換気し、温度、
湿度のコントロール及び空気の浄化、濾過を保障し、医薬品の製造
環境を要件に適合するようにしなければならない。
クリーンエリアと非クリーンエリアの間、各グレードのクリーン
エリアの間の気圧差は、10Pa 以上でなければならない。必要に応
じて、同一清浄度の各機能区域(作業室)の間も適切な圧力勾配を
保たなければならない。経口液体、固形製剤、管腔内用薬(直腸薬
を含む)、皮膚外用剤などの非無菌製剤の製造工程の曝露区域及び
その医薬品に直接に接触する包材の最終処理工程の曝露区域は、付
録「無菌医薬品」のⅮグレードのクリーンエリアの要件に従って設
置しなければならず、企業は製品の規格及び特性に応じてこの区域
に適切な微生物モニタリング対策を講じる。
第 49 条
粉塵の蓄積防止及び効果的な清掃のために、クリーン
エリアの内表面(壁、床、天井)は平らで滑らか、ひび割れや継
ぎ目がなく、顆粒状物質の落下がないようにし、必要に応じ消毒
しなければならない。
第 50 条
各種の配管、照明施設、空気口及びその他の共用施設
の設計、据付は、清掃しにくい場所のないようにし、できる限り製
造区域以外の場所でその保守を行なければならない。
第 51 条
排水施設は、適切な大きさを有し、逆流防止装置を据
付なければならない。できる限りフタ無排水を避けなければなら
ない。無理な場合、排水溝を浅くして清掃や消毒しやすいように
すること。
第 52 条
製剤の原薬、添加剤の秤量は、通常、特別に設計され
た秤量室で行なければならない。
第 53 条
粉塵が発生する作業室(例えば乾燥した原材料又は製
品のサンプリング、秤量、混合、包装などを行う作業室等)は、相
対陰圧を保ったり、特別な対策を講じたりして、粉塵の拡散や交叉
汚染を防止し、清掃を容易にしなければならない。
第 54 条
医薬品包装工場又は区域は、合理的な設計とレイアウ
トを行い、混同又は交叉汚染を防止しなければならない。同一区域
に複数の包装ラインがある場合、隔離するための措置を講じなけれ
ばならない。
第 55 条
製造区域には適度な照明を設置し、目視作業区域の照
明は作業要件を満たさなければならない。
第 56 条
製造区域で中間コントロール区域を設置することがで
きるが、中間コントロール作業は医薬品に品質リスクをもたらして
はならない。
第 3 節 区域
第 57 条
保管区域は十分な空間を有し、検査待ち、合格、不合
格、返品又は回収の原薬、添加剤、包材、中間体、未包装製品及び
完成品などの各種原材料及び製品を整然と保管しなければならない。
第 58 条
保管区域の設計及び施工は良好な保管条件を確保し、
換気及び照明設備を備えなければならない。保管区域は原材料又は
製品の保管要件(温湿度、遮光など)を満たし、確認及びモニタリ
ングを行わなければならない。
第 59 条
高活性の原材料又は製品及び印刷済みの包材は安全な
区域で保管しなければならない。
第 60 条
受入、出荷及び発送区域は、原材料及び製品を天候
(雨、雪など)の影響から守らなければならない。受入区域の配置
及び施設に関して、荷物が保管区域に搬入されるまでに、外装に対
して必要な清掃ができるようにしなければならない。
第 61 条
独立した隔離区域で検証待ちの荷物を保管する場合、
検証待ち区域に目立った標識を設置し、承認を受けた人員しか出
入りできないようにしなければならない。
不合格、返品、リコールの材料又は製品は、隔離して保管しなけれ
ばならない。
物理的隔離の代わりに、ほかの方法で保管する場合、その方法は同
等な安全性を有しなければならない。
第 62 条
通常、独立したサンプリング区域が必要である。サン
プリング区域の空気清浄度ランクは製造要件に一致しなければなら
ない。その他の区域でのサンプリング又はその他の方法でのサンプ
リングは、汚染又は交叉汚染を防止できるようにしなければならな
い。
第4節
品質コントロール区域
第 63 条
品質コントロール実験室は、通常、製造区域と別々に
しなければならない。また、生物検定、微生物、放射性同位元素の
実験室は別々にしなければならない。
第 64 条
実験室の設計は、所定の使用目的に適し、混同又は交
叉汚染を防止できるようにしなければならない。見本処理、保存サ
ンプル、安定性に関する検証用サンプルの保存、記録を保存するた
めの十分な区域を有しなければならない。
第 65 条
必要な場合、専用の計器室を設置し、感度の高い計器
を静電気、振動、湿気、その他の外的要素の妨害から守らなければ
ならない。
第 66 条
生物学的サンプル又は放射性サンプルなどの特殊なサ
ンプルを取り扱う実験室は、中国の関連要件に適合しなければなら
ない。
第 67 条
実験動物室はその他の区域と厳格に分離し、その設計、
施工は中国の関連規則に適合し、独立した空気処理施設及び動物専
用通路を設置しなければならない。
第5節
第 68 条
補助区域
休憩室の設置は、製造区域、保管区域及び品質コント
ロール区域に悪影響を及ぼしてはならない。
第 69 条
更衣室や手洗室は人が出入りしやすいように設置され、
使用人数に適していなければならない。手洗室は製造区域や保管
区域と直接つながっていてはならない。
第 70 条
保守室は、できる限り製造区域から離さなければなら
ない。清浄区域に保管されている保守用備品及び道具は、特別の部
屋又は道具棚に収納しなければならない。
第 71 条
第5章 設
備
第1節 原
則
設備の設計、モデル選定、据付、改修及び保守は、使
用目的に適用し、できる限り汚染、交叉汚染、混同及びミスのリス
クを軽減し、操作、清掃、保守、及び必要時の消毒や滅菌をしやす
いようにしなければならない。
第 72 条
使用、清掃及び保守に関する設備の操作手順を作成し、
相応の操作記録を保存しなければならない。
第 73 条
設備の調達、据付及び確認に関する文書と記録を作成
し、保存しなければならない。
第2節
第 74 条
設計と据付
製造設備は医薬品の品質にいかなる悪影響も与えてはな
らない。医薬品に直接接触する製造設備の表面は平らで滑らか、洗
浄・消毒しやすく、耐食性がなければならない。医薬品と反応したり、
医薬品を吸着したり、医薬品に物質を放出したりしてはならない。
第 75 条
適切な測定範囲・精度のある衡器、計測装置、計器及
びメーターを配備しなければならない。
第 76 条
適切な洗浄、清掃設備を選定し、その設備が汚染源にな
らないようにしなければならない。
第 77 条
設備に使用する潤滑剤、冷却剤等は医薬品又は容器を汚
染してはならず、できるだけ食用又は同等ランクの潤滑剤を使用し
なければならない。
第 78 条
製造に使用する金型の調達、検収、保管、保守、配給、
破棄に関する適切な操作手順を作成し、専任の保管者及び保管場所
を設け、相応の記録を取らなければならない。
第3節
第 79 条
保守と修理
設備の保守と修理は製品の品質に影響を与えてはならな
い。
第 80 条
設備に関する予防的保守計画及び操作手順を作成し、
設備の保守と修理は相応の記録を取らなければならない。
第 81 条
改修又は重大な保守を実施した設備に対し、製造に使
用するまでに再確認を行い、要件を満たさなければならない。
第4節
第 82 条
使用と清掃
主な製造、検査設備は明確な操作手順がなければなら
ない。
第 83 条
製造設備は確認されたパラメータの範囲内で使用しな
ければならない。
第 84 条
所定の具体的な操作手順に従って、製造設備の清掃を
行わなければならない。
製造設備の清掃操作手順は、詳細で完全な清掃方法、清掃用設備
又は道具、洗剤の名称及び調製方法、前のバッチの標識を取り除く
方法、使用前の清掃済設備が汚染されないようにする方法、清掃済
設備の最長保存期限、使用前に設備の清潔状況を点検する方法を定
め、作業者の再現可能で有効な方法で、各種設備の清掃を行えるよ
うにしなければならない。
設備を分解する必要がある場合、分解手順及び方法も決めなけれ
ばならない。設備に対して消毒や滅菌が必要な場合、具体的な消毒、
滅菌方法、消毒剤の名称及び調製方法も定めなければならない。必
要に応じて、設備製造終了から清掃までの許容される最大時間間隔
も決めなければならない。
第 85 条
清掃済の製造設備は清潔で乾燥した環境で保管しなけ
ればならない。
第 86 条
医薬品製造又は検査用設備や計器は、使用日誌をつけ、
記録内容には、使用、清掃、保守と修理状況、そして日付、時間、
製造及び検査した医薬品名、規格、バッチ番号などを含まなければ
ならない。
第 87 条
製造設備は、目立つように表示マークをつけ、設備番
号と中身(名称、規格、バッチ番号など)を明記し、中身の入って
いないものは清掃状態を明記しなければならない。
第 88 条
不合格の設備は、可能であれば製造、品質コントロー
ル区域から搬出しなければならない。搬出される前は目立った標識
がなければならない。
第 89 条
主な固定配管は内容物の名称と流れる向きを明記しな
ければならない。
第5節 校
正
第 90 条
操作手順及び校正計画に従い、製造・検査用衡器、計
測装置、計器、記録及び制御設備、計器に対して定期的に校正、検
査を行い、関連記録を保存しなければならない。校正の測定範囲は
実質的製造・検査の使用範囲をカバーしなければならない。
第 91 条
製造及び検査に用いる重要な製造・検査用衡器、計測
装置、計器、記録及び制御設備・計器は校正済で、取得されたデー
タが正確で信頼性があるようにしなければならない。
第 92 条
計量用標準機器で校正を行い、使用する標準器具は、
中国の関連規定に適合しなければならない。校正記録には、使用す
る計量用標準器具の名称、番号、校正の有効期限、計量合格証明番
号を明記し、記録が追跡可能であるようにしなければならない。
第 93 条
計測装置、計器、記録・制御用設備及び計器は目立っ
た表示ラベルを有し、その校正の有効期限を明記しなければならな
い。
第 94 条
未校正、校正有効期限切れ、精確でない衡器、計測装
置、計器及び記録・制御用設備・計器を使用してはならない。
第 95 条
製造、包装、倉庫保管中において自動又は電子設備を
使用する場合、操作手順に従って定期的校正、検査を行い、正常な
操作機能を確保しなければならない。校正、検査は相応の記録を取
ること。
第6節
第 96 条
製薬用水
製薬用水はその用途に適し、『中華人民共和国薬典』の
品質規格及び関連要件に適合しなければならない。製薬用水は少な
くとも飲用水を使用しなければならない。
第 97 条
水処理設備及びその輸送システムの設計、据付、運転
及び保守は、製薬用水が所定の品質規格に達するよう確保しなけれ
ばならない。水処理設備の運転はその設計容量を超えてはならない。
第 98 条
精製水、注射用水タンク、輸送管に使用する材料は無
毒で耐食でなければならない。タンクの通気口は繊維の脱落のない
疎水性除菌フィルタを取り付け、配管は死角と盲排水管のないよう
に設計・据付しなければならない。
第 99 条
精製水、注射用水は、微生物の増殖を防止できるよう
に調製、保管、分配しなければならない。精製水は循環使用し、注
射用水は 70℃以上での保温循環を採用できる。
第 100 条
製薬用水及び原水の水質に対し、定期的に監視し、相
応の記録を取らなければならない。
第 101 条
操作手順に従って精製水、注射用水の配管に対して洗
浄消毒を行い、関連記録を取らなければならない。製薬用水が微生
物汚染の警告限界および補正限界に達した場合、操作手順に従って
処理しなければならない。
第6章
材料と製品
第1節 原
第 102 条
則
医薬品製造に使用する原薬、添加剤、直接薬品に接触
する包材は、相応の品質規格に適合しなければならない。直接医薬
品の印字に使用するインクは、食用規格の要件を満たさなければな
らない。
輸入原薬、輸入添加剤は、中国の関連輸入管理規定に適合しなけ
ればならない。
第 103 条
材料及び製品の操作手順を作成し、材料及び製品の正
確な受け入れ、保管、配給、使用及び発送を確保し、汚染、交叉汚
染、混同及びミスを防止しなければならない。
材料及び製品は、操作手順又は工程手順に従って処理し、記録
を取らなければならない。
第 104 条
材料サプライヤーの確定及び変更は、品質評価を行い、
調達を行うためには品質管理部門の承認を受けなければならない。
第 105 条
材料及び製品の輸送はその品質要件を満たさなけれ
ばならない。輸送に関しては、特別な要件がある場合、確認を行
わなければならない。
第 106 条
原薬、添加剤、直接医薬品に接触する包材及び印刷
済みの包材の受け入れは、操作手順を有しなければならない。あ
らゆる入荷された材料は、注文書との一致を確保するために、検
査を行わなければならない。また、サプライヤーが品質管理部門
の承認を受けているかを確認しなければならない。
材料の外装はラベルを有し、所定の情報を明記しなければならな
い。必要に応じて清掃し、外装の損傷又は材料品質に影響を与える
その他の問題がある場合、品質管理部門に報告し、調査及び記録を
取らなければならない。
受入ごとに、次の項目を含めた記録を取らければならない。
1. 納 品 書 及 び 包 装 容 器 に 明 記 さ れ た 材 料 の 名 称
2.企業内で使用する材料名称及び(又は)コード
3.受入日
4.サプライヤー及び製造業者(異なる場合)の名称
5.サプライヤー及び製造業者(異なる場合)が標記したバッチ番
号
6.合計受入量及び包装容器数量
7.受入後に企業が指定したバッチ番号又は通し番号
8.関連説明(包装状況等)
第 107 条
材料受入及び完成品の製造後、リリースするまで、速
やかに検証待ちとして管理しなければならない。
第 108 条
材料及び製品はその性質に応じて、整然にバッチ方
式で保管、回転し、リリースと発送は先に入れたものから先に出
し、有効期限が近い製品から出荷する原則を遵守しなければなら
ない。
第 109 条
コンピュータ化された倉庫管理を実施している場合、
システム故障や設備停止などの特殊な状況による材料及び製品の混
同、ミスを防止するために、適切な操作手順を有しなければならな
い。
完全にコンピュータ化された倉庫管理システムによる識別を行っ
ている場合、材料及び製品の関連情報は書面の形で標記する必要が
ない。
第2節
原薬及び添加剤
第 110 条
適切な操作手順を作成し、検証又は検査など適切な措
置を講じ、各包装内の原薬及び添加剤が正確であることを確認しな
ければならない。
第 111 条
複数バッチの材料を一度に受け入れる場合、バッチご
とにサンプリング、検査、リリースを行わなければならない。
第 112 条
保管区域内の原薬、添加剤は、適切な表示ラベルを有
し、少なくとも次の内容を明記しなければならない。
1.指定された材料名及び企業内部の材料コード
2.企業受入時に設定したバッチ番号
3.材料の品質状態(検証待ち、合格、不合格、サンプリング済な
ど)
4.有効期限又はリテスト期日
第 113 条
品質管理部門によってリリースを承認された有効期限
内又はリテスト期日内の原薬、添加剤のみを使用できる。
第 114 条
原薬、添加剤は、有効期限又はリテスト期日に従って
保管しなければならない。保管期間中に、品質に悪影響を与える特
殊な状況にある場合、リテストを行わなければならない。
第 115 条
あらかじめ指定された人員が操作手順に従って配合を
行い、材料を確認した後、精確に計量し、標記しなければならない。
第 116 条
調製された全ての材料並びにその重量又は体積は、他
者による独立した点検を行い、点検記録を残さなければならない。
第 117 条
同一バッチの医薬品の製造に使用するあらゆる原薬、
添加剤は、集中保管し、標記をつけなければならない。
第3節
第 118 条
中間体と未包装製品
中間体と未包装製品は適切な条件で保管しなければな
らない。
第 119 条
中間体と未包装製品は、明確な標記を有し、少なくと
も次の内容を明記しなければならない。
1.製品名及び企業内部の製品コード
2.製品のバッチ番号
3.数量又は重量(総重量、正味重量など)
4.製造工程(必要な場合)
5.材料の品質状態(必要な場合、検証待ち、合格、不合格、サン
プリング済など)
第 4 節 包材
第 120 条
直接医薬品に接触する包材及び印刷済みの包材の管理
及び管理要件は原薬、添加剤と同じである。
第 121 条
包材は、専任者が操作手順に従ってリリースし、混同、
ミスを防止するための対策を講じ、医薬品製造に使用する包材の正
確性を保たなければならない。
第 122 条
印刷済みの包材の印刷内容を医薬品監督部門に認可さ
れた内容に一致させるために、印刷済みの包材に関する設計、審査、
承認の操作手順を確立し、専用ファイルを作成し、署名・承認され
た印刷済みの包材の原本を保存しなければならない。
第 123 条
印刷済みの包材のバージョンが変更される場合、製品
に使用する印刷済みの包材のバージョンの正確性を保つよう対策を
講じなければならない。不要になった旧版の型板を回収し、破棄す
るのが望ましい。
第 124 条
印刷済みの包材は専用の区域を設置して適切に保管し、
未許可での進入を禁じる。カットラベル又はその他のバルク品の印
刷済みの包材は、混同を防止するよう密閉した容器で保管及び輸送
しなければならない。
第 125 条
印刷済みの包材は専任者が保管し、操作手順及び需要
に従ってリリースしなければならない。
第 126 条
各バッチ又は都度リリースされた医薬品に直接接触す
る包材又は印刷済みの包材は、使用製品の名称及びバッチ番号を明
記した識別標識を有しなければならない。
第 127 条
期限切れ又は不要な印刷済みの包材は廃棄し、記録し
なければならない。
第 5 節 完成品
第 128 条
完成品はリリースするまで検証待ちとして保管しなけ
ればならない。
第 129 条
完成品の保管条件は、医薬品登録・承認された要件に
適合しなければならない。
第6節
第 130 条
特殊管理されている材料及び製品
麻酔薬、向精神薬、医療毒性薬(原材料を含む)、放
射性薬、医薬品前駆体化学物質及び可燃性、爆発性その他危険物の
受け入れ、保管、管理は、中国の関連規定に適合しなければならな
い。
第 7 節 その他
第 131 条
不合格の材料、中間体、未包装製品及び完成品の各包
装容器には、明瞭で目立った標識をつけ、隔離区域で適切に保存し
なければならない。
第 132 条
不合格の材料、中間体、未包装製品及び完成品の処理
は、品質管理責任者の承認を受け、記録を取らなければならない。
第 133 条
製品の回収は、あらかじめの承認を必要とし、それに
関わる品質リスクを十分に評価し、評価の結果に基づき、回収する
かどうかを決めなければならない。回収は予定した操作手順に従い、
適切な記録を取らなければならない。回収処理後の製品は、回収処
理品のうち一番早いバッチの製造日で有効期限の設定を行わなけれ
ばならない。
第 134 条
製剤製品は再処理してはならない。一般的に、不合
格な製剤の中間体、未包装製品及び完成品は、リワーク作業を行
ってはならない。製品の品質に影響を与えず、適切な品質規格を
満たし、かつ予定の承認された操作手順に従い、関連リスクに対
して十分な評価を行った場合のみがリワーク処理を許可される。
リワーク作業は適切な記録を残さなければならない。
第 135 条
リワーク又は再処理、回収統合後に製造された完成品
に関して、品質管理部門は追加の関連項目の検査及び安定性考察の
実施を検討しなければならない。
第 136 条
企業は医薬品の返品に関する操作手順を確立し、適切
な記録を残し、少なくとも製品名、バッチ番号、規格、数量、返品
元及び住所、返品理由、日付及び最終的処理意見などの内容を含ま
なければならない。
同一製品、同一バッチ、ルートの異なった返品は、別々に記録、
保管、処理しなければならない。
第 137 条
検査、検証、調査を経て、返品された製品の品質が問
題ないことを証明でき、品質管理部門の操作手順に基づき評価され
たものに限り、改めて包装、発送、販売することを検討できる。評
価は少なくとも医薬品の性質、必要な保管条件、医薬品の現状、履
歴及び発送と返品との間の時間間隔などを含めた要素を検討しなけ
ればならない。保管及び輸送要件を満たさない返品は、品質管理部
門の監督下で破棄しなければならない。返品された製品の品質に疑
いがあった場合、新たに発送してはならない。
回収処理された返品は、その製品にあらかじめ設定された品質
規格及び第百三十三条の要件に適合しなければならない。返品処
理のプロセス及び結果は、適切な記録を取らなければならない。
第7章
第 138 条
確認と検証
企業は必要な確認及び検証作業を決め、関連作業の重
要要素が効果的に管理されていることを証明するようにしなければ
ならない。確認又は検証の範囲、度合いは、リスク評価によって決
めなければならない。
第 139 条
企業の工場、施設、設備及び検査機器は確認をしなけ
ればならず、バリデーションされた製造工程、操作手順及び検査方
法によって製造、作業、検査を実施し、持続的な検証状態を保たな
ければならない。
第 140 条
確認及びバリデーションに関する文書、記録を作成し、
その文書と記録証明により下記の目的を達成しなければならない。
1.設計時適格性評価は、工場、施設、設備の設計が目的用途及び
本規範の要件を満たしていることを証明しなければならない。
2.設備据付時適格性評価は、工場、施設、設備の施工及び据付が
設計基準を満たし
ていることを証明しなければならない。
3.運転時適格性評価は、工場、施設、設備の運転が設計基準を満
たしていることを証明しなければならない。
4.性能適格性評価は、工場、施設、設備が正常な操作方法及び工
程条件下で、持続的に基準を満せることを証明しなければなら
ない。
5.工程バリデーションは、製造工程が所定の工程パラメータで、
使用目的及び登録要件に適した製品を持続的に製造できること
を証明しなければならない。
第 141 条
新たな製造処方又は製造工程を使用する前には、通常、
製造への適用性をバリデーションしなければならない。製造工程は、
所定の原薬、添加剤及び設備を使用する条件下で、使用目的及び登
録要件を満たした製品を常に製造できなければならない。
第 142 条
原薬、添加剤、医薬品に直接接触する包材、製造設備、
製造環境(又は工場)製造工程及び検査方法などの製品品質に影響
する主な要素が変更される場合、確認又はバリデーションしなけれ
ばならない。必要に応じて、医薬品監督管理部門の承認も受けなけ
ればならない。
第 143 条
清掃方法は、汚染及び交叉汚染を効果的に防止するた
めに、バリデーションしその清掃効果を実証しなければならない。
清掃バリデーションは、設備の使用状況を総合的に考慮し、使用さ
れている洗浄剤及び消毒剤、サンプリング方法及び場所、対応のサ
ンプリング回収率、残留物の性質及び限度、残留物の検査法の感度
などの要素を考慮しなければならない。
第 144 条
確認とバリデーションは一度限りの行為ではない。初
回の確認又はバリデーション後には、製品品質に対する遡及的分析
によって状況分析し、再確認又は再バリデーションを行わなければ
ならない。重要な製造工程及び操作手順は、想定された結果を達成
するために、定期的な再バリデーションを行う。
第 145 条 企業はバリデーションに関するマスタープランを制定
し、確認及びバリデーションの重要情報を文書形式で説明しなけれ
ばならない。
第 146 条
バリデーションに関するマスタープラン又はその他の
関連文書は、工場、施設、設備、検査機器、製造工程、操作手順及
び検査方法の持続的安定性を保つよう、ルールを制定しなければな
らない。
第 147 条
確認又はバリデーションの対象に応じて、確認又は
バリデーションプランを制定し、審査、承認を受けなければなら
ない。確認又はバリデーションプランは責務を明確にする。
第 148 条
確認又はバリデーションは、あらかじめ確定・承認さ
れたプランに基づいて実施し、記録を取らなければならない。確認
又はバリデーション完了後、報告をまとめ、審査、承認を受けなけ
ればならない。承認又はバリデーションの結果・結論(評価と意見
を含む)は、記録を取り、ファイリングしなければならない。
第 149 条
バリデーションの結果に基づき、工程手順及び操作手
順を確認しなければならない。
第 8 章 ファイル管理
第 1 節 原則
第 150 条
文書は品質管理保証システムの基本的要素である。企
業は内容が正確な書面の品質規格、製造処方及び工程手順及び記録
などの文書を有しなければならない。
第 151 条
企業は文書管理に関する操作手順を確立し、文書を体
系的に設計、制定、審査、承認及び放出しなければならない。本規
範に関わる文書は品質管理部門による審査を受けること。
第 152 条
文書の内容は、医薬品許可、医薬品登録などの関連要
件に一致し、バッチごとの製品履歴追跡に役立たなければならない。
第 153 条
文書の起草、改訂、審査、承認、取替又は撤回、複製、
保管、破棄などは、操作手順に基づいて管理し、文書の配布、取消、
複製、破棄に関する適切な記録を残さなければならない。
第 154 条
文書の起草、改訂、審査、承認は適切な人員によって
署名し、日付を明記しなければならない。
第 155 条
文書はタイトル、種類、目的、文書番号及びバージ
ョン番号を明記しなければならない。文字は適切、明瞭かつ分か
りやすくなければならず、曖昧であってはならない。
第 156 条
文書は調べやすいように分類して、整理・保管しなけ
ればならない。
第 157 条
原本文書を複製する場合、いかなるミスもあってはな
らず、複製された文書は明瞭で読みやすくなければならない。
第 158 条
文書は定期的に審査、改訂し、改訂後の文書は手順
に従って管理し、旧版の文書の誤用を防止しなければならない。配
布、使用する文書は、標準のテキストでなければならない。取消さ
れた又は旧版の文書は、調査のためにファイリングしたものを除き、
仕事の現場にあってはならない。
第 159 条
本規範に関わるあらゆる活動は、記録を残し、製品の
製造、品質コントロール及び品質保証などの活動を追跡できるよう
にしなければならない。記録には、データを記入するための十分な
スペースを残さなければならない。記録は偽りなく、明瞭で読みや
すく、容易に消されないように速やかに記入されなければならない。
第 160 条
できる限り製造・検査設備で自動印刷された記録、図
譜、図表などを使用し、製品又はサンプルの名称、バッチ番号及び
記録機器の情報を明記し、作業者は署名と日付を記入しなければな
らない。
第 161 条
記録は清潔に保ち、破いたり、恣意に書き換えたりし
てはならない。記録のいかなる変更においても、氏名と日付を記入
し、元の情報を明瞭で読みやすくし、必要に応じて変更理由を説明
しなければならない。転写する必要がある場合、元の記録を破棄し
てはならず、新たに転写した記録の添付書類として保存する。
第 162 条
バッチごとの医薬品は、バッチ製造記録、バッチ包装
記録、バッチ検査記録及び医薬品リリース審査記録などを含めた当
該バッチに関わる記録を有しなければならない。バッチ記録は品質
管理部門が管理し、少なくとも医薬品の有効期限の一年後まで保管
する。
品質規格、工程手順、作業基準、安定性考察、確認、バリデーシ
ョン、変更などその他の重要文書は長期保存する。
第 163 条
電子データ処理システム、撮影技術又はその他信頼性
のある方法を使用してデータ記録を行う場合、使用システムの操作
手順を有し、記録の正確性を確認しなければならない。
電子データ処理システムを使用した場合、有資格者のみがデータ
の入力又は変更ができ、変更又は削除の状況は記録に取らなければ
ならない。暗証番号又はその他の方法でシステム登録をコントロー
ルし、重要データの入力後は、他者による独立したバリデーション
を行わなければならない。
電子方式で保存されたバッチ記録は、記録の安全性を確保するた
めに、磁気テープ、マイクロフィルム、紙の副本又はその他の方法
によるバックアップを行わなければならない。また、保管期間中の
データを調べやすいようにしなければならない。
第 2 節 品質規格
第 164 条
材料と完成品には、承認された現行の品質規格がなけ
ればならない。必要に応じて、中間体又は未包装製品も品質規格を
有しなければならない。
第 165 条
材料の品質規格は、通常、下記の内容を含む。
1.材料の基本情報
(1)企業が統一指定した材料名及び内部用の材料コード
(2)品質規格の根拠
(3)承認されたサプライヤー
(4)印刷済みの包材の実物サンプル又は見本原稿
2.サンプリング、検査方法又は関連操作手順の番号
3.定性的および定量的制限要件
4.保管条件と注意事項
5.有効期限又はリテスト期日
第 166 条
中間体及び未包装製品のうち、外部から調達したもの
及び外部へ販売するものは、品質規格を有しなければならない。中
間体の検査結果を完成品の品質評価に用いる場合、完成品の品質規
格に対応する中間体の品質規格を制定しなければならない。
第 167 条
完成品の品質規格は下記の内容を含む。
1.製品名及び製品コード
2.対応する製品処方コード(ある場合)
3.製品規格と包装形式
4.サンプリング、検査方法又は関連操作手順の番号
5.定性的および定量的制限要件
6.保管条件と注意事項
7.有効期限
第3節
第 168 条
工程手順
医薬品ごとの各製造バッチサイズは、企業に承認され
た工程手順を有し、規格の異なった医薬品の各包装形式は、それぞ
れ包装作業要件を有しなければならない。工程手順の制定は、登
録・承認された工程に基づかなければならない。
第 169 条
工程手順は恣意に変更してはならない。変更の必要が
ある場合、関連する操作手順に従って改訂、審査、承認を行う。
第 170 条
製剤の工程手順は少なくとも下記の内容を含む。
1.製造処方
(1)製品名及び製品コード
(2)製品の剤型、規格及びバッチサイズ
(3)使用する原薬、添加剤のリスト(製造過程では使用するが、
完成品にない材料)は、材料ごとに指定名称、コード、用
量を明らかにしなければならない。原薬及び添加剤の用量
を換算する必要がある場合、計算方法も説明しなければな
らない。
2.製造作業の要件
(1)製造場所と使用設備に対する説明(作業室の位置及び番号、
清浄度のランク、必要な温度・湿度の要件、設備の型式及
び番号など)
(2)重要設備の準備(洗浄、組立て、校正、滅菌など)に使用
された方法又は対応した操作手順番号
(3)具体的な製造手順と工程パラメータ説明(材料の確認、
前処理、材料を入れる順番、混合時間、温度など)
(4)すべての中間コントロール方法及び規格
(5)想定した最終生産量の限度については、必要に応じて、中
間体の製造量限度並びに材料バランスの計算方法及び限度
の説明をする。
(6)容器、ラベル及び特殊保管条件を含めた未包装製品の保管
要件。
(7)説明する必要のある注意事項。
3.包装作業要件
(1)最終包装容器中の製品数量、重量又は体積で表示する包装
形式
(2)包材の名称、数量、規格、種類及び品質規格に関わる包材
ごとのコードを含めた全ての必要な包材の完全なリスト
(3)製品のバッチ番号、有効期限の印刷場所を明記した印刷済
みの包材の実物サンプル又は複製品。
(4)製造エリア及び設備の検査、包装作業を開始する前の包装
ラインクリアランスの完了確認などを含めた要説明の注意
事項
(5)重要な補助的作業及び使用設備の注意事項、包装材の使用
前確認を含めた包装作業手順の説明
(6)サンプリング方法及び標準を含めた中間コントロールの具
体的操作
(7)未包装製品、印刷済みの包材の材料バランス計算方法と限
度
第4節
第 171 条
バッチ製造記録
バッチごとの製品は、そのバッチの製品製造履歴及び
製造に関する動きを追跡できる適切なバッチ製造記録を取らなけれ
ばならない。
第 172 条
バッチ製造記録は、承認されている現行工程手順の関
連内容に基づいて作成しなければならない。記録の設計は記入ミス
を避けなければならない。バッチ製造記録のページごとに、製品名、
規格、バッチ番号を明記しなければならない。
第 173 条
原本の空白バッチ製造記録は、製造管理責任者と品質
管理責任者の審査及び承認を受けなければならない。バッチ製造記
録の複製及びリリースは、操作手順に従ってコントロールし、記録
を残し、バッチごとの製品の製造に対して原本の空白バッチ製造記
録の印刷物を一部のみリリースする。
第 174 条
製造過程のあらゆる作業に対して速やかに記録をし、
作業終了後、製造作業者による確認及び氏名と日付の記入されなけ
ればならない。
第 175 条
バッチ製造記録は下記の内容を含む。
1.製品名、規格、バッチ番号
2.製造及び中間工程の開始及び終了の日時
3.製造工程ごとの責任者の署名
4.製造手順の作業者の署名、必要に応じて作業(計量など)確認
者の署名
5.原薬、添加剤ごとのバッチ番号及び実際に計量した数量(投入
した回収又はリワーク作業の処理の製品のバッチ番号及び数量
を含む)
6.関連の製造作業又は活動、工程パラメータ及び制御範囲、並び
に主な使用設備の番号
7.中間コントロール結果の記録及び作業者の署名
8.異なった製造工程の生産量及び必要に応じた材料バランスの計
算
9.工程手順からずれた逸脱状況に対する説明又は調査報告を含め
た特殊なトラブル又は異常事件に関する記録、署名による承
認
第5節
バッチ包装記録
第 176 条
バッチごとの製品又はバッチごとの一部製品の包装に
対し、バッチ包装記録を残し、該当バッチの製品包装作業及び品質
関連事項の追跡に役立つようにしなければならない。
第 177 条
バッチ包装記録は、工程手順の包装に係る内容に基づ
いて制定しなければならない。記録の設計は記入ミスを避けなけれ
ばならない。バッチ包装記録は、頁ごとに包装製品の名称、規格、
包装形式及びバッチ番号を明記する。
第 178 条
バッチ包装記録には、未包装製品のバッチ番号、数量
並びに完成品のバッチ番号及び計画数量を有しなければならない。
原本の空白バッチ包装記録に関する審査、承認、複製及び配給の要
件は、原本の空白バッチ製造記録に同じ。
第 179 条
包装過程のあらゆる作業に対して速やかに記録をし、
作業終了後に包装作業者による確認及び氏名と日付の記入をしなけ
ればならない。
第 180 条 バッチ包装記録は下記の内容を含む。
1. 製品名、規格、包装形式、バッチ番号、製造日、有効期限
2.包装作業の日時
3.包装作業責任者の署名
4.包装工程作業者の署名。
5.各包材の名称、バッチ番号と実質使用数量
6.中間コントロールの結果を含めた工程手順に従った検査記録
7.使用設備及び包装ラインの番号を含めた包装作業の詳しい状況
8.バッチ番号、有効期限及びその他の内容を印刷された使用する
印刷済みの包材の実物サンプル。バッチ包材に付随してファイ
リングしにくい印刷済みの包材について、上記の内容を印刷さ
れている複製品の使用可能。
9.工程手順からずれた逸脱状況に対する説明又は調査報告を含め
た特殊なトラブル又は異常事件に関する記録、署名による承
認
10.あらゆる印刷済みの包材と未包装製品の名称、コード及び放
出、使用、破棄又は倉庫に戻す製品の数量、実質生産量及び
材料バランス検査
第6節
第 181 条
操作手順及び記録
操作手順の内容は、タイトル、番号、バージョン番号、
公布部門、発効日、配布部門及び制定者、審査者、承認者の署名と
日付、並びに項目、本文及び変更履歴を含まなければならない。
第 182 条
工場、設備、材料、文書及び記録は、番号(又はコー
ド)を有し、番号(又はコード)を編成する操作手順を制定して番
号(又はコード)の唯一性を確保しなければならない。
第 183 条
以下の活動についても、適切な作業規定を有し、その
過程と結果に関する記録を取らなければならない。
1.確認とバリデーション
2.設備の組立と校正
3.工場と設備の保守、清掃、消毒
4.研修、更衣及び衛生などの人員に関する事項
5.環境モニタリング
6.虫害コントロール
7.変更制御
8.逸脱処理
9.クレーム
10.医薬品のリコール
11.返品
第 9 章 製造管理
第1節
第 184 条
原則
あらゆる医薬品の製造と包装は、承認された生産プロ
セスと操作手順に従って行い、関連記録を残さなければならない。
医薬品が所定の品質規格を適合し、医薬品製造に関する許可及び登
録・承認された要件に適合しなければならない。
第 185 条
製品バッチを区分するための操作手順を設立し、製
造バッチの区分は同一バッチ製品の品質と特性の均一性を確保す
るようになければならない。
第 186 条
医薬品ロット番号の編成及び製造日を確定するための
操作手順を確立しなければならない。ロットごとの薬品に唯一のロ
ット番号を編成する。法的要求がある場合を除き、製造日は製品の
成形又は充填(封止)までの最終混合作業の開始日より遅くなって
はならない。製品の包装日を製造日としてはならない。
第 187 条
ロットごとの製品は生産量及び材料バランスを検査し、
材料バランスが所定の限度に適合するようにしなければならない。
差異が生じた場合、原因究明をし、正常製品として扱えるようにな
るまで、潜在的品質リスクがないことを確認しなければならない。
第 188 条
混合又は交叉汚染の可能性がない場合を除き、同一製
造作業室で同時に異なった品種又は規格の医薬品の製造作業を行っ
てはならない。
第 189 条
製造の各段階において、製品と材料を微生物及びその
他の汚染から守らなければならない。
第 190 条
材料又は製品、特に高活性、高毒性、過敏性のある材
料又は製品を乾燥する製造過程において、特別な措置を講じてダス
トの発生と拡散を防止しなければならない。
第 191 条
製造期間で使用するあらゆる材料、中間体又は未包装
製品の容器並びに主な設備及び必要な作業室は、表示ラベルを付け
たり、その他の方法で製造中の製品の名称、規格及びロット番号を
明記して、必要に応じて製造工程も明記しなければならない。
第 192 条
容器、設備又は施設に使用する標識は明瞭であり、標
識の仕様は企業の関連部門の承認を受けなければならない。文字説
明のほか、標識に様々な色で被表示物の状態を区別することもでき
る(バリデーション待ち、合格、不合格又は清浄済など)。
第 193 条
一つの区域からほかの区域へ製品を輸送する配管及び
その他の設備の接続を確認し、接続の正確性を保たなければならな
い。
第 194 条
製造終了ごとにクリアランスを行い、設備と作業場に
今回の製造に関わる材料、製品及び文書が残されないようにしなけ
ればならない。次回の製造を開始する前に、前回のクリアランス状
況に対して確認を行うこと。
第 195 条
工程手順又は操作手順からずれたいかなる逸脱も、で
きる限り防止しなければならない。万が一逸脱が発生した場合、逸
脱処理の操作手順に従わなければならない。
第 196 条
製造工場の出入りは、承認を受けた人員に限らなけれ
ばならない。
第2節
製造過程における汚染と交叉汚染の防止
第 197 条
生産過程において、できる限り対策を講じ、下記のよ
うな汚染と交叉汚染を防止しなければならない。
1.分割された区域で異なった品種の医薬品を製造すること。
2.キャンペーン生産方式を採用すること。
3.必要なエアロックルームと排気を設置し、空気清浄度の異なる
区域で差圧を管理すること。
4.未処理又は十分に処理されていない空気が製造エリアへの再進
入による汚染リスクを低減すること。
5.交叉汚染が発生しやすい製造エリアにおいて、作業者は該当エ
リア専用防護服を着用すること。
6.バリデーション済み又は有効であると知られた清浄・除染操作
手順で設備の清浄を行い、必要に応じて材料と直接接触する
設備の表面残留物の測定を行うこと。
7.密閉したシステムで製造を行うこと。
8.乾燥設備の給気にはエアフィルタを有し、排気には空気逆流防
止装置を有すること。
9.製造及び清浄過程における割れやすい、剥離しやすい、カビの
発生しやすい器具の使用を避け、篩を使用する場合、網切れに
よる汚染を防止するための対策を講じること。
10.液体製剤の調製、濾過、充填及び封止、滅菌などの工程は、
所定の時間内に完了すること。
11.軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤などの半固形製剤及び座薬の中
間体の保管期限と保管条件を定めること。
第 198 条
汚染と交叉汚染の防止対策に対して定期的に検査し、
その適用性と有効性の評価を実施しなければならない。
第3節
第 199 条
製造作業
製造開始する前に、検査を実施し、設備と作業場所に
前ロットの製品、文書又は本ロットの製品と関係のない材料の残留
がなく、設備が清潔で使用待ちの状態にあることを確保しなければ
ならない。検査結果の記録を残さなければならない。製造作業前は、
材料又は中間体の名称、コード、ロット番号及び表示ラベルを確認
し、製造の使用材料又は中間材料が正確かつ要件に適用しているこ
とを確保しなければならない。
第 200 条
中間コントロールと必要な環境モニタリングを実施し、
記録を取らなければならない。
第 201 条
ロットごとの医薬品の各製造段階の終了後、
製造作業者はクリアランスを実施し、クリアランス記録を記入しな
ければならない。クリアランス記録の内容は、作業室番号、製品名、
ロット番号、製造工程、クリアランス日、検査項目及び結果、クリ
アランス責任者及び確認者の署名を含む。クリアランス記録はロッ
ト製造記録に取り入れなければならない。
第4節
第 202 条
包装作業
包装操作手順には汚染、交叉汚染、混同又はミスのリ
スクを低減するための措置を定めなければならない。
第 203 条
包装を開始する前には、検査を実施し、作業場所、
包装ライン、印刷機及びその他の設備が清潔で使用待ちの状態に
あるようにし、前ロットの製品、文書又は本ロットの製品と関係
のない材料の残留がないようにしなければならない。検査結果の
記録を残さなければならない。
第 204 条
包装作業前は、受け取った包材が間違っていないこと
を確認し、未包装製品及び使用包材の名称、規格、数量及び品質状
態を確認し、工程手順に適合しなければならない。
第 205 条
包装作業場所又は包装ラインごとに、包装内容の製品
名、規格、ロット番号及びロットサイズの製造状態を明記した標識
を有しなければならない。
第 206 条
複数の包装ラインで同時に包装を行う場合、隔離又は
その他の汚染及び交叉汚染を防止するための有効な措置を講じなけ
ればならない。
第 207 条
使用待ちの分包容器は、分注までに清潔を保ち、容器
内にガラスチップ、金属顆粒などの汚染物が混入しないようにしな
ければならない。
第 208 条
製品を分注、封止後に速やかにラベルを貼らなければ
ならない。速やかにラベルを貼ることができない場合、関連操作手
順に従って作業し、混同又はラベルの貼付ミスなどを防止する。
第 209 条
単独な印刷或いは包装過程において生産ライン上で印
刷された情報(製品のロット番号又は有効期限)に関して、間違え
のないように検査を実施し、記録を取らなければならない。手作業
で印刷する場合、検査の頻度を増やす。
第 210 条
カットラベル又は包装ライン以外で、単独的に印刷さ
れたラベルを使用する場合、混同防止のために特別な措置を講じな
ければならない 。
第 211 条
電子コードリーダー、ラベルカウンター又はその他
の類似装置の機能に対し、装置が正確に動作するよう検査を実施
しなければならない。検査に関する記録を取らなければならない。
第 212 条
包材の印刷又は成形された内容は明瞭で、容易に退色
せず、消されないようにしなければならない。
第 213 条
包装過程において、製品に関する中間コントロール検
査は少なくとも下記の内容を含めなければならない。
1.包装の外観
2.包装の整合性
3.製品と包材の正確性
4.印刷された情報の正確性
5.オンライン監視装置の正常な機能
製品に対する混同又は汚染を防止するために、包装ラインから
持ち出したサンプルは元に戻してはならない。
第 214 条
包装工程の異常状況により包装し直す必要がある場合、
特別に検査、調査し、あらかじめ指定した者の承認を受けなければ
ならない。包装し直しに関する記録を取らなければならない。
第 215 条
材料バランス検査において、未包装製品、印刷済みの
包材及び完成品の数量に明らかな差異があった場合、調査を行い、
結論が出るまで製品をリリースしてはならない。
第 216 条
包装完了時に残されたロット番号が印刷済の包材の全
ては、専任者が数量を把握して破棄し、記録を取らなければならな
い。ロット番号が印刷されていない包材を倉庫に戻す場合、操作手
順に従わなければならない。
第 10 章
第1節
第 217 条
品質コントロールと品質保証
品質コントロールラボ管理
品質コントロールラボでの人員、施設、設備は製品性
質と生産規模に適応すること。
企業は、通常、委託検査を行ってはならない。委託検査の必要が
ある場合、第 11 章に委託検査に関する規定に従って、外部のラボ
に検査を依頼し、検査報告書に説明をすること。
第 218 条
品質コントロール責任者は、ラボ管理に関する十分
な資質と経験を持っていなければならず、同一企業で一つ又は複
数のラボを管理する能力を有しなければならない。
第 219 条
品質コントロールラボの試験員は関連専門の専門学校
又は高等学校以上の学歴を持っていなければならず、従事する検査
操作に関する実務研修を経て、審査に合格すること。
第 220 条
品質コントロールラボには、薬局方や標準図譜など必
要な参考書、及び標準品などに関連する標準物質を配置すること。
第 221 条
品質コントロールラボの文書は第 8 章の原則及び次の
要件を満たさなければならない。
1.品質コントロールラボは少なくとも次の詳細な文書を保有する
こと。
(1)品質規格
(2)サンプリング操作手順と記録
(3)試験操作手順と記録(検査記録又はラボの実験ノートを含
む)
(4)試験成績書又は証明書
(5)必要な環境モニタリングの操作手順、記録及び報告書
(6)必要な試験法バリデーション報告書と記録
(7)計器の校正と設備の使用、洗浄、保守の操作手順及び記録
2.各ロットの医薬品の検査記録には、当該ロットの医薬品に関係
する全ての品質検査状況の追跡を可能とするための中間体、未
包装製品と完成品の品質検査記録を含めること。
3.傾向分析をしやすい方法で特定のデータ(例えば、検査データ、
環境モニタリングのデータ、製薬用水の微生物モニタリングの
データ)を保存すること。
4.容易に調べるために、ロット記録に関係する資料・情報以外に、
その他の一次資料や記録も保存すること。
第 222 条
サンプリングは少なくとも次の要件を満たさなければ
ならない。
1.品質管理部門の人員は生産区域と倉庫区域に入ってサンプリン
グ及び調査を行う権利を有すること。
2.承認された操作手順に従ってサンプリングを実行すること。そ
して、操作手順には次の内容を詳しく規定すること。
(1)授権されたサンプル採取者
(2)サンプリング方法
(3)使用される器具
(4)サンプルの量
(5)サンプルの分け方
(6)サンプルを保存する容器の種類と状態
(7)サンプリングを実行した後、残留部分及びサンプルの処理
と表示ラベル
(8)サンプリングの注意事項、サンプリング中に発生する様々
なリスクを軽減するために講じられた予防措置、特に無
菌・有害材料のサンプリング及びサンプリング中に汚染と
交叉汚染を防止する注意点を含める。
(9)保存条件
(10)サンプリング用器具の洗浄方法と保管要件
3.サンプリング方法は、サンプルの代表性を確保する為に、科学
的かつ合理的なものでなければならない。
4.保存サンプルはサンプリングされたロットの製品又は材料を
代表することができること。そして、生産における最重要な
段階(例えば、生産の開始や完了など)を監視するために、
その他のサンプルを抜き取ることができる。
5.サンプル容器には、ラベルを貼り付け、サンプル名、ロット
番号、サンプリング日付、どの包装容器から抜き取ったか及
びサンプル採取者などの情報を明記すること。
6.サンプルは規定された保管要件に従って保存すること。
第 223 条
材料と異なる製造段階製品に対する検査は、少なくと
も次の要件を満たさなければならない。
1.企業は登録・承認された方法に従って医薬品に対する全項目の
検査を行うことを確保すること。
2.次のいずれかに該当する場合は、試験法のバリデーションを取
らなければならない。
(1)新しい試験法を使用する場合
(2)試験法を変更する必要がある場合
(3)『中華人民共和国薬局方』及びその他の法定標准に含まれ
ていない試験法を使用する場合
(4)法規で規定されているバリデーションの必要があるその他
の試験方法
3.バリデーションの必要がない試験法に対して、試験データの正
確性と信頼性を確保するために、企業は試験法を確認すること。
4.検査に関しては、操作手順書がなければならない。使用される
方法・計器・設備を規定し、検査操作手順の内容は確認又はバ
リデーションされた検査方法と一致すること。
5.検査は、結果が記録と一致することを確保するために、追跡を
可能とする記録がなければならず、かつ、再審査の必要がある。
全ての計算は厳密に照合すること。
6.検査記録には少なくとも次の内容を含めなければならない。
(1)製品や材料の名称、剤形、規格、ロット番号又は出荷番号。
必要に応じて、サプライヤーと生産者(異なる場合)の名
称又は供給源を明記する。
(2)根拠となった品質規格と検査操作手順
(3)検査に使用された計器や設備の型番と番号
(4)検査に使用された試験液と培地のロット番号、標準品の供
給源とロット番号
(5)検査に使用された動物の関連情報
(6)検査過程。標準品溶液の調製、各項目についての具体的な
検査操作、必要な環境温度・湿度を含める。
(7)検査結果。観察状況、計算と図譜又は折線グラフ、及び根
拠となった検査報告の番号を含める。
(8)検査日付
(9)試験員の署名と日付
(10)検査・計算の再審査員の署名と日付
7.全ての中間コントロール(生産者による中間コントロールを含
む)は、品質管理部門により承認された方法で行ない、検査に
関しては、記録を取らなければならない。
8.ラボ容量分析用ガラス計器、試薬、試液、対照品及び培地に対
して、品質検査を行うこと。
9.必要に応じて、検査用実験動物を使用する前に、検査や隔離検
疫を行うこと。飼育と管理は、関係する実験動物管理規定を満
たすこと。動物に関しては表示ラベルがなければならず、使わ
れた履歴を保存しなければならない。
第 224 条
品質コントロールラボは、検査結果が規格を逸脱する
ことに対する調査の操作手順を作成すること。検査結果が規格を逸
脱する場合は、操作手順に従って全面的な調査を行い、適切な記録
を取らなければならない。
第 225 条
企業が規定に従って保管され、医薬品の品質の追跡又
は調査に使用される材料、製品サンプルが保存サンプルである。製
品の安定性モニタリングに用いられたサンプルは保存サンプルでは
ない。
保存サンプルは少なくとも次の要件を満たさなければならない。
1.操作手順に従って保存サンプルを管理すること。
2.保存サンプルはサンプリングされたバッチの材料や製品を代表
することができる。
3.完成品の保存サンプル
(1)各ロットの医薬品に関しては、保存サンプルがなければな
らない。1ロットの医薬品が数回に分けて包装される場合、
包装毎に少なくとも市販の最小包装の完成品を保管するこ
と。
(2)保存サンプルの包装形態は、市販の包装形態と同じでなけ
ればならない。原薬の保存サンプルについては、市販の包
装形態で包装できない場合、似たような包装を使用しても
よい。
(3)各ロットの医薬品の保存サンプルは、通常、登録・承認さ
れた品質規格に従って、少なくとも完全検査の 2 回実施す
る(無菌試験とパイロジェン試験などを除く)のに充分な
数量を確保すること。
(4)保存サンプルの包装の完全性に影響を与えない前提で、保
存期間内に少なくとも年一度保存サンプルの目視検査を行
い、異常がある場合は、徹底的な調査を行い、かつ、適切
な措置を講じること。
(5)保存サンプルの観察に関しては、記録を取らなければなら
ない。
(6)保存サンプルは、登録・承認された保管条件に従って、少
なくとも医薬品の有効期間の 1 年後まで保存すること。
(7)企業が医薬品の生産を中止又は廃業する場合、必要な時に
いつでも保存サンプルを入手できるようにするために、権
限を受けた企業・団体に保存サンプルを渡し保存させ、現
地の医薬品監督管理部門に知らせること。
4.材料の保存サンプル
(1)製剤製造用各バッチの原薬、添加剤及び医薬品と直接接触
する包材に関しては、保存サンプルがなければならない。
完成品の保存サンプルがある場合、医薬品と直接接触する
包材(輸液容器など)だけの保存サンプルを必要としない。
(2)材料の保存サンプルは少なくとも確認試験に必要な量より
多く残すこと。
(3)安定性の低い原薬、添加剤を除き、製剤生産用の原薬、添
加物(生産において用いられる溶剤、気体又は製薬用水は
含まれていない)と医薬品と直接接触する包材の保存サン
プルは、少なくとも製品がリリースされてから 2 年後まで
保存すること。材料の有効期間が短い場合は、保存サンプ
ルの保留期間を短縮することができる。
(4)材料の保存サンプルは、定められた条件に従って保管し、必
要に応じて、適切な包装・密封を行なうこと。
第 226 条
試薬、試液、培地及び検定菌の管理は少なくとも次の
要件を満たさなければならない。
1.試薬と培地を信頼できるサプライヤーから調達し、必要に応じ
て、サプライヤーに対して評価を行うこと。
2.試薬、試液、培地の受領記録を取らなければならない。必要に
応じて、試薬、試液、培地の容器には受領日付を表示すること。
3.試薬・試液・培地は、関連規定又はマニュアルに従って調製・
保管・使用すること。特別な状況下で受領する又は使用する前
に、試薬の確認試験又はその他の検査も行うこと。
4.試液と調製された培地には、調製ロット番号、調製日付及び調
製者の氏名を表示し、かつ、調製(滅菌を含む)に関しては、
記録を取らなければならない。不安定な試薬、試液及び培地に
は、有効期間及び特別な保管条件を表示すること。標準液と滴
定液には、最後に標準した日付と補正因子を表示し、標準化の
記録を取らなければならない。
5.調製された培地は、適合性確認を行い、関連記録を取り、培地
の使用記録を取らなければならない。
6.検査に必要な各種の検定菌がなければならず、検定菌の保存・
継代・使用・廃棄に関する操作手順と適切な記録を作成しなけ
ればならない。
7.検定菌に関しては、適切な表示ラベルがなければならず、表示
ラベルの内容には少なくとも菌の種名、番号、継代、継代数、
継代日付、継代の作業員を含めること。
8.検定菌は規定された条件に従って保管し、保管の方法と時間は
検定菌の成長特性に好ましくない影響を与えてはならない。
第 227 条
標準品の管理は少なくとも次の要件を満たさなければ
ならない。
1.標準品は規定に従って保管し、使用すること。
2.標準品に関しては、適切な表示ラベルがなければならない。
表示ラベルの内容には名称、ロット番号、製造日付(ある場
合)、有効期間(ある場合)、初回の開けた日付、含量又は力
価、保管条件を含めること。
3.企業が実用標準品を自作する必要がある場合、実用標準品に
関する品質規格及び作成・識別・検査・承認・保管に関する
操作手順を作成し、各ロットの実用標準品は薬局方標準品に
基づいて標準化し、かつ、有効期間を決定し、定期的に標準
化することによって、実用標準品の力価又は含量が有効期間
内に安定していることを証明すること。標準化の過程と結果
に関しては、適切な記録を取らなければならない。
第2節
第 228 条
材料・製品のリリース
材料・製品のリリースを許可するそれぞれの操作手順
を作成し、リリースを許可する標準と責任を明確にし、かつ、適切
な記録を取らなければならない。
第 229 条
ばならない。
材料のリリースは少なくとも次の要件を満たさなけれ
1.材料の品質評価の内容には、少なくとも生産者の検査報告書、
材料包装の完全性及び密封性についてのチェック状況と検査結
果を含めること。
2.材料の品質評価に関しては、明確な結論(リリースを許可する、
不合格又はその他の決定など)を出さなければならない。
3.材料のリリースは、任命された人員により署名され許可される
こと。
第 230 条
製品のリリースは少なくとも次の要件を満たさなけれ
ばならない。
1.リリースの許可を得る前には、医薬品及びその製造が登録と本
規範の要件を満たすことを保証するために、各ロットの医薬品
に対して品質評価を行い、かつ、次の各内容を確認すること。
(1)主要な製造工程と検査方法はバリデーションがされている
こと。
(2)必要なチェック、検査を既に完了し、実際の生産条件と生
産記録を総合的に考慮すること。
(3)全ての必要な生産・品質コントロールを完了し、関係する
主管員が署名すること。
(4)変更を関連規則に従って既に完了し、医薬品監督管理部門
の承認を得る必要がある変更は既に承認を得ること。
(5)変更や逸脱に対して、必要なサンプリング、チェック、検
査及び審査を既に完了すること。
(6)当該ロットの製品に関係するすべての逸脱についての明確
な解釈や説明、又は徹底的な調査と適切な処置を行うこと。
逸脱はその他のロットの製品に関わる場合、一緒に処置す
ること。
2.医薬品の品質評価に関しては、明確な結論を出さなければなら
ない。例えば、リリースの許可、不合格又はその他の決定。
3.各ロットの医薬品のリリースは、品質授権者により署名し許可
されること。
4.ワクチン類、血液製剤、ドナースクリーニングに用いられる体
外診断用試薬及び国家食品医薬品監督局による規定されたその
他の生物製品がリリースされる前には、ロットリリースする合
格証明書も取得すること。
第3節
第 231 条
持続的安定性モニタリング
持続的安定性モニタリングの目的は、医薬品と生産に
関する安定性問題(不純物含量や溶出速度の変化など)を発見し、
医薬品は表示されている保管条件下で品質規格の各要件を満たすこ
とができることを確定するために、有効期間内に、市場に出回って
いる医薬品の品質を監視する。
第 232 条
持続的安定性モニタリングは、主に市販包装形態の医
薬品を対象とするが、未包装製品についても併せて配慮しなければ
ならない。例えば、未包装製品の包装作業が終了する前に、又は生
産工場から包装工場に輸送される際に、長期保管の必要がある場合
は、適切な環境条件下で、包装後の製品の安定性に与える影響を評
価すること。また、長期保管された中間体に対してモニタリングも
考慮すること。
第 233 条
持続的安定性モニタリングに関しては、モニタリング
計画がなければならない。結果に関しては、報告書がなければなら
ない。持続的安定性モニタリングに用いられる設備(特に安定性モ
ニタリング設備又は施設)は、第 7 章と第 5 章の要件に従って確認
と保守をすること。
第 234 条
持続的安定性モニタリングの時間には、医薬品の有効
期間を含めること。モニタリング計画には少なくとも次の内容が含
まれること。
1.各種規格、各バッチ生産の医薬品のモニタリングを行なうバッ
チ数
2.関係する物理、化学、微生物と生物学的な検査方法は、安定性
モニタリング専用の検査法を使用してもよい。
3.検査方法の根拠
4.合格基準
5.容器密閉システムの説明
6.試験間隔時間(測定の時点)
7.保管条件(表示されている医薬品の保管条件と対応する『中華
人民共和国薬局方』で規定している長期安定性モニタリング標
準条件を採用すること)
8.検査項目。検査項目が完成品の品質規格に含まれる項目より少
ない場合は、その理由を説明すること。
第 235 条
モニタリングのバッチ数と検査の頻度は、傾向分析の
ための充分なデータを取得できること。通常、各種規格、各一次・
二次包装形態の医薬品は、当年に生産されない限り、少なくとも年
に 1 バッチのモニタリングを行うこと。
第 236 条
特定の状況の下で、持続的安定性モニタリングを行う
中でバッチ数を追加すること。重大な変更又は生産や包装に重大な
逸脱が生じた医薬品に関しては、安定性モニタリングの対象となる
こと。
また、再加工、リワーク又は回収されるバッチは、検査と安定性
モニタリングが行なわれなかった限り、モニタリング対象となる。
第 237 条
重要な人員、特に品質授権者は、持続的安定性モニタ
リングの結果を理解すること。持続的安定性モニタリングが未包装
製品や完成品の生産企業で行なわれていない場合、各関連者の間に
書面契約を締結しなければならず、かつ、医薬品監督管理部門に提
供し審査が行なわれるために、持続的安定性モニタリングの結果を
保存すること。
第 238 条
品質規格を満たしていない結果や重要な異常傾向に対
して調査を行うこと。品質規格を満たしていないことが確認された
結果や重大な不良傾向に対して、企業は既に市場に出回っている医
薬品に影響を与える可能性があるかどうかを考慮し、必要な時には、
リコールを実施する必要があり、調査結果及び講じた措置を現地の
医薬品監督管理部門に報告すること。
第 239 条
取得した全てのデータ・資料(モニタリングの段階的
結論を含む)に基づいて、総括報告書を作成・保存すること。定期
的に総括報告書を審査すること。
第 4 節 変更制御
第 240 条
企業は変更制御システムを構築し、製品の品質に影
響を与えるすべての変更について評価し、管理すること。医薬品
監督管理部門の承認が必要な変更は、承認を得た後に実施できる。
第 241 条
操作手順を作成すること。操作手順には、原薬、添加
剤、包材、品質規格、検査方法、操作ステップ、プラント、施設、
設備、器械、製造工程及びパソコンのソフトウェアの変更の申請・
評価・審査・承認・実施を規定する。品質管理部門は変更制御の専
任者を指定すること。
第 242 条
変更については、製品の品質に与える潜在的な影響に
ついて評価を行うこと。企業は変更の性質・範囲、製品の品質に与
える潜在的な影響の程度によって変更を分類(主要な変更や副次的
変更)すること。変更を判断するための必要なバリデーション、追
加検査及び安定性モニタリングに関しては、科学的な根拠がなけれ
ばならない。
第 243 条
製品品質に関する変更は申請部門により提出された
後、評価を行ない、実施計画を策定し、実施責任を明確し、最後
に品質管理部門により審査承認されなければならない。変更の実
施に関しては、適切な完全な記録を取らなければならない。
第 244 条
原薬、添加剤、医薬品と直接接触する包材、製造工程、
主な生産設備及び医薬品の品質に影響を与える主な要素を変更する
場合には、変更の実施後に少なくとも最初の 3 バッチの医薬品の品
質に対して評価を行うこと。変更が医薬品の有効期間に影響を与え
る可能性がある場合、品質評価には変更の実施後に製造された医薬
品の安定性モニタリングも含まれなければならない。
第 245 条
変更を実施する場合には、変更に関する文書が既に改
訂されたことを確保すること。
第 246 条
品質管理部門は変更に関する全ての文書と記録を保
存すること。
第5節
第 247 条
逸脱処理
各部門の責任者は、逸脱の発生を防止するために、全
ての人員が製造工程、品質規格、検査方法及び操作手順を確実に実
行することを確保すること。
第 248 条
企業は逸脱処理の操作手順を作成し、逸脱の報告・
記録・調査・処理及び採用する是正措置を規定し、かつ、適切な
記録を取らなければならない。
第 249 条
すべでの逸脱については、製品の品質に与える潜在的
な影響について評価を行うこと。企業は逸脱の性質・範囲、製品の
品質に与える潜在的な影響の程度によって逸脱を分類(重大・副次
的逸脱など)し、重大な逸脱についての評価は製品に対する追加検
査の必要性や製品の有効期間への影響があるかどうかを考慮しなけ
ればならない。必要がある場合、重大な逸脱が発生した製品に対し
て安定性モニタリングを行うこと。
第 250 条
製造工程、材料バランスの限界、品質規格、検査方法、
操作手順などからの全ての逸脱に関しては、記録を取らなければな
らず、迅速に主管と品質管理部門に報告し、明確に説明しなければ
ならない。重大な逸脱が発生した場合、品質管理部門は他部門を連
携して徹底的な調査を行い、調査報告書がなければならない。逸脱
調査報告書は、品質管理部門の任命された人員が審査し署名する。
企業は予防措置を講じて、このような逸脱の再発を、効率的に防
止しなければならない。
第 251 条
品質管理部門は逸脱を分類し、逸脱の調査・処理文書
と記録を保存すること。
第 6 節 是正措置と予防措置
第 252 条
企業は是正・予防措置システムを構築し、苦情、リコ
ール、逸脱、自己点検又は外部検査の結果、工程性能と品質監視傾
向などについて調査を行い、是正・予防措置を取ること。調査の程
度と形は、リスクレベルに適応すること。是正・予防措置システム
は、製品と工程について理解を深め、製品と工程を改善することが
できる。
第 253 条
企業は是正・予防措置を実施する操作手順を作成する
こと。少なくとも次の内容を含める。
1.苦情、リコール、逸脱、自己点検又は外部検査の結果、工程性
能と品質監視傾向及びその他の供給源の品質データについて分
析を行い、既存の品質問題及び潜在的な品質問題を確定するこ
と。必要がある場合、適した統計学的方法を使用すること。
2.製品、工程及び品質保証システムに関する原因を調べること。
3.講じる必要がある是正・予防措置を確定し、品質問題再発を防
止すること。
4.是正・予防措置の合理性、有効性と十分性を評価すること。
5.是正・予防措置実施中に発生した変更に関しては、記
録を取
らなければならない。
6.関連情報を有資格者と問題再発を防止する直接の責任者に伝え
たことを確保すること。
7.関連情報及び是正・予防措置が上級管理職により評価審査され
たことを確保すること。
第 254 条
是正・予防措置の実施に関しては、ファイル記録がな
ければならず、品質管理部門により保存される。
第7節
第 255 条
サプライヤーに対する評価と承認
品質管理部門は、全ての生産用材料のサプライヤーの
品質を評価し、そして、関連部門と連携して主な材料のサプライヤ
ー(特に生産者)の品質システムに対して現場品質監査を行い、品
質評価が要件を満たしていないサプライヤーに拒否権を行使する。
主な材料を確定する際には、企業が生産した医薬品の品質リスク、
材料の用量及び材料が医薬品の品質に与える影響の程度などの要素
を総括的に考慮すること。
企業の法定代表者、企業の責任者及びその他の部門の人員は、品
質管理部門が材料のサプライヤーに対して独立して品質評価を行う
ことを干渉したり妨害したりしてはならない。
第 256 条
材料のサプライヤーの評価と承認について操作手順
を作成し、サプライヤーの資格、選別の原則、品質評価方法、評
価規格、材料のサプライヤーを承認する手順を明確にすること。
品質評価は現場品質監査の形式で行う必要がある場合、監査内容、
周期、監査人の構成と資格も明確にすること。サンプルを小バッチ
で試作する場合には、バッチサイズ、製造工程、製品の品質規格、
安定性モニタリング計画の明確にすること。
第 257 条
品質管理部門は、材料のサプライヤーの品質評価と
現場品質監査の専任者を指定し、承認を得た合格サプライヤーの
リストを配布すること。任命された人員は、関係する法規知識と
専門知識、品質評価と現場品質監査についての十分な実務経験を
持っていなければならない。
第 258 条
現場品質監査はサプライヤーの資格証明書と検査報告
書の確実性を確認し、検査条件が整っているかを確認すること。そ
の品質保証システムを全面的に評価するために、その人員、組織、
プラントと設備、材料管理、製造工程フローと生産管理、品質コン
トロールラボでの設備や計器や文書管理などに対するチェックを行
うこと。現場の品質監査に関しては、報告書がなければならない。
第 259 条
必要に応じて、主な材料のサプライヤーにより提供さ
れたサンプルを小バッチで試作し、試作された医薬品の安定性モニ
タリングを行うこと。
第 260 条
品質管理部門が材料のサプライヤーに対する評価に
は少なくとも次の内容を含める。
サプライヤーの資格証明書、品質規格、検査報告書、企業の材料の
サプライヤーに対する検査データと報告書。現場品質監査とサンプ
ルを小バッチで試作する場合は、現場品質監査報告書及び小バッチ
試作された製品の品質検査報告書と安定性モニタリングの報告書も
含めること。
第 261 条
材料のサプライヤーを変更する場合は、新しいサプラ
イヤーに対して評価を行うこと。主な材料のサプライヤーを変更す
る場合は、製品に対してバリデーション及び安定性モニタリングを
行うこと。
第 262 条
品質管理部門は材料管理部門に承認を得た合格サプラ
イヤーのリストを配布し、当該リストの内容には少なくとも材料名
称、規格、品質規格、生産者の名称と住所、販売業者(ある場合)
の名称などを含め、かつ、速やかに更新すること。
第 263 条
品質管理部門は主な材料のサプライヤーと品質契約を
締結し、契約書では双方の責任を明確にすること。
第 264 条
品質管理部門は、定期的に材料のサプライヤーに対し
て評価や現場品質監査を行い、材料の品質検査結果、品質の苦情及
び不合格処理の記録を遡及的分析すること。材料の品質問題や生産
条件、工程、品質規格及び検査方法など品質に影響を与える可能性
のある重要な要素が変化する場合は、関係する現場品質監査を出来
るだけ早く行うこと。
第 265 条
企業は各材料のサプライヤーについて品質プロファイ
ルを作成し、その内容にはサプライヤーの資格証明書、品質契約、
品質規格、サンプルの検査データと報告書、サプライヤーの検査報
告書、現場品質監査報告書、製品安定性モニタリングの報告書、定
期的な品質の遡及的分析報告者などを含めること。
第8節
第 266 条
製品品質の遡及的分析
操作手順に従って、工程の安定性と信頼性、原薬・添
加剤・完成品の現行品質規格の適合性を確認したり、速やかに傾向
不良を発見するために、全ての生産された医薬品を種類によって製
品品質の遡及的分析を行い、製品及び工程に関する改善の方向を確
定すること。遡及的分析を行なった過去データを考慮し、製品品質
についての遡及的分析の有効性も自己点検を行うこと。合理的かつ
科学的根拠がある場合、製品の剤形種類(例えば固形剤や液剤、無
菌製剤ななど)によって品質の遡及を行うこと。
遡及的分析に関しては、報告書がなければならない。
企業は少なくとも次の状況に対して遡及的分析を行わなければな
らない。
1.製品に使用される原薬と添加剤の全ての変更、特に新しいサプ
ライヤーからの原薬と添加物
2.重要なプロセスコントロール及び完成品の検査結果
3.品質規格を満たしていない全てのバッチ及びその調査
4.全ての重大な逸脱及び関連調査、講じた改善措置と予防措置の
有効性
5.製造工程又は検査方法などの全ての変更
6.承認又は届出された医薬品の登録に全ての変更
7.安定性モニタリングの結果及びあらゆる傾向不良
8.品質上の理由で全ての返品、苦情、リコール及び調査
9.製品工程又は設備に関する是正措置の実行状況と効果
10.新たに承認された医薬品及び変更があった医薬品について、
登録要件に従って市場に出回ってから完了させなければなら
ない作業状況
11.空調浄化システム、給水システム、圧縮空気などの関連設備
と施設の確認状況
12.委託生産又は委託検査の技術契約の履行状況
第 267 条
遡及的分析の結果について評価を行ない、是正・予防
措置を取る必要があるか、若しくは再確認や再バリデーションを行
う必要があるかについて意見と理由を提出し、迅速かつ効果的に改
善を完了すること。
第 268 条
医薬品生産を委託する場合、委託者と受託者が書面化
された技術契約を締結しなければならず、製品品質の遡及的分析を
予定通りに行い、かつ、要件を満たしていることを確保するために、
契約では製品品質の遡及的分析中に双方の責任を規定すること。
第 9 節 苦情と副作用報告書
第 269 条
医薬品副作用報告書と監視管理制度を作成し、専門組
織を設置し、かつ、専任者を配置して管理させること。
第 270 条
自発的に医薬品の副作用を収集し、副作用について、
詳しく記録し、評価、調査及び処理を行い、存在する可能性のある
リスクを抑制するための措置を速やかに取り、要件に従って医薬品
監督管理部門に報告すること。
第 271 条
操作手順を作成し、苦情の登録・評価・調査・処理の
手順を定め、可能性のある製品欠陥の理由で苦情が発生した場合に
講じる措置を定め、市場から医薬品をリコールする必要があるかど
うかを検討することを含む。
第 272 条
品質苦情の調査と処理に責任を負う専任者と十分な補
助人員を配置し、全ての苦情及び調査情報は有資格者に報告するこ
と。
第 273 条
全ての苦情は登録して審査すること。品質欠陥に関す
る苦情に関しては、苦情の全ての細部を詳しく記録し、かつ、調査
を行うこと。
第 274 条
特定のバッチの医薬品に欠陥があることを発見又は
疑われる場合は、他のバッチの医薬品の検査し、影響を受けてい
るかどうかを調べて確認する。
第 275 条
苦情調査と処理に関しては、記録を取らなければな
らない、記録では、調べられた当該バッチ製品の情報を明記する
こと。
第 276 条
注意する必要がある問題、繰り返し生じた問題、及び
市場から医薬品がリコールされる可能性がある問題を発見するため
に、苦情記録について定期的に遡及的分析を行ない、適切な措置を
講じること。
第 277 条
生産ミス、医薬品の変質又はその他の重大な品質問題
が生じた場合、企業は速やかに適切な措置を取り、必要に応じて、
現地の医薬品監督管理部門に報告すること。
第 11 章 委託生産と委託検査
第1節 原 則
第 278 条
生産を依頼した製品の品質及び委託検査の正確性と信
頼性を確保するために、委託者と受託者が書面化された契約を締結
し、双方の責任、委託生産又は委託検査の内容及び関連技術事項を
明確に規定すること。
第 279 条
技術上又はその他の方面で行う予定のある全ての変更
を含み、委託生産又は委託検査に関する全ての作業は、医薬品の生
産許可と登録に関する要件を満たすこと。
第 2 節 委託者
第 280 条
委託者は受託者に対して評価を行ない、受託者の条
件・技術レベル・品質管理状況を現場で審査し、受託業務を完了
する能力があるかを確認し、本規範の要件を満たすことを保証す
ること。
第 281 条
受託者が医薬品の登録とその他の法定要件に従って、
正確に依頼された作業を実施することができるように、委託者は
必要のある全ての資料を受託者に提供すること。
委託者は、受託者に製品又は作業に関連するさまざまな問題(製
品又は作業が委託者の環境、作業所、設備、人員及びその他の材料
又は製品に及ぼす可能性のある危害を含む)を十分に理解させるこ
と。
第 282 条
行うこと。
委託者は受託者の生産や検査の全過程に対する監督を
第 283 条
委託者は、材料と製品が適切な品質規格を満たすこと
を確保すること。
第3節
第 284 条
受託者
委託者は依頼された生産又は検査作業の要件を満た
すために、十分なプラント、設備、知識と経験、人員を持たなけ
ればならない。
第 285 条
受託者は、委託者から受け取った材料や中間体、未包
装製品が所定の用途に適用されることを確保すること。
第 286 条
受託者は、委託生産又は委託検査を受けた製品品質に
好ましくない影響を与えることをしてはならない。
第4節 契
第 287 条
約
委託者と受託者が締結した契約では、製品生産・制御
に関する各自の責任を詳細に規定し、その中の技術性条項は、製薬
技術と検査に関する専門知識を持ち、及び本規範を熟知する主管者
による制定されること。委託生産及び委託検査の各作業は、必ず医
薬品生産許可と医薬品登録に関する要件を満たし、双方により合意
されなければならない。
第 288 条
契約では、各バッチの製品が既に医薬品登録の要件に
従って生産と検査が完了したことを確保する為に、有資格が各バッ
チの医薬品をリリースする承認手順を詳細に規定すること。
第 289 条
契約では、どちらの当事者が材料の調達、検査、リリ
ース、生産と品質コントロール(中間コントロールを含む)を担当す
るかを規定し、どちらの当事者がサンプリングと検査を担当するか
も規定すること。
委託検査の場合は、契約では受託者が委託者の作業所においてサ
ンプリングするかどうかを規定する。
第 290 条
契約では、受託者が保存している生産・検査・配送記
録及びサンプルを、委託者が随時閲覧又は検査できることを規定す
ること。苦情があったり、製品の品質不良を疑ったり、リコールを
する場合には、委託者が製品品質の評価に関するあらゆる記録を簡
単に調べられるようにすること。
第 291 条
契約では、委託者が受託者に対して検査や現場品質監
査を行うことを明確に規定すること。
第 292 条
委託検査契約では、受託者が医薬品監督管理部門の検
査を受ける義務があることを明確にすること。
第 12 章
製品の配送とリコール
第1節 原
第 293 条
則
企業は、必要に応じて、潜在的な安全上の問題がある
バッチの製品を市場から迅速かつ効果的にリコールするための製品
リコールシステムを構築すること。
第 294 条
返品された製品の品質が影響を受けていないという証
拠がない限り、品質上の理由で返品及びリコールされた製品は、規
定に従って廃棄を監督すること。
第2節 配
第 295 条
送
各バッチの製品に関しては、配送記録を取らなければ
ならない。配送記録によって、各バッチの販売状況の追跡を可能と
し、必要に応じて、全ての製品を速やかにリコールできること。配
送記録の内容には、製品名称、規格、バッチ番号、数量、受取企
業・団体とその住所、連絡先、出荷日、輸送方法などを含めること。
第 296 条
配送される医薬品のバッチの端数は、2 バッチ分まで
同一の箱に入れることができる。箱の外側には、両方のバッチ番号
を明記し、そして一つの箱に入れたことを記録すること。
第 297 条
配送記録は、少なくとも医薬品の有効期間の 1 年後ま
で保存すること。
第 3 節 リコール
第 298 条
リコールの有効性を確保するために、リコールの操作
手順を作成すること。
第 299 条
リコール作業の調整を行う専任者を指定し、充分な人
員を配置すること。製品のリコール責任者は、営業部門及びマーケ
ティング部門から独立していること。製品のリコール責任者が有資
格者ではない場合、リコール処理の状況を有資格者に報告すること。
第 300 条
リコールはいつでも行うことができ、かつ迅速に実
施できるものでなければならない。
第 301 条
潜在的な安全上の問題により製品を市場から回収す
ると決定した場合は、直ちに現地の医薬品監督管理部門に報告す
ること。
第 302 条
製品の回収責任者は医薬品の配送記録を迅速に調べ
ることができるようにすること。
第 303 条
回収された製品には、(回収された製品である旨の)表
示ラベルがなければならない。そして、単独で適切に保管され、最
終処理の決定を待つこと。
第 304 条
回収の進捗状況に関して記録を取り、最終報告書を提
出する必要がある。製品の出荷数、回収数、数量バランスについて
は、報告書で説明すること。
第 305 条
製品回収システムの有効性に対して、定期的に評価を
行うこと。
第 13 章 自己点検
第1節
第 306 条
原
則
品質管理部門は、定期的に企業に自己点検を行わせ、
本規範の実施状況を監視し、企業が本規範の要件を満たすかどうか
を評価し、必要な是正・予防措置を提案すること。
第 2 節 自己点検
第 307 条
自己点検に関しては、計画がなければならない。組織
と人員、作業所と施設、設備、材料と製品、確認とバリデーション、
文書管理、生産管理、品質コントロールと品質保証、委託生産と委
託検査、製品出荷と回収などの項目を定期的に確認すること。
第 308 条
企業により任命された人員が独立的、系統的、全面的
な自己点検を行なうこと。また、外部の人や専門家による独立した
品質監査も可能である。
第 309 条
自己点検に関しては、記録を取らなければならない。
自己点検が完了後に、自己点検報告書を作成し、その内容には少な
くとも自己点検中に観察された全ての状況、評価の結論及び是正・
予防措置の提案を含めること。自己点検の状況は、企業の上級管理
職に報告すること。
第 14 章 付 則
第 310 条
本規範は医薬品生産品質管理の基本要件である。無菌
医薬品、生物由来製品、血液製剤などの医薬品又は生産品質管理活
動に対する特別な要件は、国家食品医薬品監督管理局が付録として
別途策定する。
第 311 条
企業は、本規範の要件を満たすために、バリデーショ
ン済みの代替方法を採用することができる。
第 312 条 本規範の中にある用語(中国語ピンインによる配列)
の定義は次の通りである。
1.包装
未包装製品が完成品になるまで必要な全ての操作ステップを指し、
小分け包装及びラベルの貼り付けなどを含む。ただし、無菌製造工
程における製品の無菌充填及び最終滅菌製品の充填などは包装と見
なされない。
2.包材
医薬品包装に用いられる材料で、医薬品と直接接触する包材と容
器、印刷済みの包材が含まれるが、輸送用の外部包装材は含まれな
い。
3.操作手順
設備の操作、保守と洗浄、バリデーション、環境コントロール、
サンプリングと検査など、医薬品の生産活動を指導するための、
承認された一般文書である。標準操作手順ともいう。
4.製品
医薬品の中間体、未包装製品と完成品。
5.製品ライフサイクル
開発、市場に出回ってから撤退するまで製品の全ての段階。
6.完成品
全ての操作ステップと最終包装が完了した製品。
7.再加工
ある製造工程で生産された品質規格を満たしていない 1 バッチの
中間体又は未包装製品の一部又は全部について、定められた品質規
格を満たすために、異なる製造工程で行う再作業。
8.未包装製品
包装されていないが、その他の全ての加工工程が完了した製品。
9.検証待ち
原薬、添加剤、包材、中間体、未包装製品又は完成品について、
物理的又はその他の効果的な方法で分離又は区別され、生産又は市
場販売を開始する前に保管されて出荷可否の判定を待っている状態。
10.放出
生産過程における材料、中間体、未包装製品、文書、生産用金型
などの企業内部における受け渡す際の一連の作業。
11.再試験日
原薬、添加剤、包材が一定期間で保管された後、定められた用途
に適していることを確保するために、企業が定めた再試験を行う日。
12.配送
企業が販売業者又はユーザーに製品を配送するための一連の作業、
例えば、製品の仕分け、輸送など。
13.リワーク
ある製造工程で生産された品質規格を満たしていない中間体や未
包装製品、完成品の一部又は全部を前工程に戻し、定められた品質
規格を満たすために、同じ製造工程で再加工を行う。
14.リリース
1 バッチの材料又は製品に対して品質評価を行い、使用許可、市
場投入又はその他の決定を下す作業。
15.上級管理職
企業を指揮・管理し、資源を動員する権力と責任を持つ企業の最
上級職員。
16.工程手順
特定の数量の完成品を生産するために作成された1つ又は 1 セッ
トの文書。内容には、生産処方、生産作業要件及び包装作業要件、
原薬・添加剤及び包材の量、工程パラメータと条件、加工の説明
(中間コントロールを含む)、注意事項などを含む。
17.サプライヤー
材料、設備、計器、試薬、サービスなどの提供者、例えば、生産
者や販売業者など。
18.再利用
ある特定の製造段階において、以前に生産されて適切な品質要
件を満たした 1 バッチ又は複数バッチの製品の一部又は全部を、
別のバッチに追加する作業。
19.コンピュータ化システム
データ入力、電子処理及び情報出力を含む報告又は自動制御のた
めの総合システム。
20.交叉汚染
異なる原薬、添加物及び製品の間に発生する相互汚染。
21.校正
定められた条件下で、測定・記録・制御機器又はシステムの表示
値(特に計量を指す)又は実量器による代表される値について、対
応する参照標準値との関係を確定する一連の操作。
22.キャンペーン生産方式
共用生産区域で一定期間内に特定の製品を集中的に生産し、そし
て、その共用生産区域、施設、設備、工具・器具などを徹底的に洗
浄し、別の製品を生産する方式。
23.清浄区域
環境中の微粒子及び微生物の数を制御する必要がある部屋(区
域)。その建築構造、装備及びその使用は、当該区域に汚染物の持
ち込み、発生及び蓄積を減らすことができる。
24.アラートレベル
システムの重要なパラメータが正常範囲を超えているもののアク
ションレベルには達していない状態。注意を払う必要があり、是正
措置を採る必要が生じる可能性がある。
25.アクションレベル
システムの重要なパラメータが許容可能な規格を超えている為、
調査を行い、かつ、是正措置を採る必要がある。
26.規格外試験結果
検査結果が法定規格や企業が設定した規格を超えること。
27.バッチ
一つ又はいくつかの加工の工程で製造され、求められる均質と均
一性を持つ,一定の数量を有する原薬、添加剤、包材又は完成品。
特定の操作ステップを完了するために、製品の 1 バッチをいくつか
のサブバッチに分ける必要があるかもしれない。最終的には、併せ
て均一な 1 バッチになる。連続生産の場合においては、バッチは生
産において求められる均一性を持つ数量を確定した製品と対応しな
ければならない。この場合、バッチサイズは、一定の数量又は特定
の時間内に生産された製品の数量となる。
例えば、経口又は外用の固形・半固形剤は、成形又は小分けする
前に、同じ混合設備で一度に混合されることによって生産された均
質な製品が 1 バッチになる。経口又は外用液剤は、充填(密封)前
に、最後に混合された薬液で生産された均質な製品が 1 バッチにな
る。
28.バッチ番号
特定のバッチを識別するために使用される数字と(又は)文字の
唯一の組合せ。
29.バッチ記録
各バッチの医薬品の生産、品質検査及びリリースの審査について
記述した全ての文書と記録、完成品の品質に関する全ての履歴情報
の追跡を可能すること。
30.エアロックルーム
2 つ以上の部屋の間に(例えば清浄度レベルの異なる部屋の間な
ど)2 つ以上の扉が設置された隔離スペース。エアロックルームを
設置する目的は、人や材料が出入りする際に、空気の流れを制御す
ることにある。エアロックルームには、人専用のエアロックルーム
と材料専用のアロックルームがある。
31.企業
本規範で特に説明されていない限り、企業は特に製薬企業を指す。
32.確認
作業所、施設、設備が正確に稼働し、求められる結果を達成でき
ることを証明する一連の作業。
33.返品
企業に医薬品を返還する。
34.文書
本規範での文書は、品質規格、工程手順、操作手順、記録、報告
などを指す。
35.材料
原薬、添加剤、包材など。
例えば、化学製剤の原料とは原薬を指す。生物由来製品の原料と
は原材料を指す。中医薬の原料とは原料生薬、中薬飲片、原料エキ
スを指す。原薬の原料とは原薬の製造に用いられる包材以外その他
の材料を指す。
36.物質収支
製品又は材料の実際の生産量・使用量及び収集された損失の合計
と、許容偏差範囲を考慮した理論上の生産量・使用量との比較。
37.汚染
生産、サンプリング、包装又は再包装、保管又は輸送などにおい
て、原薬、添加剤、中間体、未包装製品及び完成品が化学的又は微
生物的特性を持つ不純物又は異物の好ましくない影響を受けること。
38.バリデーション
全ての操作手順(又は方法)、製造工程又はシステムが求められ
る結果を達成できることを証明する一連の作業。
39.印刷済みの包材
特定の様式と印刷内容を有する包材。例えば、文字を印刷したア
ルミニウム箔、ラベル、説明書、紙箱など。
40.原材料
医薬品の生産に用いられる包材以外の全ての材料。
41.中間体
加工手順の一部が完了し、未包装製品になる前に、更に加工され
る必要がある製品。
42.中間コントロール
プロセスコントロールとも称する。製品が関連標準を満たすこと
を確保するために、製造工程を監視し、必要な時に調整するための
各種の検査を行う。環境・設備制御は、中間コントロールの一部と
見なすことができる。
第 313 条
本規範は 2011 年 3 月 1 日より実行する。『中華人民共
和国医薬品管理法』第9条の規定に基づき、具体的な実施方法と実
施手順は、国家食品医薬品監督管理局により規定する。
付録1
無菌薬品
第1章
第1条
範囲
無菌薬品とは、法定医薬品基準に無菌試験項目が記載さ
れている製剤及び原薬であり、無菌製剤及び無菌原薬を含む。
第 2 条
本付録は、無菌製剤の製造工程全体、及び無菌原薬の滅
菌及び無菌操作過程に適用する。
第2章 原則
第 3 条 無菌薬品の生産は、その品質と使用目的の要件を満たし、
微生物やさまざまな微粒子及びパイロジェンの汚染を最小限に抑え
ること。作業員の技術、受けた教育訓練及び仕事に対する姿勢は、
上記の目標を達成するための重要な要素となる。無菌薬品の生産の
際は、慎重に設計され、バリデーションされた方法と手順に従って
厳密に行うこと。最終処理や完成品検査(無菌試験を含む)によっ
て無菌やその他の品質特性的観点を確認するだけでは不十分である。
第 4 条 無菌薬品は製造法によって、2つのカテゴリーに分類され
る:最終滅菌法を適用する最終滅菌製品、一部又は全工程に無菌操作
法を適用する非最終滅菌製品である。
第 5 条
清浄区域に無菌薬品の作業員や設備及び材料を入れる場
合は、エアロックルームを通じて行わなければならない。機械で連
続的に運搬される材料の場合は、陽圧エアフローで差圧を確保し、
監視すること。
第 6 条
材料の準備、製品の調製、充填又は分注などの作業は、
清浄区域内(室)で行うこと。
第 7 条 製品の特性、工程及び設備などの要素に応じて、無菌薬品
を生産するため清浄区域クラスを決定すること。製造工程の各段階の
環境は、適切な作業時清浄度基準を満たし、製品又は処理される材料
が微粒子や微生物によって汚染されるリスクを可能な限り低減するこ
と。
第3章
清浄度クラス及び監視
第 8 条 清浄区域は、適切な清浄度の要件を満たすように設計さ
れ、「非作業時」及び「作業時」基準を満たすこと。
第 9 条 無菌薬品の生産に必要な清浄区域は、次のように 4 つの
グレードに区分されている。
グレードA:高リスクの作業を行う区域。充填区域、ゴム栓ホッ
パー及び無菌製剤と直接接触する開口容器を扱う区域、無菌的組み
立て又は接続を行う区域を含む。その区域には、環境状態を維持す
るために、一方向流のワークステーション(フローフード)を使用
すること。一方向流のシステムは、その作業区域において、風速
0.36-0.54m/s(ガイダンス値)の均質な空気を供給すること。一方
向流の状況を証明するデータを有し、かつ、バリデーションを行な
うこと。
閉鎖系アイソレータ又はグローブボックスでは、より遅い風速を
用いることができる。
グレードB:無菌調製や充填などの高リスクな作業に関して、グレ
ードA区域のバックグラウンドの環境となる。
グレードC及びD: 無菌薬品の生産において、より重要度の低い操
作ステップを行う清浄区域である。
上記の各グレードの空中浮遊粒子の基準は、次の表の通りである。
清浄度グレー
ド
最大許容浮遊粒子数 / 立方メートル
非作業時
作業時( 3 )
≥5.0μm
≥0.5μm
≥0.5μm
≥5.0μm
( 2 )
グレードA( 1 )
グレードB
グレードC
3520
3520
35200
20
29
2900
3520
352000
3520000
20
2900
29000
35200
29000
規定せず
規定せず
0
グレードD
00
注:
(1)グレードA清浄区域のクラス確認のためには、サンプリング場
所毎に最低1㎥のサンプル採取を行うこと。グレードA清浄区
域の浮遊粒子のクラスは 5.0μm 以上の浮遊粒子を限度基準と
し、ISO 4.8 である。グレード B 清浄区域の(非作業時)浮遊
粒子のクラスは、表の2種のサイズの浮遊粒子を含み、ISO 5
である。グレードC清浄区域(非作業時及び作業時)の浮遊粒
子のクラスは、それぞれ ISO 7 と ISO 8 である。グレードD清
浄区域(非作業時)での空中浮遊粒子のクラスは ISO 8 である。
測定方法は ISO14644-1 を参照することができる。
(2)グレードを確認する際には、5.0μm以上の浮遊粒子が遠隔サ
ンプリングシステムの長いチューブに沈殿することを避ける
ために、サンプリングチューブが短い携帯型のパーティクル
カウンターを使うこと。一方向流のシステムにおいては、等
速サンプルヘッドを使用すること。
(3)作業時の測定においては、作業時な清浄度クラスに達してい
ることを証明するために、通常の操作、培地模擬充填の作業中
に行なえるが、培地充填試験においては、「最悪の状態」で作
業時測定を行わなければならない。
第 10 条 清浄区域の浮遊粒子は、次の要件に従って作業時モニタ
リングを行う必要がある。
1.清浄度クラスと空気浄化システムにより確認された結果とリス
ク評価に基づいて、サンプリング場所の位置を特定し、日々の
作業時モニタリングを実施する。
2.グレードA清浄区域における、設備の組立作業を含む重要作業
の全過程について、浮遊粒子モニタリングを実施する必要があ
る。生産過程の汚染(生きた微生物、放射線物質)がパーティ
クルカウンターにダメージを与える可能性がある場合は、装置
の試運転及び模擬操作期間に測定を行うこと。グレードA清浄
区域でのモニタリングは、人の介入、一過性の事象、及びシス
テムの全ての損傷を迅速に発見できるような頻度とサンプルサ
イズで行なうこと。充填又は分注する際に、充填ポイントにお
いては、製品そのものが粒子や液滴を生じるため、 5.0μm 以上
の浮遊粒子が基準を満たさなくても良い。
3.グレードB清浄区域では、グレードA清浄区域に類似したモニ
タリングシステムを導入できる。サンプリング頻度とサンプル
サイズは、グレードB清浄区域が隣接するグレードA清浄区域
に与える影響の程度に応じて調整できる。
4.浮遊粒子のモニタリングシステムでは、サンプリングチューブ
の長さとチューブの曲がり部分の半径が測定結果に与える影響
を考慮すること。
5.日常のモニタリングのサンプルサイズは、清浄度クラス及び空
気浄化システムで確認する時の空気サンプルサイズと異なって
も良い。
6.グレードA及びグレードB清浄区域においては、5.0μm 以上の
浮遊粒子が連続的又は規則的に発生する場合は、調査を行なう
こと。
7.すべての作業が終了後に、作業員が生産現場から退出して、15~
20 分の(ガイダンス値)回復期間後、清浄区域の浮遊粒子は、表
の「非作業時」基準を満たすこと。
8.グレードC及びD清浄区域(必要に応じて)の作業時状態での
モニタリングは品質リスクマネージメントの原則に基づいて実
施すること。監視要件、警戒限界及び修正限界は、作業の性質
に応じて決定できるが、回復時間は規定された要件を満たすこ
と。
9.温度、相対湿度などのパラメータは、指定された清浄度に悪影
響を与えないように、製品及び作業の性質に基づいて設定する
こと。
第 11 条 微生物の作業時モニタリングを実施して、無菌操作の微
生物状態を評価すること。モニタリング法には、落下菌法、定量的
な空中浮遊細菌サンプリング法、表面サンプリング法(綿棒ワイプ
法、コンタクトプレート法など)などがある。作業時サンプリング
は清浄区域に悪影響を与えないようにすること。完成品バッチ記録
の照査には、環境モニタリングの結果を含めること。
重要な作業が完了した後には、設備表面及び作業員のモニタリン
グを実施すること。正常な製造の作業監視以外にも、システムのバ
リデーション、洗浄、殺菌などの作業が完了した後、微生物モニタ
リングを追加できる。
清浄区域の微生物モニタリングの作業時基準 (1)は次の通りであ
る:
表面付着微生物
落下菌(90mm)
接触(55mm) 5 本指の手袋
cfu /4 時間(2)
cfu/プレート
cfu/手袋
清浄度
クラス
浮遊菌
cfu/m3
グレード
A
グレード
B
グレード
C
グレード
D
1
1
1
1
10
5
5
5
100
50
25
-
200
100
50
-
注:
(1)表の各数値は平均値である。
(2)個々の落下菌プレートの曝露時間は4時間未満でもよい。同
じ位置で複数の落下菌プレートを使用して、連続的に監視
し、カウントを蓄積することができる。
第 12 条
適切な浮遊粒子及び微生物モニタリングのアラートレベ
ルとアクションレベルを設定すること。操作手順では、結果が基準
を超える場合に取るべき是正措置について詳細に説明すること。
第 13 条 無菌薬品の作業環境は、表の例を参考にして選択できる。
清浄度クラス
最終滅菌製品の作業事例
グレードCの
バックグラウ
ン ド に あ る 部 汚染リスクが高い(1)製品の充填(又は密封)
分的なグレー
ドA
1. 製品の充填(又は密封)。
2. 汚染リスクが高い(2)製品の調製と濾過。
3.眼科用剤、無菌の軟膏剤、無菌の懸濁液等の
グレードC
調製、充填(又は密封)。
4.医薬品と直接接触する包材及び器具の最終洗
浄後の処理。
1. キャッピング。
2.充填前の材料の準備。
3. 製品の調製(高濃度での調製又は閉鎖系シス
グレードD
テムでの調製)と濾過。
4.医薬品と直接接触する包材及び器具の最終洗
浄。
注:
(1)汚染リスクが高いとは、製品に菌がつきやすい、充填作業が
遅い、充填容器が広口ボトルである、密封までの時間が数秒
かかる等の状態を指す。
(2)汚染リスクが高いとは、製品に菌がつきやすい、調製後の滅
菌まで時間が掛かる、若しくは閉鎖系システム以外での調製
などの状態を指す。
清浄度クラ
非最終滅菌製品の無菌操作の事例
ス
1.完全に密封されていない(1)状態で製品の操作と転送。
例えば、充填(又は密封)、分注、打栓、キャッピング(2)
グレードBの
等。
バックグラウ
2.充填前に濾過除菌できなかった薬液又は製品の調製。
ンドにあるグ
3.医薬品と直接接触する包材、滅菌後の器具の組み立て、
レードA
完全に密封されていない状態での転送と保管。
4. 無菌原薬の粉砕、篩過、混合、分注。
1.完全に密封されていない状態( 1 )で完全に密封された
グレードB 容器に置かれている製品の転送。
2.密封された容器に置かれている滅菌済みの医薬品と直
接接触する包材・器具の転送と保管。
グレードC
グレードD
1.充填前に濾過除菌できる薬液又は製品の調製。
2.製品の濾過。
医薬品と直接接触する包材と器具の最終洗浄、組み立て、
又は包装、滅菌。
注:
(1)キャッピングの前の製品は、完全に密封されていない状態で
あると考えられる。
(2)打栓された製品の密封性、キャッピング装置の設計、アルミ
キャップの特性などの要素に応じて、キャッピング作業は、
グレードC又はDのバックグラウンドにあるグレードAの空
気供給環境で行うことができる。グレードAの空気を供給す
る環境は、少なくともグレードA区域の非作業時要件を満た
すこと。
第4章
第 14 条
アイソレーター技術
汚染リスクの高い作業は、アイソレーターで行うこと。
アイソレーター及びその装置が設置される環境は、関連する区域の
空気品質が設定された基準を担保することができるよう設計するこ
と。搬送装置は、シングルドア又はダブルドアで設計することがで
き、滅菌装置と連結する完全密閉システムとして設計することもで
きる。
物品がアイソレーターから出入りする際には、汚染防止に特に注
意しなければならない。
アイソレーターが設置される環境は、その設計と用途によって異
なり、無菌操作に用いられる隔離操作装置が置かれる環境は、少な
くともグレードD清浄区域である。
第 15 条
アイソレーターは、適切なバリデーション後に限り使用
できる。アイソレーターの内部及び外部環境の空気品質、アイソレ
ーターの消毒、運搬操作、アイソレーターの完全性など、アイソレ
ーターの重要な要素はすべて、バリデーションの際に考慮すること。
第 16 条
アイソレーター本体及びスリーブ・手袋のシステムにつ
いて、頻繁なリーク試験を含むモニタリングを定期的に行う必要が
ある。
第5章
第 17 条
BFS(ブロー・フィル・シール)技術
非最終滅菌製品の生産に使用されるブロー・フィル・シ
ール機は、自身にグレードAのエアシャワーを装着し、少なくとも
グレードCの環境に設置し、作業員の服装はグレードA/B清浄区域
の要件を満たすこと。非作業時条件下では、この環境中の浮遊粒子
及び微生物が基準を満たし、作業時条件下では、この環境中の微生
物が基準を満たすこと。
最終滅菌製品の生産に使用されるブロー・フィル・シール機は、
少なくともグレードDの環境に設置すること。
第 18 条
BFS技術の特殊性のため、装置の設計と確認、定置
洗浄・定置滅菌のバリデーション及び結果の再現性、装置が設置さ
れている清浄区域環境、作業員の教育訓練と服装、及び装置の重要
な区域内での操作(充填開始前の装置の無菌的組み立てを含む)に
特に注意を払うこと。
第6章 人員
第 19 条
清浄区域で作業員数は最小限に限定し、検査及び監督は
可能な限り無菌操作を行う清浄区域の外で行うこと。
第 20 条
清浄区域での作業員(清掃員や設備の修理者を含む)
は、
無菌製剤の作業が要件を満たすために、定期的に教育訓練を受ける
こと。教育訓練の内容には、衛生及び微生物に関する基礎知識を含
むこと。教育訓練を受けていない外部作業員(外部の工事者や修理
者など)が生産中に清浄区域に入る必要がある場合には、外部作業
員に対して、特に詳細な指導と監督を行うこと。
第 21 条
動物組織の加工に従事する作業員、又は現在の製造に関
連しない微生物の培養に従事する作業員は、通常、無菌製剤の生産
区域に立ち入ってはならない。必要な場合は、関係者の浄化操作手
順を厳格に執行すること。
第 22 条
無菌製剤の生産に従事する作業員は、汚染につながる可
能性のある異常状態(汚染タイプ及び程度)をいつでも報告するこ
と。従業員の健康状態により微生物汚染のリスクが高まる可能性が
ある場合は、任命された人員が適切な措置を講じること。
第 23 条
着替え及び手洗いは、
清浄区域への汚染を最小限に抑え、
或いは、清浄区域への汚染物の持ち込みを最小限にするために、操
作手順に従って実施すること。
第 24 条
作業服とその品質は、製造工程の要件や作業区域の清浄
度クラスに対して、適切でなければならない。また、作業服の様式
や着方は、製品や作業員の保護要件を満たすことができるものでな
ければならない。各清浄区域の服装規定は次の通りである。
グレードD清浄区域:頭髪やひげなどの関連部位を覆わなければ
ならない。適切な作業服と靴、又はオーバーシューズを着用しなけ
ればならない。清浄区域外からの汚染物の持ち込みを避けるため、
適切な措置を取らなければならない。
グレードC清浄区域:頭髪やひげなどの関連部位を覆い、マスク
を着用しなければならない。手首が絞られるツナギ又はツーピース
の作業服を着用し、適切な靴或いはオーバーシューズを着用しなけ
ればならない。作業服は、繊維や塵が脱落しないこと。
グレードA/B清浄区域:頭巾で全ての頭髪及び髭等を完全に覆う
とともに、頭巾を作業着の襟の中に入れ、飛沫を防止するためにマ
スクを着用し、必要に応じて防護眼鏡を着用しなければならない。
滅菌した粒子状物質(タルク等)をつけていないゴム又はプラスチ
ック製の手袋を着用し、滅菌或いは消毒したオーバーシューズを着
用しなければならない。ズボンの裾はオーバーシューズの中に入れ、
袖口は手袋の中に入れなければならない。作業服は滅菌されたツナ
ギ服で、繊維や微粒子を脱落しないともに、体から放出された微粒
子を外に出さないものでなければならない。
第 25 条
個人の上着はグレードB又はC清浄区域に通じる更衣室
には持ち込んではならない。全ての作業員は、グレードA/B清浄区
域へ入る度に、無菌の作業服を着替えなければならない。若しくは
各作業シフトについて、少なくとも一度着替える必要があるが、こ
の方法の実現可能性をモニタリング結果で証明しなければならない。
作業中、手袋は頻繁に消毒し、必要に応じてマスクと手袋を交換す
ること。
第 26 条
清浄区域の作業服は汚染物を付着させないように洗濯し、
取り扱い、清浄区域を汚染してはならない。作業服の洗浄、滅菌は、
関連する操作手順に従って行う必要がある。洗濯室は個別に設置す
ることが望ましい。
第7章 作業所
第 27 条
清浄作業所は、管理者や監視者の不要な立ち入りを可能
な限り避けるように設計されること。グレードB清浄区域は、管理
者や監視者が内部の作業を外部から観察できるように設計されるこ
と。
第 28 条
ちり、ほこりがたまりにくく、清掃しやすくするため、
清浄区域内の棚、キャビネット、装置などには、清掃しにくい箇所
を無くさなければならない。ドアは、清掃しやすいように設計され
ること。
第 29 条
無菌生産を行なうグレードA/B清浄区域では、流し及
び排水口は設置してはならない。他の清浄区域に流し又は排水口を
設置する場合は、適切な設計、配置、メンテナンスが必要であり、
また、逆流防止するために、洗浄しやすい空気遮断機能を備えた装
置を設置すること。外部排水システムとの接続方法は、微生物の侵
入を防止することができること。
第 30 条
更衣室はエアロック方式に従って設計され、可能な限り
作業服への微生物及び微粒子による汚染防止のため、異なる更衣を
段階毎に区分すること。更衣室には十分な換気回数を確保しなけれ
ばならない。更衣室の最終段階の静的クラスは、対応する清浄区域
と同じクラスでなければならない。必要に応じて、清浄区域から退
出と清浄区域へ入室するための更衣室を別々に設定することができ
る。通常、手洗い設備は更衣室の初めの段階のみ設置すること。
第 31 条
エアロックのドアは両側同時に開いてはならない。両側
のドアの同時開放を防止するために、インターロッキングシステム
あるいは視覚的又は(及び)聴覚的警報システムを設置すること。
第 32 条
どのような運転状態でも、清浄区域は適切な空気を供給
することで、周囲のグレードの低い区域に対し、陽圧を保持し、良
好なエアフローを維持し、効果的な清浄機能を保証すること。
製品と直接接触する洗浄された包材や器具、及び製品が直接曝露
する作業区域を特に保護すること。
特定の病原性物質、高毒性物質、放射性又は生ウイルス、生細菌
の材料及び製品を使用又は生産する場合、有害物質の流出を防止す
るために、空気浄化システムの空気供給と差圧を適切に調整するこ
と。必要に応じて、作業用の装置と当該区域の排出空気を除染する。
(排風口にフィルターを取り付けるなど)
。
第 33 条
使用されているエアフロー方式が汚染のリスクを引き起
こさないことを証明でき、かつ、記録(スモークテストの動画など)
を有しなければならない。
第 34 条
空気の供給装置の障害に関するアラームシステムを設定
すること。差圧ゲージは、差圧が重要な隣接したグレードの異なる
区域間に取り付けること。差圧データは、定期的に記録し、又は関
連ドキュメントに含めること。
第 35 条
キャッピングは大量の微粒子を生成するため、キャッピ
ング区域を個別に設置し、適切な排気装置を設置すること。キャッ
ピング区域を個別に設置しない場合には、キャッピング作業が製品
品質に悪影響を与えないことを証明することができること。
第8章 設備
第 36 条
ベルトコンベア自体は連続滅菌が可能な場合(例、トン
ネル滅菌機)を除き、ベルトコンベアがグレードA/B清浄区域とそ
れ以下のグレード清浄区域との間を貫通してはならない。
第 37 条
生産設備及び補助装置は、可能な限り、操作、維持管理、
メンテンナス等を清浄区域外からできるよう設計し、設置すること。
設備の滅菌が必要な場合は、可能な限り、完全に組み立てが終了し
てから行うこと。
第 38 条
無菌製剤生産の清浄区域の空気浄化システムは、継続的
に作動し、適切な清浄度クラスを維持すること。事情により停止し、
空気浄化システムが再開する場合、指定された清浄度クラス要件を
満たしていることを確認するために、必要な測定を実施すること。
第 39 条
設備の修理を清浄区域内で行い、当該区域の清浄度や滅
菌状態を維持できない場合は、必要な洗浄、消毒、滅菌を実施して、
モニタリングに合格した後に、生産作業を再開することができる。
第 40 条
滅菌キャビネット、空気浄化システム、工程用水システ
ムなどの重要な設備は、事前に確認し、計画的な保守を実施し、承
認を得た後に使用できること。
第 41 条
フィルターは、可能な限り繊維の脱落がないこと。アス
ベストを含むフィルターは絶対に使用してはならない。フィルター
は、製品との反応、物質の放出、又は吸着作用によって製品の品質
に悪影響を与えてはならない。
第 42 条
無菌操作区域に流入する全ての製造用ガス(圧縮空気、
窒素など、但し、可燃性ガスを除く)は濾過除菌され、除菌フィル
ターと呼吸フィルターの完全性を定期的に点検すること。
第9章 消毒
第 43 条
清浄区域は、操作手順に従って洗浄及び消毒を行なうこ
と。一般的に、使用する消毒剤は2種類以上使用すること。化学的
消毒を紫外線消毒に置き換えてはならない。耐性菌や汚染状態を速
やかに発見するために、環境モニタリングを定期的に実施すること。
第 44 条
消毒剤及び洗浄剤の微生物汚染の状態をモニタリングす
ること。調製後の消毒剤及び洗浄剤は、清潔な容器に保管し、保管
期間は指定された期限を超えてはならない。グレードA/B清浄区域
には、無菌又は無菌処理済みの消毒剤と洗浄剤を使用すること。
第 45 条
必要に応じて、燻蒸法で清浄区域内の衛生的な死角での
微生物汚染を低減することができる。また、燻蒸剤の残留レベルを
検証すること。
第10章 生産管理
第 46 条
すべての生産段階(滅菌前の各段階を含む)では、汚染
を低減するための措置を講じること。
第 47 条
無菌操作法のバリデーションには、培地充填試験(プロ
セスシミュレーション)を含めること。
培地の選択は、製品の剤形、培地の選択性、清澄度、濃度、及び
滅菌の適合性に基づいて行なうこと。滅菌結果に影響を与えるすべ
ての重要な作業、及び生産中に発生する可能性のある様々な介入及
び最悪の条件を含め、可能な限り、通常の無菌操作法を模倣するこ
と。
培地充填試験の最初のバリデーションは、各作業シフトについて、
連続 3 回合格試験を実施すること。空気浄化システム、設備、製造
法、人員の重大な変更がある度に、培地充填試験(プロセスシミュ
レーション)を繰り返し実施すること。通常、培地充填試験(プロ
セスシミュレーション)は、操作法に従って、各作業シフトについ
て半年に 1 回、少なくとも 1 バッチで実施すること。
培地充填に使用する容器の数は、評価の有効性を保証する十分な
数であること。バッチサイズが小さい製品については、培地充填本
数は、少なくとも当該製品バッチサイズと同じであること。培地充
填試験(プロセスシミュレーション)の目的は、汚染ゼロである。
そして次の要件に従わなければならない。
1.充填本数が 5000 本未満の場合は、容器汚染が検出してはいけな
い。
2.充填本数が 5000 本~10000 本の場合。
(1)1本が汚染された場合は、原因究明を行い、試験を再度実施
することもよい。
(2)2本が汚染された場合は、原因究明を行った後、再バリデー
ションを行うこと。
3.充填本数が10000本以上の場合。
(1)1本が汚染された場合は、原因究明を行うこと。
(2)2本が汚染された場合は、原因究明を行った後、再バリデー
ションを行うこと。
4.いかなる微生物汚染が発生する場合も、原因究明を行うこと。
第 48 条
バリデーションが生産に悪影響を与えないことを保証す
るための措置が講じること。
第 49 条
無菌原薬の精製用水、無菌製剤の調製用水、医薬品と直
接接触する包材や器具などの最終洗浄用水、グレードA/B清浄区域
内の消毒剤及び洗剤の調合用水は、注射用水の品質基準を満たすこ
と。
第 50 条
必要に応じて、医薬品製造用水のエンドトキシンを定期
的にモニタリングし、モニタリング結果と実施された是正措置の関
連記録を保存すること。
第 51 条
無菌製造を行っている際は、クリーンエリア区域におけ
る様々な行動を控えるように特に注意すること。作業員の激しい動
きから生じる微粒子と微生物の大量発生を防止するために、作業員
の移動は控えること。着用している作業服の特性を考慮して、周囲
の温度と湿度は作業員の快適性を保証すること。
第 52 条
原材料の微生物汚染を可能な限り最小限とすること。必
要に応じて、材料の品質基準には、微生物限度、エンドトキシン、
又は発熱性物質の試験項目を含めること。
第 53 条
クリーンエリアで繊維が脱落しやすい容器や原材料の使
用を避けること。無菌製造の工程では、これらの容器や原材料を使
用してはならない。
第 54 条
最終製品の微粒子汚染を低減するために、様々な措置を
講じること。
第 55 条
最終洗浄後の包材、容器、及び設備の取扱いは、再汚染
されないようにする。
第 56 条
包材、容器、設備の洗浄及び乾燥と滅菌の間隔、及び滅
菌から使用までの間隔はできるだけ最小限にすること。所定の保管
条件に基づいて、間隔管理基準を確立すること。
第 57 条
薬液の調製を開始してから滅菌(又は濾過除菌)までの
時間をできるだけ短縮すること。製品の特性及び保管条件に基づい
て、適切な間隔管理基準を確立すること。
第 58 条
使用する滅菌方法の効果に基づいて、滅菌前の製品の微
生物汚染レベルのモニタリング基準を決定し、定期的にモニタリン
グすること。必要に応じて、発熱性物質又はエンドトキシンもモニ
タリングすること。
第 59 条
無菌製造に使用される包材、容器、設備及びその他の物
は滅菌し、ダブルドア滅菌キャビネットを介して無菌製造区域に搬
入すること。その他の方法で無菌製造区域に搬入することも許容さ
れるが汚染を防ぐこと。
第 60 条
別途規定されている場合を除き、無菌製剤のロット分け
の原則は次の通りである。
1.大(小)容量の注射剤は、同じ薬液調製タンクで最終的に一度
に調製された薬液で生産された均質な製品を1ロットとする。
同一ロットの製品は、異なる滅菌装置で滅菌、又は同じ滅菌装
置で2回以上滅菌した場合、追跡することが可能でなければな
らない。
2.粉末製剤は、同一連続生産サイクル中に1ロットの無菌原薬で
製造された均質な製品を 1 ロットとする。
3.凍結乾燥製剤は、同一ロットで製造された薬液で同一の凍結乾
燥装置を使用して同一の生産サイクル中に調製された均質な製
品を 1 ロットとする。
4.眼科用剤、軟膏剤、乳剤、懸濁液等は、同一の調製タンク最終
的に一度に調製されて生産された均質な製品を1ロットとする。
第11章 滅菌工程
第 61 条
無菌製剤は、できるだけ乾熱滅菌法で最終滅菌を行い、
最終滅菌製品における微生物残存率(無菌性保証レベル、SAL)は 10-6
を超えてはならない。湿熱滅菌法で最終滅菌を行う場合、通常、標
準滅菌時間 F0 値は 8 分より大きくなければならない。循環蒸気処理
は最終滅菌には含まれない。
熱に不安定な製品の場合、無菌操作又は濾過滅菌の代替方法を使
用することができる。
第 62 条
滅菌は、湿熱、乾熱、放射線滅菌、エチレンオキサイド
ガス、又は濾過滅菌で行うことができる。各滅菌方法には、固有の
適用範囲があり、滅菌工程は、承認された要件に一致し、バリデー
ションを行なうこと。
第 63 条
いかなる滅菌工程は、使用する前に、物理的な測定手段
及び生物学的インジケータを使用して、その工程の製品又は物品へ
の適合性及びすべての部位で滅菌効果が得られることをバリデーシ
ョンすること。
第 64 条
滅菌工程の有効性に対して定期的に再バリデーションを
行うこと
(少なくとも年に 1 回)
。設備に重大な変更が行われた際に、
再バリデーションを行うこと。再バリデーションの記録を保存する
こと。
第 65 条
有効に滅菌するため、滅菌前の物品全体が所定の要件に
従って処理されること、そして滅菌工程が滅菌要件を満たすことを
保証できるように設計されること。
第 66 条
滅菌装置のチャンバー内にある滅菌前の製品及び物品の
積載方法は、バリデーションによって確認すること。
第 67 条
生物学的インジケータは、供給者の指示に従って保存及
び使用し、陽性対照試験でその品質を確認すること。
生物学的インジケータを使用する場合は、生物学的インジケータ
による微生物汚染を防止するために、厳格な管理措置を講じること。
第 68 条
滅菌済と滅菌前の製品を明確に区別するための方法をと
ること。製品又は原材料を入れている各台車(トレー、又は他の積
載用具)にはラベルを貼り付け、品目名、バッチ番号、滅菌前又は
滅菌済みといった内容を明記すること。必要に応じて、湿熱滅菌指
示テープを使用して区別することが可能である。
第 69 条
各滅菌作業に関しては、滅菌記録を取らなければならな
い、製品を出荷する際の根拠の 1 つとする。
第 12 章 滅菌方法
第 70 条
加熱滅菌には、通常、湿熱滅菌と乾熱滅菌があり、次の
要件を満たさなければならない。
1.バリデーション・製造工程においては、モニタリング又は記録
用温度プローブと制御用温度プローブをそれぞれに設置し、設
置位置はバリデーションにより決定すること。滅菌サイクル毎
に、滅菌処理の時間-温度曲線を記録すること。
自己制御及びモニタリングシステムを使用する場合、重要な工
程の要件を満たすことを保証するために、バリデーションを行
なうこと。自己制御及びモニタリングシステムは、システム及
び工程の実行中に発生した故障を記録することができなければ
ならない。かつ作業員による監視を行うこと。独立した温度モ
ニターの測定値は、滅菌工程の間に記録されたチャートの値と
定期的に照合すること。
2.滅菌工程は、化学的又は生物学的インジケータを使用して監視
できるが、物理測定の代わりとはなりえない。
3.各積載方法に必要な昇温時間をモニタリングし、全ての被滅菌
製品又は物品が設定された滅菌温度に達した後から、滅菌時間
の計算を開始すること。
4.冷却過程で滅菌済みの製品又は物品が汚染されることを防止す
るための措置を講じること。生産中に全ての浸透や漏出のリス
クのある製品を取り除くことができることが証明されない限り、
製品又は物品に接触する全ての冷却用媒体(液体又は気体)は、
滅菌又は除菌を行うこと。
第 71 条
湿熱滅菌は、次の要件を満たさなければならない。
1.湿熱滅菌工程においてモニタリングが必要なパラメータには、
滅菌時間、温度又は圧力を含めること。
チャンバーの底部には排水口が付いた滅菌キャビネットである
場合、必要に応じて、滅菌処理過程にその排水口の温度データ
を測定して記録すること。滅菌工程に真空引き作業を含む場合
は、定期的にチャンバーのリークテストを行うこと。
2.密封された製品を除き、被滅菌物は適切な材料で適切に包むこ
と。また、使用された資材及び包装方法は、空気の排出と蒸気
の透過を可能にし、及び滅菌後に汚染を防止することができる
ものとすること。所定の温度及び時間内に、被滅菌物のすべて
の部位は滅菌媒体に十分に接触していること。
第 72 条
乾熱滅菌は、次の要件を満たさなければならない。
1.乾熱滅菌の際には、滅菌キャビネットのチャンバー内に非無菌
空気が侵入するのを防止するため、空気を循環させて且つ陽圧
を保持すること。チャンバーに入る空気は、HEPA フィルター(高
性能エアフィルター)で濾過すること。また、HEPA フィルター
は、完全性テストを受けること。
2.乾熱滅菌を使用して、発熱性物質を除去する場合は、そのバリ
デーションにはエンドトキシンのチャレンジテストを含める必
要がある。
3.乾熱滅菌工程における温度、時間、及びチャンバー内外圧差に
関しては、記録を取らなければならない。
第 73 条
放射線滅菌は、次の要件を満たさなければならない。
1.製品の品質に悪影響を与えないことが証明された場合のみ、放
射線滅菌を使用するが可能である。放射線滅菌は、
『中華人民共
和国薬局方』及び登録・承認された関連要件を満たすこと。
2.放射線滅菌工程は、バリデーションを行なうこと。バリデーシ
ョンの計画には、照射線量、照射時間、包材の材質、積載方法
を含め、かつ、包装密度の変化が滅菌効果に与える影響を評価
すること。
3.放射線滅菌工程において、線量計を使用して照射線量を測定す
ること。
4.生物学的インジケータは、追加のモニタリング手段として使用
できる。
5.照射前と照射済みのものの混同を防止するための措置を講じ
ること。放射線感応性変色インジケータを各包装に付けている
こと。
6.所定の時間内に既定の総照射線量に達すること。
7.放射線滅菌に関しては、記録を取らなければならない。
第 74 条
EOG(エチレンオキサイドガス)滅菌は、次の要件を
満たさなければならない。
1. EOG滅菌は、『中華人民共和国薬局方』及び登録・承認され
た関連要件を満たすこと。
2.滅菌工程のバリデーションは、エチレンオキサイドガスによる
製品に有害な影響を与えないことを証明でき、そして異なる製
品又は原材料のために設定された排気条件と時間は、すべての
残留ガス及び反応生成物が設定された許容限界以下になること
を保証できること。
3.微生物が結晶や乾燥タンパク質内に隠されないよう措置を講じ、
滅菌ガスと微生物の直接接触を保証すること。被滅菌物の包材
の性質と数量が滅菌効果に与える影響を確認すること。
4.被滅菌物が、滅菌工程で規定された温度と湿度に達した後には、
できるだけ早く滅菌ガスを入れて、滅菌効果を保証すること。
5.滅菌サイクル毎に、一定量の適切な生物学的インジケータを被
滅菌物の異なる部位に配置し、滅菌効果をモニタリングし、そ
の結果はロット記録の一部とすること。
6.毎回の滅菌記録の内容には、滅菌工程全体の終了までの時間、
滅菌過程のチャンバー内の圧力、温度、湿度、 エチレンオキサ
イドガスの濃度と使用したエチレンオキサイドガスの総量を含
めること。滅菌工程全体の圧力と温度を記録すること。滅菌曲
線は、ロット記録の一部とすること。
7.滅菌済のものは、ガスや反応生成物の残留物を規定された限度
まで下げるために、制御される換気環境に保管すること。
第 75 条
非最終滅菌製品の濾過除菌は、次の要件を満たさなけれ
ばならない。
1.最終滅菌可能な製品については、最終滅菌法を濾過除菌法に置
き換えてはならない。医薬品を最終包装容器で滅菌できない場
合は、薬液を孔径 0.22μm(それ以下又は同等な濾過能力を有す
る)除菌フィルターで事前に滅菌された容器に濾過し、入れる
こと。除菌フィルターはウイルスやマイコプラズマを全て除去
することはできないため、濾過除菌の不足を補完するために、
熱処理法を使用することができる。
2.濾過滅菌のリスクを低減するための措置を講じること。更にも
う一つの滅菌された除菌フィルターを取り付けて、もう一度薬
液を濾過すること。最終の除菌フィルターは、可能な限り充填
場所に近づけること。
3.除菌フィルターを使用した後は、直ちに適切な方法でその完全
性を検査し、記録をすること。通常の方法には、バブルポイン
ト試験、拡散流量テスト、又はプレッシャーホールドテストが
ある。
4.濾過除菌工程は、バリデーションを行うこと。バリデーション
中に、一定量の薬液を濾過するために必要な時間とフィルター
の両側の圧力を確認すること。正常時間や圧力から明らかに逸
脱した場合は、記録して調査を実施し、調査結果はロット記録
の一部とすること。
5.同じ規格と型番の除菌フィルターの使用期限に対して、バリデ
ーションを行ない、通常、1 作業日を超えて使用してはならな
い。
第13章 無菌製剤の最終処理
第 76 条
小瓶が圧栓された後に、できるだけ早くキャッピングを
完成し、キャッピングの前に無菌作業区域又は部屋から離れる場合、
製品の汚染を防止するための適切な措置を講じること。
第 77 条
無菌医薬品の包装容器の密閉性は、製品が汚染されない
ようにバリデーションを行なうこと。
ガラスアンプルやプラスチックアンプルなどの溶閉された容器は
100%リーク試験を実施すること。その他の包装容器の密閉性は、作
業手順に従って抜取検査を実施すること。
第 78 条
真空状態で密閉された製品の包装容器は、事前に設定し
た適切な時間が経過したら、真空レベルを確認すること。
第 79 条
無菌製剤の外部汚染又はその他の欠陥に対して、個々に
検査すること。目視法を使用する場合、適合する条件の下で検査し、
目視検査を実施する作業員は、連続した目視検査時間が長すぎては
いけない。目視検査を実施する作業員の視力は定期的に検査するこ
と。その他の検査方法を使用する場合は、当該方法に対してバリデ
ーションを行ない、設備の性能を定期的に確認し、記録すること。
第14章
第 80 条
品質コントロール
無菌試験のサンプリング計画は、リスク評価の結果に基
づいて作成すること。サンプルには、微生物汚染のリスクが最も高
い製品を含めること。無菌試験用サンプルのサンプリングは、少な
くとも次の要件を満たさなければならない。
1.無菌充填された製品のサンプルには、最初及び最終の充填され
た製品、及び充填中に大きな逸脱が発生した製品を含める。
2.最終滅菌製品は、可能な滅菌コールドスポットからサンプリン
グすること。
3.同一ロット製品は、複数の滅菌装置又は同じ滅菌装置を使用し
て分割的に滅菌される場合、サンプルは各設備/回の滅菌設備か
ら抜き取ること。
第15章 用語
第81条
次の用語の定義は次の通りである。
1.ブロー・フィル・シール機
熱可塑性樹脂を吹き付けて容器を成形すると同時に充填・密封を
完了する全自動機械。連続したブロー成形、充填、密封(ブロー・
フィル・シールと略称)を行うことができる。
2.動的
生産設備が所定の工程で稼働し、所定の数の作業員が現場で作業
する状態。
3.一方向流
空気が同じ方向に流れ、安定した均一な方式で十分な速度で流れ
る。一方向流は、重要な作業区域の微粒子を連続的に除去すること
ができる。
4.隔離作業装置
グレードB(ISO 5)以上の清浄度グレードの空気浄化装置が配置
され、その内部環境を、外部環境(所在する清浄室や作業員など)
から常に完全に隔離させる装置又はシステム。
5.静的
すべての生産設備が設置されているが、生産作業がなく、作業員
がいない状態。
6.密封
外部微生物の侵入を防止するために、容器や器具を適切な方法で
封じる。
付録 2
原薬
第1章 範
第 1 条
囲
この付録は、非無菌原薬の製造及び無菌原薬の製造にお
ける非無菌操作工程に適用する。
第 2 条
原薬製造の起点と工程は、登録・承認された要件と一致
すること。
第 2 章 工場と施設
第 3 条
非無菌原薬の精製、乾燥、粉砕、包装等の製造作業の曝
露環境は、グレードD清浄区域の要件に従って設置すること。
第 4 条
品質基準には、パイロジェンやエンドトキシンなどの検
査項目が含まれている場合、工場は特に微生物汚染を防止するよう
に設計され、製品の使用目的、工程要件に応じて適切なコントロー
ル措置を講じること。
第 5 条
品質コントロールラボは、通常、製造区域と分離するこ
と。中間コントロールラボは、製造作業が検査結果の精度に影響を
与えず、検査操作が製造に悪影響を及ぼすことがない場合、製造区
域に配置できること。
第 3 章 設備
第 6 条
設備に必要な潤滑剤、加熱又は冷却媒体などは、中間体
又は原薬の品質に影響を与えないために、中間体又は原薬と直接接
触しないようにすること。上記の要件から逸脱した場合は、製品の
品質及び使用目的に悪影響を与えないことを保証するために、評価
し、適切な処置を行うこと。
第 7 条
製造は密閉された設備で行うこと。密閉された設備及び
パイプを屋外に設置できること。開放設備を使用する、又は設備を
開けて操作を行う場合は、汚染を避けるための措置を講じること。
第 8 条
同じ設備で多品種の中間体又は原薬を製造する場合は、
設備が共用できる妥当性を説明し、交叉汚染を防止するための措置
を講じること。
第9条
第 10 条
洗浄しにくい設備又は部品は、専用にすること。
設備の洗浄は、次の要件を満たさなければならない。
1.共用設備で同じ原薬を連続生産する、又は連続する複数のバッ
チを段階的に製造する場合、汚染物(分解産物、微生物など)
の蓄積を防止するために、適切な時間を置いて設備を洗浄する
こと。原薬の品質に影響を与える残留物がある場合は、バッチ
を交換する際に、設備を徹底的に洗浄すること。
2.非専用設備の場合は、品種を交換して製造する前に、交叉汚染
を防止するために、設備(特に粗製品の精製から始まる非専用
設備)を徹底的に洗浄すること。
3.残留物の許容基準、洗浄操作手順、洗浄剤の選択については、
明確に規定し、その理由を説明すること。
第 11 条
非無菌原薬の精製工程に使用される水は、少なくとも精
製水の品質基準を満たすこと。
第 4 章 材料
第 12 条
作業所に搬入される材料に関しては、正確な表示ラベル
がなければならず、サンプリングした(又は検証合格)後に限り、
既存の在庫(保管槽内の溶媒や材料など)と混合することができる。
また、リリース後にのみ、混合材料を使用できること。材料を間違
って既存の在庫に置くことを防止するための操作手順が必要である。
第 13 条
専用タンクローリー以外でバルク材料を運送する場合は、
タンクローリーによる交叉汚染を避けるための適切な措置を講じる
こと。
第 14 条
大型の保管容器とその付属品、材料投入配管及び吐出配
管に関しては、適切な表示ラベルがなければならない。
第 15 条
材料のバッチ毎に少なくとも 1 項目の識別試験を実施す
ること。原薬製造企業に供給者の監査システムがある場合、供給者
の検査報告書は、その他の項目の試験の代わりに使用することがで
きる。
第 16 条
加工助剤、有害又は猛毒の原料、その他の特殊材料又は
本社の別の製造場所に移転された材料は、検査が免除になるが、供
給者の検査報告書を取得し、検査報告書には、これらの材料が規定
された品質基準を満たしていることが示されているとともに、その
容器、ラベル及びバッチ番号についても、目視検査で確認すること。
検査の免除については、理由を説明し、正式な記録を取らなければ
ならない。
第 17 条
最初に調達した 3 バッチの材料の完全検査が合格した後
に限り、後続バッチに対して一部の項目を検査することができるが、
定期的に完全検査を実施し、供給者の検査報告書と比較すること。
供給者の検査報告書の信頼性と正確性を定期的に評価すること。
第 18 条
屋外で保管できる材料は、明確な表示ラベルが付いた適
切な容器に保管し、開ける前及び使用する前に適切に洗浄すること。
第 19 条
必要に応じて(長期間保管したり、高温又は湿度の高い
環境で保管したりする場合)、状況に応じて材料の品質を再評価し、
その適合性を判断すること。
第5章
第 20 条
検証
プロセスバリデーションの前に、
製品の重要な品質特性、
製品の重要な品質特性に影響を与える重要工程パラメータ、 通常の
製造及びプロセス制御における重要工程パラメータの範囲を確定し、
検証でプロセス操作の再現性を証明すること。
重要品質特性と工程パラメータは、開発段階で、又は履歴情報と
データに基づいて決定されること。
第 21 条
検証には、原薬の品質(特に純度と不純物など)に重大
な影響を与える重要な操作を含めること。
第 22 条
検証方法
1.原薬製造工程の検証方法は、通常、予測的バリデーションであ
る。原薬が頻繁に製造されない、バッチ数が少ない、又は製造
工程が変更されたなどの理由で、原薬の反復製造から既存のデ
ータを得ることが困難な場合は、コンカレントバリデーション
を行なうこと。
2.原料、設備、システム、施設又は製造工程の変更により原薬の
品質に影響を与える重大な変更が発生しない場合は、例外で、
回顧的バリデーションを行なうこと。当該検証方法は、次の場
合に適用される。
(1)重要品質特性と重要工程パラメータが特定されていること。
(2)適切な中間コントロール項目と合格基準が設定されているこ
と。
(3)作業員のミスや設備の故障を除き、大きな工程又は製品の不
合格が発生したことはない。
(4)原薬の不純物が明らかになった。
3.回顧的バリデーションのバッチは、検証段階で代表的な製造バ
ッチであり、これには、不合格バッチも含まれる。工程が安定
していることを証明するために、十分なバッチ数が必要である。
必要に応じて、保存サンプル検査で得たデータを回顧的バリデ
ーションの補足にすること。
第 23 条
検証計画
1.プロセスバリデーションを実行する回数は、製造工程の複雑さ
と工程変更のカテゴリーに基づいて決定すること。予測的バリ
デーションとコンカレントバリデーションは、通常、連続して
合格した 3 バッチを使用するが、工程の一貫性を保証するため
に、より多くのバッチが必要になる(複雑な原薬製造工程や、
サイクルの長い原薬製造工程など)。
2.プロセスバリデーション中は、重要工程パラメータを監視する
こと。品質に関係しないパラメータ(省エネや設備の使用に関
係する制御パラメータなど)は、プロセスバリデーションに含
める必要がない。
3.プロセスバリデーションは、各種原薬の不純物が規程の限度内
にあること、及び工程の開発段階で確定された不純物の限度又
は重要な臨床及び毒物学研究用バッチの不純物データと同等で
あることを証明すること。
第 24 条
洗浄検証
1.洗浄操作手順は、通常、検証を行なう。洗浄検証は、一般に汚
染物、使用する材料が原薬の品質に最大のリスクをもたらす状
況又は工程手順に対して行なうこと。
2.洗浄操作手順の検証は、設備の実際の使用状況を反映すること。
複数の原薬又は中間体が同じ設備で製造され、同じ操作手順で
洗浄される場合は、洗浄検証の参照物として、代表的な中間体
又は原薬を選択することができる。洗浄参照物は、溶解度、洗
浄の困難さ、及び残留物の限度に基づいて選択すること。また、
残留物の限度は、活性、毒性、安定性に基づいて決定すること。
3.洗浄検証計画書には、洗浄が必要な対象物、洗浄操作手順、選
択した洗浄剤、許容限度、監視が必要なパラメータ、検査方法
について詳細に記述すること。また、当該計画書には、サンプ
ルの種類(化学的又は微生物的)、サンプリング箇所、サンプリ
ング法、サンプルの表示ラベルについても説明すること。専用
の製造設備を使用し製品の品質が安定している場合は、目視検
査法で許容限度を決定することができる。
4.サンプリング法には、不溶性及び可溶性残留物の検査のために、
スワブ法、リンス法、又はその他の方法(直接抽出法など)を
含む。
5.残留物や汚染物の測定には、高感度であることが実証された分
析法を用いること。各分析法の検出限界は、高感度で、残留物
や汚染物の限度基準を測定できること。分析方法で達成できる
回収率を決定すること。残留物の限度基準については、実際的
であり、最も有害な残留物に基づいて決定すること。これは、
原薬の薬理、毒性、又は生理学的活性に基づいて決定し、原薬
製造において最も有害な組成物に基づいて決定することもでき
る。
6.パイロジェンやエンドトキシンの汚染レベルを制御する必要
がある製造工程については、設備の洗浄検証文書に詳細に記述
すること。
7.洗浄操作手順の検証後は、検証において設定された検査方法に
従って定期的に監視し、日常の製造における操作手順の有効性
を保証すること。
第6章 文書
第 25 条
企業は製造工程の要件、製品の品質影響度、材料の特性
及び供給者に対する品質評価に基づいて、妥当な材料品質基準を決
定すること。
第 26 条
中間体又は原薬製造で使用される特定な材料(加工助剤、
ワッシャー又はその他の材料)は、品質に重要な影響を与えるおそ
れがある場合には、適切な材料の品質基準を作成すること。
第 27 条
原薬の製造工程手順には、次の内容を含めること。
1.製造される中間体又は原薬の名称
2.名称とコードが記載された原料及び中間体の完全なリスト
3.各原料又は中間体の投入量又は投入比率(計量単位を含む)を
正確に記述すること。投入量が固定されていない場合は、各バ
ッチサイズ又は収率の計算方法を明記すること。妥当な理由が
ある場合、投入量の合理的な変動範囲を設定することができる。
4.製造拠点、主要設備(型式および材質等)
5.製造作業の詳細な説明
(1)作業の順序
(2)使用する工程パラメータの範囲
(3)サンプリング法の説明、使用する原料、中間体及び完成品
の品質基準
(4)個々の手順又は工程全体を完了するための期間(適用する
場合)
(5)製造段階又は期間で計算された予想収率の範囲
(6)必要な場合は、特別な予防措置、注意点、又は関連する参
照事項に従うこと。
(7)中間体又は原薬の適合性を保証することができる保管要件
(ラベル、包材、特殊保管条件及び期限を含む)
第7章 製造管理
第 28 条
製造作業
1.原料の適合性に影響を与えないように、適切な条件で計量する
こと。計量装置は、使用目的に適合する精度を持っている必要
がある。
2.材料の小分け包装後に製造に使用する場合は、適切な小分け容
器を使用すること。小分け容器には、表示ラベルが必要であり、
次の内容を明記すること。
(1)材料の名称又はコード。
(2)受領バッチ番号又は通し番号
(3)小分け容器に入っている材料の重量又は数量。
(4)必要に応じて、再試験又は再評価の日付を明記すること。
3.重要な計量又は小分け作業に関しては、審査する又は同様の制
御手段が必要である。使用する前に、作業員は使用する材料が
正しいことを確認すること。
4.製造過程で指定された手順の実際的収率と予想される収率を比
較すること。予想される収率の範囲は、以前の実験室、中間実
験、又は製造データに基づいて決定すること。重要な工程手順
の収率の偏差を調査し、偏差が関連バッチ製品の品質に与える
影響又は潜在的な影響を確定すること。
5.工程手順に期間制御に関する規定に従うこと。偏差が発生した
場合は、記録して評価すること。反応の終点又は加工手順の完
了が中間コントロールのサンプリングと検査に基づいて確定さ
れる場合には、期間制御は適用されない。
6.さらに加工が必要な中間体は、適切な条件で保管し、適合性を
確保すること。
第 29 条
製造の中間コントロールとサンプリング
1.製造する原薬の特性、反応の種類、工程手順が製品の品質に与
える影響の大きさなどを総合的に考慮し、制御基準、検査タイ
プ・範囲を確定すること。先行製造の中間コントロールの厳格
度は低く、最終工程(分離や精製など)に近ければ近いほど、
中間コントロールの厳格度が高くなる。
2.資格のある製造部門の人員は、中間コントロールを行なうこと
ができ、品質管理部門の事前承認の範囲内で、製造作業に必要
な調整を行うことができる。調整中に発生した中間コントロー
ルの検査結果が標準を超える場合、通常は調査する必要がない。
3.中間体及び原薬のサンプリング法を詳細に規定する操作手順を
作成すること。
4.操作手順に従ってサンプリングを行い、抜き取った中間体や原
薬サンプルが汚染されないために、サンプリング後のサンプル
は密封状態が良好であること。
第 30 条
ウイルスの除去又は不活化
1.ウイルスの除去・不活化は、検証済みの操作手順に従って行う
こと。
2.ウイルスの除去・不活化作業後の可能なウイルス汚染を防止す
るために、必要な措置を講じること。開放作業区域は、他の作
業区域と分離し、独立したエアコン浄化システムを設置するこ
と。
3.通常、同じ装置は、異なる製品や同じ製品の異なる段階での精
製作業には使用してはならない。同じ装置を使用する場合は、
ウイルスが装置又は環境を介して前回の精製作業から後続の精
製作業に持ち込まれることを防止するために、適切な洗浄・消
毒措置を講じること。
第 31 条
原薬又は中間体の混合
1.本条の混合とは、同じ品質基準を満たす原薬又は中間体を合わ
せて、均一製品を得るためのプロセスを指す。同じバッチから
の各部分の製品(同じ結晶バッチ番号の中間体が複数に分けて
遠心分離されるなど)を生産中に合わせ、若しくは複数バッチ
からの中間体を合わせてさらに加工されることは、製造工程の
一部として扱われ、混合とは見なされない。
2.不合格バッチは、その他の合格バッチと混合してはならない。
3.混合する製品の各バッチは、規定された工程に従って生産及び
個別に検査し、適切な品質基準を満たすこと。
4.混合作業には次のものを含む。
(1)バッチサイズを大きくするために、複数の小バッチを混合
する。
(2)同じ原薬の複数のバッチの端数を単一のバッチに混合する。
5.混合過程は、制御され、完全に記録を取らなければならない。
混合後のバッチは、品質基準を満たしていることを確認するた
めに、検証を行うこと。
6.混合後のバッチ記録は、混合に関与した各バッチ毎に追跡を可
能にすること。
7.物理的性質が重要な原薬(経口固形製剤や懸濁液などの原薬)
についての混合工程は検証を行うこと。当該検証には、混合バ
ッチの品質の均一性の証明、及び重要な特性(粒度分布、かさ
密度、タップ密度)の測定を含めること。
8.混合は製品の安定性に悪影響を与えるおそれがある場合、最終
混合バッチの安定性について考察すること。
9.混合バッチの有効期間は、混合に関与した最も古いバッチ製品
の生産日に基づいて確定すること。
第 32 条
バッチの区分原則
1.連続して生産された原薬の場合には、所定の期間内に生産され
た規定された限度内の均質製品を1バッチとする。
2.断続的に生産された原薬の場合には、一定量の製品の最終混合
によって得た規定された限度内の均質製品を 1 バッチとする。
第 33 条
汚染の制御
1.同じ中間体又は原薬の残留物を後続の複数バッチに持ち込まれ
た場合は、厳密に制御すること。持ち込まれた残留物は、分解
物や微生物による汚染を生じさせたり、原薬の不純物分布に悪
影響を与えたりしてはならない。
2.生産作業は、中間体や原薬がその他の材料による汚染を防止す
ることができること。
3.原薬の精製後の作業については、汚染防止に特に注意すること。
第 34 条
原薬又は中間体の包装
1.容器は、輸送及び所定の保管条件の下で、中間体及び原薬が変
質や汚染されることがないよう、保護することができるもので
あること。容器は、製品との反応や物質の放出、吸着作用によ
って中間体又は原薬の品質に影響を与えてはならない。
2.容器を洗浄すること。中間体又は原薬の性質に対して要件があ
る場合には、その適合性を確保するために容器を消毒すること。
3.再使用可能な容器は、操作規定に従って洗浄し、前回使用した
容器のラベルを除去、又は表示内容を消すこと。
4.密封状態の変化を容易に発見できるように、外部に輸送する必
要のある中間体又は原薬の容器には適切な密封措置を講じるこ
と。
第8章
第 35 条
不合格中間体又は原薬の処置
不合格中間体及び原薬は、第 36 条、第 37 条の要件に従
ってリワーク又は再加工すること。不合格材料の最終処置に関して
は、記録を取らなければならない。
第 36 条
リワーク
1.品質基準を満たしていない中間体又は原薬は、所定の製造工程
における手順を繰り返すことができ、再結晶化などその他の物
理的・化学的処理(蒸留、 濾過、クロマトグラフィー、粉砕な
どの方法)を行なう。
2.多数のバッチをリワークする必要がある場合は、1つの工程手
順として通常の製造工程に含めること。
3.通常の製造工程に含まれるリワークを除き、中間体又は原薬の
品質が、副産物及び過剰反応物の生成による悪影響を受けない
ことを確保するために、未反応物を特定の工程手順に戻して、
化学反応を繰り返すリワークに対して評価すること。
4.中間コントロール検査により、特定の工程手順がまだ完了して
いないことが示された場合、通常の工程で操作を続行でき、リ
ワークには属さない。
第 37 条
再加工
1.再加工された製品が元の工程で生産された製品と同じ品質であ
ることを証明するために、再加工されたバッチに関しては、評
価・検査及び必要な安定性モニタリングを行い、完全な文書と
記録を残さらなければならない。コンカレントバリデーション
を使用して、再加工の操作手順と予想結果を確定することがで
きる。
2.検証済みの操作手順に従って再加工を行い、再加工された各バ
ッチの不純物分布を通常の工程で生産されたバッチと比較する
こと。再加工バッチの特性を示すために、通常の検査方法では
不十分である場合、他の方法を使用すべきである。
第 38 条
材料と溶媒の回収
1.反応物質、 中間体又は原薬(母液又は濾液からの回収など)を
回収する場合は、回収に関する承認された操作手順があり、回
収された材料又は製品が所定の目的に適合する品質基準を満た
すこと。
2.溶媒は回収できる。回収された溶媒は、同じ種類が同一又は異
なる工程手順で再使用される場合、回収された溶剤が適切な品
質基準を満たしていることを確保するために、回収手順を制御
及び監視すること。回収された溶媒が、他の種類に使用される
場合、製品の品質に悪影響を与えないことを証明すること。
3.未使用溶媒と未回収された溶媒を混合する場合は、製造工程へ
の適合性を示す十分なデータを取る必要がある。
4.回収された母液・溶媒、及びその他の回収された材料の回収・
使用に関しては、完全で追跡可能な記録を取らなければならず、
不純物を定期的に測定すること。
第9章 品質管理
第 39 条
原薬の品質基準には、不純物制御(有機不純物、無機不
純物、残留溶媒など)を含めること。原薬に対して微生物又はエン
ドトキシンを制御する必要がある場合、適切な限度基準も作成する
こと。
第 40 条
管理された通常の製造工程で生産された各種の原薬に関
しては、不純物プロファイルを設定しなければならない。不純物プ
ロファイルには、製品に存在する既知及び未知の不純物の状況を記
述し、観察された各不純物の識別又は定性的な分析指標(保持時間
など)
、不純物含有量の範囲、及び確認された不純物の分類(有機不
純物、無機不純物、溶媒など)を明記すること。不純物分布は、通
常、原薬の製造工程と使用される起源原料に関連する。植物や動物
の組織を利用して生産された原薬、及び発酵によって生成された原
薬の不純物プロファイルには、必ずしも不純物分布図は必要ではな
い。
第 41 条
製品の不純物分析情報を、登録申告書の不純物プロファ
イル又は過去の不純物データと定期的に比較し、原料、装置運転パ
ラメータ及び製造工程の変更によって生ずる原薬品質の変化を究明
すること。
第 42 条
原薬の持続的な安定性モニタリング
1.安定性モニタリングに用いるサンプルの包装方法及び包材は、
市場に出回っている製品と同じか、又は類似していること。
2.通常、量産の最初の 3 バッチ製品は、有効期間をさらに確認す
るために、持続的な安定性モニタリングプログラムに用いられ
ること。
3.有効期間が短い原薬については、持続的な安定性モニタリング
を実施する際に、検査を更に頻繁に行うこと。
第10章
第 43 条
クラシカル発酵工程で原薬を生産する際の特別な要件
クラシカル発酵工程で原薬を生産する場合は、製造工程
において微生物汚染を防止するための措置を講じること。
第 44 条
プロセス制御には、次の事項を特に考慮すること。
1.ワーキングセルバンクの維持管理
2.接種及び増幅培養の制御
3.発酵の間の過程の重要な工程パラメータのモニタリング
4.菌体増殖、生産性のモニタリング
5.収集及び精製工程では、中間体・原薬の汚染を防止すること
6.適切な生産段階で微生物汚染レベルのモニタリングを行い、必
要に応じてエンドトキシンのモニタリングを行うこと
第 45 条
必要な場合には、培地、宿主細胞のタンパク質、その他
の工程と製品に関する不純物および汚染物の除去効果を立証するこ
と。
第 46 条
種菌の保守と記録の保管
1.有資格者のみが、種菌の保管場所に立ち入ることができる。
2.種菌の保管条件は、種菌の成長能力が要件レベルに達すること
を維持し、汚染を防止することができること。
3.種菌の使用及び保管条件に関しては、記録を取らなければなら
ない。
4.種菌は使用適合性を判定するために定期的にモニタリングする
こと。
5.必要に応じて、種菌の識別を行うこと。
第 47 条
種菌培養・発酵
1.細胞基材、培地、 緩衝液及び気体の無菌的な添加は、閉鎖系又
は封じ込めシステムを使用すること。最初の容器への接種やそ
の後の移送又は添加(培地、緩衝液)を開放容器で行う場合に
は、汚染を防止するための制御措置を備えること。
2.微生物汚染により原薬の品質が影響を受けるおそれがある場合
には、開放容器を使用する作業は、適切に管理された環境のも
とで行うこと。
3.作業者は適切な作業服を着用し、培地を取り扱う際には、特別
な防護措置を講じること。
4.重要な工程パラメータ(温度、pH、撹拌速度、通気量、圧力な
ど)は、設定した工程との一致を保証するためにモニタリング
すること。また、必要に応じて、菌体増殖、生産性もモニタリ
ングすること。
5.必要に応じて、発酵装置は、必要な場合には、洗浄、消毒、滅
菌を行うこと。
6.種菌の培地は、使用前に滅菌すること。
7.各工程の微生物汚染をモニタリングするための操作手順を作成
し、微生物汚染が製品の品質に与える影響を判定する、汚染除
去によって設備が通常の生産状態に戻ることを確定するなど、
取るべき措置を規定すること。汚染された材料を処置する場合
は、発酵過程で検出された外来微生物を識別し、必要に応じて
製品の品質への影響を評価すること。
8.微生物汚染及び処置に関するすべての記録を保存すること。
9.品種を変更して生産する場合は、交叉汚染のリスクを最小限に
するために、洗浄後の共通設備の検査を実施すること。
第 48 条
ハーベスト、分離、及び精製
1.ハーベスト手順で破壊後の菌体や菌体断片を除去する、又は、
菌体組成物を採集する作業区域及び使用される装置は、汚染の
リスクを最小限にするために設計されること。
2.菌体の不活化、菌体断片又は培地組成物の除去を含むハーベス
ト及び精製は、継続的で安定した製品の品質を保つために、適
切な操作手順を作成し、製品の分解、汚染を減らすための措置
を講じること。
3.分離及び精製は開放作業で行う場合、製品の品質を保証できる
環境を備えること。
4.装置を複数の製品のハーベスト・分離・精製に使用する場合、
専用のクロマトグラフィー媒体を使用する、又は、追加検査を
行うなど、適切な制御措置を追加すること。
第 11 章
第 49 条
用語
次の用語の定義は次の通りである。
1.クラシカル発酵
天然に存在する、又はコンベンショナルな手法(例えば、放射線照
射、化学的に引き起こした変異)により改良させた微生物を使用す
る原薬製造工程をいう「クラシカル発酵」により生産された原薬
は、通常、抗生物質、アミノ酸、ビタミン、炭水化物類のような
低分子物質である。
2.非無菌原薬
法的な医薬品基準に無菌検査項目を記載していない原薬。
3.重要な品質特性
物理学的、化学的、生物学的、又は微生物学的性質を意味し、予
想される製品品質を保証するために、適した限度、範囲、又は分
布が必要である。
4.プロセス添加剤
原薬や中間体の生産において補助的な役割を果たし、化学反応や
生物学的反応に関与しない物質(濾過助剤、活性炭など、溶媒は
含まない)
5.母液
結晶化工程又は分離工程の後に残る残留液
付録 3
生物学的製剤
(2020 年 4 月 23 日,2020 年第 58 号公告改訂)
第1章
第1条
範 囲
生物学的製剤の調製方法は、
製品の品質を管理する上で重要
な要素である。以下の調製方法を採用した生物学的製剤は本付録に適用
する。
1.微生物と細胞の培養。遺伝子組換え技術やハイブリドーマ技術を
含む。
2.生体組織の抽出
3.胎胚や動物体内を会しての生体繁殖
第2条
本付録で言及している生物学的製剤というのは、ワクチン、
抗毒素及び抗血清、血液製剤、サイトカイン、成長因子、酵素、医薬品
管理に基づいた体内・体外診断用医薬品、及びその他の生物活性製品(例
えば、毒素、抗原、アレルゲン、モノクローナル抗体、抗原抗体複合体、
免疫調節剤、プロバイオティクスなど)である。
第3条
生物学的製剤の生産と品質コントロールについては、
本付録
の要件及び国より定められる関連規定に従わなければならない。
第2章
第4条
原 則
生物学的製剤は、次のような特殊性を有するため、製造工程
及び中間体の検査に対して、特別なコントロールと管理を行うこと。
1.生物学的製剤の生産には、バイオプロセス及びバイオ材料に関わ
り、例としては、細胞培養や生きている生物体材料の抽出などが
挙げられる。それらの製造工程そのものには可変性があり、その
副産物の範囲や特性にも可変性がある。また、培養プロセスで使
用する材料も、微生物由来のコンタミを受けやすい培地である。
2.生物学的製剤の品質コントロールに使用される生物学的分析技術
は、通常、物理化学試験よりも可変性が高い。
3.製品の力価(免疫原性)を向上させるため、又は生物活性を維持
するために、通常、完成品にアジュバント又は保護剤を配合する必
要がある。そのため、完成品になった後に、一部の検査項目が実施
不可能となる。
第5条
生物学的製剤の生産企業は、生産品質管理の過程において、
国家が定めた生物安全管理に関する法令と生物学的製剤の生産検定用
の菌種/ウイルスシードの管理規則などに従って、生物安全管理体制を
確立・改善しなければならない。生物原料、添加剤、製造工程及び検定
等を含む生物学的製剤の全生産過程における生物の安全性に対して評
価を行い、効果的な制御措置を講じること。
第3章
第6条
人 員
キーメンバーの教育訓練及び評価を強化すること。教育訓練
内容には、少なくとも関連する法令、安全防護、
技術基準などが含まれ、
毎年、関係者に対して専門的な評価を行うこと。
生物学的製剤の生産、品質保証、品質コントロールを従事する者及び
その他の関係者(清掃員、保守作業員を含む)は、生産される製品及び
生産作業に基づいて、専門知識と安全防護要件について教育訓練を受け
ること。
第7条 生産管理責任者、品質管理責任者及び品質管理授権者は、適
切な専門知識(微生物学、生物学、免疫学、生物化学、生物学的製剤学
など)を持たなければならず、生産・品質管理の際に、職務を徹底に遂
行することを確保しなくてはならない。
ワクチン生産企業の生産管理責任者、品質管理責任者、及び品質授権
者は、医学など関係する専門の 4 年制大学以上の学歴(又は中級以上の
資格)及び関連分野に生産・品質管理に関して 5 年以上の経験を有する
ことにより、生産、品質管理の際、責任を持ちながら職務を遂行し、該
当責任を負うことを確保しなくてならない。
第8条
生物安全評価の結果に基づいて、生産、保守、検定、動物飼
育に従事する作業員、管理者に対しては、該当のワクチン接種を受け健
康診断が合格したと確認された上、個人健康記録に組み込むこと。
第9条
感染症、皮膚炎を持つ者、皮膚に傷を負った者、製品の品質
及び安全性に影響を与えるおそれのある者は、作業エリアへの立ち入り、
及び作業や品質検査の実施をしてはならない。
承認されていない者は、作業エリアへの立ち入りが禁止となる。
第 10 条
BCG ワクチンやツベルクリンの生産に従事する者は、定期
的に胸部 X 線検査又はその他の関連項目の健康診断を受けること。また、
その他の感染性病原体への接触を有する作業も従事してはならない。
特
に、結核抗酸菌強菌株に関連する作業をしてはならず、その他の製品の
生産にも従事してはならない。また、既知の結核感染のリスクがある環
境にも曝露されてはならない。BCG ワクチンやツベルクリンの生産に従
事する者及び動物室の人員は、その他の生産現場に入る必要がある場合、
健康診断に合格しなければならない。
第 11 条
製造期間中に、規定された除染除去措置が講じられていな
い場合には、生きている有機体や動物体に接触する区域から、その他の
製品の生産区域又は異なる有機体の処理区域に移動してはならない。
第 12 条
生産作業に従事する者は、動物飼育を行う作業員とは別々
にすること。兼任してはならない。
第 4 章 工場と設備
第 13 条
生物学的製剤の生産環境の空気の清浄度クラスは、製品と
生産作業に適合すること。工場と施設は原料、中間体、及び完成品に汚
染を与えてはならない。
第 14 条
製造工程において、ハイリスク因子に係る作業の場合には、
その空気清浄システムなどの施設も特別な要件を満たすこと。
第 15 条
生物学的製剤の生産作業は、次の表に定められた適切なク
ラスの清浄区域内で行うこと。記載されていない作業は、次の表を参照
して、適切なクラスの清浄区域内で行うことができるようにすること。
清浄度クラス
グレード B の
バックグラウ
ンドにある局
部のグレード
A
グレード C
生物学的製剤の生産作業の事例
付録 1 における無菌製剤での非最終滅菌製品につい
て規定されている各工程
充填前に濾過除菌されていない製品の調製、混合な
ど
体外免疫診断用試薬の陽性血清の分注、抗原と抗体
の分注
原料血漿の混合、成分分離、分注前のパスチャライ
ゼーション
グレード D
経口製剤の発酵培養のクローズドシステム環境(曝
露部分は無菌操作が必要)
酵素結合免疫吸着試薬などの体外診断用免疫試薬
の薬液調製、分注、乾燥、一次・二次包装
第 16 条
製造工程における特定の生きている生物体を使用する段階
においては、製品の特性及び設備の状況に応じて、専用の作業所及び設
備の使用、段階的な生産方式、クローズドシステムの使用など、交叉汚
染を防止する措置を講じること。
第 17 条
不活化ワクチン(遺伝子組換えワクチンを含む)やトキソ
イド・細菌抽出物などの製品は不活化した後、同じ充填室と充填・凍結
乾燥施設を交互に使用することができる。分注を終えたら、十分な除染
措置を講じ、必要に応じて、滅菌及び洗浄を行うこと。
第 18 条
BCG ワクチンとツベルクリンの作業所は、その他の製剤の
工場と厳密に区別されていること。また、生産において生きている生物
に係る生産設備は、専用とすること。
第 19 条
不活化プロセスが完了するまで、病原性有芽胞菌の操作に
専用施設を使用すること。炭疽菌、ボツリヌス菌、及び破傷風菌の製剤
は、それぞれの専用施設で生産すること。
第 20 条
他の種類の有芽胞菌製品について、特定な施設又はセット
になった施設で有芽胞菌製剤を段階的交替して生産する場合は、いかな
る時も 1 種類製品のみを生産できること。
第 21 条
モノクローナル抗体や遺伝子組み換え製品など、クローズ
ドシステムを使用した生物発酵は同じ区域で同時に生産できる。
第 22 条
無菌製剤の生産加工区域は、清浄度クラス要件を満たし、
相対的な陽圧を維持すること。病原性のある微生物の作業は、相対的な
陰圧を維持している特定の区域内で行うこと。病原体を無菌操作法で処
理する陰圧区域や生物学的安全キャビネットを適用する場合、
その周囲
の環境は相対的な陽圧の清浄区域でなければならない。
第 23 条
菌(毒)のある作業区域には、独立した空気浄化システム
が必要である。
病原体作業区域から流れる空気は循環利用してはならな
い。危険度がグレード 2 以上の病原体の作業区域から流れる空気は、除
菌フィルターを介して排出し、フィルターの性能は定期的にチェックを
行うこと。
第 24 条
生きている生物体を処理するための生産作業区域及び設備
は、洗浄及び除染を容易に行えるようにすること。洗浄及び除染の有効
性を検証すること。
第 25 条
生きている生物体の培養に使用される設備は、培養物が外
部からの汚染を防止することができること。
第 26 条
配管システム、バルブ、及び呼吸フィルターは、洗浄と滅
菌を容易に行えるようにすること。定置洗浄及び定置滅菌システムを適
用することが優先である。発酵槽などの密閉容器のバルブは、蒸気で滅
菌することができること。呼吸フィルターは疎水性の材質であり、その
使用期間を検証済みであること。
第 27 条
菌毒種又は製品の直接曝露に係る隔離・閉鎖システムに対
して漏出のリスクがないかを定期的に確認すること。
第 28 条
製造工程において病原体によって汚染された物及び設備は、
使用されていない滅菌済の物及び設備と区別し、明確な表示レベルを付
けること。
第 29 条
製造工程において特定の添加剤又は成分(緩衝液など)の
秤量する必要がある場合には、生産区域に少量の材料を保管することが
できる。
第 30 条
清浄区域に設置された冷蔵庫及び恒温室は、生産区域への
汚染を防止するために、効果的な隔離・汚染防止措置を講じること。
第5章
第 31 条
動物室と関連事項
生物学的製剤の生産用動物室、品質検定用動物室、生産区
域は、それぞれ独立していなければならない。動物室の設計、建設及び
動物飼育管理などの要件は、実験動物管理に関する規定を満たすこと。
第 32 条
生産と検査に使用される動物の健康状態について、モニタ
リングし、詳細な記録を取らなければならない。内容には、少なくとも
動物の供給源、動物の繁殖及び飼育の条件、動物の健康状態などを含め
る。
第 33 条
生産と検定に使用される動物は、
『中華人民共和国薬局方』
の要件を満たすこと。
第6章
第 34 条
生産管理
原料・添加剤の検査周期が長い場合には、検査が完了する
前に使用することが許可されているが、完成品は、全ての検査結果が基
準を満たした場合に限り、リリースすることができる。
第 35 条
生産と検定に使用される細胞は、完全なセルバンクシステ
ム(セルシード・マスターセルバンクとワーキングセルバンク)を構築
すること。セルバンクシステムの構築、保守、及び検定は、
『中華人民
共和国薬局方』の要件を満たすこと。
第 36 条
生産と検定に使用される菌毒種は、完全なシードロットシ
ステム(プライマリシード・マスターシードロットとワーキングシード
ロット)
を構築すること。菌毒種のシードロットシステムの構築、
保守、
保存、及び検定は、
『中華人民共和国薬局方』の要件を満たすこと。
第 37 条
連続ロット製品の一貫性により、シードロットとセルバン
クの適合性を確認すること。シードロットとセルバンクの構築、保存及
び使用の方法は、汚染や変異のリスクを避けることができること。
第 38 条
シードロット又はセルバンクと完成品の間の継代数(倍増
回数、継代回数)は、承認された登録資料の規定と一致し、生産規模の
変化に伴って変更してはならない。
第 39 条
シードロット、セルバンク及び作業員を保護するために、
適切に制御されている環境下でシードロットとセルバンクを構築する
こと。シードロットとセルバンクを構築している間に、作業員は同じ区
域で異なる活性物質又は感染性物質(ウイルス、細胞系、細胞株など)
を同時に処理してはならない。
第 40 条
指定された人員の監督の下で、許可された人員のみがシー
ドロットとセルバンクの操作を実施できる。許可されてない場合は、シ
ードロットとセルバンクに接してはならない。
第 41 条
シードロットとセルバンクの供給元、受領、調製、保管、
安定性、蘇生、使用状況は記録されなければならない。保管容器は適切
な温度で保管され、明確なラベルを付けること。冷蔵室の温度に関して
は、連続記録を取らなければならない。液体窒素の保管条件は、適切に
監視されること。保管条件から逸脱した状況や是正措置に関しては、記
録を取らなければならない。在庫台帳は長期保存すること。
第 42 条
異なるシードロット又はセルバンクの保管方法は、ミス、
混合又は交叉汚染を防止することができること。生産に使用されるシー
ドロットとセルバンクは、紛失を避けるために、所定の保管条件の下、
それぞれを異なる場所に保存すること。
第 43 条
保管期間中に、マスターシードロットとワーキングシード
ロットの保管条件が一致していること。マスターセルバンクとワーキン
グセルバンクの保管条件が一致していること。承認又は規定された保管
条件がある場合、それに従って保管すること。一旦使用するために取り
出した場合、再びセルバンクに戻して保管してはならない。
第 44 条
『中華人民共和国薬局方』における生物学的製剤のロット
分割に関する規定に従って、生物由来製品に対してロット分割をし、ロ
ット番号を作成すること。
第 45 条
ワクチン製品の生産設計は、関連設備の生産能力と生産規
模を合わせること。
第 46 条
市場に出回っている製品を追跡できることを保証するため
に、半製品の調製は同じロットの原液で行うこと。また、複数ロットの
原液を混合して 1 バッチの半製品を調製する場合には、
『中華人民共和
国薬局方』などの関連規定を満たすこと。
第 47 条
生産用の培地 ・培養液は、承認されたものと一致しなけれ
ばならない。培地については、適合性検査を実施すること。牛海綿状脳
症の流行地域からの牛由来原料の使用は禁止し、
『中華人民共和国薬局
方』の関連規定を満たすこと。
第 48 条
発酵槽等の容器へ原料を投入したり、容器からサンプリン
グをしたりする際には、汚染やミスが発生しないように、厳密に管理さ
れた条件で、配管が適切に接続されていることを確認すること。
第 49 条
操作中に発生した浮遊微粒子による活性微生物の拡散を防
止するために、
製品の遠心分離又は混合操作の際には隔離措置を講じる
こと。
第 50 条
培地は定置滅菌を行うことが可能である。発酵槽や反応槽
への換気や、培地、酸、アルカリ、消泡剤などの成分の添加に使用され
るフィルターは、定置滅菌を行うことが可能である。
第 51 条
ウイルス除去又は不活化処理のために、検証済みの工程を
適用し、処理済みの製品が再び汚染されないように、作業中に措置を講
じること。
第 52 条
リスクレベル 2 以上の病原体を用いて生産する場合には、
発生した汚染物質及び汚染の疑いのあるものを、その場で消毒し、完全
に不活化させた後に限り、作業区域から除去することができる。
第 53 条
クロマトグラフィーカラムの合格基準、洗浄又は消毒方法
を明確に規定すること。異なる製品の精製には、それぞれ専用のクロマ
トグラフィー媒体を使用すること。異なるロット間では、クロマトグラ
フィーカラムを洗浄又は消毒すること。同じクロマトグラフィー媒体を
生産の異なる段階で使用してはならない。クロマトグラフィー媒体の保
存、再生、及び寿命は、検証する必要がある。
第 54 条
実験用サンプリング、測定、又は日常的モニタリングに使
用される器具(エアサンプラーなど)と設備については、交叉汚染を防
止するために、
厳密な洗浄及び消毒のための操作手順書を作成すること。
生産のリスクの程度に応じて、器具や設備を評価し、必要に応じて、特
定されたものを限定された区域で専用とすること。
第7章
品質管理
第 55 条 『中華人民共和国薬局方』、国家医薬品監督管理部が承認し
た品質規格、関連する品質管理要件に基づいて、生物学的製剤の原料、
添加剤、中間体、原液、及び完成品の検査を行うこと。
第 56 条
ワクチンの生産に使用されるアジュバントは、医薬品監督
管理部により承認又は記録された関連する製造工程及び品質基準を満
たすこと。アジュバントの供給者、製造工程及び品質基準の変更は、十
分に研究及び検証され、国家の関連法令の要件に従って承認、記録又は
年次報告を行うこと。
第 57 条
中間体の検査は、適切な製造段階で完了すること。検査周
期が長い場合には、後工程の生産を先に行うことができる。検査結果が
合格した後に限り、完成品をリリースすること。
第 58 条
必要に応じて、中間体は、再検査又は中間コントロールの
確認の必要性を満たすために、十分な数の保存サンプルを確保し、適当
な条件の下に保管すること。
第 59 条
ワクチン製造企業は、製造過程、検査過程で形成されたす
べてのデータを如実に記録するための情報手段を導入し、製造過程全体
が継続的に法定要件を満たしていることを確保すること。手動操作(人
工的操作、観察、記録など)手順については、当該工程によって形成さ
れたデータを、関連情報化システムに適時に入力したり、電子データに
変換したりして、関連データの真実性、完全性及びトレーサビリティを
確保すること。
第 60 条
製造工程における重要な工程(発酵、精製など工程)の関
連パラメータを連続的にモニタリングし、連続的なモニタリングデータ
をバッチ記録に含めること。
第 61 条
連続培養工程(マイクロキャリア培養など)を用いて製造
する場合、工程特性に応じて品質コントロール要件を策定すること。
第 62 条
ワクチンなどの生物学的製剤の品質に対してトレンド分析
を行い、工程逸脱及び品質の差異を総合的に分析し、速やかに処理する
こと。発生した逸脱を如実に記録し、定期的にレビューすること。
第8章
用 語
第 63 条
次の用語の定義は次の通りである。
1.原料
添加剤を含まない生物学的製剤の製造工程において使用される全て
の生物材料及び化学物質
2.添加剤
アジュバント、安定剤、賦形剤などの生物学的製剤の調製の際に使
用される補助材料
付録 4
血液製剤
(2020 年 6 月 30 日,2020 年第 77 号公告改訂)
第1章 範
第1条
囲
本付録での血液製剤とは、特にヒトの血漿分画・精製した各
種タンパク質製剤を指す。本付録は、ヒトの血液製剤の生産管理、品質
管理、保管、リリース、輸送、及び処理に適用する。
第2条
本付録での血液製剤の製造には、原料血漿の受領から、入庫
保管、再検査、血漿成分分離、血液製剤の調製、検定、完成品の入庫ま
での全過程が含まれている。
第3条
血液製剤の製造に使用される原料血漿の採取・検査・保管・
輸送は、『中華人民共和国薬局方』における「血液製剤製造用ヒト由来
血漿」及び「血漿採取施設品質管理規範」の規定を満たすこと。
第4条
血液製剤の管理は、本規範、適用されるその他の付録及び国
家の関連規定も満たすこと。
第2章 原
第5条
則
原料血漿には、血液媒介病原体が含まれている可能性がある。
製品の安全性を確保するため、原料血漿の品質と供給源の合法性を確保
すること。また、製造工程に対して厳格な管理をすること。特に、ウイ
ルス除去及び/又は不活化工程においては、原料、添加剤及び製品に対
して厳格に品質管理を実施すること。
第3章 人
第6条
員
企業の責任者は、
血液製剤に関する専門知識を持たなければ
ならず、かつ、関連法律知識について教育訓練を受けていなければなら
ない。
第7条
生産管理責任者は、少なくとも薬学又は関連専門(微生物学、
生物学、免疫学、生物化学など)の 4 年制大学以上の学歴(又は中級専
門職位や登録薬剤師の資格)、少なくとも 5 年以上の血液製剤の製造と
品質管理の実務経験を持たなければならない。そのうち、少なくとも 3
年間は血液製剤の製造に従事した実務経験を持っていなければならな
い。
第8条
品質管理責任者及び有資格者は、少なくとも薬学又は関連専
門(微生物学、生物学、免疫学、生物化学など)の 4 年制大学以上の学
歴(又は中級の専門職位や登録薬剤師の資格)、少なくとも 5 年以上の
血液製剤の製造と品質管理の実務経験を持たなければならない。そのう
ち、少なくとも 3 年間は血液製剤の品質保証と品質管理に従事した実務
経験を持たなければならない。
第9条
血液製剤の製造、品質保証、品質管理に従事する人員及びそ
の他の関係者(清掃員、保守作業員を含む)は、生物安全防護について
教育訓練を受け、特に血液媒介性感染症を防止するための教育訓練を受
けること。
第 10 条
中国国内において、血液製剤の製造、品質保証、品質管理
に従事する人員及びその他の関係者は、血液媒介性感染症を防止するた
めのワクチンを接種すること。
第 4 章 作業所と設備
第 11 条
血液製剤の作業所は、独立した建物であり、その他の医薬
品と共用してはならない。また、専用の製造施設及び設備を使用するこ
と。
第 12 条
原料血漿・血液製剤の検査室は、国務院により策定された
『病原微生物実験室生物安全管理条例』、国家標準である『実験室生物
安全通用要求』の関連規定を満たし、また、企業生産及び品質要件に適
合する検査能力を有すること。企業は、定期的に検査室の能力評価を行
い、実験結果が正確かつ信頼性があり、検査過程における記録された情
報は信憑性があり、正確、完全かつ追跡できることを確保すること。
第 13 条
原料血漿及び製造用プール血漿の検査室は、独立して設置
され、専用の検査機器を使用し、また、その場で不活化又は消毒できる
設備を設置すること。空調システムがある場合は、独立して設置するこ
と。
第 14 条
原料血漿バッグの開封、プーリング、分離、抽出、分注前
の低温滅菌などの工程は、
少なくともグレード D の清浄区域で行うこと。
第 15 条
血漿融解区域、成分分離区域、及びウイルス不活化後の製
造区域は、互いに分離すること。生産設備は専用とし、それぞれの区域
に独立した空気浄化システムが必要である。
第 16 条
血液製剤の製造においては、
ウイルスの除去及び/又は不活
化の前/後に、製品の交叉汚染を防止するための措置を講じること。ウ
イルスが除去及び/又は不活化された製品は、分離されている専用の製
造区域と設備を使用し、かつ、独立した空気浄化システムを使用するこ
と。
第5章
第 17 条
原料血漿
企業は、受領した各バッチの原料血漿について、次の事項
を確認すること。
1.原料血漿の採取場所は、
法定機関により承認された血漿採取施設と
一致していること。
2.輸送中の温度監視記録は完全で、温度は要件を満たすこと。輸送中
に温度偏差が発生した場合には、偏差処理手順に従って処理し、関連記
録を取ること。
3.血漿バッグは完全で、破損していないこと。
4.血漿バッグのラベルの内容は完全で、少なくとも献血者の名前(又
は識別番号)
、カード番号、血液型、血漿番号、採漿日、血漿量、及び
血漿採取施設の名称などの情報が含まれていること。
5.血漿の試験は要件を満たし、検査報告書が添付されていること。
第 18 条
企業は、原料血漿の受領後、各血漿毎に再検査し、再検査
記録を取らなければならない。原料血漿の品質は、『中華人民共和国薬
局方』の関連要件を満たすこと。企業は、再検査された品質基準を満た
していない原料血漿を、規定に従って破棄し、製造に投入してはならな
い。廃棄については、年次品質回顧分析報告書に記載すること。試験に
使用される血漿のサンプル及び保存サンプルは、製造に使用してはなら
ない。
企業は、
全ての製造に投入される原料血漿に対して保存サンプルを残
し、投入された血漿が使用された全ての製品の有効期間満了後 1 年間は
保存すること。原料血漿の保存サンプルの数量は、規定されたウイルス
核酸・ウイルスマーカーの試験、再試験の用量要件を満たすこと。
また、
原料血漿の保存サンプルに使用される容器は、保存サンプルの保管期間
中の保管、情報表示などの要求を満たすこと。
第 19 条
原料血漿の検疫期間は、関連規定を満たすこと。
第 20 条
企業は、リリースされた各バッチの原料血漿に対して、投
入する前に品質評価を行うこと。内容は次の通りである。
1.原料血漿の採取場所は、法定機関により承認された血漿採取施設
と一致していること。
2.保管中の温度監視記録は完全で、温度は要件を満たすこと。保管
中に温度偏差が発生した場合には、偏差処理手順に従って処理し、
関連記録を取ること。
3.承認された体外診断用試薬で血漿の各バッグの再検査を行い、要
件を満たしていること。
4.検疫期間中に管理要件に達したこと。
5.血漿バッグが破損している血漿や再検査で不合格の血漿は取り除
かれ、かつ、規定に従って処理されたこと。
第 21 条
企業は、
各血漿毎にドナーを追跡可能であることを確保し、
かつ、ドナーが直近の採漿前から少なくとも 60 日前までに採取された
血漿まで追跡可能であることを確保する原料血漿のトレーサビリティ
システムを確立すること。
第 22 条
企業は、血漿採取施設との情報共有システムを構築し、次
のような場合は、速やかに情報を共有すること。
1.ドナーが関連する健康基準に不適合であることがわかった場合
2.前回の献血時には病原体マーカー検査が陰性であったドナーが、
次に採取された原料血漿中に、陽性と示した病原体を発見した場合
3.原料血漿の再検査結果が要件を満たしていない場合
4.取り決められた手順に従って、病原体試験が実施されていないこ
とが判明した場合
5.ドナーが、血漿を介して伝播の可能性がある病原体(HAV、HBV、
HCV、その他の血液を介して感染する肝炎ウイルス、HIV、及びそ
の他の現段階で既知の病原体など)による感染症を発症した場合、
及びクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD 又は vCJD)を発症した場
合
第 23 条
企業は、
第 22 条のいずれかの事象が生じた場合の対応措置
を規定した手順を作成すること。係る病原体、投入量、検疫期間、製品
特性、及び製造工程に基づいて、関連する原料血漿で製造された血液製
剤の品質リスクを再評価し、バッチ記録を再審査すること。必要に応じ
て、リリースされた完成品をリコールすること。
第 24 条
投入された血漿に HIV、HBV、HCV に感染した血漿が混入さ
れていることを判明した場合は、直ちに全製品の製造を中止し、投入さ
れた当該血漿で製造された成分、中間体、包装待ち製品、及び完成品を
密閉して保存し、所在する省級の医薬品監督管理部門に報告すること。
企業は、迅速に原因調査を開始し、リスク評価を行い、適切なリスク管
理措置を講じること。リスク管理措置及び調査が終了した後、投入され
た当該血漿で製造された成分、中間体、包装待ち製品、及び完成品は全
て廃棄すること。
第 25 条
企業は、血漿採取施設に対して品質審査を強化し、血漿採
取施設が国家の関連法令及び標準化文書に原料血漿の採取、供給に関す
る規定を厳格に実施することを促すこと。企業は、少なくとも半年に 1
回、定期的に血漿採取施設の現場の品質審査を行い、書面化された品質
審査報告書を作成すること。
第6章
第 26 条
製造及び品質管理
企業は、原料血漿、血漿タンパク、中間体、完成品の保管、
輸送温度及び条件を検証すること。保管、輸送温度、及び条件を監視し、
記録を取らなければならない。
第 27 条
血漿中の特定病原体(HIV 、HBV 、HCV 、梅毒トレポネー
マ)マーカー検査に使用される体外診断用試薬は、医薬品監督管理部門
の承認を得ること。体外診断用試薬の検収入庫、保管、出庫、使用など
は、原料と添加剤の管理と同じでなければならない。
第 28 条
製造規模に応じて、個別血漿をプーリングしてから血漿製
剤の各成分を抽出する前までに、企業は製品工程の特徴に基づいて、全
ての容器中のプール血漿(又はクリオプレシピテートの分離後のプール
血漿)について、1 つずつ代表的なサンプルを取って置き、当該血漿が
使用された全ての製品の有効期間満了後 1 年間サンプルを保存するこ
と。プール血漿の保存サンプルの数量は、規定されたウイルス核酸、ウ
イルスマーカーの試験、及び再試験などの用量要件を満たすこと。プー
ル血漿の保存サンプルに使用される容器は、
保存サンプルの保管期間中
の保管、情報表示などの要求を満たすこと。企業は、『中華人民共和国
薬局方』の規定に従って、プール血漿のサンプリング、検査を行い、か
つ、要件をいずれも満たすこと。企業は、検査結果が要件を満たしてい
ないプール血漿を、製造に継続的に使用してはならず、規定に従って廃
棄すること。廃棄については、年次品質回顧分析報告書に記載すること。
試験に使用されたプール血漿のサンプル及び保存サンプルは、
製造に使
用してはならない。
第 29 条
原料血漿の解凍、バッグの開封、融解を行う作業員は、適
切な防護服、マスク、手袋を着用すること。
第 30 条
企業は、
作業中に微生物汚染を可能な限り低減するために、
操作手順を作成し、
バッグの開封及び融解の製造工程を定期的に環境モ
ニタリングし、
すべての容器のプール血漿に対して一つずつ微生物限度
を検査すること。
第 31 条
ウイルスの除去及び/又は活性化された製品は、
処理されて
いない製品と明確に区別・標識され、また、異なる製品の混同や交叉汚
染を避け、製造又は品質管理作業に脱落やミスを避けるために適切な方
法を取ること。
第 32 条
ウイルス除去又は不活化法の検証は、製造施設及び設備で
行ってはならない。
第 33 条
企業は、完成品について、ウイルス汚染及び安全リスクに
対して評価を行うこと。リスクを効果的に除去できないと評価された場
合に、品質安全を確保するために、企業は完成品に対してウイルスマー
カー試験を行うこと。
第 34 条
企業は、血液製剤のリリースは『生物学的製剤バッチのリ
リース管理方法』の要件を満たすこと。
第7章
第 35 条
不合格の原料血漿・中間体・完成品の処理
企業は、不合格の原料血漿、中間体、完成品を安全かつ効
果的に処理するための操作手順を作成し、また、処理に関しては記録を
取らなければならない。
付録 5
中薬製剤
第一章
第1条
範 囲
本付録は、生薬の前処理、中薬エキスと中薬製剤の生産、
品質管理、保管、出荷と輸送に適用する。
第2条
民族薬については、本付録を参照して執行すること。
第二章
第3条
原 則
中薬製剤の品質は、生薬・中薬飲片(刻み生薬)の品質、
生薬の前処理、中薬エキスの抽出工程と密接に関連するため、生薬
及び中薬飲片の品質、生薬の前処理、中薬エキスの抽出工程に対し
て、厳格に管理すること。生薬の前処理及び中薬エキスの抽出、保
管、及び輸送の際には、劣化を防止するために、微生物汚染を抑制
する措置を講じること。
第 4 条
生薬の供給源は比較的安定していること。注射剤の生産
に使用される生薬の産地は、承認申請資料に記載されている産地と
一致し、できる限り、管理生産された生薬を使用すること。
第 3 章 機関と人員
第 5 条
企業の品質管理部門には、生薬・中薬飲片の品質を管理
する責任者を置かなければならない。
第 6 条
生薬・中薬飲片の品質を管理する責任者は、少なくとも
次の条件を満たさなければならない。
1.中薬学、生薬学、又は関連専門の短期大学以上の学歴、少なく
とも 3 年以上の中薬の製造と品質管理に従事した実務経験を持
たなければならない。又は、8 年以上の生薬・中薬飲片の鑑別業
務に専任した実務経験を持たなければならない。
2.生薬・中薬飲片の真偽、優劣の鑑別能力を有すること。
3.生薬・中薬飲片の品質管理に関する実務能力を有すること。
4.生産品目の必要性に応じて、関連する毒性のある生薬・中薬飲
片の管理及び取扱いに関する要求を熟知していること。
第 7 条
生薬・中薬飲片の品質を管理する責任者は主に次の業務
を行う。
1.生薬・中薬飲片のサンプリング。
2.生薬・中薬飲片の鑑別、品質評価及び出荷判定。
3.生薬・中薬飲片(毒性のある生薬・中薬飲片を含む)の専門知
識についての教育訓練を担当。
4.生薬・中薬飲片の標本の収集、作成及び管理。
第 4 章 作業所と施設
第8条
生薬・中薬飲片のサンプリング、選別、計量、粉砕、 混
合等粉塵が発生しやすい作業については、粉塵の拡散を抑制、汚染
や交叉汚染を防止するために、効果的な措置を講じること。例えば、
集塵機や換気装置を取り付け、専用作業所(作業室)を設置する。
第 9 条
生薬の前処理に使用される作業所内に選別作業台を設置
し、作業台の表面は平滑で清掃しやすく、脱落物が発生しないよう
にすること。
第 10 条
中薬の抽出、濃縮などに使用される作業所は、製造工程
の要件に適合し,換気、水蒸気コントロール及び汚染・交叉汚染の
防止の設備を整えること。
第 11 条
中薬の抽出、濃縮、取り出し工程には、汚染・交叉汚染
を防止するために、閉鎖システムを適用し、定置洗浄を行うこと。
閉鎖システムで製造する場合に、その作業環境は非清浄区域でも良
い。開放式で製造する場合に、その作業環境は製剤調製を行う作業
区域の清浄度クラスに適合すること。
第 12 条
中薬の抽出後の残渣は、一時的に保存又は処理する場合
は、専用区域が必要である。
第 13 条
エキスの配合、粉砕、篩過、 混合などの作業を行う環
境は製剤の調製に使用される作業区域の清浄度クラスに一致するこ
と。中薬飲片が粉砕、篩過、混合後に直接配合される場合に、上記
の作業に使用される作業所には、換気、粉塵除去などの設備を整え、
人員や材料の出入り、及び製造作業に対して清浄区域の要件を参照
し管理すること。
第 14 条
中薬注射剤が高濃度で調製される前の精製工程は、少な
くともグレード D の清浄区域で行うこと 。
第 15 条
非創傷面用の外用中医薬及びその他の特殊な中薬製剤は、
非清浄の作業場で製造することができるが、効果的なコントロール
と管理を行うこと。
第 16 条
中薬標本室は、生産区域と別々にすること。
第5章 材
第 17 条
料
毎回受け入れた生薬については、産地、採取時期、採取
部位、等級、形(全形、切断など)、包装形式などに基づいて、分類
を行い、それぞれバッチ番号を作成して管理すること。
第 18 条
生薬、中薬飲片及び中薬エキスを受け入れる際には、包
装の表示内容を確認すること。生薬の包装には、少なくとも品名、
規格、産地、採取(加工)時間、調達企業、品質合格マークを明記
すること。中薬飲片の包装には、少なくとも品名、規格、産地、製
品のバッチ番号、生産日付、生産企業名、品質合格マークを明記す
ること。中薬エキスの包装には、少なくとも品名、規格、バッチ番
号、生産日付、保管条件、生産企業名、品質合格マークを明記する
こと。
第 19 条
中薬飲片は、独立した倉庫に保管すること。新鮮な生薬
を保管する場合には、適切な設備(冷蔵設備)を備えること。
第 20 条
毒性があり、においが移りやすい生薬と中薬飲片は、そ
れぞれ独立した専用倉庫(キャビネット)に保管すること。
第 21 条
倉庫内には、適切な設備を配置し、効果的な措置を講じ
て、生薬、中薬飲片、中薬エキス、及び中薬製剤が法定基準に従っ
て保管されていることを保証すること。また、その温度、湿度、又
は照度に関する要件を満たし、かつ、モニタリングが行われている
ことを保証すること。
第 22 条
保管されている生薬と中薬飲片は、定期的に保守管理を
すること。倉庫は良好な換気を維持し、昆虫や鳥類、齧歯類などの
進入を防止するために、また、動物が生薬と中薬飲片とともに保管
区域に進入することによる汚染・交叉汚染を防止するために、適切
な設備を配置し、安全で効果的な保守方法を採用すること。
第 23 条
輸送中に、生薬、中薬飲片、中薬エキス、及び中薬製剤
が劣化することを防止するために、効果的かつ信頼性の高い措置を
講じること。
第 6 章 文書管理
第 24 条
製品の品質を管理するための生産工程手順書及びその他
の標準文書を作成すること。
1.生薬・中薬飲片のメンテナンス制度を制定し、それぞれのメン
テナンス手順書を作成すること。
2.各種生薬の前処理、中薬エキスの抽出、中薬製剤に関する製造
工程及び工程の操作手順書を作成すること。各重要な工程の技
術パラメータ(標準投入量、抽出、濃縮、精製、乾燥、篩過、
混合、保管などの要件)
、及び適切な保管条件と期限を明確にす
ること。
3.生薬・中薬飲片の品質、投入量などの要素に基づいて、各品目
の中薬エキスの収率限界範囲を定めること。
4.前処理後の各生薬、中薬エキス、中間製品、中薬製剤の品質基
準及び検査方法を定めること。
第 25 条
生薬の前処理から中薬エキスまでの製造過程全体におけ
る製造・衛生・品質管理に関する記録を取り、かつ、次の要件を満
たさなければならない。
1.複数バッチ番号の生薬と中薬飲片が混合して投入される場合は、
各バッチの生薬・中薬飲片のバッチ番号と数量を記録しなけれ
ばならない。
2.中薬エキスの抽出工程での各作業に関しては、少なくとも次の
記録を取らなければならない。
(1)生薬・中薬飲片の名称、バッチ番号、投入量及び投入を監視し
た記録。
(2)抽出工程に使用された設備の番号、関連溶媒、浸漬時間、昇温
時間、抽出時間、抽出温度、抽出回数、溶媒回収などの記録。
(3)濃縮及び乾燥工程に使用された設備の番号、温度、エキスの乾
燥時間、エキス収量の記録。
(4)精製工程に使用された設備の番号、溶媒使用状況、精製条件、
収率等の記録。
(5)その他の工程の製造作業の記録。
(6)生薬・中薬飲片の残渣処理の記録。
第 7 章 生産管理
第 26 条
生薬は、規定に従って選別、整理、切断、洗浄、浸潤又
はその他の炮製加工を行うこと。未処理の生薬は、抽出加工に直接
使用してはならない。
第 27 条
中薬注射剤に必要な原料生薬は、企業自身で調達して加
工すること。
第 28 条
新鮮な状態で使用される生薬は採取された後、所定の期
間内に使用すること。また、新鮮な状態で使用される保管可能な生
薬は、適切な措置を講じて保管すること。保管の条件及び期間は規
定・検証され、製品品質及び所定の用途に悪影響を与えてはならな
い。
第 29 条
製造過程において、微生物汚染を防止するために次の措
置を講じること。
1.処理済みの生薬は、地面と直接接触してはならず、屋外で乾燥
してはならない。
2.選別された生薬は、生産用の流水で洗浄すること。使用された
水をその他の生薬の洗浄に使用してはならない。また、異なる
生薬は同じ容器で同時に洗浄してはならない。
第 30 条
毒性のある生薬・中薬飲片の作業には、汚染・交叉汚染
を防止するための措置を講じること。
第 31 条
生薬の洗浄・浸潤・抽出に使用される水の品質基準は、
飲料水の水質基準を下回ってはならない。無菌製剤の抽出に使用さ
れる水は、精製水を適用すること。
第 32 条
中薬エキスの抽出に使用される溶媒の回収が必要である
場合には、回収手順書を作成すること。回収された溶媒を再利用す
る際に、製品に交叉汚染をもたらしてはならず、製品の品質と安全
性に悪影響を与えてはならない。
第 8 章 品質管理
第 33 条
生薬・中薬飲片の品質は、国家医薬品基準及び省 (自治
区、直轄市)生薬基準及び中薬炮製規範を満たすこと。また、既存
の技術的条件において、中薬製剤の品質に対する影響の程度に応じ
て、関連する品質基準に必要な品質管理項目を追加すること。
第 34 条
生薬・中薬飲片の品質管理項目には、少なくとも次の内
容が含まれること。
1.鑑別。
2.生薬と中薬飲片に含まれる成分の定性的又は定量的指標。
3.粉砕された生薬の粒度試験。
4.直接製剤に配合される粉末生薬を投入する前の微生物限度試験。
5.外部購入した中薬飲片については、対応する原料生薬の検査項
目を追加することができる。
6.国家医薬品基準及び省(自治区、直轄市)生薬基準、中薬炮製
規範に含まれているその他の検査項目。
第 35 条
製品の品質や安全性に悪影響を与える有機溶媒が生薬エ
キスの抽出、精製過程において使用される場合には、中薬エキス及
び中薬製剤の品質基準に残留溶媒の限度値を追加すること。
第 36 条
回収された溶媒については、その使用目的に適合する品
質基準を制定すること。
第 37 条
製造に使用される生薬・中薬飲片の標本を作成すること。
例えば、基原植(動・鉱)物、薬用部位、承認された代替品、擬似
品などの標本。
第 38 条
使用される各種の生薬・中薬飲片の特性と保管条件に応
じて、保管期間とリテスト日を規定すること。
第 39 条
生薬、中薬飲片、中薬エキス及び中間製品の特性、包装
方法、及び安定性モニタリングの結果によって、その保管条件と保
管期間を確定すること。
第 40 条
各バッチの生薬又は中薬飲片は、
保存サンプルを確保し、
保存サンプルの数量は少なくとも鑑別に必要な量より多く残し、ま
た、保存サンプルの保管期間を規定すること。中薬注射剤に使用さ
れる生薬又は中薬飲片の保存サンプルは、当該バッチの生薬又は中
薬飲片を使用して生産された最終バッチの製剤が出荷された後、1
年間保存すること。
第 41 条
生薬・中薬飲片の保管中の様々な保守操作に関しては、
記録を取らなければならない。
第 9 章 委託生産
第 42 条
生薬の前処理及び中薬エキスの抽出の委託生産は、少な
くとも次の要件を満たさなければならない。
1.委託生産に使用される生薬・中薬飲片の供給源及び品質に対し
て、責任は委託者が負うこととする。
2.委託者は、委託生産した製品の品質確保のための受け渡しの検
査基準を定めること。各バッチの製品は検査して、合格した後
に限り、受け取ることができる。
3.委託生産した製品を出荷判定する際には、生薬・中薬飲片の試
験報告書を参照し、生薬・中薬飲片の品質を確認すること。
第 43 条
中薬エキスの委託生産については、次の事項も注意し、
委託生産契約において確認すること。
1.使用する中薬飲片の品質基準。
2.中薬エキスの品質基準には、少なくともエキスの含有量の測定
又はフィンガープリント、及び許容される変動範囲を含めるこ
と。
3.中薬エキスの収率範囲。
4.中薬エキスの包装容器、保管条件、保管期間。
5.中薬エキスの輸送条件。
(1)中薬エキスの輸送包装容器の材質、規格。
(2)輸送中の品質変化を防止するための措置。
6.中薬エキスの受け渡しの確認事項。
(1)各バッチの受け渡し記録
(2)受託者は、委託者に各バッチの中薬エキスの生産記録を提出
すること。
7.中薬エキスの収率範囲、包装容器、保管条件、保管期間、輸送
条件、輸送包装容器の材質と規格については、確認又は検証す
ること。
第十章
第 44 条
用語
次の用語の定義は次の通りである。
原料生薬
前処理されていない、又は炮製されていない生薬を指す。
付録 6
放射性医薬品
第1章
第1条
範囲と原則
本付録は、臨床診断用又は治療用の放射性核種を含む製剤、
及びその標識化合物に適用する。医療用ジェネレータとその調製用キ
ット、陽電子放出放射性医薬品、人体に投与する放射性医薬品、用時
標識放射性医薬品、RIA キット、その他の原子炉及び加速器を用いた
放射性医薬品を含む。
第2条
放射性医薬品の製造管理、品質管理、保管、輸送、安全性、
防護等については、国家の関連規定、医薬品製造品質管理規範(2010
年改訂)及び付録の要件を満たすこと。そのうち、放射性医薬品の特
殊な要件に係る場合は、本付録に準じること。
第3条
製品の有効期間又は含んでいる核種の半減期が 30 日未満の
場合は、国家食品医薬品監督管理部門が規定した関連する放射性医薬
品品質コントロールの指導原則に従って、企業の品質管理部門が製造
工程と品質に影響を与える重要なパラメータに対してリスクを評価し
た後に、検査しながらリリースすることができる。
第2章
機関と人員
第 4 条 企業が設置した機関は、放射性医薬品の特性と放射線の安
全性に適合し、各部門の責任と人員の職責を明確にすること。
第 5 条
企業は、放射性医薬品に関する適切な専門知識を持つ製
造・品質管理者と技術者を配置すること。製造管理責任者、品質管理
責任者及び有資格者は、
『医薬品製造品質管理規範』
(2010 年改訂)に
規定している関連人員の資格要件を満たし、核医学(薬学)又は関連
する専門知識と実務経験を有し、製造・品質管理における職務を遂行
できること。
第 6 条 企業の各部署の人員は、その部署に適合する専門知識と放
射線防護の知識について教育訓練を受けること。
第 3 章 工場施設と設備
第 7 条 工場施設は、製造工程及び放射線の安全性等の様々な面で
の要件に応じて、総合的に考慮し、合理的に配置すること。
第 8 条 工場は、製造工程に適合し、国家放射線防護に関する規定
を満たし、関連する行政主管機関により発行される放射線安全許可証
を取得すること。
第 9 条 放射性管理区域は、非放射性管理区域から効果的に隔離す
ること。異なる放射性核種業務を行う作業区域は、混同を防止するた
めに厳密に別々にすること。
第 10 条
無菌放射性医薬品の製造は、特定の区域で行い、清浄度ク
ラスの要件を満たすこと。放射性核種の作業は、比較的陰圧で、放射
線の防護措置を備えた閉鎖環境で行うこと。揮発性放射性核種の作業
は、専用施設で行い、排気口に効果的な除染措置を備えること。用時
標識放射性医薬品の製造に使用される単一方向流作業台は、陽圧で動
作すること。無菌放射性医薬品の作業区域は、その周囲の環境が比較
的陽圧の清浄区域であること。
第 11 条
十分なリスク評価の根拠がある場合を除き、放射性業務を
行う清浄区域からの空気は循環的に利用してはならない。放射性業務
を行う清浄区域からの空気は循環的に利用する場合には、汚染・交叉
汚染を避けるための効果的措置を講じること。用時標識医薬品を製造
する清浄区域からの空気は、循環的に利用することができる。
第 12 条
放射性核種業務を行う作業区域の床と作業台は、除染しや
すくすること。
第 13 条
放射性医薬品の製造、検査、包装、 輸送には、放射線量
に適合する防護装置を備えること。
第 14 条
放射性医薬品の作業区域の出入口には、除染洗浄及び更衣
の施設を設置し、出口には放射能汚染検査装置を設置すること。
第 15 条
放射性医薬品の製造作業は、次の表に規定された適切なク
ラスの清浄区域で行い、記載されていない作業は、次の表を参照して
適切なクラスの清浄区域で行うことができるようにすること。
清浄度
放射性医薬品の製造作業の事例
クラス
濾過除菌法を適用していない非最終滅菌を行う
原子炉及び加速器を用いた放射性医薬品(小容量注
射剤)の調製、濾過
非最終滅菌を行う原子炉及び加速器を用いた放
射性医薬品(小容量の注射剤)の充填
医療用放射性ジェネレータの充填及び相応する
グレード C 無菌製品の製造
のバックグ
放射性医薬品調製用キット(凍結乾燥粉末注射
ラウンドに 剤)の充填、凍結乾燥、輸送
ある一部の
グレード A
陽電子放出放射性医薬品(小容量の注射剤)の充
填
用時標識放射性医薬品(小容量の注射剤)の標識、充
填
人体に投与する無菌医薬品の分注、密封
無菌医薬品と直接接触する包材、器具が滅菌され
た後の組立、及び完全に密封されていない状態での
輸送と保管
経口剤の材料準備、製品の調製、充填又は分注
陽電子放出放射性医薬品の調製に使用される密
閉装置の外部環境
グレード D
人体に投与する無菌医薬品のソルダーシール
非無菌医薬品と直接接触する包材、器具の最終洗
浄、組立又は包装
RIA キットの製造
第 16 条
動的モニタリングがダスト粒子カウンターの損傷、環境汚
染などの危害を引き起こすおそれがある場合には、設備の試運転、保
守及び模擬操作中に、空中浮遊粒子の浄化及び微生物試験を行うこと。
第 17 条
放射線業務を行う作業区域に空気浄化システムの空気供
給、圧力差は、放射性核種の漏れを効果的に防止することができるこ
と。
第 18 条
放射性物質を保管する場所は、安全で信頼性があり、防火、
防犯、漏れ防止などの安全防護措置を講じること。
第 19 条
放射性物質の包装容器の繰り返し利用が必要な場合には、
除染のための特定な場所を設置すること。
第 20 条
企業は、製造に必要な製薬用水の調製システムを構築する
か、又は滅菌注射用水を購入すること。滅菌注射用水を購入する場合
には、供給者に対して審査を行い、その資格と品質が要件を満たした
後に限り購入することができる。製薬用水の保管と使用については、
微生物の繁殖を防止するための措置を講じること。
第 21 条
企業は、放射性医薬品の製造及び品質コントロールに適合
する計器と設備を備えること。
第 4 章 材料管理
第 22 条
放射性物質と非放射性物質は、厳密に分離して保管するこ
と。放射性物質は、専用倉庫又は専用キャビネットで保管し、専任者
が管理し、専用記録簿に記録すること。
第 23 条
材料、中間体及び完成品が工場内に受け渡す際には、混同、
汚染、放射線を防止するための防護措置を講じること。
第 5 章 製造管理
第 24 条
放射性作業区域には、目立った放射能マークを付けること。
第 25 条
異なる核種の医薬品は、同じコントロールボックスで製造
してはならない。同じ核種を含む異なる品種及び規格の医薬品を製造
する場合には、汚染や混同を効果的に防止するための措置を講じるこ
と。
第 26 条 用時標識放射性医薬品については、毎日同じ 99Mo-99mTc ジ
ェネレータで一度生成される溶離液と同じバッチ番号のキットを使用
して標識される同じ種類の製剤は、1 バッチとして管理できること。
上記の条件を満たしている場合、99Mo-99mTc ジェネレータで 1 日数回溶
出し、毎回調製された製剤はサブバッチとして管理すること。製品の
トレーサビリティを保証すること。
第 27 条
放射性作業区域と非放射性作業区域での作業服は混用し
てはならない。クリーニングツールは、厳密に分離して使用・保管す
ること。
第 28 条
放射性作業区域での作業服やその他の器具は、洗浄前に放
射能汚染のモニタリングを実施し、汚染されたものが除染される前に
継続的に使用してはならない。
第 29 条
完成品の外装には、ラベルと放射性医薬品のマークを貼り
付け、製品の説明書を添付すること。放射線防護の必要に応じて、内
側包装には製造前にラベルを貼り付けることができる。
第 30 条
繰り返し使用される包装容器は、規定に従って洗浄するこ
と。
第 6 章 品質管理
第 31 条
医薬品の品質管理と放射線防護の要件に合わせて、リスク
マネジメント手法を用いて、放射性医薬品の製造に関連する確認と検
証の範囲を確定すること。
第 32 条
自動合成装置とコンピュータコントロールシステムを用
い、放射性医薬品を製造する場合には、 確認又は検証を行い、実施頻
度としては、年 1 回以上が最低限でである。変更が発生した場合は、
改めて検証を行うこと。
第 33 条 検査しながらリリースされる放射性医薬品の場合、国家食
品医薬品監督管理局により制定された放射性医薬品品質コントロール
の指導原則に従って、規定された検査及びリリースの審査を実施し、
規定要求の満足を確認した後、リリースすることができる。
第 34 条
放射性医薬品は、検査前に一定期間で保管し、試験操作に
適合するようになるまで減衰させること確認した後、できるだけ、早
く、該当の全部検査を完了しなければならない。
第 35 条
企業は、放射線医薬品追跡システムを構築し、品質不良事
象を迅速に発見及びコントロールする措置を講じること。それに、臨
床関係者に必要な情報を提供し、技術指導を行うこと。
第 36 条
材料の保存サンプルの数量は、最低限として、鑑別に必要
な量以上の数量を残すこと。完成品の保存サンプルの数量は、登録・
承認された品質基準に規定された完全検査量の 2 倍以上の数量を残す
こと。放射線医薬品の保存サンプルの保存期間は、医薬品の有効期間
後 30 日以上保存すること。
第 37 条
企業は医薬品副作用の報告・モニタリング管理制度を構築
し、適切な運用手順を確立すること。患者が放射線の過剰被ばくによ
る危害を受けていることが判明した場合、又は医薬品の副作用が発生
した場合は、速やかに効果的な措置を講じ、事情の経過、評価、調査
及び処理について詳細な記録を取らなければならず、かつ、規定に従
って上級機関に報告すること。
第 38 条
検査しながらリリースされる放射性医薬品に対して、企業
は品質上の問題を発見した場合には、使用機関へ使用停止を直ちに通
知すること。
第 39 条
不適合な製品、返品及びリコールされた製品は、品質管理
部門の監督の下で、放射線関連規程に従って処分すること。
第 7 章 放射線安全管理
第 40 条
企業は、国務院により策定された『放射性同位体と射放射
線装置の安全と保護条例』の要件に従って、放射性医薬品の生産・販
売・使用・輸送・保管・安全管理を強化し、法律に基づき、
『放射線安
全許可証』を取得すること。
第 41 条
生産、検査、保守などの関係者に対して、線量モニタリン
グを実施し、規定に従って特殊健康診断を実施すること。
第 42 条
すること。
放射性医薬品の生産に従事する作業員は、保護用品を用意
第 43 条
放射性廃棄物の専用容器を装備し、製造工程で発生する放
射性廃棄物、廃液、廃ガスの保管と処理については、国家の関連規定
に適合すること。
第8章 付
第 44 条
則
用語
1.ジェネレータとは、半減期の長い核種(親核種)から、半減期の
短い核種(娘核種)を分離できる装置である。
2.放射性医薬品調製用キットとは、処方・プロセスに従ってあらか
じめ分注された未標識配位子や還元剤又は酸化剤などを含む組成物が、
放射性核種を直接に入れて標識することにより、放射性医薬品製剤を
迅速に調製できる製品である。
3.用時標識する放射性医薬品とは、ジェネレータから溶出した溶離
液を放射性医薬品調製用キットに注入することにより、調製された放
射線医薬品の一種である。
4.陽電子放出放射性医薬品とは、陽電子を放出する放射性核種を含
有する医薬品である。
付録 7
中薬飲片(刻み生薬)
第 1 章 適用範囲
第 1 条 本付録は、中薬飲片の生産管理・品質管理の過程全体に適
用する。
第 2 条 新鮮な状態で産地において中薬飲片を加工する場合、本付
録を参照して実施すること。
第3条
民族薬については、本付録を参照して実施すること。
第2章 原
則
第 4 条 中薬飲片の品質は生薬の品質と炮製工程と密接に関連する
ため、生薬の品質及び炮製工程に対して厳密に管理すること。炮製、
保管、及び輸送の際には、コンタミ抑制、劣化防止などの措置を講じ
ることにより、交叉汚染・混同・ミスを防止する。また、直接経口投
与する中薬飲片を生産する場合には、生産環境及び製品微生物に対し
て管理を行うこと。
第 5 条 生薬の供給源は基準を満たし、産地は比較的安定している
こと。
第 6 条 中薬飲片は国家医薬品基準に従って炮製すること。国家医
薬品基準が存在していない場合、所在する省、自治区、直轄市の食品
医薬品監督管理部門より規定された炮製規範又は審査・承認の基準に
従って炮製すること。
第 7 条 中薬飲片は品種工程手順に従って生産すること。中薬飲片
の生産条件は、生産許可範囲に適合し、外部から購入した中薬飲片の
中間製品や完成品で小分け包装をしたり、包装ラベルを変えたりして
はならない。
第3章 人
員
第 8 条 企業の生産管理責任者は、薬学又は関連専門の短期大学以
上の学歴(又は中級資格や薬剤師の従事資格を有する)
、且つ、3 年以
上の中薬飲片生産管理の実務経験を持つこと。又は薬学又は関連専門
の中等専門学校以上の学歴と 8 年以上の中薬飲片生産管理の実務経験
を持たなければならない。
第 9 条 企業の品質管理責任者及び品質管理授権者は、薬学又は関
連専門の短期大学以上の学歴(又は中級資格や薬剤師の従事資格を有
する)、且つ、5 年以上の中薬飲片生産管理又は品質管理の実務経験(そ
のうち少なくとも 1 年間の品質管理経験)を持たなければならない。
第 10 条
企業の重要人員、品質保証・品質管理責任者等の人員は、
企業の正社員でなければならない。
第 11 条
品質保証・品質管理責任者は、生薬及び中薬飲片の品質を
管理する実務能力を有し、生薬と中薬飲片の真偽、優劣の鑑別能力を
有すること。
第 12 条
生薬の炮製作業に従事する作業員は、中薬炮製に関する専
門知識と操作スキルを有すること。毒性のある生薬など特殊な要求が
ある作業に従事する作業員は、関連する専門知識とスキルを有し、か
つ、関連する労働保護要件を熟知すること。
第 13 条
生薬を調達・検収する作業員は、生薬の真偽、優劣の鑑別
能力を有すること。
第 14 条
保守・倉庫保管に従事する作業員は、中薬飲片の保管保守
知識とスキルを身に付けること。
第 15 条
企業は、専任者を指名し、管理や教育訓練業務を遂行させ
る。教育訓練の内容には中医薬の専門知識、職務スキル、及び医薬品
GMP 関連規則などを含めること。
第 16 条
生産区域に入る人員は、更衣・手洗いをすること。清浄区
域に入る際に着用する作業服の素材、様式や着用方法は、通則の要件
を満たすこと。人体に有毒で有害な作業に従事する作業員は、規定に
従って作業服を着用して防護し、交叉汚染を防止するために、専用作
業服は、他の作業員の作業服とは別々に洗濯し、整理すること。
第 4 章 工場と施設
第 17 条
生産区域は、生活区域と厳密に別々にし、同じ建物内に設
置してはならない。
第 18 条
工場と施設は、製造工程の流れに応じて合理的に配置し、
その生産規模に適合する一次選別、切裁、炮製などの作業室を設置す
ること。同じ作業所内の製造作業の間、及び隣接する作業所内の製造
作業は互いに干渉してはならない。
第 19 条
直接経口投与する中薬飲片の粉砕、篩過、一次・二次包装
などの生産区域は、グレード D の清浄区域の要件に従って設置するこ
と。また、企業は製品の基準と特性に応じて、当該区域に対して適切
な微生物モニタリング措置を講じること。
第 20 条
毒性のある生薬を加工及び炮製する際には、専用施設と設
備を使用し、その他の中薬飲片の生産区域とは厳密に別々にすること。
廃棄物は処理を行い、かつ、要件を満たすこと。
第 21 条
作業所のフロア、壁、天井などの内面は平滑で、清掃しや
すく、脱落物が発生しないようにし、カビが生えないようにすること。
昆虫やその他の動物などの侵入を防ぐための措置を講ずること。殺鼠
剤、殺虫剤、燻蒸剤などは、設備、材料、製品に汚染を与えてはなら
ない。
第 22 条
生薬の一次選別をする際には、選別作業台を設置すること。
作業台の表面は平滑で、脱落物が発生しないようにすること。
第 23 条
中薬飲片の製造過程における熱・蒸気が発生する工程には、
必要な換気、排煙、排湿、冷却などの設備を設置すること。選別、篩
い分け、切裁、粉砕等の作業に粉塵が発生しやすい工程には、粉塵の
拡散を制御し、汚染や交叉汚染を防止するために、効果的な措置を講
じること。例えば、集塵機や換気装置などを取り付けること。
第 24 条
倉庫は充分なスペースが必要で、面積は生産規模に適合す
ること。生薬と中薬飲片は、それぞれ別の倉庫に保管すること。毒性
のある生薬と中薬飲片などの特殊な要求がある生薬と中薬飲片は、専
用倉庫を設置して保管され、適切な盗難防止及び監視設備を備えるこ
と。
第 25 条
倉庫内には、適切な設備を備え、効果的な措置を講じて、
温度・湿度をモニタリングし、生薬と中薬飲片が規定に従って保管さ
れていることを保証すること。においが移りやすい又は新鮮な生薬を
保管する場合には、適切な施設(専用倉庫、冷蔵施設など)を備える
こと。
第5章 設
第 26 条
備
生薬・中薬飲片の異なる特性と炮製工程の必要性に応じて、
製造工程要件を満たす設備を選択して使用すること。
第 27 条
生薬、中薬飲片と直接接触する設備、道具、容器は、洗浄・
消毒をしやすく、脱落物が発生しないようにし、生薬・中薬飲片の品
質に悪影響を与えてはならない。
第 28 条
中薬飲片の生産に使用される水は、少なくとも飲料水と
し、企業は定期的に製造用水の品質をモニタリングし、飲料水は少な
くとも年に 1 度関連する検査部門に送って検査すること。
第6章
第 29 条
材料と製品
生産に使用される原料、添加剤、医薬品と直接接触する包
材は、適切な品質基準を満たし、それぞれバッチ番号を作成し管理す
ること。使用される材料は、中薬飲片の品質に悪影響を与えてはなら
ない。
第 30 条
品質管理部門は、生産用材料の供給者に対して品質評価を
行い、品質プロファイルを作成すること。直接農家から生薬を購入す
る場合は、農家の身分を証明する書類を収集し、購入した生薬の品質
を評価し、品質プロファイルを作成すること。
第 31 条 毎回受け入れた生薬については、産地、供給者、採取時間、
生薬規格などに基づいて、分類をし、また、それぞれバッチ番号を作
成して管理すること。
第 32 条
購入した生薬の各包装には、製品名、規格、数量、産地、
採取(初期加工)時間などの情報が明記されたラベルが必要であり、毒
性のある生薬などの特殊な要求がある生薬の外装には、その旨明記し
たラベルを有すること。
第 33 条
中薬飲片の保管と輸送期間における品質を保証できる包
材又は容器を選択して使用すること。包装には、印刷又は貼付されて
いるラベルが必要であり、製品名、規格、産地、生産企業、製品バッ
チ番号、生産日、実施基準を明記し、また、承認番号で管理される中
薬飲片は、医薬品の承認番号を明記すること。
第 34 条
中薬飲片と直接接触する包材は、少なくとも食品包装材の
基準を満たすこと。
第 35 条
生薬、中薬飲片は、品質要件に従って保管・保守すること。
保管期間における各種の保守作業については、保守記録を取らなけれ
ばならない。また、汚染・交叉汚染を防止するために、安全で効果的
な保守方法を採用すること。
第 36 条
生薬、中薬飲片はリテスト日を規定し、期日通りに再試験
を行い、品質に影響を与える異常状況がある場合は、速やかにリテス
トを行うこと。
第 37 条
生薬・中薬飲片の輸送は、品質に悪影響を与えてはならず、
中薬及び中薬飲片の劣化を防止する為に、効果的で信頼できる措置を
講じること。
第 38 条
輸入した生薬については、国家食品医薬品監督管理部が承
認した証明書、及び関連規定に従って輸入手続きが行われたことを証
明する書類が必要である。
第7章
第 39 条
確認と検証
一次選別と切裁は、製造法によってプロセスバリデーショ
ンが可能である。炮炙は品種によってプロセスバリデーションを行う
こと。重要な工程パラメータはプロセスバリデーションに反映されて
いること。
第 40 条
重要な生産設備及び機器は検査を行い、重要な設備は洗浄
バリデーションを行うこと。直接経口飲片を製造する作業所の空気浄
化システムは検査を行うこと。
第 41 条
再検証は、一定周期生産した後に実施すること。
第 42 条
検証文書には、全体検証計画、検証プラン、検証報告書及
び記録を含め、かつ、検証の信憑性を確保すること。
第 8 章 文書管理
第 43 条
生薬・中薬飲片の品質管理文書には、少なくとも下記の内
容を含めなければならない。
1.材料の調達・検収・保管・保守制度を制定し、生薬と中薬飲片の
それぞれの保守操作手順を作成すること。
2.各種の中薬飲片の製造工程手順書を策定し、重要なパラメータ(生
薬投入量、添加剤使用量、浸潤時間、飲片の形、炮製温度と時間
(火加減)、蒸す・煮る圧力と時間などの要件)を明確にすること。
3.生薬の品質、投入量、製造工程等の要素に応じて、各種の中薬飲
片の収率限界を定め、重要な工程では、物質収支のパラメータを
設定すること。
4.各種の生薬・中薬飲片の品質基準及び対応する検査操作手順を策
定し、中間製品、包装待ちの製品の品質管理指標を策定すること。
第 44 条
中薬飲片の製造から包装までの全過程における生産管理
及び品質管理については、記録を取らなければならず、バッチ記録に
は、少なくとも次の内容を含めなければならない。
1.バッチ生産と包装指令
2.生薬及び添加剤の名称、バッチ番号、投入量及び投入記録
3. 一次選別、切裁、炮製作業に使用される設備の番号
4.生産前の検査と照合の記録
5.各重要な工程の技術パラメータを含む各工程の製造作業の記録
6.クリアランス記録
7.重要管理点及び工程の進捗状況に関する検査・審査記録。
8.製品ラベルの現物サンプル
9.異なる工程の生産量、必要な部分の物質収支の計算
10.特殊な問題及び異常事象に関する記録、製造工程手順から逸脱す
るような逸脱状況について署名のある承認を得た説明と調査を
含める
11.生薬、中間製品、包装待ちの中薬飲片の検査記録及び出庫記録
第 9 章 生産管理
第 45 条
一次選別した後の生薬と中薬飲片は、地面に直接接触して
はならない。生薬と中薬飲片を日干しする場合には、効果的な防虫、
防雨など汚染を防止する措置を講じること。
第 46 条
飲料水の流水を使用して生薬を洗浄すること。使用した水
をその他の生薬の洗浄に使用してはならない。異なる生薬は、同じ容
器で同時に洗浄したり、浸潤したりしてはならない。
第 47 条
毒性のある生薬と中薬飲片の作業には、汚染・交叉汚染を
防止するための措置を講じ、生薬炮製の全過程を効果的にモニタリン
グすること。
第 48 条
生薬の投入日を中薬飲片の生産日とする。
第 49 条
中薬飲片は、同じバッチの生薬を使って同じ連続生産サイ
クル中に製造された一定量の均質な完成品を 1 バッチとする。
第 50 条
同じ作業所において、異なる品種・規格の中薬飲片を同時
に作業する場合は、交叉汚染を防止するための隔離措置を講じること。
第 10 章
第 51 条
品質管理
生薬と中薬飲片は、法定基準に従って検査すること。生薬、
中間製品、包装待ちの製品の検査結果が中薬飲片の品質評価に使用さ
れる場合は、評価を行い、中薬飲片の品質基準に適合する生薬、中間
体の品質基準を策定し、引用された検査結果は、中薬飲片の検査報告
書に明記すること。
第 52 条
企業は、必要な検査機器を備え、適切な標準操作手順書と
使用記録を有すること。検査機器は、実際の生産品種の要件を満たし、
重金属や有害な元素、残留農薬、アフラトキシンなどの特殊な検査項
目及び使用頻度の低い大型機器を除き、原則として委託検査は認めら
れない。
第 53 条
各バッチの生薬及び中薬飲片は保存サンプルを残すこと。
生薬の保存サンプルの数量は、少なくとも識別に必要な量以上の数量
を残すこと。中薬飲片の保存サンプルの数量は、少なくとも検査量の
2 倍が必要である。毒性のある生薬・中薬飲片の保存サンプルは、医
療用毒性のある医薬品の管理規定に一致すること。保存サンプルの保
管期間を規定すること。中薬飲片の保存サンプルの保管期間は、少な
くとも出荷された後 1 年間保管すること。
第 54 条
企業は、中医薬標本室(棚)を設置すること。標本品種は、
少なくとも生産に使用される生薬と中薬飲片を含める。
第 55 条
企業は、生産量が多く、品質が不安定な品種を選んで品質
遡及分析を行うことができる。その他の品種も定期的に品質遡及分析
を行うこと。また、遡及分析を行う品種は、企業のすべての炮製範囲
をカバーすること。
第 11 章
第 56 条
用 語
次の用語の定義は次の通りである。
1.直接経口中薬飲片
使用過程で煎じる必要がなく、そのまま経口又は湯に溶かして飲む
ことを基準において明確にしている中薬飲片である。
2.新鮮な状態で産地において加工された中薬飲片
産地で新鮮な生薬を使用して切裁などの加工された中薬飲片である。
産地の生薬初期加工は含まれていない。
付録 8
医
療
用
第1章 範
酸
素
囲
第 1 条 本付録で記載されている医療用酸素とは、深冷分離法で調
製された液体酸素と酸素ガスを指す。
第 2 条 本付録は、医療用酸素の工業製造工程に適用する。医療機
関内の医療用酸素の処置は含まれていない。
第 3 条 その他の医療用ガスの工業製造要件は、本付録を参照して
執行すること。
第2章 原
則
第 4 条 医療用酸素の製造・保管・輸送・販売は、国家の関連部門
の規定に適合し、証明書類を取得すること。
第5条
医療用酸素製造及び品質コントロールは、品質及び所定用途
の要件を満たし、汚染、交叉汚染、混同及びミスのリスクを最小限に
低減すること。
第3章 人
員
第 6 条 企業の生産管理責任者は、関連専門(化学工業、薬学、化
学、機械、工業工学等)の短期大学以上の学歴又は中級専門技術職、
かつ、3 年以上の医療用酸素製造と品質管理の経験を持ち、そのうち
少なくとも 1 年間の医療用酸素の生産管理の経験を持たなければなら
ない。
第7条
企業の品質管理責任者及び AP(Authorized Person)は、
関連専門(化学工業、薬学、化学、 機械、工業工学等)の短期大学以
上(短期大学を含む)の学歴(又は中級専門技術職)と 3 年以上の医
療用酸素製造と品質管理の経験を持ち、そのうち少なくとも 1 年間の
医療用酸素の品質管理の経験を持たなければならない。
第 8 条 医療用酸素の製造に従事する者は、医療用酸素に関する知
識について定期的に教育訓練を受け、特殊設備を操作する者は、国家
の規定に従って医療用酸素の製造に適合する有効な資格証明書を有す
ること。
第 9 条 必要に応じて、従業員に適切な作業服と安全防護用品を用
意すること。
第4章
第 10 条
工場と設備
医療用酸素の製造企業の製造環境は清潔であること。製造、
品質検査、管理、生活、補助区域の全体レイアウトは合理的に配置さ
れていること。
第 11 条
工場は医療用酸素製造工程の流れに応じて、合理的に配置
されていること。製造区域と保管区域は、生産規模に適合する面積と
空間を有し、換気、照明、防火、防爆、防雷、静電気防止などの設備
を備えること。
空ボンベと各段階の製品のボンベ(洗浄待ち、充填待ち、検査待ち、
合格、不合格など)を保管するために、十分な保管区域を有すること。
また、各保管区域では、ラインマーキング、遮断、フェンス、標識ラ
ベルなどの効果的な方法又は目立った表示ラベルなどを使用して区別
すること。
第 12 条
医療用酸素の充填作業所は清潔で、専用の更衣室を設置す
ること。床は平滑で摩耗に強く滑りにくいこと。充填作業所は、保守
作業所と分離すること。
第 13 条
製造と検査に使用される設備と機器は、定期的に確認と校
正をすること。
第 14 条
製造と検査設備は、定期的に保守すること。保守と修理に
関しては、記録を取らなければならない。製造設備のあらゆる保守と
修理作業は、医療用酸素の品質に影響を与えてはならない。
第 15 条
医療用酸素の製造工程に使用されるガスコンプレッサー
については、フッ素樹脂製ピストン密閉式コンプレッサーと水潤滑式
コンプレッサーを使用してはならない。
第 16 条
液体酸素を気化させて充填する場合は、低温液体酸素用ポ
ンプを用いて、加圧して気化させた後に充填すること。
第 17 条
医療用酸素の容器(ローリー、タンク、ボンベなど)は専
用とし、その他のガス容器と区別できる目立った表示ラベルを貼付す
ること。容器は番号を付けて管理され、安全性有効期限の表示ラベル
を添付し、安全検定資料などの適切なプロファイルを作成すること。
第 18 条
医療用酸素の充填は専用設備を使用し、充填クランプには
誤装着を防止する装置を備えること。
第 5 章 文書管理
第 19 条
各ロットのボンベの充填記録には、以下の内容を含まなけ
ればならない。
1.ロット製造指示
2.製品名、規格、ロット番号
3.充填作業の日時
4.使用された設備とその番号
5.ボンベの番号、充填前のボンベの点検
6.充填前後のボンベの数量と規格
7.各手順の作業員の署名。必要に応じて、再確認者の署名
8.関連する製造作業又は活動、工程パラメータ及び制御範囲
9.漏れ試験などの必要な中間コントロール措置
10.充填前の医療用酸素の品質検査結果
11.充填済みのボンベの点検確認結果
12.包装ラベルの見本
13.製造工程の逸脱の説明と対処、かつ、署名による承認
14.充填責任者の確認、署名と日付
第 20 条
深冷式空気分離装置で医療用酸素を製造する企業は、精製
工程におけるガスの純度、その他の組成物及び考えられる不純物を記
述する文書を作成すること。
各工程手順を記述するフローチャートを作成すること。
分離精製工程における温度のコントロールなどの重要な工程パラメ
ータについては、文書によって規定すること。
関連する製造工程については、完全なロット生産記録を取らなけれ
ばならない。
第 21 条
ボンベの品質プロファイルを作成し、国家の関連規定に従
って、ボンベの廃棄管理制度を構築し、かつ、ボンベの廃棄処理記録
を取ること。
第 6 章 生産管理
第 22 条
製造工程における全ての重要な手順は、バリデーションを
行うこと。
第 23 条
液体酸素の製造は、次の原則に従うこと。
1.分離と精製工程は、バリデーションを行い、工程要件に従って日
常のモニタリングをすること。消耗部品(精製フィルターのフィ
ルターエレメントなど)の保守や交換は、バリデーションとモニ
タリング結果に基づいて定期的に行うこと。
2.製造工程については、品質及び不純物に対して連続的なモニタリ
ングする措置を講じ、かつ、モニタリング記録を取ること。
3.工程モニタリングに使用されるコンピュータシステムは、バリデ
ーションを行うこと。
4.連続製造工程のロット区分については、文書によって規定され、
ロットに基づいてサンプリングして検査を実施すること。
5.液体酸素の充填及び移充填作業などの手順は、汚染を防止するた
めの措置を講じ、移充填配管には逆止弁の取り付け、又はその他
の同等の措置を講じること。
6.液体酸素を充填した液体酸素貯槽に液体酸素を充填する場合、液
体酸素の品質が要件を満たすことを証明すること。充填前にサン
プリングすることも、混合後にサンプリングすることもできる。
第 24 条
医療用酸素の充填製造工程は、次の規定を満たさなければ
ならない。
1.ロット番号の区分については、同じ連続製造サイクル中に充填さ
れた医療用酸素を 1 ロットとする。
2.ボンベは関連規定を満たし、回収されたボンベは、検査を行い、
保有する自社ボンベ以外のその他のボンベに充填してはならない。
3.手順書に基づいて、充填設備や配管を洗浄及び交換し、使用前に
確認を行うこと。
4.ボンベの使用前の処理や洗浄など製品品質に影響を与える主な要
因に対して、バリデーションを行い、適切な操作手順書を作成す
ること。
5.ボンベの充填前の点検では、少なくとも次の手順を含まなければ
ならない。
(1)ボンベの外面に貼り付けたカラーマークは、医療用酸素の規定
のマークと一致すること。
(2)残圧を確認し、ボンベが完全に空でないこと、及び残圧保持弁
が取り付けられているボンベの残圧が正数であることを確認
すること。
(3)ボンベに残圧がないことが示された場合は、ボンベが水やその
他の汚染物質によって汚染されていないことを確認するため
に、検査を実施すること。汚染されたボンベは、バリデーショ
ン済みの方法で洗浄すること。
(4)ボンベに当該ロットの製品に関連しない全てのラベルが取り
外されていることを確認すること。
(5)各バルブとボンベの外観について目視検査をし、凹み、弧状火
傷、破片、油汚れ、その他の損傷を目視で確認し、必要な対処
を行うこと。
(6)各ボンベ又は低温容器のバルブ継手を点検し、医療用酸素の充
填に適切なタイプであることを確認すること。
(7)ボンベが関連規定に従って検査され、有効期間内であることを
確認するために、ボンベの「検査日」を点検すること。
(8)ボンベの安全確保のための付属部品が揃っており、安全要件を
満たしていることを確認すること。
6.再利用されるボンベの充填前に、ボンベ本体を洗浄・消毒した後
に、置換法や真空引きの方法で合格するまで処理すること。真空
引きは 15kPa を下回ってはならない。または、各ボンベに対して、
残留ガスの全数検査を実施すること。
7.適切な方法でボンベが充填済みであることを確認すること。
8.医療用酸素を充填した後、各ボンベに対して、漏れ試験を実施す
ること。漏れ試験で不合格になった場合は、不合格品と見なすこ
と。漏れ試験の作業は医療用酸素製品の品質に影響を与えてはな
らない。漏れ試験で合格した場合は、ボンベのノズルを密封し、
ボンベにキャップと防振リングを取り付け、点検待ちの区域に入
れること。
9.各ボンベには製品ラベルを貼付し、ラベルには、製品名、企業名、
製造所の所在地、ロット番号、製造日、有効期間、酸素量、圧力、
実施基準などを記載すること。
第7章
第 25 条
品質管理
医療用酸素の小分け製造企業は、医療用酸素の製造許可書
を有する企業から調達し、小分けする前に全数検査を実施すること。
第 26 条
医療用酸素製品の有効期間は、包装容器の検定有効期間を
超えてはならない。
第 27 条
ボンベは、資格のある機関で定期検査を受け、合格した後
に限り、使用できること。ボンベは使用中に深刻な腐食や損傷が発生
した場合は、繰り上げ検査を実施すること。
第 28 条
医療用酸素製品は、品質基準に基づいて、全数検査を実施
し、『中華人民共和国薬局方』の基準を満たすこと。
第 29 条
静水圧試験に使用される水は、少なくとも飲料水であり、
その微生物汚染レベルを定期的にモニタリングすること。
第 30 条
医療用酸素製造企業において使用される専用の移動式ロ
ーリーで、医療機関又は自己使用の低温容器にその場で充填し、当該
ローリーの医療用酸素検査報告書を提供できる場合は、充填後に、再
サンプリングをして検査を実施する必要はない。
第 31 条
特に規定されている場合を除き、医療用酸素製品は、保存
サンプル及び持続的安定性評価の必要はない。
第8章
第32条
保管、リリース、販売
医療用酸素製品は、全数検査で合格し、AP(Authorized
Person)による審査・出荷された後に限り、販売可能となる。
第33条
ボンベは、直射日光及び高温の所を避けて保管すること。
保管区域は清潔で乾燥し、風通しがよく、最小安全距離内に可燃性物
がなく、ボンベを清潔で安全に維持すること。
第34条
医療用酸素は比較的独立した区域に保管すること。充填済
みと未充填のボンベの保管区域は隔離され、先入れ先出しの原則に従
って取り扱うこと。
第35条
ボンベの輸送期間において、混同・ミス・汚染・交叉汚染
を防止し、安全性を確保すること。
第9章
第 36 条
用語
次の用語の定義は次の通りである。
1.充填ステーション
1つ以上のガス容器を同時に空にしたり、充填したりするために設
計された設備又は装置
2.タンク
液化ガス又は低温ガスを貯蔵するための固定容器
3.ローリー
液化ガス又は低温ガスの運搬に使用される車両に固定された容器
4.低温容器
液化ガス又は低温ガスを入れるための固定又は移動可能な断熱容器。
ガスは気体又は液体で取り出すことができる。
5.静水圧試験
安全上の理由から、ボンベ又はタンクが高圧に耐えられることを確
認するために、国家又は国際準則に基づいて実施される試験
6.排気
大気圧まで減圧するために排気すること。
7.容器
タンク、ローリー、ボンベ、又は医療用酸素と直接接触するその他
の包装物
8.液体酸素
医療用液体酸素のことであり、低温で液化した医療用酸素を指す。
9.残圧保持弁
使用中に汚染を防止するために、配置された一定圧力(約0.3~0.5
MPaゲージ圧)を維持できる逆止弁
10.逆止弁
一方向のみに流れるバルブ
11.置換
ボンベを洗浄するために、排気と部分的な加圧によって残存ガスを
抜き、空にすること。
付録 9
サンプリング
第1章 範
囲
第 1 条 本付録は、医薬品製造に関わる材料と製品のサンプリング
操作に適用する。
第2章 原
則
第 2 条 医薬品製造におけるサンプリングとは、ある母集団(材料
と製品)から特定の目的のためにサンプルを抽出する操作のことをい
う。サンプリング操作は、サンプリングの目的、サンプル抽出制御の
種類、サンプル抽出待ちの材料及び製品に適用されること。サンプリ
ング手順書を作成し、サンプリングする際は、適切な設備とツールを
使用して、サンプリング手順に従って操作すること。
第 3 条 サンプリング操作による材料や製品及び抽出したサンプル
への汚染、材料や製品及び抽出したサンプル間の交叉汚染を防止する
ために、効果的な措置を講じること。
第 4 条 サンプリング操作は、サンプルの代表性を保証すること。
通常、抽出したサンプルを元の容器に戻してはならない。
第 3 章 サンプリング施設
第5条
サンプリング施設は、次の要件を満たさなければならない。
1.サンプリング区域の空気清浄度レベルは、抽出される材料の製造
環境の空気清浄レベルを下回ってはならない。
2.開放作業による、その他の環境、人員、材料、製品との汚染・交
叉汚染を防止する。
3.サンプリング中のサンプル採取者を保護する。
4.サンプリング操作や清掃をしやすくする。
第6条
β-ラクタム系薬剤、性ホルモン剤、高活性・強い毒性・高
感作性の医薬品などの特性を持つ医薬品の材料又は製品のサンプリン
グ施設は、本規範に規定されている製造施設要件を満たすこと。
第 7 条 材料のサンプリングは、製造現場においてサンプリングす
る場合を除き、可能な限り、専用のサンプリング室で行うこと。サン
プリング室の使用については、記録を取らなければならない。順番に
従って、各サンプリング区域内において抽出される全ての材料を記録
すること。記録内容には、少なくともサンプリング日付、品名、バッ
チ番号、サンプル採取者を含めること。
第 8 条 サンプリング施設の管理は、本規範の製造区域の管理要件
を参照すること。汚染・交叉汚染を防止するために、各種材料のサン
プリング後に、サンプリング施設を清掃し、かつ、記録を取ること。
第4章
第9条
サンプリング器具
サンプリング補助ツールには、開梱ツール、粉塵除去装置、
再封止用包材などを含む。必要に応じて、サンプリング前に、サンプ
ル抽出待ちの包装を清潔にすること。
第 10 条
低粘度の液体のサンプリングは、各種ピペット、小瓶、ビ
ーカー、ロングスプーン、漏斗などを使用することができる。可能な
限り、ガラス製の容器を使用しないようにすること。高粘度の液体の
サンプリングは、適切な不活性材料で作られたサンプリング器具を使
用できる。粉末状と粒状固体のサンプリングは、サンプリングスコッ
プ、サンプリングスプーン、ペンシル形粉体試料採取器などを使用で
きる。無菌材料のサンプリングは、無菌条件下で行うこと。
第 11 条
すべてのツール及び設備は、不活性材料で作られ、清潔な
状態を維持すること。使用後は十分に洗浄し、乾燥させ、清潔な環境
に保管すること。必要に応じて、使用前に水又は適切な溶剤で溶出し、
乾燥させること。全てのツール及び設備については、洗浄手順書と記
録を作成すること。サンプリングツールの洗浄操作手順書は十分に有
効であることを証明すること。
第5章
サンプル採取者と防護
第 12 条 サンプル採取者は、サンプリング操作について適切な教育
訓練を受け、抽出される材料と製品に関する知識を十分に習得してお
くこと。また、無菌材料と製品のサンプル採取者に対して、安全かつ
効果的な作業をさせるために、無菌知識と操作要件について教育訓練
を行うこと。教育訓練については、記録を取らなければならない。
第 13 条 サンプリングする際は、材料及び製品への汚染、及びサン
プル採取者が材料と製品による負傷を防止するために、防護要件を満
たす適切な作業服を着用すること。
第 14 条 サンプル採取者は、サンプリングする際に発見された異常
事象に対して、警戒の姿勢を保つこと。あらゆる疑わしい兆候に関し
て、サンプリング記録に詳細に記録を取らなければならない。
第6章 文
書
第 15 条 サンプリングについての操作手順書を作成すること。手順
書の内容は、
『医薬品製造品質管理規範』(2010 年改訂)
』の第 222 条
の要件を満たすこと。内容には、少なくともサンプリング方法、使用
される器具、サンプル量、サンプルの小分け方法、サンプル容器の種
類と状態、サンプル容器の表示ラベル、サンプリングに関する注意事
項(特に無菌又は有害材料のサンプリング、サンプリング中の汚染・
交叉汚染の防止に関する注意事項)、保管条件、サンプリング器具の洗
浄方法と保管要件、余った材料の再包装方法を含めること。
第 16 条 材料の場合は、通常、単純無作為抽出法を採用する。製品
の場合は、無作為抽出法を考慮することに加え、製造工程における逸
脱やリスクも重視し、欠陥の可能性がある製品を抽出して検査を行う
こと。
第 17 条 サンプリング記録を作成し、記録には少なくとも品名、バ
ッチ番号、規格、サンプルサイズ、サンプル数、サンプル番号、サン
プリング量、サンプルの小分け量、サンプリング場所、サンプル採取
者、サンプリング日付などの情報を明記すること。
第 18 条 サンプリング済みの材料及び製品の外装には、サンプリン
グの表示ラベルを貼付け、サンプリング量、サンプル採取者及びサン
プリング日付を明記すること。
第 19 条 サンプル容器には、表示レベルを貼付け、サンプル名、バ
ッチ番号、サンプリング日付、どの包装容器から抽出したか及びサン
プル採取者などの情報を明記すること。
第7章
サンプリング操作
第 20 条 サンプリング操作の一般原則
抜取検査を受ける材料と製品は均一であり、供給源の信頼性がある
場合は、バッチに基づいてサンプリングをすること。サンプルサイズ
を n とすると、n≤3 の場合は、全数サンプリングをする。3<n≤300 の
場合は、
n
+1 の単位で無作為に抽出する。n>300 の場合は、
n
/2+1
の単位で無作為に抽出する。
第 21 条
一般原料と添加剤のサンプリング
一度に受入れた同じバッチ番号の原料と添加剤が均一である場合は、
当該バッチの原料と添加剤のいずれかの部分からサンプルを抽出する
ことができる。
原料と添加剤が物理的均一性を持たない場合は、代表的なサンプル
を特殊なサンプリング方法で抽出する。原料と添加剤の特性に応じて、
検証済みの措置を講じ、サンプリング前に、原料と添加剤の均一性を
回復することができる。例えば、層状液体に対して、撹拌することで
均一性の問題を解決することができる。液体中の沈殿物に対して、穏
やかに加熱と攪拌することで溶解することができる。
第 22 条
無菌材料のサンプリング
無菌材料のサンプリングは、材料への影響を十分に考慮すること。
サンプリング操作は、無菌操作の要件に厳密に従うこと。サンプル採
取者は、厳格な教育訓練を受け、サンプル数は『中華人民共和国薬典』
の付録である無菌検査法に規定されているバッチ出荷する製品の最低
検査数量の要件に基づいて計算することができる。
供給者に対して十分な評価を行った上で、材料の受入者が定性分析
をしやすくし、サンプリングによる材料汚染リスクを低減するために、
供給者が小分けの際に、それぞれ適切な数量のサンプルを残し、材料
包装と同じ材質の小型容器に入れ、かつ、容器に明確な表示ラベルを
貼付け、同じ外装に入れることを要請することができる。
第 23 条
血漿のサンプリング操作は、
『中華人民共和国薬典』の第
3 部である「血液製剤原料血漿管理手順」の要件に従って、血漿の各
バッグのサンプリング検査を行うこと。
第 24 条
生薬、中薬飲片のサンプル採取者は、サンプリングする際
に存在するおそれがある品質問題を発見することができるために、生
薬識別について教育訓練を受けること。また、生薬のサンプリング操
作は『中華人民共和国薬典』の第 1 部の付録に規定されている生薬の
サンプリング方法の要件に従って行い、サンプリングする際に、生薬
の不均一性を十分に考慮すること。
第 25 条
工程用水のサンプリング操作は、通常の製造作業と一致し、
サンプリング後は品質の変化を防ぐために、迅速に検査を行うこと。
第 26 条
印刷済みの包材をサンプリングする際は、混同のリスクを
避けるために、一度に 1 種類の印刷済みの包材のみをサンプリングし、
抽出した印刷済みの包材のサンプルは元の包装に戻してはならない。
サンプルに対して、混同や破損を防止するために、十分な保護措置と
表示ラベルがなければならない。
第 27 条
一度に受入れた一次包材が医薬品と直接接触する不均一
性を考慮に入れ、存在するおそれがある欠陥を発見するために、少な
くとも無作為抽出法 を採用すること。サンプル数は、 GB/T2828.1
(ISO2859-1)
『計数抜取検査手順第 1 部:合格品質限界(AQL)で検索
するバッチ毎の抜取検査計画』の要件を参照して計算することができ
る。
第 28 条
中間体のサンプリングは、製造状況を迅速かつ正確に反映
することができる。インラインサンプリングを行う場合、工程と設備
がサンプルへの影響を十分に考慮し、適切な製造時間帯とサンプリン
グ箇所を選択してサンプリング操作を行なうこと。非インラインサン
プリングの場合、サンプル数は本付録の第 20 条の要件に従って計算す
ることができる。
第 29 条
完成品のサンプリングは、製造工程における逸脱とリスク
を考慮すること。無菌検査を行うサンプルのサンプリングに対して、
サンプル数は本規範の付録である無菌医薬品の第 80 条の規定と『中華
人民共和国薬典』の付録である無菌検査法に規定されているバッチ出
荷する製品の最低検査数量の要件に従って計算すること。
第 30 条
放射性医薬品のサンプリング操作は、製品の実際の状況に
応じて行い、かつ、適切な防護措置を講じること。
第 31 条 材料と製品標準に特定のサンプリング要件がある場合は、標
準要件に従って実行する。包装材、工程用水などに対して、具体的な状
況に応じてサンプリング操作原則を制定すること。
第 32 条
サンプリング後に、各サンプルの外観検査を行い、必要に
応じて識別検査を行うこと。各サンプルの結果が一致している場合は、
それらを1組のサンプルにまとめることができ、テストサンプルと保
存サンプルとして小分けして包装する。テストサンプルは試験室の全
数試験検査サンプルとする。
第 33 条
サンプリング量は、
『医薬品製造品質管理規範』(2010 年
改訂)』に規定されている検査及び保存サンプルに関する要件を満たす
こと。
第8章
第 34 条
サンプル容器、移行と保管
サンプル容器は、環境、微生物、パイロジェンなどによる
汚染を防止することができ、サンプルとの反応、吸着、又は汚染を引
き起こさないこと。また、サンプルの保管要件に応じて、元の包装よ
り分解、潮解、吸湿、揮発などが起こりやすくならないように遮光し、
空気と水分を遮断すること。サンプル容器は、通常密封され、自由に
開けられないようにする装置を取り付けると良い。
第 35 条
サンプリング後に、迅速に移行し、その移行過程における
汚染を防止しなければならない。また、サンプルの品質に影響を与え
てはならない。
第 36 条
試験室には、サンプル保管用区域と適切な設備を備えるこ
と。サンプルの保管条件は、適切な材料と製品の保管条件と一致する
こと。
第9章 用
第 37 条
語
次の用語の定義は次の通りである。
1.単純無作為抽出
N 個の抽出単位を含む母集団から非復元抽出で n 個の単位を抽出す
る。n 個の単位が抽出される確率が等しい、つまり確率=1/ (Nn)と
なる場合、このような抽出方法を単純無作為抽出という。
注:単純無作為抽出は、次のように 1 個ずつ単位を抽出する方法で
行うことができる。最初のサンプル単位は、母集団の N 個の抽出単位
から無作為に抽出され、2 番目のサンプル単位は残りの N-1 個の抽出
単位から無作為に抽出される。これ以降も同様である。
2.代表的なサンプル
1つのサンプリングプランに基づいて、当該プランは抽出したサン
プルが、同じバッチの母集団の異なる部分又は 1 つの不均一なサンプ
ルの母集団の異なる属性を比例的に表していることを確保することが
できる。このようなサンプルを代表的なサンプルという。
3.サンプル
同じバッチから抽出され、当該バッチに関する情報を提供する1つ
又は 1 グループの材料又は製品である。
付録 10
コンピュータ化システム
第1章 範
第1条
囲
本付録は、医薬品生産品質管理過程に使用するコンピュータ
化システムに適用する。コンピュータ化システムは、特定の機能を満た
すための一連のハードウェアとソフトウェアで構成されている。
第2章 原
第 2 条
則
コンピュータ化システムを手動操作の代わりに使用する場
合、製品品質、過程コントロール及びその品質保証レベルに悪影響を与
えないこと、全体的なリスクを増加させないことを保証すること。
第3条
リスクマネジメントは、コンピュータ化システムの全ライフ
サイクルを通して実施し、患者の安全、データ完全性及び製品品質を考
慮すること。品質リスクマネジメントの一環として、文書化されたリス
ク評価の結果に基づいて、バリデーションとデータ完全性のコントロー
ルレベルを確定すること。
第4条
企業は、コンピュータ化システム供給者の管理に対して操作
手順書を作成すること。供給者が製品又はサービスを提供する場合(イ
ンストール、構成、統合、バリデーション、メンテナンス、データ処理
など)、企業は供給者と正式な契約を締結し、当事者双方の責任を明確
にすること。
企業は、リスク評価の結果に基づいて、供給者の品質システム及び監
査情報に関連する文書を提供すること。
第3章 人
第 5 条
員
コンピュータ化システムのライフサイクルに及ぶ様々な業
務(バリデーション、使用、メンテナンス、管理など)は、関連する職
能部門の人員間の緊密な連携が必要である。コンピュータ化システムの
全ての使用者と管理担当者の責任と権限を明確にし、適切な使用及び管
理について教育訓練を行うこと。
コンピュータ化システムの設計、バリデーション、インストール、稼
働などについて、適切な専門家による教育訓練と指導を行うことを確保
すること。
第 4 章 バリデーション
第6条
コンピュータ化システムのバリデーションには、アプリケー
ションのバリデーションとインフラストラクチャの確認が含まれ、その
範囲とレベルは科学的なリスク評価に基づくこと。リスク評価は、コン
ピュータ化システムの使用範囲と用途を十分に考慮すること。
コンピュータ化システムのライフサイクルにおけるバリデーション
状態を維持すること。
第7条
企業は、医薬品生産の品質管理に関わるすべてのコンピュー
タ化システムを含むリストを作成し、医薬品生産の品質管理に関連する
機能を明記すること。リストは適時的に更新すること。
第8条
企業は、ユーザーの要求を満たしていることを確認するため
に、専任者を指名し、汎用的な商用ソフトウェアを審査すること。
カスタマイズされたコンピュータ化システムをバリデーションする
場合、企業は、ライフサイクルにおける評価システムの品質と性能を確
保するために、適切な操作手順書を作成すること。
第9条
データ形式の変換又は移行の際には、データの値と含まれる
内容が変更されないことを確認すること。
第 5 章 システム
第 10 条
外部要因による妨害を防ぐためにシステムは適切な場所にイ
ンストールすること。
第 11 条
重要なシステムについては、詳細な説明文書(必要に応じて
図面)が必要であり、適時に更新すること。この文書には、システムの
作動原理、目的、セキュリティ対策、適用範囲、コンピュータ動作方式
の主な特徴、及びその他のシステムやプログラムとのドッキング方法に
ついて詳細に説明すること。
第 12 条
ソフトウェアはコンピュータ化システムの重要な構成要素
である。ソフトウェアが企業の要求を満たしていることを保証するため
に、企業はリスク評価の結果に基づいて、導入されたソフトウェアを格
付け管理し、
(ソフトウェア供給者に対する監査など)、供給者の品質保
証システムを評価すること。
第 13 条
コンピュータ化システムを使用する前に、システムに対し
て全面的にテストをし、システムが期待される結果を得られることを確
認すること。コンピュータ化システムを特定の手動システムの代わりに
使用する場合は、テストとバリデーションの一環として、2 つのシステ
ム(手動システムとコンピュータ化システム)を並行して実行すること
ができる。
第 14 条
許可された者だけがシステムにアクセスして使用できるこ
と。企業は、許可されていない者がシステムにアクセスして使用するこ
とを根絶するための適切な方法を採用すること。
システムにアクセスして使用することについて、許可、キャンセル、
及び許可変更の操作手順書を作成すること。必要に応じて、システムは、
許可されていない者がシステムにアクセスしようとした行動を記録で
きるよう考慮すること。システム自体の不具合について、人員統制がで
きない場合は、許可された者だけが操作できることを保証するために、
書面化されたプログラム、関連する記録用ノート、及び関連する物理的
分離方式が必要である。
第 15 条
手動により重要なデータを入力する際には、精度を確保す
るために、入力したデータをダブルチェックすること。このダブルチェ
ックは、他の作業員が実施するか、又はバリデーション済みの電子的方
法で実施することができる。必要に応じて、データ入力の精度とデータ
処理プロセスの正確性を確保するために、システムにダブルチェック機
能を設置すること。
第 16 条
コンピュータ化システムには、重要なデータの入力者又は
確認者の身元を記録すること。有資格者だけが入力されたデータを修正
することができる。入力された重要なデータを修正するたびに、承認を
受け、修正の理由を記録すること。データの入力と修正、及びシステム
の使用と変更を記録するために、リスク評価の結果に基づいて、コンピ
ュータ化システムに監査証跡システムを構築することを考慮すること。
第 17 条
コンピュータ化システムの変更は、事前に定められた操作
手順書に従って行うこと。操作手順書には、評価、バリデーション、審
査、許可、変更などについての規定を含めること。コンピュータ化シス
テムの変更は、コンピュータ化システムの当該部分に関連する責任者の
承認を得ること。また、変更の状況に関しては、記録を取らなければな
らない。
第 18 条
電子データと紙文書が同時に存在する場合は、電子データ
をマスターデータとするか、紙文書をマスターデータとするかを明確に
規定する文書が必要である。
第 19 条
電子データをマスターデータとする場合は、次の要件を満
たさなければならない。
1.品質監査の目的を満たすために、保存された電子データは明瞭で
分かりやすい文書に印刷することができること。
2.意図的又は予想外の障害を防止するために、物理的又は電子的方
式でデータの安全性を保証すること。日常的なメンテナンスやシス
テムの変更(コンピュータ設備やそのプログラムなど)が発生した
場合は、保存されたデータのアクセス性とデータ完全性をチェック
すること。
3.データバックアップとリストアの操作手順書を作成し、保存され
たデータを保護して、将来呼び出せるために、データを定期的に
バックアップすること。データバックアップは、別の独立な安全
な場所に保存し、保存期間は少なくとも本規範における文書と記
録の保存期間に関する要件を満たすこと。
第 20 条
企業は、緊急時対応計画書を作成し、システムの破損時に
実行できるように備えること。緊急時対応計画書の適時性は、当該計画
を実行する必要がある緊急度に関係すること。例えば、製品リコールに
影響を与える関連情報は、適時に入手できるようにすること。
第 21 条
システムの故障又は破損が発生した場合に対処するための
操作手順書を作成し、必要に応じて、当該対処手順書の関連内容をバリ
デーションすること。
システムの故障とデータエラーなど全ての事象を記録し、評価するこ
と。重大な事象については、徹底的に調査し、根本原因を特定し、適切
な更正措置と予防措置を講じること。
第 22 条
コンピュータ化システムを使用して製品をリリースする場
合、コンピュータ化システムは、製品をリリースする者の身元を明示・
記録することができること。
第 23 条
電子データには電子署名を付与する方法を使用でき、電子
署名は適切な法令の要件を満たすこと。
第 6 章 用語
第 24 条
次の用語の定義は次の通りである。
1.電子署名:電子データに電子的な形態で含まれ、添付されている
署名者の身元の識別、及び署名者がその内容を承認したことを示す
ためのデータである。
2.電子データ:電磁的記録とも呼ばれ、電子式、光学式、磁気式、
又は類似の方法で生成、送信、受信、又は保存された情報である。
3.インフラストラクチャ:アプリケーションにプラットフォームを
提供し、アプリケーションの機能を実現させるネットワークソフト
ウェアやオペレーティングシステムなどの一連のハードウェア及
び基本ソフトウェアである。
4.コンピュータ化システムのライフサイクル:コンピュータ化シス
テムとは、ユーザーの要求の提出から利用終了までの過程のことで
あり、設計、標準設定、プログラムの作成、テスト、インストール、
稼働、メンテナンスなどの段階を含む。
5.データ監査証跡:コンピュータのオペレーティングシステム、ア
プリケーション、ユーザーの操作などに関する一連の事象を記録す
ること。生データから関連する記録、報告あるいは事象を追跡する
ため、又は記録、報告、事象から生データを追跡するために用いら
れる。
6.データ完全性:データの正確性と信頼性を指し、保存された全て
のデータ値が正確であり、かつ、客観的であることを表す。
7.アプリケーション:既定のプラットフォーム/ハードウェアにイン
ストールされ、特定の機能を提供するソフトウェアである。
付録 11
確認とバリデーション
第1章 範
第1条
囲
本付録は、医薬品生産品質管理過程に関わる全ての確認・バ
リデーション活動に適用する。
第2章 原
第2条
則
企業は、操作に関する重要な要因を効果的に制御できること
を証明するために、確認又はバリデーションを行う必要がある業務を確
定すること。確認・バリデーションの範囲とレベルは、リスク評価の結
果に基づいて確認すること。確認・バリデーションは、製品のライフサ
イクル全体を通して実施すること。
第3章
第3条
バリデーションマスタープラン
全ての確認・バリデーション活動は、あらかじめプランを策
定すること。確認・バリデーションの重要な要因は、バリデーションマ
スタープラン又は同等の文書に詳細に記述すること。
第4条
バリデーションマスタープランには、少なくとも次の情報を
含めなければならない。
1.確認・バリデーションの基本原則
2.確認・バリデーション活動の組織及び職責
3.確認待ち又は検証待ち項目の概要
4.確認又はバリデーション計画書と報告書の基本要件
5.マスタープランとスケジュール
6.バリデーションとバリデーションにおける逸脱処理と変更制御の
管理
7.バリデーション状態を保ち続けるための策略(必要な再確認と再
バリデーションを含む)
。
8.参照した文書と文献
第5条
大規模で複雑な項目の場合は、個別項目のバリデーションマ
スタープランを策定することができる。
第 4 章 文書
第6条
確認・バリデーション計画書は、審査を行って承認すること。
確認・バリデーション計画書では、重要な要因と許容基準について詳細
に記述すること。
第 7 条
供給者又は第三者がバリデーションサービスを提供する場
合、企業は、提供された確認・バリデーション計画書、データ又は報告
書の適用性と適合性に対して審査を行い、承認すること。
第8条
確認又はバリデーション活動の終了後、分析によって得られ
たデータと結果を速やかに要約し、確認又はバリデーション報告書を作
成すること。企業は、報告書に確認・バリデーション中に発生した逸脱
に対して評価を行い、必要に応じて徹底的に調査し、適切な是正措置と
予防措置を講じること。承認された確認・バリデーション計画書の変更
は、評価を行い、適切な制御措置を講じること。確認又はバリデーショ
ン報告書は、書面審査を行って承認すること。
第9条
確認又はバリデーションが段階的に行われる場合は、前の段
階の確認又はバリデーション報告書が承認を得た後、若しくは確認又は
バリデーション活動が所定の目標を満たし、かつ、承認を得た後に限り、
次の段階の確認又はバリデーション活動を実施できる。
前の段階の確認又はバリデーション活動において、事前設定された基
準を満たせない場合、又は逸脱処理が完了していないが、評価の結果、
次の段階の確認又はバリデーション活動に重大な影響を及ぼさない場
合、企業は、前の段階の確認又はバリデーション活動に対して条件付き
で承認することができる。
第 10 条
バリデーション結果が事前設定された許容基準を満たして
いない場合は、記録を取り、原因の分析を行うこと。企業が、あらかじ
め設定された許容基準を調整する場合は、科学的評価を行い、最終的な
バリデーション結論をまとめること。
第5章 確
認
第1節
設計時適格性確認
第 11 条 企業は、新しい又は改修されたプラント、施設、設備について、
所定用途、本規範及び関連法令の要件に従ってユーザー要求を書面化し、審査
を行って承認すること。
第 12 条
設計時適格性確認は、設計がユーザー要求を満たしている
ことを証明し、適切な文書を有すること。
第2節
第 13 条
据付時適格性確認
新しい又は改修されたプラント、施設、設備について、据
付時適格性確認を行うこと。
第 14 条 企業は、ユーザー要求と設計時適格性確認における技術要
件に基づいて、プラント、施設、設備を検収し、記録を取ること。据付
時適格性確認には、少なくとも次の項目を含まなければならない。
1.最新の技術図面と技術要件に基づいて、設備、配管、共用施設及
び計器の据付けは設計基準を満たしているかを確認する。
2.供給者により提供された取扱説明書、保守マニュアルを収集し、
整理(保管)する。
3.計器は必要な校正を行う。
第 3 節 稼動性能適格性確認
第 15 条
企業は、工場、施設、設備の稼働が設計基準を満たして
いることを証明すること。稼動性能適格性確認には、少なくとも次の項
目を含まなければならない。
1.施設と設備の設計基準に基づいて、稼働テスト項目を策定する。
2.試験/テストは、1 つ又は一連の稼働条件の下で実施すること。設備
稼働の上限と下限を含め、必要に応じて「最悪条件」を選択するこ
と。
第 16 条
稼動性能適格性確認の完了後、必要な操作、洗浄、校正及
び予防保守の操作手順書を作成し、関係者に対して教育訓練を行うこと。
第 4 節 性能適格性確認
第 17 条 据付時適格性確認と稼動性能適格性確認が完了し、要件を満た
した後に限り、性能適格性確認を行うことができる。場合によって、性能適
格性確認は稼動性能適格性確認又はプロセスバリデーションと合わせて行う
こと。
第 18 条
既存の製造工程、施設、設備に関する知識に基づいて、性
能適格性確認計画書を作成し、製造用材料や適切な代替品又は模擬薬で
試験/テストを行うこと。テスト中の必要なサンプリング頻度を評価す
ること。
第6章
プロセスバリデーション
第 1 節 一般要件
第 19 条
プロセスバリデーションは、ある製造工程が規定の工程パ
ラメータに基づいて、所定用途と登録要件を満たす製品を継続的に生産
できることを証明すること。工程が常にバリデーション状態を保ち続け
ていることを確保するために、プロセスバリデーションには、最初のバ
リデーション、製品品質に影響を与える重要な変更後のバリデーション、
必要な再バリデーション、及び製品のライフサイクルにおける継続的工
程確認を含めること。
第 20 条
企業は、書面化した文書を作成して製品の重要品質特性、
重要工程パラメータ、通常の製造とプロセスコントロールにおける重要
工程パラメータの範囲を確定し、製品及び工程に関する知識の理解に基
づいて更新すること。
第 21 条
新しい製造処方又は製造工程による最初のプロセスバリデ
ーションは、その製品の全ての規格をカバーすること。企業は、リスク
評価の結果に基づいて、簡略的な方式で後続のプロセスバリデーション
を行うこと。例えば、代表的な製品規格や包装規格、工程の最悪条件を
選択してバリデーションを行ったり、バリデーションのバッチ数を適切
に減したりなどすること。
第 22 条
プロセスバリデーションのバッチサイズは、所定の商用バ
ッチのバッチサイズと一致すること。
第 23 条
プロセスバリデーションの前に、少なくとも次の作業を完
了しなければならない。
1.工場、施設、設備は確認を行い、要件を満たしていること。分析
方法はバリデーション又は確認を行うこと。
2.通常生産に従事する作業員は、プロセスバリデーションのバッチ
生産に関与し、適切な教育訓練を受けること。
3.プロセスバリデーションのバッチ生産に使用される重要な材料は、
承認された供給者により提供されること。そうでない場合は、存在
する可能性があるリスクの評価を行うこと。
第 24 条
企業は、十分なデータを取得して工程と製品の品質を評価
するために、品質リスクマネジメントの原則に基づいて、プロセスバリ
デーションのバッチ数とサンプリング計画書を確定すること。
企業は、通常、少なくとも連続して合格した 3 バッチのプロセスバリ
デーションを実施すること。製品ライフサイクルにおける後続の商用生
産のバッチについて得られた情報とデータについて、継続的工程確認を
行うこと。
第 25 条
プロセスバリデーション計画書には、少なくとも次の内容を
含まなければならない。
1.工程の簡潔な説明(バッチサイズなど)
2.重要品質特性の概要と許容限度
3.重要工程パラメータの概要とその範囲
4.バリデーションすべきその他の質量特性及び工程パラメータの概
要
5.使用する主な設備、施設のチェックリスト、及びそれらの校正状
態
6.完成品のリリースの品質基準
7.適切な検査方法のチェックリスト
8.中間コントロールのパラメータとその範囲
9.実施する追加試験、テスト項目の許容基準、テストに使用される
バリデーション済みの分析方法
10.サンプリング方法と計画
11.結果の記録・評価方法(逸脱処理を含む)
12.職能部門と職責
13.提案された工程表
第 26 条
企業が生産経験や履歴データにより製品と工程に関する十
分な知識を得て、深い理解がある場合、工程変更後又は継続的工程確認
などのバリデーション方法は、リスク評価後に適切な調整を行うことが
できる。
第 2 節 継続的工程確認
第 27 条
工程と製品品質が常に制御されていることを確保するため
に、製品のライフサイクルにおいて、継続的工程確認を行い、商用生産
の製品品質に対してモニタリングとトレンド分析を実施すること。
第 28 条
製品のライフサイクルにおいて、工程理解度と工程性能の
コントロールレベルの変化を考慮に入れ、継続的工程確認の範囲と頻度
を定期的に審査して調整すること。
第 29 条
継続的工程確認は、承認された文書に従って行い、取得し
た結果に基づいて適切な報告書を作成すること。必要に応じて、工程が
制御されていることを確認するために、統計手法を使用してデータ分析
を行うこと。
第 30 条
継続的工程確認の結果は、製品品質の遡及分析をサポート
し、プロセスバリデーションが制御されていることを確認する為に用い
ることができる。トレンドが漸進的に変化する場合は、評価を行い、適
切な措置を講じること。
第3節
第 31 条
コンカレントバリデーション
例外的な場合においては、コンカレントバリデーションが
許可される。例えば、医薬品の不足により患者の健康リスクが高まった
り、製品の市場需要が非常に少ないためバッチのバリデーションを連続
して行うことができない製造の場合が該当する。
第 32 条
コンカレントバリデーションを行うためには、その妥当性
を証明し、品質管理責任者の承認を得ること。
第 33 条
コンカレントバリデーションが実施されたバッチにおいて
は、製品の工程及び品質評価が全て完了する前に製品が市場に出荷され
ているため、企業は当該バッチに対するモニタリングを強化すること。
第 7 章 輸送確認
第 34 条
輸送に特別な要件がある材料及び製品の輸送条件は、適切
な承認文書、品質基準の規定又は企業(又は供給者)の要件に適合する
こと。
第 35 条
輸送確認は、輸送に及ぼす影響要因に対してチャレンジテ
ストを行い、輸送方法や経路などの輸送ルートを明確に規定すること。
また、長距離輸送は季節の変化を考慮すること。
第 36 条
温度を除き、輸送中に製品に影響を及ぼすその他の要因(湿
度、振動、操作、輸送遅延、データロガーの故障、液体窒素での保管、
環境要因に対する製品の感度など)を考慮すること。
第 37 条
製品の輸送中に様々な想定外の状況が発生する可能性があ
るため、輸送確認は、重要な環境条件に対して連続的にモニタリングす
ること。
第 8 章 洗浄バリデーション
第 38 条
製品と直接接触する設備の洗浄操作手順の有効性を確認す
るために、洗浄バリデーションを行うこと。関わる材料に応じて、活性
物質の残留、洗浄剤、微生物の汚染の限度基準を合理的に確定すること。
第 39 条
洗浄バリデーションでは、清潔になるまで繰り返し洗浄す
る方法を採用してはならない。目視検査は1つの重要な基準であるが、
通常は単一の許容基準として使用してはならない。
第 40 条
洗浄バリデーションの回数は、リスク評価に基づいて確定
し、通常は、少なくとも連続して 3 回を実施すること。
洗浄バリデーション計画の完了には一定の時間がかかり、バリデーシ
ョンにおける各バッチ生産後の洗浄効果について適時に確認すること。
必要に応じて、企業は、洗浄バリデーション後に設備の洗浄効果に対し
て継続的に確認すること。
第 41 条
洗浄バリデーションは、洗浄方法の自動化レベルを考慮す
ること。自動洗浄方法を採用する場合は、使用する洗浄装置に設定した
通常の動作範囲をバリデーションすること。手動洗浄方法を採用する場
合は、洗浄効果に影響を与える作業員や洗浄手順書の詳細度(溶出時間
など)などの様々な要因を評価すること。手動操作については、変動要
因が明確である場合は、洗浄バリデーション中に適切な最悪条件を考慮
すること。
第 42 条
活性物質の残留限度基準は、毒性学試験データ又は毒性学
の文献資料の評価に基づいて設定すること。
洗浄剤を使用する場合は、その除去方法と残量について確認を行うこ
と。
許容基準は、一連の工程・設備における複数の設備による潜在的な累積
効果を考慮すること。
第 43 条
洗浄バリデーション中に潜在的な微生物汚染を評価するこ
と。必要に応じて、エンドトキシン汚染を評価すること。設備の使用後
から洗浄までの時間間隔、及び設備の洗浄後の保管期間が洗浄バリデー
ションに及ぼす影響を考慮すること。
第 44 条
キャンペーン生産方式を採用する場合は、キャンペーン生
産の最大時間と最大バッチサイズを総合的に考慮し、洗浄バリデーショ
ンの評価の根拠とすること。
第 45 条
最悪条件で製造された製品の洗浄方法で洗浄バリデーショ
ンを行う場合は、最悪条件製品の選択根拠について評価が必要である。
生産ラインに新製品を導入する場合は、再評価が必要である。多目的設
備に単一の最悪条件で製造された製品がない場合、最悪条件の確定は、
製品の毒性、1 日に許容される摂取限度値、溶解度などを考慮すること。
使用した各洗浄方法については、最悪条件のバリデーションを行うこと。
同じ工程手順で複数の同種設備を使用して製造する場合、企業は、評
価後に、代表的な設備を選択して洗浄バリデーションを行うことができ
る。
第 46 条
洗浄バリデーション計画書には、サンプリング箇所、サン
プリング箇所の選択理由及び許容基準を詳細に記述すること。
第 47 条
スワブ法及び(又は)洗浄の最終段階での溶離液をサンプ
リングすること。又は、サンプリング箇所に応じて、その他のサンプリ
ング方法を確定し、サンプリングすること。スワブ材は、結果に影響を
及ぼしてはならない。溶出方法を採用する場合は、洗浄手順の最後の溶
出時にサンプリングすること。企業は、サンプリング方法の有効性を評
価すること。
第 48 条
開発段階にある医薬品や、あまり生産されていない製品に
ついては、洗浄バリデーションの代わりに、各バッチの生産後に洗浄効
果を確認する方法を採用することができる。各バッチの生産後の洗浄バ
リデーションは、本付録の関連要件に従って行うこと。
第 49 条
洗浄バリデーションで設備の洗浄効果を評価することがで
きない場合、製品は専用設備を使用して製造すること。
第9章
第 50 条
再確認と再バリデーション
バリデーション状態を保ち続けていることを確認するため
に、施設、設備及び工程(洗浄方法を含む)を定期的に評価すること。
第 51 条
重要な製造工程及び操作手順は、期待される効果を達成で
きることを確認するために、定期的に再バリデーションを実施すること。
第 52 条
品質リスクマネジメント手法を用いて、変更が製品の品質、
品質管理システム、文書、バリデーション、コンプライアンス、校正、
保守及びその他のシステムに与える潜在的な影響を評価し、必要に応じ
て、再確認又は再バリデーションを行うこと。
第 53 条
バリデーション状態に重大な変更が発生していない場合は、
施設、設備及び工程などに対する回顧的確認を行うことで、再確認又は
再バリデーションの要件を満たすことができる。トレンドが漸進的に変
化する場合は、評価を行い、適切な措置を講じること。
第 10 章
用語
第 54 条 次の用語の定義は次の通りである。
1.据付時適格性確認
据付け又は改修した施設、システム、及び設備が承認を得た設計及
び製造業者の提案を満たすことを確認するために行う各種の検証と
文書化した記録
2.重要品質特性
期待される製品品質を保証するため、適切な限度内、範囲内、分布
内であるべき物理学的、化学的、生物学的、微生物学的性質
3.プロセスバリデーション
工程が設定されたパラメータ範囲内で効率的かつ安定して稼働し、
所定の品質基準と品質特性を満たす医薬品を製造できることを証明
するためのバリデーション活動
4.模擬薬
バリデーションの対象製品の物理的性質と化学的性質に非常に類似
した物質・材料。多くの場合、プラセボは、製品に類似した物理化学
的性質を持ち、模擬薬として使用できる。
5.洗浄バリデーション
設備が医薬品製造の要件を満たすために、承認された洗浄手順で設
備を効果的に洗浄できることを証明する文書と記録
6.設計時適格性確認
施設、システム、及び設備の設計計画書が期待される目標を満たすこ
とを確認するために行われる各種の検証及び文書化した記録
7.コンカレントバリデーション
商用生産において実施するバリデーションであり、製品バッチの品
質がバリデーション計画書における所定の全て要件を満たしている
ことを検証するが、その製品の全ての工程及び品質についての評価
が完了する前に、リリースされ市場に出回る。
8.性能適格性確認
据付された施設、システム及び設備が承認された製造方法及び製品
の技術要件に基づいて、効果的かつ安定した(再現性よく)稼働する
ことを確認するために行なわれる試用テスト、検証及び文書化した記
録
9.ユーザー要求
使用者が、工場、施設、設備、その他のシステムに対して提案する
要求及び期待。
10.稼動性能適格性確認
据付または改善された施設、システム、及び設備が期待される範囲
で正常に稼働することを確認するために行う試用テスト、検証及び文
書化した記録。
11.最悪条件
標準的な操作手順の範囲内(又は範囲外)に、工程パラメータの上
限、下限、及び関連要因からなる 1 つ又は一連の条件。理想的な条件
と比べると、最悪条件は製品や製造工程の失敗の確率が最大となるが、
必ずしも製品や製造工程の失敗につながるとは限らない。
付録 12
生化学的医薬品
第1章 範
第1条
囲
本付録における生化学的医薬品とは、動物の器官、組織、体
液、分泌物の前処理、抽出、分離、精製などを行って製造された安全か
つ効果的で制御可能な品質である医薬品である。主として、タンパク質、
ポリペプチド、アミノ酸とその誘導体、多糖、ヌクレオチドとその誘導
体、脂質、酵素及び補酵素などを含む(付録である生物学的製剤に記載
されている製品を除く)
。
第2条
本付録は、原材料の前処理、抽出、分離、精製等を行った原
料(原液)及びその製剤の調製と品質コントロールの全過程に適用する。
原材料の採取工程は、国家の関連規定を満たすこと。医薬品生産企業
は原材料の供給源及びその品質を監督・管理すること。
第3条
ヒト組織・尿に由来する製品は本付録を参照して執行するこ
と。
第2章 原
第4条
則
品質リスクマネジメントの原則に基づき、品種の特徴と合わ
せ、原材料の採取から完成品のリリースまでの各段階における品質管理
責任を明確にし、製品が安全かつ効果的で制御可能な品質であることを
確保するために、完全な品質管理システムを構築すること。
第5条
生化学的医薬品は、次の特殊性を有しており、原材料の供給
源・品質、製造工程、中間体の検査に対して、特別な制御が必要である。
1.生化学的医薬品の生産は、器官・組織・体液・分泌物の抽出、分
離、精製などの工程に関わり、原材料自体が不均一性を有してい
る。
2.通常、生化学的医薬品の品質コントロールに応用される生物学的
分析技術は、物理化学的試験よりも大きな可変性を有する。
3.製造工程における原材料と中間体は、汚染が生じる微生物が生育
する優れた培地であり、原材料に存在する病原性微生物は製品品質
及び製造環境に大きなリスクを及ぼす。
第3章 人
第6条
員
生化学的医薬品の生産、品質保証、品質コントロール、調達
業務及びその他の関連業務に従事する人員(清掃員、メンテナンス作業
員を含む)は、生産する製品及び従事する作業に応じて、関連法令、専
門知識、衛生・微生物学の基礎知識、安全防護の要件などについて定期
的に教育訓練と評価を受け、個人の教育訓練プロファイルに記載するこ
と。
第7条
生産管理責任者、品質管理責任者、及び有資格者は、適切な
専門知識(微生物学、生物学、免疫学、薬学、バイオ医薬品、生物化学
など)を持ち、生産・品質管理における職務を適切に遂行できること。
供給者の審査に従事する人員は、動物種、飼育、屠殺、検疫、採取、原
材料の保管・輸送などに関する知識を習得し、供給者の管理・審査にお
いて、効果的に職務を遂行できること。
第8条
生産する品種に対して生物学的安全性を評価し、評価結果に
基づいて、生産、メンテナンス、点検に従事する作業員及び管理者は、
必要な生物学的安全性の防護措置を講じること。
第9条
通常、人員は原材料の前処理区域から不活化済みの製品及び
その他の製品の処理区域に移動してはならない。このような移動が避け
られない場合は、品質リスクマネジメントの原則に基づいて、汚染を防
止する制御措置を講じること。
第 4 章 工場と設備
第 10 条
生化学的医薬品の製造環境及び工場、施設、設備は、原材
料・中間体・完成品に汚染を与えてはならない。空気清浄度クラスは、
製品の所定用途及び製造作業に適合すること。
第 11 条
工場には、昆虫やその他の動物などの侵入を防ぐための施
設を設置すること。特に動物の器官・組織・体液・分泌物の加工・処理
に使用される作業区域には、効果的な防虫・防鼠の措置を講じ、かつ、
その有効性を評価すること。
第 12 条
原材料の採取に使用される工場、施設、設備は、製品の特
性、衛生管理要件及び国家の関連規定を満たし、医薬品の生産区域と分
離すること。
第 13 条
製品の潜在的なリスク、異なる製造段階の工程の要件と特
徴を合わせ、作業区域の適切な環境制御要件を設定し、製品(又は原料)
が微生物により汚染されるリスクを可能な限り低減すること。
第 14 条
生産過程において、製品の特性、工程、所定用途及び設備
などの要因に応じて、リスク評価を行い、専用の作業所・設備や密閉シ
ステムの使用など、ミス・交叉汚染を防止するための適切な措置及び安
全防護措置を講じること。開放容器又は設備を使用する場合は、汚染を
防止するための措置を講じること。洗浄しにくい設備又は部品は、専用
にすること。ウイルス除去/不活化処理前の生化学的医薬品の工程手順
は、その他の動物由来の医薬品と設備や施設を共用してはならない。避
けられない場合は、交叉汚染を防止するための適切な措置を講じること。
第 15 条
原材料の前処理は専用区域が必要であり、原料(原液)の
調製と製剤の生産区域は厳密に分離すること。原料(原液)の調製と製
剤製造区域での空調浄化システムは、それぞれ独立して設置すること。
第 16 条
原材料の前処理、抽出、精製に使用される設備、工具器具、
配管、バルブ、容器(サンプリング器具を含む)は清潔で、腐食に強く、
洗浄・消毒をしやすくし、製品の特性や過程コントロール要件に基づい
て、効果的な洗浄又は消毒を行うこと。
第 17 条
清浄区域内の冷凍又は冷蔵施設の使用、洗浄、保守は、清
浄区域環境に汚染を与えてはならない。
第 18 条
材料及び製品の保管に使用される冷凍又は冷蔵施設では、
材料・製品の品質に影響を及ぼさないために、突発的な事象を防止する
ための措置を講じること。
第5章
第 19 条
ウイルスの除去/不活化とバリデーション
リスク管理原則に基づいて、品種特性と原材料の供給源を
合わせ、有効なウイルス除去/不活化の工程手順と方法を採用すること。
ウイルスを除去/不活化するとともに、製品の品質に悪影響を及ぼして
はならない。
第 20 条
ウイルス除去/不活化工程は有効であり、バリデーションを
行うこと。また、製造工程の変更が発生した場合は、バリデーションの
適合性を再評価し、必要に応じて再バリデーションを行うこと。
第 21 条
ウイルス除去/不活化工程の有効性の検証は、ウイルス除去
/不活化技術・方法及び指導原則などの関連規定を参照することができ
る。
第 22 条
ウイルス除去/不活化方法のバリエーションにおけるウイ
ルスチャレンジテストは、工場、施設及び設備を使用してはならない。
第 23 条
ウイルス除去/不活化のバリデーションは、原材料及び製造
工程の品質管理要件の代わりに使用してはならない。
第6章
第 24 条
サプライチェーン管理
企業は、生化学的医薬品のサプライチェーンの汎用性と複
雑性に対して、品質リスクマネジメントの原則に基づいて、効果的なト
レーサビリティシステムと制御措置を構築し、サプライチェーンの各段
階の要件を明確にする文書を有する必要がある。企業と供給者は品質保
証協定書を締結し、相応な品質責任を明確にし、供給者に本付録を参照
して管理するよう要求すること。
第 25 条
生化学的医薬品の原材料の供給源を厳密に管理し、原材料
は非流行地域に由来し、また供給源地域の感染病の発生状況を考慮する
こと。
1.原材料は、健康な動物に由来すること。検査検疫管理がされてい
る動物原材料は、全て検疫に合格した健康な動物に由来すること。
2.ヒト組織又は尿に由来する場合、その採取については、収集方法
と要件を明確にすること。
3.動物の供給源地域の疫病情報を定期的に収集し、品質リスクを評
価すること。疫病感染リスクが発見された場合は、適切な品質管理
措置を講じること。
4.原材料の特性とリスク管理原則に基づいて、適切なトレーサビリ
ティシステムを構築し、記録を取ること。
第 26 条
器官・組織・体液・分泌物などの原材料を採取する企業・
団体などは、法律に基づいて関連の国家資格を取得すること。
第 27 条
品質管理部門は、品種の特徴に応じて供給者の品質管理プ
ロファイルを作成すること。内容には、少なくとも供給者の資格、規模、
品質保証協定書、原材料となる動物の供給源、種、年齢、採取部位・方
法、採取後の保管方法と有効期間などを含めなければならない。
第 28 条
原材料の供給者に対して定期的に現場審査を行うこと。供
給者が提供された製品の品質は制御可能で安定していることを確保す
るために、サプライチェーンの各段階の品質コントロール状況を重点的
に考慮し、品質審査報告書を作成すること。
第 29 条
受領した各バッチの原材料に対して検査を行い、相応な記
録を取ること。
1.供給者が品質管理部門の承認と一致すること。
2.原材料に付随する検疫証明書が実物と一致すること。
3.包装表示レベルが実物と一致し、表示レベルの内容が供給者プロ
ファイルの関連内容と一致すること。
4.外装は完全で破損していないこと。
5.保管温度について特別な要求がある場合は、受領時に温度確認を
行うこと。輸送全過程の温度監視記録は完全で追跡可能であり、
温度は常に品質コントロールの要件を満たすこと。
第 30 条
原材料、中間体の保管と輸送中に使用される包材又は容器
は、製品品質に影響を及ぼしてはならない。原材料、中間体と直接接触
する包材は、少なくとも食品包装材の要件を満たすこと。また、供給者
及び材質は、比較的安定していること。
第 31 条
冷蔵倉庫及びコールドチェーンの輸送設備は、確認を行う
こと。製品品質を保証するために、原材料の保管条件、保管期間、輸送
条件などに対して確認を行うこと。
第 7 章 生産管理
第 32 条
異なる種又は同じ種の異なる器官・組織・体液・分泌物を
採取、輸送、保管の過程における混同・ミス・汚染・交叉汚染を防止す
るために、効果的な措置を講じること。
第 33 条
生化学的医薬品の原材料・中間体・原料(原液)に対して、
製造工程のトレーサビリティを確保するために、ロット番号又は番号で
管理すること。
第 34 条
製品の特性と合わせ、生産過程における微生物やその関連
代謝物などの汚染・交叉汚染を可能な限り低減すること。
1.製品の特性及び保管条件に応じて、異なる生産段階の時間間隔を
設定し、異なる生産段階の時間間隔を可能な限り短縮すること。
2.中間体・原料(原液)の保管期間については、明確な規定を作成
し、バリデーションを行うこと。
3.原材料、中間体、原料(原液)は、製品品質に影響を及ぼさない
ために、繰り返しの凍結・融解をしてはならない。必要に応じて、
バリデーションを行うこと。
4.設備と容器は、製造終了後、所定の期間内に洗浄、消毒、又は滅
菌すること。
5.中間体・原料(原液)と直接接触する包装容器及び設備は、洗浄、
消毒又は滅菌後、再汚染を防止すること。原料の抽出、分離、精製
に使用される様々の設備及び容器は、異なる製品や異なるロットの
間で洗浄又は消毒する必要がある。
6.同じ設備は、通常、異なる製品又は同じ製品の異なる段階におけ
るウイルス除去/不活化処理に使用してはならない。同じ設備を使
用する場合は、設備又は環境を介して前回の作業からウイルスが後
続の作業に持ち込まれることを防止するために、適切な洗浄・消毒
措置を講じること。
第 35 条
生産時に発生する副産物又は廃棄物は、生産環境や設備の
汚染を防止するために、生産区域から速やかに除去すること。
第 36 条
ウイルス除去/不活化処理後に製品が汚染されることを防
止するために、必要な措置を講じること。ウイルス除去/不活化処理済
みの製品と未処理製品は明確に区別し、目立った表示ラベルを貼付け、
かつ、混合やミスを防止するための適切な方法を採用すること。
第 37 条
クロマトグラフィー及び限外濾過の手順がある場合、分離
精製に使用されるクロマトグラフィー用カラム及び限外濾過装置は専
用とすること。同じクロマトグラフィー用カラム及び限外濾過装置は、
生産の異なる段階に使用してはならない。クロマトグラフィー用カラム
及び限外濾過装置の許容基準、操作条件、再生処理方法、耐用年数、洗
浄又は消毒手順、プロセスモニタリングパラメータなどについて規定す
る文書を作成すること。
第 38 条
生産に使用される溶媒などをリサイクルする場合は、回収
操作手順及びその用途に応じて適切な品質基準を策定すること。回収さ
れた溶媒の再使用は、製品品質と安全性に悪影響を及ぼしてはならない。
第 8 章 品質管理
第 39 条
『中華人民共和国薬局方』及び国家食品医薬品監督管理部
門が承認した品質基準に従って、生化学的医薬品の原材料、添加剤、中
間体、原料(原液)及び完成品に対して検査を行うこと。法定基準がな
い場合、企業は、品目の品質リスクに応じて適切な内部品質管理基準を
策定すること。また、必要に応じて、鮮度、微生物限度、エンドトキシ
ン又はパイロジェン、異常毒性、降圧物質、外部要因などの検査項目の
追加を考慮すること。
第 40 条
生化学的医薬品の原材料の供給源は比較的安定しており、
動物種及び器官組織を明確にすること。必要に応じて、原材料の供給源
となった動物種を PCR 法などにより識別し、サンプルは代表的なもので
なければならない。
第 41 条
生化学的医薬品の原材料の出荷は、完全な原材料の遡及記
録を含み、検査検疫管理がされている動物原材料は、全て検疫に合格し
た健康動物に由来すること。
第 42 条
原材料、添加剤、中間体、原料(原液)の検査は、適切な
生産段階において完了すること。検査期間が長い場合は、先に後続の工
程を行うことが可能であり、検査合格後に限り、完成品を出荷ことがで
きる。
第 43 条
検査又は中間コントロールの確認のため、必要に応じて、
中間体、原料(原液)のサンプルを残すこと。品質追跡を容易にするた
めに、充分な数の保存サンプルを適切な条件の下で保管すること。
第9章 用
第 44 条
語
次の用語の定義は次の通りである。
1.原材料:医薬品生産に使用される動物の器官・組織・体液・分泌
物、及びヒト組織・尿などの出発材料(添加剤を除く)
2.原材料の採取:供給者の審査に合格した企業・団体などから動物
の器官・組織・体液・分泌物、及びヒト組織・尿を収集する過程
3.前処理:原材料に対して行う非薬用部分の凍結融解、切断、選別、
洗浄、及び後続の混同、遠心分離、凍結融解などの処理手順
4.中間体:品質コントロールをしやすくするために、原材料の前処
理により得られた製品
5.原料(原液):中間体は抽出、精製、ウイルス除去/不活化が行わ
れ、各指標が品質基準の規定に適合する製品
6.ウイルス除去/不活化:安全な工程を確保するために、ウイルスを
製品から除去又は不活化すること
7.サプライチェーン:原材料の採取から中間体になるまでの過程
中華人民共和国衛生部令
第 81 号
『医薬品副作用報告及び監視管理弁法』は 2010 年 12 月 13 日に衛
生部の部務会議の審議を経て可決され、ここに公布し、2011 年 7 月
1 日から施行する。
部
長
陳 竺
2011 年 5 月 4 日
医薬品副作用報告及び監視管理弁法
第1章 総
第 1 条
則
医薬品の上市後の監督・管理を強化し、医薬品副作用報告
及びモニタリングの規範化し、医薬品リスクを適時かつ有効にコン
トロールすることにより、公衆の医薬品使用上の安全の確保をする
ことを目的とし、
『中華人民共和国医薬品管理法』などの関連法令に
基づき、本弁法を制定する。
第 2 条
中華人民共和国国内における医薬品副作用報告、モニタリ
ング及びその監督管理において、本弁法を適用する。
第 3 条
国は、医薬品副作用報告制度を実施する。医薬品製造企業
(輸入医薬品の国外製薬企業を含む)
、医薬品経営企業、医療機関は
規定に基づいて、発見した医薬品副作用を報告しなければならない。
第 4 条
国家食品医薬品監督管理局は、全国の医薬品副作用報告及
びモニタリング業務を所管し、地方各レベル医薬品監督管理部門は、
当該行政区域における医薬品副作用報告及びモニタリング業務を所
管する。
各レベル衛生行政部門は、当該行政区域内の医療機関及び医薬品
副作用報告制度に関連する管理業務に対する責任を持つ。
地方各レベル医薬品監督管理部門は、医薬品副作用モニタリング
機関を構築し、当該行政区域における医薬品副作用報告及びモニタ
リングの技術的業務に対して責任を持つこと。
第 5 条
国は、国民、法人、その他組織が医薬品副作用を報告する
ことを奨励する。
第2章 職
責
第 6 条
国家食品医薬品監督管理局は、全国の医薬品副作用報告及
びモニタリングの管理業務に対して責任を持ち、以下の主な職務を
遂行する。
1.医薬品副作用報告及びモニタリングの管理規定及び政策を衛生部
と共同で制定し、かつ、実施状況を監督する。
2.衛生部と連携し、全国的に大きな影響を与え、かつ、深刻な結果
をもたらした集団性医薬品副作用事件を調査及び処理し、関連情報
を公表する。
3.重篤な医薬品副作用、又は集団性医薬品副作用事件が確認された
医薬品に対し、法律に従って緊急コントロール措置を講じ、行政処
置を決定し、かつ、社会に公表する。
4.全国の医薬品副作用報告およびモニタリング状況を報告する。
5.医薬品製造、経営企業の医薬品副作用報告及びモニタリング業務
の実施状況についての検査を行い、また衛生部と共同で医療機関の
医薬品副作用報告及びモニタリング業務の実施状況の検査を行う。
第 7 条
省、自治区、直轄市の医薬品監督管理部門は、当該行政区
域における医薬品副作用報告及びモニタリングの管理業務に対して
責任を持ち、下記の主な職責を履行する。
1.本弁法に基づき、同レベル衛生行政部門と共同で当該行政区域内
における医薬品副作用報告・モニタリングの管理規定を制定し、か
つ、実施状況を監督する。
2.同レベル衛生行政部門と連携し、当該行政区域で発生した大きな
影響を与えた集団性医薬品副作用事件を調査及び処理し、関連情
報を公表する。
3.重篤な医薬品副作用、又は集団性医薬品副作用事件が確認された
医薬品に対し、法律に従って緊急コントロール措置を講じ、行政
処置を決定し、社会に公表する。
4.当該行政区域における医薬品副作用報告およびモニタリング状況
を報告する。
5.当該行政区域における医薬品製造、経営企業の医薬品副作用報告
及びモニタリング状況の検査を行い、また、同レベル衛生行政部門
と連携し医療機関の医薬品副作用報告及びモニタリング状況の検
査を行う。
6.当該行政区域内における医薬品副作用報告及びモニタリングの宣
伝、教育訓練を実施する。
第 8 条
区を設けている市レベル、県レベルの医薬品監督管理部門
は当該行政区域内における医薬品副作用報告及びモニタリングの管
理業務に対して責任を持つ。同レベル衛生行政部門と連携し、当該
行政区域内における集団性医薬品副作用事件の調査を行い、それに
伴う必要なコントロール措置を講じる。当該行政区域内における医
薬品副作用報告及びモニタリングの宣伝、研修を実施する。
第 9 条
県レベル以上の衛生行政部門は医療機関の臨床投薬に対す
る監督管理を強化し、職責範囲内において、確認された重篤な医薬
品副作用、又は集団性医薬品副作用事件に対して、関連する緊急コ
ントロール措置を講じる。
第 10 条
国家医薬品副作用モニタリングセンターは、全国の医薬品
副作用報告及びモニタリングの技術的業務に対して責任を持ち、下
記の主な職務を遂行する
1.全国の医薬品副作用報告及びモニタリング資料を収集、評価、フ
ィードバック、報告を行い、並びに全国医薬品副作用モニタリング
情報ネットワークの構築及びメンテナンスを行う。
2.医薬品副作用報告及びモニタリングに関する技術基準及び規範を
制定し、地方各レベル医薬品副作用モニタリング機関に技術指導を
行う。
3.重篤な医薬品副作用の調査と評価を行い、関連部門による集団性
医薬品副作用事件の調査に協力する。
4.医薬品副作用警告情報を公表する。
5.医薬品副作用報告及びモニタリングの宣伝、教育訓練、研究、国
際交流業務を担う。
第 11 条
省レベル医薬品副作用モニタリング機関は、当該行政区域
内における医薬品副作用報告及びモニタリングの技術的業務に対し
て責任を持ち、下記の主な職務を遂行する。
1.当該行政区域内における医薬品副作用報告及びモニタリング資料
を収集、評価、フィードバック、報告を行い、並びに医薬品副作用
モニタリング情報ネットワークの構築及びメンテナンスを行う。
2.区を設けている市レベル、県レベルの医薬品副作用モニタリング
機関に対して、技術指導を行う。
3.当該行政区域内における重篤な医薬品副作用の調査と評価を行い、
関連部門による集団性医薬品副作用事件の調査に協力する。
4.当該行政区域内における医薬品副作用報告及びモニタリングの宣
伝、教育訓練を実施する。
第 12 条
区を設けている市レベル、県レベルの医薬品副作用モニタ
リング機関は、当該行政区域内における医薬品副作用報告及びモニ
タリング資料の収集、確認、評価、フィードバック、報告に対して
責任を持つ。当該行政区域内における重篤な医薬品副作用に対して、
調査と評価を行う。関連部門による集団性医薬品副作用事件の調査
に協力する。医薬品副作用報告及びモニタリングの宣伝、教育訓練
などの業務を担う。
第 13 条
医薬品製造、経営企業と医療機関は医薬品副作用報告・モ
ニタリング管理制度を設けること。医薬品製造企業は専門機構を設
置し、かつ、専任者を配置すること。医薬品経営企業と医療機関は
機関を設置又は指定し、かつ、専任者(兼任者)を配置し、当該企
業・機関における医薬品副作用報告及びモニタリング業務を担うこ
と。
第 14 条
医薬品副作用報告及びモニタリングに従事する従業員は医
学、薬学、疫学又は統計学などに関する専門知識を持ち、医薬品副
作用を科学的分析・評価する能力を有しなければならない。
第 3 章 報告と処置
第 1 節 基本要求
第 15 条
医薬品製造、経営企業及び医療機関は医薬品による疑わし
い副作用を把握又は発見した際、全国医薬品副作用モニタリング情
報ネットワークを通して報告すること。オンライン報告ができない
場合、紙の報告表で所在地にある医薬品副作用モニタリング機関に
報告し、所在地の医薬品副作用モニタリング機関によるオンライン
報告を代行する。報告内容は真実、完全、正確でなければならない。
第 16 条
各レベル医薬品副作用モニタリング機関は当該行政区域内
における医薬品副作用報告及びモニタリング資料に対して評価・管
理すること。
第 17 条
医薬品製造、経営企業及び医療機関は、医薬品監督管理部
門、衛生行政部門及び医薬品副作用モニタリング機関による医薬品
副作用又は集団性医薬品副作用事件の調査に協力し、かつ、調査に
必要な資料を提供すること。
第 18 条
医薬品製造、経営企業と医療機関は医薬品副作用報告とモ
ニタリングプロファイルを作成・保存すること。
第2節
第 19 条
医薬品副作用の個別事例
医薬品製造、経営企業及び医療機関は自発的に医薬品副作
用を収集し、医薬品副作用を把握又は発見した際、詳細に記録を取
って評価・処理を行い、
『医薬品副作用/事件報告表』
(付表1を参照)
に記入して報告すること。
第 20 条
新薬のモニタリング期間中の国産の医薬品については、当
該医薬品の全ての副作用を報告し、その他の国産の医薬品について
は、新たな重篤な副作用を報告すること。
輸入医薬品については、最初の輸入を承認された日から 5 年以内
に、輸入医薬品の全ての副作用を報告し、5 年に達したら、新たな重
篤な副作用を報告すること。
第 21 条
医薬品製造、経営企業及び医療機関は新たな重篤な医薬品
副作用を把握又は発見した際 15 日以内に報告し、そのうち、死亡例
については、直ちに報告し、その他の医薬品副作用については 30 日
以内に報告すること。追跡調査情報がある場合は、速やかに報告す
ること。
第 22 条
医薬品製造企業は把握した死亡例について調査を行い、そ
の基本情報、医薬品の使用状況、副作用及び診療状況などを詳細に
理解し、かつ、15 日以内に調査報告書を完成させ、医薬品製造企業
所在地の省レベル医薬品副作用モニタリング機関に報告すること。
第 23 条
個人が新たな又は重篤な医薬品副作用を発見した場合は、
主治医、医薬品製造、経営企業又は当地の医薬品副作用モニタリン
グ機関に報告することができる。必要に応じて、関連病歴資料を提
供すること。
第 24 条
区を設けている市レベル、県レベルの医薬品副作用モニタ
リング機関は受けた医薬品副作用報告の確実性、完全性及び正確性
について審査を行うこと。重篤な医薬品副作用の報告に対する審査
と評価は報告を受けた日から 3 営業日以内に完了し、その他の報告
に対する審査と評価は 15 営業日以内に完了すること。
区を設けている市レベル、県レベルの医薬品副作用モニタリング
機関は死亡例について調査を行い、その基本情報、医薬品の使用状
況、副作用及び診療状況などを詳細に理解し、かつ、報告を受けた
日から 15 日以内に調査報告書を完成させ、同レベル医薬品監督管理
部門、衛生行政部門及び上級医薬品副作用モニタリング機関に報告
すること。
第 25 条
省レベル医薬品副作用モニタリング機関はその下位レベル
の医薬品副作用モニタリング機関から提出された重篤な医薬品副作
用に対する評価意見を受けた日から 7 営業日以内に評価を完成させ
ること。
死亡症例の場合、発生地及び医薬品製造企業所在地の省レベル医
薬品副作用モニタリング機関は調査報告に基づいて分析、評価を迅
速に行い、必要に応じて現場調査を行い、かつ、その評価結果を省
レベル医薬品モニタリング管理部門及び衛生行政部門、国家医薬品
副作用モニタリングセンターへ報告すること。
第 26 条
国家医薬品副作用モニタリングセンターは死亡症例に対し
分析・評価を迅速に行い、かつ、その評価結果を国家食品医薬品監
督管理局及び衛生部に報告すること。
第3節
第 27 条
集団性医薬品副作用事件
医薬品製造、経営企業及び医療機関は集団性医薬品副作用
事件を把握又は発見した際、直ちに所在地の県レベル医薬品監督管
理部門及び衛生行政部門、医薬品副作用モニタリング機関に電話又
はファックスにて報告すること、必要に応じて、レベルを越えて報
告することができる。同時に『集団性医薬品副作用事件基本情報表』
(付表 2 を参照)に記入し、各症例について『医薬品副作用反応/事
件報告表』に迅速に記入し、国家医薬品副作用モニタリング情報ネ
ットワークへ報告すること。
第 28 条
区を設けている市レベル、県レベル医薬品副作用モニタリ
ング機関は集団性医薬品副作用事件を把握した後、同レベル衛生行
政部門と共同で現場調査を行い、かつ、調査結果を段階的に省レベ
ル医薬品監督管理部門と衛生行政部門まで速やかに報告すること。
省レベル医薬品監督管理部門は、同レベル衛生行政部門と連携し
て、区を設けている市レベル、県レベルが集団性医薬品副作用事件
に対して分析・評価を行うように督促・指導をすること。当該行政
区域内において、大きな影響を与えた集団性医薬品副作用事件に対
し、現場調査を行い、その評価及び調査結果を国家食品医薬品監督
管理局及び衛生部に迅速に報告すること。
全国において大きな影響を与え、かつ、深刻な結果をもたらした
集団性医薬品副作用事件に対し、国家食品医薬品監督管理局は衛生
部と連携し、調査を行うこと。
第 29 条
医薬品製造企業は集団性医薬品副作用事件を把握した後、
直ちに調査を実施し、集団性医薬品副作用事件の発生及び医薬品使
用、患者診療、医薬品の製造、保存、流通、過去の類似副作用事例
等の事情を詳細に理解し、7 日以内に調査報告書を完成させ、所在地
の省レベル医薬品監督管理部門及び医薬品副作用モニタリング機関
に報告すること。同時に自社調査を実施し、事件の起因を分析する
こと。必要に応じて、製造・販売・使用を停止し、該当医薬品を回
収し、かつ、所在地の省レベル医薬品監督部門に報告すること。
第 30 条
医薬品経営企業が集団性医薬品副作用事件を発見した場合、
直ちに製造企業に知らせること。同時に自社調査を実施し、必要に
応じて医薬品の販売を停止し、かつ、医薬品製造企業の関連するコ
ントロール措置の実施に協力すること。
第 31 条
医療機関が集団性医薬品副作用事件を発見した場合、患者
への救助に尽力し、かつ、迅速に臨床調査を実施し、事件の起因を
分析すること。必要に応じて医薬品の使用を停止するなど、緊急措
置を講じること。
第 32 条
医薬品監督管理部門は生産・販売・使用の一時停止、又は
医薬品回収などのコントロール措置を講じることができる。衛生行
政部門は、積極的に患者を救済する措置を講じること。
第4節
第 33 条
海外で発生した重篤な医薬品副作用
輸入医薬品又は国産医薬品が海外において重篤な医薬品副
作用を起こした場合(自発報告システムによる収集、上市後臨床研
究による発見、文献情報を含む)、医薬品製造企業は『海外発生の医
薬品副作用/事件報告表』
(付表 3 を参照)に記入し、発見した日か
ら 30 日以内に国家医薬品副作用モニタリングセンターに報告するこ
と。国家医薬品副作用モニタリングセンターに最初の報告表及び関
連情報を提供するように要求された場合、医薬品製造企業は 5 日以
内に提出すること。
第 34 条
国家医薬品副作用モニタリングセンターは提出された医薬
品副作用報告に対し分析・評価し、半年毎に国家食品医薬品監督管
理局及び衛生部に報告すること。また提出された医薬品に潜在的な
安全上の問題が存在した場合、関連情報を直ちに報告すること。
第 35 条
輸入医薬品又は国産医薬品が海外にて医薬品副作用による
販売・使用の一時停止又は市場撤退が発生した場合、医薬品生産企
業が把握してから 24 時間以内に国家食品医薬品監督管理局及び国家
医薬品副作用モニタリングセンターへ書面にて報告をすること。
第5節
第 36 条
定期的安全性更新報告書
医薬品製造企業は自社生産の医薬品の副作用報告及びモニ
タリング資料を定期的にまとめ分析を行い、国内外における安全性
情報を総括することで、リスクや効果を評価し、定期的安全性更新
報告書を作成すること。定期的安全性更新報告書の作成基準は国家
医薬品副作用モニタリングセンターが制定に対して責任を持つ。
第 37 条
新薬モニタリング期間を設けた国産医薬品は、許可承認書
を入手した日から初回再登録まで、年一回定期的安全性更新報告書
を提出する。初回再登録後、5 年に一回定期的安全性更新報告書を提
出する。その他の国産医薬品については、5 年に一回定期的安全性更
新報告書を提出する。
はじめて輸入した医薬品については、輸入許可承認書を入手した
日から、年一回定期的安全性更新報告書を提出する。初回再登録を
行った後、5 年に一回定期的安全性更新報告書を提出する。
定期的安全性更新報告書の総括時間は医薬品許可承認書の日付を
起点とし、提出日は総括データ締切日から 60 日以内でなければなら
ない。
第 38 条
国産医薬品の定期的安全性更新報告書は、医薬品生産企業
の所在地の省級医薬品副作用モニタリング機関に提出すること。輸
入医薬品(小分け包装する輸入医薬品を含む)の定期的安全性更新
報告書は国家医薬品副作用モニタリングセンターに提出すること。
第 39 条
省級医薬品副作用モニタリング機関は提出された定期的安
全性更新報告書に対して総括・分析・評価し、毎年 4 月 1 日までに
前年度の定期的安全性更新報告書の統計及び分析評価結果を省級医
薬品監督管理部門及び国家医薬品副作用モニタリングセンターに報
告すること。
第 40 条
国家医薬品副作用モニタリングセンターは提出された定期
的安全性更新報告書に対して総括・分析・評価し、毎年 7 月 1 日ま
でに前年度の国産医薬品及び輸入医薬品の定期的安全性更新報告書
の統計及び分析評価結果を国家食品医薬品監督管理局及び衛生部に
報告すること。
第4章
第 41 条
医薬品重点的モニタリング
医薬品製造企業は常に自社生産医薬品の安全性を考察しな
ければならない。また新薬モニタリング期間内の医薬品及び初回輸
入が 5 年以内の医薬品に対し、重点的モニタリングを実施し、かつ、
要件に従って、モニタリングデータを総括・分析・評価・報告しな
ければならない。同社生産のその他の医薬品に対して、安全性の情
況に基づいて重点的モニタリングを自発的に実施することができる。
第 42 条
省級以上の医薬品監督管理部門は医薬品の臨床使用や副作
用モニタリング状況によって、医薬品製造企業に特定医薬品に対し
重点的モニタリングを実施するように要求することができる。必要
に応じて、医薬品副作用モニタリング機関、医療機関、科学研究部
門と直接連携し、医薬品重点的モニタリングを実施することもでき
る。
第 43 条
省級以上の医薬品副作用モニタリング機関は、医薬品製造
企業が実施した重点的モニタリングを監督・検査し、またモニタリ
ング報告の技術評価をすること。
第 44 条
省級以上の医薬品監督管理部門は同級衛生行政部門と連携
し、指定の医療機関をモニタリングポイントとして、医薬品重点的
モニタリングを実施することできる。
第5章
第 45 条
評価及びコントロール
医薬品製造企業は収集した副作用報告及びモニタリング資
料に対して、分析・評価を行い、自発的に医薬品安全性研究を実施
しなければならない。医薬品製造企業は重篤な副作用が確認された
医薬品に対して、各種有効な手段を用いて医薬品の副作用、適正使
用情報を迅速に医療従事者及び患者、公衆に知らせなければならな
い。ラベル・添付文書の修正、生産・販売・使用の停止、商品回収
などの措置を講じることによって、医薬品副作用の再発生を減少さ
せ、防止しなければならない。重篤な副作用がある医薬品に対して、
自発的に許可証明書の取り消しを申請しなければならない。
医薬品製造企業は医薬品の安全性情報及び実施した措置を所在地
の省級医薬品監督管理部門及び国家食品医薬品監督管理局に報告す
ること。
第 46 条
医薬品製造企業及び医療機関は収集した医薬品副作用報告
及びモニタリング資料を分析・評価し、医薬品副作用の再発生を減
少させ、防止するように、有効な措置を講じること。
第 47 条
省級医薬品副作用モニタリング期間は四半期毎に提出され
た医薬品副作用報告に対して総合分析を行い、注意する必要のある
安全性情報を抽出し、評価することによって、リスクマネジメント
の提案を省級医薬品監督管理部門及び衛生行政部門、国家医薬品副
作用モニタリングセンターに迅速に報告すること。
省級医薬品監督管理部門は分析評価結果によって、生産・販売・
使用の一時停止又は医薬品回収などの措置を講じることができ、か
つ、その検査を監督すること。同時に実施した措置を同級衛生行政
部門に報告すること。
第 48 条
国家医薬品副作用モニタリングセンターは四半期毎に提出
された重篤な医薬品副作用報告書に対して総合分析を行い、注意す
る必要のある安全性情報を抽出し、評価することによって、リスク
マネジメントの提案を、国家食品医薬品監督管理局及び衛生部に迅
速に報告すること。
第 49 条
国家食品医薬品監督管理局が分析評価結果によって、企業
に医薬品の安全性・有効性に携わる研究を実施するように要求する
ことができる。必要に応じて、医薬品添付文書の修正及び生産・販
売・使用の一時停止、医薬品回収等措置をするように是正を命じ、
重篤な副作用がある医薬品に対しては医薬品許可証明書を取り消し、
かつ、関連措置を迅速に衛生部に報告すること。
第 50 条
省級以上の医薬品副作用モニタリング機関は分析・評価業
務上の需要に応じて、医薬品生産及び経営企業、医療機関に関連資
料を提供するように要求することができ、関連機関は積極的に協力
しなければならない。
第 6 章 情報管理
第 51 条
各級医薬品副作用モニタリング機関は提出された医薬品副
作用報告書及びモニタリング資料に対して統計・分析をし、かつ、
適切な形式でフィードバックすること。
第 52 条
国家医薬品副反応モニタリングセンターは医薬品副作用報
告及びモニタリング資料の総合分析・評価の結果に基づき、医薬品
副作用警告情報を迅速に公表すること。
第 53 条
省級以上の医薬品監督管理部門は定期的に医薬品副作用報
告及びモニタリング状況を公表すること。
第 54 条
下記情報は国家食品医薬品監督管理局及び衛生部が統一的
に公表する。
1.大きな影響を与え、かつ、深刻な結果をもたらした集団性医薬品
副作用事件。
2.その他重要な医薬品副作用情報及び統一的公表が必要である思わ
れる情報。
前項に規定された統一的に公表する情報については、国家食品医
薬品監督管理局及び衛生部が省級医薬品監督管理部門及び衛生行政
部門に権限を付与して公表することができる。
第 55 条
医薬品副作用報告書及びモニタリングの過程において得た
企業秘密及び個人情報、患者・報告者情報は機密として扱わなけれ
ばならない。
第 56 条
医療機関及び医薬品生産企業、医薬品経営企業に対し、医
薬品副作用情報を共有することを推奨する。
第 57 条
医薬品副反応報告の内容及び統計資料は、医薬品監督管理、
適正使用の指導を強める根拠となる。
第 7 章 法的責任
第 58 条
医薬品製造企業が次のいずれかに該当する場合、所在地の
医薬品監督管理部門は警告をし、期限までに是正することを命じ、
また 5000 元以上 3 万元以下の罰金を科する。
1.規定に従って医薬品副作用報告書及びモニタリング管理制度を設
けておらず、かつ、当該企業・団体における医薬品副作用報告及び
モニタリング業務に対して責任を持つ専門機関がなく、専任者がい
ない。
2.モニタリングプロファイルを作成・保存していない。
3.要件に従って医薬品副作用又は集団性医薬品副作用事件について
報告・調査・評価・処理をしていない。
4.要件に従って定期的安全性更新報告書を提出していない。
5.要件に従って重点的モニタリングを実施していない。
6.重篤な医薬品副作用、又は集団性医薬品副作用事件の関連調査に
協力しない。
7.その他本弁法の規定に違反する行為。
医薬品生産企業は前項に規定された第 4 項、第 5 項のいずれかに
該当する場合、
『医薬品登録管理弁法』の規定に基づき、当該医薬品
は再登録不可とする。
第 59 条
医薬品経営企業が次のいずれかに該当する場合、所在地の
医薬品監督管理部門は警告をし、期限までに是正することを命じる。
期間内に是正しなかった場合、3 万元以下の罰金を科する。
1.当該企業・団体において医薬品副作用モニタリング業務に対して
責任を持つ専任者又は兼任者がいない。
2.要件に従って、医薬品副作用又は集団性医薬品副作用事件報告・
調査・評価・処理をしていない。
3.重篤な医薬品副作用、又は集団性医薬品副作用事件の関連調査に
協力しない。
第 60 条
医療機関が次のいずれかに該当する場合、所在地の医薬品
監督管理部門は警告をし、期限までに是正することを命じる。期間
内に是正しなかった場合、3 万元以下の罰金を科する。経緯が甚だし
い、深刻な結果をもたらした場合、所在地の衛生行政部門が責任者
に行政処罰を科す。
1.企業の医薬品副作用モニタリング業務に対して責任を持つ専任者
又は兼任者がいない。
2.要件に従って医薬品副作用又は集団性医薬品副作用事件の報告・
調査・評価・処理をしていない。
3.重篤な医薬品副作用、及び集団性医薬品副作用事件の関連調査に
協力しない。
医薬品監督管理部門が上記いずれかに該当する医療機関を発見し
た場合、同級衛生行政部門に処理を移管しなければならない。
衛生行政部門が医療機関に対して行政処罰の決定をした場合、同
級医薬品監督管理部門に迅速に報告しなければならない。
第 61 条
各級医薬品監督管理部門、衛生行政部門、医薬品副作用モ
ニタリング機関及び関連人員が医薬品副作用報告書及びモニタリン
グ管理業務において、本弁法の規定に違反し、深刻な結果をもたら
した場合、関連規定に基づき行政処分を科す。
第 62 条
医薬品生産及び経営企業、医療機関が関連規定を違反し、
医薬品使用者に損害を負わせた場合、法律に従って、賠償責任を負
わなければならない。
第 8 章 附 則
第 63 条
本弁法における用語の定義は次の通りである。
1.医薬品副作用とは、合格した医薬品が適切な用法・容量のもとで
現れる投与目的と関連性がない有害反応を指す。
2.医薬品副作用報告書及びモニタリングとは、医薬品副作用の発
見・報告・評価・コントロールする過程である。
3.重篤な医薬品副作用とは、医薬品の使用により、次のいずれかの被
害が発生する反応である。
(1) 死亡
(2) 生命を脅かす
(3) がん、催奇形性、出生異常
(4) 永続的又は顕著な身体障害又は臓器機能不全
(5) 入院、又は入院期間の延長
(6) その他重大医療事件。例えば、治療を行わなければ、上記の
症状を引き起こすおそれがある
4.医薬品の新たな副作用とは、医薬品の添付文書に記載されていな
い副作用である。添付文書に記載しているが、発生した副作用の性
質・程度・結果・頻度が添付文書の内容と一致しない、又はより重
篤な場合、医薬品の新たな副作用として処理する。
5.集団性医薬品副作用事件とは、同じ医薬品の使用中に、比較的に
集中した時間・区域内における一定数の人々の健康又は生命安全に
被害又は脅威をもたらし、緊急対処の必要がある事件である。
同一医薬品とは、同一製造企業が生産した同一薬品名・同一剤形・
同一規格の医薬品である。
6.医薬品重点モニタリングとは、医薬品の臨床使用及び副作用の発
生状況の理解を深め、副作用の発生特徴・深刻程度・発生率等を研
究するために、実施される医薬品安全性モニタリング活動である。
第 64 条
輸入医薬品の海外製薬企業は自社の中国国内の事務所又は
中国国内の代理機関に、本弁法が医薬品生産企業に対する規定に基
づき、医薬品副作用報告及びモニタリング義務を履行するように委
託することができる。
第 65 条
衛生部及び国家食品医薬品監督管理局は、ワクチン副反応
報告及びモニタリングについて、別途規定がある場合は、その規定
に従う。
第 66 条
医療機関が製造した薬剤の副作用報告及び監視管理弁法は
省、自治区、直轄市医薬品監督管理部門及び同級衛生行政部門が各
自制定する。
第 67 条
本弁法は 2011 年 7 月 1 日から施行する。国家食品医薬品
監督管理局及び衛生局は、2004 年 3 月 4 日に公布した『医薬品副作
用報告及び監視管理弁法』
(国家食品医薬品監督管理局令第 7 号)を
同時に廃止とする。
付表:
(1)医薬品副作用/事件報告表(省略、詳細は衛生部ホー
ムページをご確認ください)
(2)集団性医薬品副作用事件基本情報表(省略、詳細は衛
生部ホームページをご確認ください)
(3)海外発生の医薬品副作用/事件報告表(省略、詳細は
衛生部ホームページをご確認ください)
中華人民共和国ワクチン管理法
(2019 年 6 月 29 日第 13 回全国人民代表会議常務委
員会第 11 回会議可決)
公布時間:2019-07-03 13:58
出典: 中国人大網
目 次
第1章
総則
第2章
ワクチンの研究開発と登録
第3章
ワクチンの製造とバッチリリース
第4章
ワクチンの流通
第5章
予防接種
第6章
異常反応に対する監視および処置
第7章
ワクチンの上市後の管理
第8章
安全措置
第9章
監督管理
第 10 章
法的責任
第 11 章
附則
第 1 章 総則
第 1 条 ワクチンの管理を強化し、ワクチンの品質と供給を保証し、
予防接種を規範化し、ワクチン業界の発展を促進し、人々の健康を
確保し、公共衛生の安全を維持するために、この法律を制定する。
第 2 条
この法律は、中華人民共和国国内におけるワクチン研究開
発の従事、生産、流通、予防接種及びその監督管理活動に適用する。
この法律が定めていないものは、
『人民共和国医薬品管理法』
、
『中華
人民共和国感染症防治法』などの法律及び行政法規の規定を適用す
る。
この法律でいうワクチンは、疾病の発生・流行を予防管理するた
めの人体免疫接種用の予防性生物学的製剤であり、予防接種プログ
ラムワクチンと非予防接種プログラムワクチンを含む。
第 3 条
ワクチンに対し、国は最も厳格的な管理制度を実行し、安
全第一、リスク管理、プロセス全体の制御、科学的モニタリングお
よび社会的ガバナンスを堅持する。
第4条
国はワクチン製剤の戦略性及び公益性を堅持する。
国はワクチンに関する基礎研究と応用研究をサポートし、ワクチ
ンの研究開発と革新を推進し、重大な疾病を予防管理するためのワ
クチンの研究開発・製造・備蓄を国家戦略に組み入れる。
国はワクチン業界の発展計画と産業政策を制定し、ワクチン産業
の発展と産業構造の最適化をサポートし、ワクチン製造の量産化と
集約化を奨励し、ワクチン製造工程と品質レベルの持続的向上を目
指す。
第 5 条
ワクチン上市許可保有者はワクチンのすべてのライフサイ
クルにおける品質管理を強化し、ワクチンの安全性、有効性、品質
管理性に対して責任を持たなければならない。
ワクチンの研究開発、製造、流通及び予防接種に従事する企業及
び個人は、法律、法規、規則、基準及び規範を遵守し、すべての過
程における情報の真実、正確、完全かつ追跡可能であることを確保
し、法律に従って責任を負い、社会の監督を受けなければならない。
第6条
国は予防接種プログラムシステムを実行する。
中国国内に居住している住民は、法律に従って予防接種プログラ
ムワクチンの接種を受ける権利を有し、予防接種プログラムワクチ
ンの接種を受ける義務を履行しなければならない。政府は無料で住
民に予防接種プログラムワクチンの提供を行う。
県級以上の人民政府及び関連部門は、適齢児童の予防接種プログ
ラムワクチンの接種を保障しなければならない。後見人は法律に従
って適齢児童が予定通りに予防接種プログラムワクチンを接種でき
るように確保しなければならない。
第 7 条
県級以上の人民政府はワクチン安全と予防接種を当該の国
民経済と社会発展計画に組み入れ、ワクチンに対する監督管理能力
の構築を強化し、健全なワクチン監督管理業務システムを確立しな
ければならない。
県級以上の地方人民政府は当該行政区域のワクチンに関する監督
管理に対して責任を持ち、当該行政区域のワクチンに関する監督管
理業務を統括的に指導、組織、調整しなければならない。
第 8 条
国務院医薬品監督管理部門は全国のワクチンに関する監督
管理業務を担当する。国務院衛生健康主管部門は全国の予防接種に
関する監督管理業務を担当する。その他の国務院関連部門はそれぞ
れの職責範囲内でワクチン関連の監督管理業務を担当する。
省、自治区、直轄市の人民政府の医薬品監督管理部門は当該行政
区域のワクチンに関する監督管理業務を担当する。区を設けている
市級、県級人民政府の薬品監督管理職責を担当する部門(以下、医
薬品監督管理部門をいう)は、当該行政区域のワクチンに関する監
督管理業務を担当する。県級以上の地方人民政府の衛生健康主管部
門は当該行政区域の予防接種に関する監督管理業務を担当する。そ
の他の県級以上の人民政府の関連部門はそれぞれの職責範囲内でワ
クチン関連の監督管理業務を担当する。
第 9 条
国務院と省、自治区、直轄市の人民政府は部門調整システ
ムを構築し、ワクチン監督管理業務を全面的に調整し、ワクチン安
全状況を定期的に分析し、ワクチンに関する監督管理を強化し、ワ
クチンの供給を確保しなければならない。
第 10 条
国はワクチンに関する全行程電子追跡制度を実行する。
国務院医薬品監督管理部門は国務院衛生健康主管部門と共同で、
統一されたワクチン追跡基準及び規範を制定し、全国ワクチン電子
追跡協同プラットフォームを構築し、ワクチンの製造・流通・予防
接種の全行程の追跡情報を整合してワクチンの追跡可能を実現する。
ワクチン上市許可保有者はワクチンの電子追跡システムを構築し、
全国ワクチン電子追跡協同プラットフォームと接続し、製造・流通・
予防接種の全行程の最小包装単位のワクチンの追跡可能、確認可能
を実現しなければならない。
疾病予防コントロールセンター、予防接種実施機関は法律に従っ
てワクチンの流通、予防接種などの状況をありのままに記録し、ル
ールに従って全国ワクチン電子追跡協同プラットフォームに追跡情
報を提供しなければならない。
第 11 条
ワクチンの研究開発、生産、検査などの過程において、健
全な生物安全管理制度を構築し、厳格な生物安全に関するリスク管
理を行い、菌株・毒株など病原微生物の生物安全管理を強化し、作
業員及び公衆の健康を守り、菌株・毒株など病原微生物の用途が合
法、正当であることを確保すること。
ワクチンの研究開発、生産、検査などに使用される菌株・毒株と
細胞株は、歴史、生物学的特徴、世代を明確にし、詳細なファイル
を確立し、供給源が合法、明瞭、追跡可能であることを確保しなけ
ればならない。供給源が明らかでないものは使用してはならない。
第 12 条
各級人民政府及びその関連部門、疾病予防コントロールセ
ンター、予防接種実施機関、ワクチン上市許可保有者並びにワクチ
ン産業協会などは、全国児童予防接種日などの活動を通じて、定期
的にワクチン安全に関する法律、法規及び予防接種知識などの宣伝
教育及び普及を実施しなければならない。
報道機関はワクチン安全に関する法律、法規及び予防接種知識な
どの公共宣伝を実施し、ワクチンに関する違法行為に対して世論監
督を行わなければならない。ワクチンに関する報道は全面的、科学
的、客観的かつ公正でなければならない。
第 13 条
ワクチン産業協会は業界の自律を強化し、健全な業界規範
を構築し、業界の信用システムの構築を推進し、法律に従って生産
経営等の活動を実施するよう会員に指導、督促しなければならない。
第2章
ワクチンの研究開発と登録
第 14 条 国は疾病の流行状況、集団免疫状況などの要素に基づき、
関連する研究開発計画を制定し、必要な資金を手配し、多種混合ワ
クチン・多価ワクチンなど新型ワクチンの研究開発をサポートする。
国はワクチンの上市許可保有者、科学研究機構、医療衛生機構を
まとめて共同研究開発を実施し、疾病予防のため緊急に必要なワク
チンの研究開発を行う。
第 15 条
国はワクチンの上市許可保有者による研究開発と革新資金
の投入、製造工程の最適化、品質管理水準の向上を奨励し、ワクチ
ン技術の進歩を促進する。
第 16 条
ワクチンの臨床試験を実施するには、国務院医薬品監督管
理部門による法律に基づいた承認を受けなければならない。
ワクチンの臨床試験は、国務院医薬品監督管理部門と国務院衛生
健康主管部門の所定条件に適合した三級医療機構または省級以上の
疾病予防コントロールセンターによって実施または組織して実施さ
れなければならない。
国は条件に適合している医療機構、疾病予防コントロールセンタ
ーなどが法律に従ってワクチン臨床試験を実施することを奨励する。
第 17 条
ワクチン臨床試験の申請者は臨床試験計画を作成し、臨床
試験に関する安全監視及び評価システムを確立し、慎重に試験の対
象者を選択し、対象者集団と年齢グループを合理的に設定し、リス
クの程度に基づいて効果的な措置を講じ、対象者の法的権利を守ら
なければならない。
第 18 条
ワクチン臨床試験を行う際には、対象者の同意書がなけれ
ばならない。対象者が民事行為能力のない場合、後見人の同意書が
なければならない。対象者が制限民事行為能力者の場合、本人及び
後見人の同意書がなければならない。
第 19 条
中国国内で上市されるワクチンは国務院医薬品監督管理部
門の承認を受け、医薬品登録証明書を取得しなければならない。ワ
クチン登録申請は真実で、十分かつ信頼できるデータ、資料、サン
プルを提出しなければならない。
疾病予防管理のため緊急に必要なワクチン及び革新的なワクチン
に対して、国務院医薬品監督管理部門は優先的に審査・承認をしな
ければならない。
第 20 条
重大突発公共衛生事件に対応するため緊急に必要なワクチ
ン、または国務院衛生健康主管部門が認定した緊急に必要なその他
のワクチンは、メリットがリスクを上回ると評価された場合、国務
院医薬品監督管理部門は条件付きでワクチンの登録申請を承認でき
る。
重大突発公共衛生事件または公衆健康に大きな脅威となる緊急な
事件が発生した場合、国務院衛生健康主管部門は感染症予防管理の
必要性に応じてワクチンの緊急使用を提案し、国務院医薬品監督管
理部門が組織した論証を経て承認後、一定の範囲と期限内で緊急使
用できる。
第 21 条
国務院医薬品監督管理部門はワクチンの登録申請の承認を
行う場合において、ワクチンの生産工程、品質管理基準及び説明書、
ラベルに対して確認を行わなければならない。国務院医薬品監督管
理部門は、そのウェブサイトでワクチンの添付文書、ラベルの内容
を迅速に公表しなければならない。
第3章
第 22 条
ワクチンの製造とバッチリリース
国はワクチン製造に対して厳格な参入制度を実行する。
ワクチンの製造活動に従事するには、県級以上の人民政府の医薬
品監督管理部門の承認を受け、医薬品生産許可証を取得しなければ
ならない。
ワクチンの製造活動に従事するには、
『中華人民共和国医薬品管理
法』に定めた医薬品生産活動に従事するための条件のほか、以下の
条件を満たさなければならない。
1.適度な規模と十分な生産能力を備えている。
2.生物的安全を保障できるシステム、施設、設備を備えている。
3.疾患予防管理の需要を満たしている。
ワクチン上市許可保有者はワクチンを製造する能力を持たなけれ
ばならない。ワクチンの製造能力を超え、確かに委託製造をする必
要がある場合、国務院の医薬品監督管理部門の承認を受けなければ
ならない。製造を受託する場合、この法律の規定と国の関連規定に
従い、ワクチンの品質を保証しなければならない。
第 23 条
ワクチン上市許可保有者の法定代表者と主要責任者は良好
な信用実績を持ち、生産管理者、品質管理責任者及び有資格者など
重要部署の人員は関連専門の経歴と業務従事経験を有しなければな
らない。
ワクチン上市許可保有者は前項に定めた人員の育成と評価を強化
し、人員の任命及び変更を省、自治区、直轄市の人民政府の医薬品
監督管理部門に速やかに報告しなければならない。
第 24 条
ワクチンの製造と検査は承認された生産工程と品質管理基
準に従い、製造の全過程は医薬品製造品質管理規範の要件を満たさ
なければならない。
ワクチン上市許可保有者は規定に従い、ワクチン製造の全過程と
ワクチンの品質を審査、検査を行わなければならない。
第 25 条
ワクチン上市許可保有者は完全な製造品質管理システムを
構築し、逸脱管理の持続的強化を行い、情報技術を利用して製造、
検査工程で形成されたすべてのデータをありのままに記録し、製造
の全過程が常に法律に定めた要件に適合するように確保しなければ
ならない。
第 26 条
国はワクチンのバッチリリース制度を実行する。
バッチごとのワクチンの販売前又は輸入時は、国務院の医薬品監
督管理部門が指定したバッチリリース機構の関連技術による審査、
検査を受けなければならない。要件を満たしている場合はバッチリ
リース証明書を発行し、要件を満たしていない場合はバッチリリー
ス却下通知書を発行する。
バッチリリースを却下されたワクチンは販売してはならず、省、
自治区、直轄市の人民政府の医薬品監督管理部門の監督下で破棄し、
バッチリリースを却下された輸入ワクチンは輸入港所在地の医薬品
監督管理部門の監督下で破棄又は法律に従ってその他の対応を行わ
なければならない。
国務院医薬品監督管理部門及びバッチリリース機構は、迅速に上
市ワクチンのバッチリリース結果を公表し、公衆に開示しなければ
ならない。
第 27 条
ワクチンのバッチリリースの申請は、規定に従ってバッチ
リリース機構にバッチの製造と検査記録概要などの資料及び同じバ
ッチナンバーの製品などのサンプルを提出しなければならない。輸
入ワクチンは原産地の証明書とバッチリリース証明書も提出し、原
産地でバッチリリースが免除された場合、バッチリリース免除証明
書を提出しなければならない。
第 28 条
感染症の予防管理又は突発的事件に対応するため緊急に必
要なワクチンは、国務院の医薬品監督管理部門の承認を受け、バッ
チリリースを免除される。
第 29 条
ワクチンのバッチリリースはバッチごとに逐次資料審査と
抜取検査を行わなければならない。ワクチンのバッチリリース検査
項目と検査頻度はワクチンの品質リスク評価状況に基づき、動的調
整を行わなければならない。
ワクチンのバッチリリース審査資料又はサンプルの信頼性に疑問
がある場合、又はさらなる検証が必要な状況にある場合、バッチリ
リース機構は確認をし、必要に応じて現場抜取検査などの方法で現
場検証を実施しなければならない。
第 30 条
バッチリリース機構はバッチリリース中において、ワクチ
ンに重大な品質リスクがあると気付いた場合、速やかに国務院の医
薬品監督管理部門と省、自治区、直轄市の人民政府の医薬品監督管
理部門に報告しなければならない。
報告を受けた部門は直ちにワクチン上市許可保有者に対して立入
検査を実施し、検査結果に基づいて、バッチリリース機構にワクチ
ン上市許可保有者の関連製品又はすべての製品をバッチリリースの
取消又は停止をするよう通知し、ワクチン上市許可保有者に是正を
命じるようにしなければならない。ワクチン上市許可保有者は直ち
に是正し、是正を命じた部門に是正状況を迅速に報告しなければな
らない。
第 31 条
製造工程逸脱、品質の差異、製造過程における故障と事故
及びその対策に対し、ワクチン上市許可保有者はありのままに記録
し、当該バッチ製品のバッチリリースの申請書類に明記しなければ
ならない。ワクチン品質に影響を及ぼす可能性がある場合、ワクチ
ン上市許可保有者は直ちに対策を講じ、省、自治区、直轄市の人民
政府の医薬品監督管理部門に報告しなければならない。
第 4 章 ワクチンの流通
第 32 条
国の予防接種プログラムワクチンは国務院の医薬品監督管
理部門が国務院の衛生健康主管部門などと共同で、集中入札又は統
一交渉を実施し、落札価格又は取引価格を形成し公表して、各省、
自治区、直轄市が統一調達を実施する。
国の予防接種プログラムワクチン以外のその他の予防接種プログ
ラムワクチン、非予防接種プログラムワクチンは各省、自治区、直
轄市が省級公共資源取引プラットフォームを通じて調達する。
第 33 条
ワクチンの価格は、ワクチン上市許可保有者が法律に基づ
き、自主的かつ合理的に決める。ワクチンンの価格水準、マージン
率、利益率は、合理的な範囲に維持しなければならない。
第 34 条
省級疾病予防コントロールセンターは国の予防接種プログ
ラムと当該行政区域の疾患予防管理の需要に基づき、当該行政区域
の予防接種プログラムワクチン使用計画書を作成し、国の関連規定
に従いワクチンの調達部門に報告すると同時に、省、自治区、直轄
市の人民政府の医薬品監督管理部門に記録を残すために報告しなけ
ればならない。
第 35 条
ワクチン上市許可保有者は調達契約に従い、疾病予防コン
トロールセンターにワクチンを提供しなければならない。
疾病予防コントロールセンターは規定に従い、予防接種実施機関
にワクチンを提供しなければならない。
疾病予防コントロールセンター以外の機関と個人は、予防接種実
施機関にワクチンを提供してはならず、予防接種実施機関はそのワ
クチンを受け取ってはならない。
第 36 条
ワクチン上市許可保有者は調達契約に従い、疾病予防コン
トロールセンター又は疾病予防コントロールセンターが指定した予
防接種実施機関にワクチンを配送しなければならない。
ワクチン上市許可保有者、疾病予防コントロールセンターは自ら
ワクチンを配送する場合、コールドチェーン保管、輸送条件を備え
なければならない。また、条件を満たしたワクチン配送機関に委託
しワクチンを配送することもできる。
疾病予防コントロールセンターは非予防接種プログラムワクチン
を配送する場合、保管費、輸送費を請求することができる。具体的
方法は国務院財政部門が国務院価格主管部門と共同で制定し、費用
の請求規準は省、自治区、直轄市の人民政府の価格部門が財政部門
と共同で制定する。
第 37 条
疾病予防コントロールセンター、予防接種実施機関、ワク
チン上市許可保有者、ワクチン配送機関は、ワクチンの保管、輸送
管理規範に従ってワクチンの品質を確保しなければならない。
ワクチンは保管、輸送の全過程において、所定の温度環境になけ
ればならない。コールドチェーン保管と輸送は要件を満たし、温度
の定時的な監視、記録を行わなければならない。
ワクチンの保管、輸送管理規範は国務院医薬品管理部門と国務院
衛生健康主管部門が共同で制定する。
第 38 条
ワクチン上市許可保有者はワクチンを販売する場合、そ
の印鑑が捺印されたバッチリリース証明書のコピー又は電子書類を
提供しなければならない。輸入ワクチンを販売する場合、その印鑑
が捺印された輸入医薬品の通関証明書のコピーと電子書類も提出し
なければならない。
疾病予防コントロールセンター、予防接種実施機関はワクチンの
受領又は購入する際、前項に定めた証明書類を請求し、調査に備え
てワクチンの有効期限満了後 5 年以上経過するまで保管しなければ
ならない。
第 39 条
ワクチン上市許可保有者は規定に従い、真実、正確、完
全な販売記録を構築し、調査に備えてワクチンの有効期限満了後 5
年以上経過するまで保管しなければならない。
疾病予防コントロールセンター、予防接種実施機関、ワクチン配
送機関は規定に従い、真実、正確、完全な受領、購入、保管、配送、
供給記録を構築し、調査に備えてワクチンの有効期限満了後 5 年以
上経過するまで保管しなければならない。
疾病予防コントロールセンター、予防接種実施機関はワクチンの
受領又は購入する際、当該回の運送、保管における全過程の温度監
視記録を請求し、調査に備えてワクチンの有効期限満了後 5 年以上
経過するまで保管しなければならない。当該回の運送、保管におけ
る全過程の温度監視記録を提出できない、又は要件を満たしていな
い場合、受領又は購入してはならず、直ちに県級以上の地方人民政
府の医薬品監督管理部門、衛生健康主管部門に報告しなければなら
ない。
第 40 条
疾病予防コントロールセンター、予防接種実施機関はワク
チンに対する定期的な検査システムを確立し、包装が識別不能、保
管温度が要件を満たしていない、有効期限超過など問題のあるワク
チンに対して、隔離保管、警告標識の設置などの措置を講じ、国務
院の医薬品監督管理部門、衛生健康主管部門、生態環境主管部門の
規定に従って処置しなければならない。疾病予防コントロールセン
ター、予防接種実施機関は処置状況をありのままに記録し、調査に
備えて処置記録をワクチンの有効期限満了後 5 年以上経過するまで
保管しなければならない。
第 5 章 予防接種
第 41 条 国務院衛生健康主管部門は国家予防接種プログラムを制
定する。国家予防接種プログラムワクチンは国務院衛生健康主管部
門が国務院財政部門と共同で起草し、国務院の承認を得てから公布
する。
国務院衛生健康主管部門は予防接種プログラム専門諮問委員会を
設立し、国務院財政部門と共同で予防接種プログラムワクチンの種
類に関する動的調整メカニズムを確立する。
省、自治区、直轄市の人民政府は国家予防接種プログラムを実行
する際、当該行政区域における疾病予防管理の需要に応じて、予防
接種プログラムワクチンの種類を増加することができ、記録を残す
ために国務院衛生健康主管部門に報告し、公表しなければならない。
第 42 条
国務院衛生健康主管部門は予防接種作業規範の制定・公布
を実施し、予防接種の規範化管理を強化しなければならない。
国務院衛生健康主管部門は国家予防接種プログラムワクチンのプ
ログラムと非予防接種プログラムワクチンの使用ガイドラインを制
定・公布しなければならない。
省、自治区、直轄市の人民政府の衛生健康主管部門は当該行政区
域の実情に応じて予防接種計画を策定し、記録を残すために国務院
衛生健康主管部門に報告しなければならない。
第 43 条
各級疾病予防コントロールセンターはそれぞれの職責に基
づき、予防接種に関する宣伝、研修、技術指導、モニタリング、評
価、流行病学調査及び応急処置などを展開しなければならない。
第 44 条
予防接種実施機関は以下の条件を備えなければならない。
1.医療機関の営業許可証を取得していること。
2.県級人民政府の衛生健康主管部門が主催した予防接種に関る専
門的研修を受け、かつ、試験に合格した医師、看護師又は農村
医者を有すること。
3.ワクチンの保管・輸送管理規範を満たした冷蔵施設、設備及び
冷蔵保管システムを有すること。
県級以上の人民政府の衛生健康主管部門は要件を満たした医療機
関に責任区域内の予防接種プログラムワクチンの接種を任命する。
要件を満たした医療機関は非予防接種プログラムワクチンの接種業
務を引き受けることができ、記録を残すためにその医療機関の営業
許可証を発行した衛生健康主管部門に報告しなければならない。
予防接種実施機関は内部管理を強化し、予防接種業務を展開する
際において、予防接種業務規範、免疫プログラム、ワクチンの使用
ガイドライン及び接種計画に従わなければならない。
各級疾病予防コントロールセンターは予防接種実施機関に対して、
予防接種業務に関する技術指導及びワクチンの使用に関する管理を
強化しなければならない。
第 45 条
医療従事者が接種を実施する際に、接種対象者又はその後
見人に接種ワクチンの種類、効果、禁忌、副作用及び接種現場にお
ける観察などの注意事項を説明し、接種対象者の健康状況及び接種
禁忌の有無などを尋ね、説明及び尋ねた情報をありのままに記録し
なければならない。接種対象者又はその後見人は、接種対象者の健
康状況と接種禁忌などの情報をありのままに提供しなければならな
い。禁忌によって接種できない場合、医療従事者は接種対象者又は
その後見人に医学的アドバイスを提供し、提供した医学的アドバイ
スの情報をありのままに記録しなければならない。医療従事者は接
種を実施する前に、予防接種業務規範の要件に従い、接種対象者の
健康状況と接種禁忌の検査、予防接種証明書の確認、ワクチン、注
射器の外観、ロットナンバー、有効期限のチェック、接種対象者の
氏名、年齢及びワクチンの品名、規格、投与量、接種場所、接種経
路の照合を行い、接種対象者、予防接種証明書、ワクチンの情報が
一致していることを確認した上で、接種を実施しなければならない。
医療従事者は接種要件を満たしている接種対象者に対して接種を
実施しなければならない。接種対象者が現場における観察期間中に
副作用が現れた場合、医療従事者は予防接種業務規範の要件に従い、
速やかに治療などの措置を講じなければならない。
第 46 条
医療従事者は国務院衛生健康主管部門の規定に従い、ワク
チンの種類、上市許可保有者、最小包装単位の識別情報、有効期限、
接種時間、接種を実施した医療従事者、接種対象者などの接種情報
を、真実、正確、完全に記録し、接種情報が追跡可能かつ照会可能
であることを確保しなければならない。調査に備えて接種記録をワ
クチンの有効期限満了後 5 年以上経過するまで保管しなければなら
ない。
第 47 条
国は児童に対して予防接種証制度を実行する。児童が出生
後一か月以内に、その後見人は児童の居住地における予防接種業を
担当する予防接種実施機関又は出生病院で、児童の予防接種証を取
得しなければならない。予防接種実施機関又は出生病院はその手続
きを拒否してはならない。後見人は予防接種証を適切に保管しなけ
ればならない。
予防接種は居住地管理制度を実行し、児童は元の居住地を離れる
期間において、その予防接種は現居住地の予防接種業務を担当する
予防接種実施機関によって行う。
予防接種証の様式は国務院衛生健康主管部門によって定める。
第 48 条
児童が入所、入学時に、保育施設及び学校は予防接種証の
確認を行い、規定に従って予防接種プログラムワクチンを接種して
いないことが判明した場合、児童の居住地又は保育施設及び学校所
在地の予防接種業務を担当する予防接種実施機関に報告し、予防接
種実施機関に協力して児童の後見人が規定に従い、接種するよう促
さなければならない。疾病予防コントロールセンターは保育施設及
び学校による予防接種証の確認に技術指導を提供しなければならな
い。
児童が入所、入学時の予防接種証の確認弁法は、国務院衛生健康
主管部門が国務院教育行政部門と共同で制定する。
第 49 条
予防接種実施機関は予防接種プログラムワクチンを接種す
る際、いかなる費用も請求してはならない。
予防接種実施機関は非予防接種プログラムワクチンを接種する際、
ワクチンの費用のほか、接種サービス費も請求することができる。
接種サービス費の請求基準は、省、自治区、直轄市の人民政府の価
格主管部門が財政部門と共同で制定する。
第 50 条
県級以上の人民政府の衛生健康主管部門は感染症に関する
モニタリングと警告情報に基づき、感染症のパンデミック・流行を
予防管理するために、同級人民政府の決定と省級以上の人民政府の
衛生健康主管部門への報告を経て、当該行政区域で集団免疫予防接
種を実施することができる。
全国範囲又は省、自治区、直轄市を跨る範囲における集団免疫予
防接種の実施が必要である場合、国務院衛生健康主管部門によって
決めなければならない。
集団免疫予防接種の実施を決めた県級以上の地方人民政府又は国
務院衛生健康主管部門は、関連部門の人員研修、宣伝教育、物資調
達などが確実に行われるように手配しなければならない。
いかなる企業・機関及び個人も集団免疫予防接種を無断で実施し
てはならない。
第 51 条
パンデミック・流行が発生した際、県級以上の地方人民政
府又はその衛生健康主管部門は応急措置を講じ必要がある場合、法
律及び行政法規の規定に従って実施しなければならない。
第6章
第 52 条
異常反応に対する監視および処置
予防接種の異常反応とは、合格したワクチンが標準的な接
種の実施中又は標準的な接種を実施した後において接種対象者の人
体組織器官及び機能に障害をもたらし、関係者いずれも過失のない
医薬品副作用のことを指す。
次の場合は予防接種異常反応に属しない。
1.ワクチン自体の特性に起因する予防接種後の一般的な反応
2.ワクチンの品質問題による接種対象者への損害
3.予防接種実施機関が予防接種業務規範、免疫プログラム、ワク
チンの使用ガイドライン及び接種計画に対する違反による接種
対象者への損害
4.接種時に特定な疾病の潜伏期間又は前駆期にある接種対象者の
接種後の偶発的発病
5.接種対象者にはワクチン説明書に記載された接種禁忌があり、
接種する前に接種対象者又はその後見人が接種対象者の健康状
況及び接種禁忌などの情報を事実通りに提供せず、接種後、接
種対象者の持病の急性再発又は悪化
6.心理的要因による個人又は集団の心因反応
第 53 条
国は予防接種異常反応モニタリングを強化する。 予防接
種異常反応モニタリング方案は国務院衛生健康主管部門が医薬品監
督管理部門と共同で制定する。
第 54 条
予防接種実施機関、疾病予防コントロールセンターなどは
疑似予防接種異常反応モニタリングを判明した場合、規定に従って
疾病予防コントロールセンターに報告しなければならない。
ワクチン上市許可保有者は専門機関を設立し、専任者を配置し、
疑似予防接種異常反応を積極的な収集、追跡分析を行い、迅速にリ
スクコントロール措置を講じ、疾病予防コントロールセンターに疑
似予防接種異常反応に関する報告を行い、品質分析報告を省、自治
区、直轄市の人民政府の医薬品監督管理部門に提出しなければなら
ない。
第 55 条
疑似予防接種異常反応に対し、疾病予防コントロールセン
ターは規定従って迅速に報告し、調査及び診断を手配し、調査及び
診断の結果を接種対象者又はその後見人に通知しなければならない。
調査・診断に対して異議争議がある場合、国務院衛生健康主管部門
が制定した鑑定弁法に基づいて鑑定を申請できる。
疑似予防接種異常反応による接種対象者の死亡と重度の障害、又
は集団性疑似予防接種異常反応などの社会に重大な影響を及ぼす疑
似予防接種異常反応に対し、区を設けている市級以上の人民政府の
衛生健康主管部門、医薬品監督管理部門がそれぞれの職責に基づき、
調査・処理を手配しなければならない。
第 56 条
国は疑似予防接種異常反応に対する補償制度を実行する。
接種の実施中又は実施後に発生した接種対象者の死亡、重度の障害、
器官組織の損傷などの損害に対し、予防接種異常反応に属する又は
排除できない場合、補償しなければならない。補償範囲は目録管理
を実施し、実情に応じて動的調整を行う。
予防接種プログラムワクチンの接種に必要な補償費用は省、自治
区、直轄市の人民政府の財政部門が予防接種経費から割り振る。予
防接種プログラムワクチンの接種に必要な補償費用は関連する上市
許可保有者が負担する。国は商業保険など様々の形式による予防接
種異常反応のある接種対象者に対する補償を奨励する。
予防接種異常反応に対する補償は迅速かつ合理的であり、民衆に
とって便利でなければならない。予防接種異常反応に対する補償範
囲、基準、プログラムは国務院によって規定し、省、自治区、直轄
市によって具体的な実施弁法を制定する。
第7章
第 57 条
ワクチンの上市後の管理
ワクチンの上市許可保有者はワクチンのすべてのライフサ
イクルにおける健全な品質管理システムを確立し、ワクチンの上市
後のリスク管理計画を制定・実施し、ワクチンの上市後の研究を実
施し、ワクチンの安全性、有効性、及び品質管理性に対してさらな
る確証をしなければならない。
ワクチンの登録申請の承認時にさらなる研究を要求されたワクチ
ンに対して、ワクチン上市許可保有者は所定の期間内に研究を完成
しなければならない。期間内に研究を完成できていない又はメリッ
トがリスクを上回ると証明できない場合、国務院医薬品監督管理部
門は法律に従い、当該ワクチンの医薬品登録証書の取り消しに至る
まで処理しなければならない。
第 58 条
ワクチン上市許可保有者はワクチンの品質追跡分析を行い、
品質管理基準を持続的に向上させ、製造工程を改良し、製造工程の
安定性を向上させなければならない。
製造工程、製造場所、重要設備など変更が発生した場合、評価、
検証を行い、国務院医薬品監督管理部門の変更管理に関る規定に従
って記録又は報告しなければならない。変更がワクチンの安全性、
有効性、品質管理性に影響を及ぼす可能性がある場合、国務院医薬
品監督管理部門の承認を受けなければならない。
第 59 条
ワクチン上市許可保有者はワクチンの上市後の研究及び予
防接種異常反応などに基づき、説明書・ラベルに対する持続的更新
を行い、規定に従って審査又は記録の申請を行わなければならない。
国務院医薬品監督管理部門はそのウェブサイトで速やかに更新後
のワクチン説明書及びラベルの内容を公表しなければならない。
第 60 条
ワクチン上市許可保有者はワクチンの品質レビュー分析と
リスク報告システムを確立し、規定に従ってワクチンの製造流通、
上市後の研究、リスク管理などを毎年ありのままに国務院医薬品監
督管理部門に報告しなければならない。
第 61 条
国務院医薬品監督管理部門は実際の情況に基づき、ワクチ
ン上市許可保有者に上市後の評価の実施を命じたり、直接上市後の
評価を手配することができる。
重度の予防接種異常反応を起こしたり、その他の原因によって人
の健康に被害を及ぼすワクチンに対して、国務院医薬品監督管理部
門は当該ワクチンの医薬品登録証書を取り消さなければならない。
第 62 条
国務院医薬品監督管理部門は、疾病の予防管理の需要及び
ワクチン業界の発展状況に基づき、ワクチン品種に対する上市後評
価を展開し、当該ワクチン品種の製品設計、製造工程、安全性、有
効性又は品質管理性が同種の疾病を予防管理するその他のワクチン
の品種に明らかに劣ると判明した場合、当該品種のすべてのワクチ
ンの医薬品登録証書を取り消し、対応する国家医薬品規準を廃止し
なければならない。
第 8 章 安全措置
第 63 条
県級以上の人民政府はワクチンの安全、予防接種プログラ
ムワクチンの調達及び予防接種業務、並びに情報化構築などに必要
な経費を本級政府予算に組み入れ、予防接種プログラム制度の実施
を保証しなければならない。
県級人民政府は国の関連規定に従い、予防接種に従事する農村医
者及びその他の末端医療従事者に手当を支給しなければならない。
国は必要に応じて、経済的発展が遅れている地域への予防接種を
支援する。省、自治区、直轄市の人民政府及び区を設けている市級
人民政府は、経済的発展が遅れている地域の県級人民政府の予防接
種関連業務の実施に対して、必要な経費補助を提供しなければなら
ない。
第 64 条
省、自治区、直轄市の人民政府は当該行政区域の感染症
の流行傾向に基づき、国務院衛生健康主管部門が定めた感染症予防
管理項目の範囲内において、当該行政区域の予防接種関連項目を決
め、項目の実施を確保しなければならない。
第 65 条
国務院衛生健康主管部門は各省、自治区、直轄市の国家
予防接種プログラムワクチンの使用計画に基づき、ワクチン上市許
可保有者に国家予防接種プログラムワクチンの需要情報を提供し、
ワクチン上市許可保有者はワクチンの需要情報に基づいて合理的に
製造を手配しなければならない。
ワクチン不足のおそれがある場合、国務院衛生健康主管部門、国
務院医薬品監督管理部門は提案し、国務院工業・情報化主管部門及
び国務院財政部門は効果的な措置を講じ、ワクチンの生産・供給を
保障しなければならない。
ワクチン上市許可保有者は法律に従って製造の手配を行い、ワク
チンの供給を保障しなければならない。ワクチン上市許可保有者は
ワクチンの製造を中止する場合、速やかに国務院医薬品監督管理部
門又は省、自治区、直轄市の人民政府の医薬品監督管理部門に報告
しなければならない。
第 66 条
国はワクチンを戦略物資の備蓄に組み入れ、中央と省級の
二級備蓄を実行する。
国務院工業・情報化主管部門、財政部門は国務院衛生健康主管部
門、公安部門、市場監督管理部門及び医薬品監督管理部門と共同で、
疾病予防管理及び公共衛生応急準備の需要に応じ、備蓄ワクチンに
関する生産能力、製品管理を強化し、動的調整メカニズムを確立す
る。
第 67 条
各級の財政が予防接種用に割り当てられた経費は特定項目
のみに使用し、いかなる機関及び個人も流用したり、割り込んでし
たりして使用してはならない。
関連機関又は個人は予防接種に関する経費を使用した場合、法律
に従って監査機関の監査・監督を受けなければならない。
第 68 条
国は強制的ワクチン責任強制保険制度を実行する。
ワクチン上市許可保有者は規定に従ってワクチン責任強制保険に
加入しなければならない。ワクチンの品質問題による接種対象者へ
の損害に対し、保険会社は責任限度額の範囲内で賠償しなければな
らない。ワクチン責任強制保険制度の具体的実施弁法は、国務院医
薬品監督管理部門が国務院衛生健康主管部門、保険監督管理機関な
どと共同で制定する。
第 69 条
感染症のパンデミック・流行が発生した場合、関連ワクチ
ンの上市許可保有者は感染症予防ワクチンを迅速に製造・供給しな
ければならない。交通運輸企業・機関は感染症予防ワクチンの輸送
を優先にしなければならない。
県級以上の人民政府及びその関連部門は組織、調整、保障しなけれ
ばならない。
第 9 章 監督管理
第 70 条
医薬品監督管理部門、衛生健康主管部門はそれぞれの職責
に基づいてワクチンの研究開発、生産、流通及び予防接種の全過程
に対して監督・管理を行う。ワクチン上市許可保有者、疾病予防コ
ントロールセンター及び予防接種実施機関等は法律に基づいて義務
を履行しなければならない。
医薬品監督管理部門は法律に基づいて、ワクチンの研究開発、生
産、保管、輸送及び予防接種中のワクチンの品質を監督・検査する。
衛生健康主管部門は法律に基づいて、免疫企画制度の実施及び予防
接種に関する活動に対して監督・検査する。
医薬品監督管理部門はワクチン上市許可保有者に対して立入検査
を強化する。必要に応じて、ワクチンの研究開発、生産、流通等に
関する活動に製品やサービスを提供する企業・団体及び個人に対し
て拡大検査を実施できる。関連企業・団体及び個人は協力し、拒否
や隠蔽をしてはならない。
第 71 条
国家は中央と省級の 2 極の職業化、専門化した医薬員検査
員チームを設置し、ワクチンの監督・検査を強化する。
省、自治区、直轄市の人民政府の医薬品監督管理部門はワクチン
上市許可保有者へ検査員を派遣する。検査員は、医薬品の生産品質
管理規範の実行状況を監督・検査し、ワクチンの品質リスクと法律・
規則の違反の手がかりを収集し、省、自治区、直轄市の人民政府の
医薬品監督管理部門に報告・助言する。また、検査員は出向中の行
為に責任を負わなければならない。
第 72 条
ワクチン品質管理において潜在的な安全上の問題があり、
ワクチン上市許可保有者が速やかに問題を取り除く措置を講じない
場合は、医薬品監督管理部門は責任者と面談し、期限までに是正す
る等の措置を講じることができる。
医薬品に関する品質管理規範に重大な違反を犯した場合、医薬品
監督管理部門はワクチンの生産・販売・配送を一時停止し、直ちに
是正を命じる。是正が完了した後、医薬品監督管理部門による確認
を行い、要件を満たした後に限り、生産・販売・配送を再開するこ
とができる。
医薬品監督管理部門は、ワクチン上市許可保有者と関連者につい
て信用記録システムを構築し、全国信用情報共有プラットフォーム
に組み入れ、規定に従って彼らの重大な信用失墜情報を公表し、合
同懲戒を実施する。
第 73 条
ワクチンに品質問題がある、又は疑われる場合は、ワクチ
ン上市許可保有者、疾病予防コントロールセンター及び予防接種実
施機関は直ちに販売・配送・使用を停止し、必要に応じて、直ちに
生産も停止し、規定に従って県級以上の人民政府の医薬品監督管理
部門、衛生健康主管部門に報告しなければならない。衛生健康主管
部門は直ちに疾病予防コントロールセンターと予防接種実施機関を
取りまとめして、必要な応急措置を講じるとともに、上級人民政府
の衛生健康主管部門に報告する。医薬品監督管理部門は、法律に基
づいて、差押、押収などの措置を講じる。販売したワクチンについ
ては、ワクチン上市許可保有者が速やかに関連する疾病予防コント
ロールセンター、ワクチン配送企業・団体、予防接種実施機関に通
知し、規定に従ってリコールを行い、かつ、リコール及び通知状況
についてありのままに記録する。疾病予防コントロールセンター、
ワクチン配送企業・団体、接種実施機関は協力しなければならない。
前項に従ってワクチンの生産・販売・配送・使用を停止しない又
はリコールしない場合、県級以上の人民政府の医薬品監督管理部門、
衛生健康主管部門はそれぞれの職責に基づいて、ワクチンの生産・
販売・配送・使用の停止又はリコールを命じる。
ワクチン上市許可保有者、疾病予防コントロールセンター、予防
接種実施機関は品質問題がある又は疑われるワクチンを発見した場
合、過少報告、虚偽報告、報告遅れ、報告漏れをしてはならず、証
拠の隠蔽・偽造・隠滅をしてはならない。
第 74 条
ワクチン上市許可保有者は情報公開制度を設け、規定に従
ってウェブサイトにワクチンの製品情報・説明書・ラベル及び医薬
品に関する品質管理規範の実行状況、バッチリリース状況、リコー
ル状況、検査や処罰を受けた状況及びワクチン責任強制保険の加入
状況などの情報を速やかに公表しなければならない。
第 75 条
ワクチン品質、
予防接種等の情報共有システムについては、
国務院医薬品監督管理部門が国務院衛生健康主管部門と共同で制定
する。
省級以上の人民政府の医薬品監督管理部門、衛生健康主管部門な
どは科学的、客観的、適時に公開する原則に基づいて、ワクチン上
市許可保有者、疾病予防コントロールセンター、予防接種実施機関、
マスメディア、科学研究機関などを組織して、ワクチン品質と予防
接種などの情報を交換する。
第 76 条
国家はワクチンの安全に関する情報統一公表制度を実施す
る。
ワクチン安全リスク警告情報、ワクチンの安全に関する重大な事
故とその調査処理情報、国務院が統一的に公表する必要があると判
断したその他のワクチンの安全に関する情報については、国務院医
薬品監督管理部門が関連部門と共同で公表する。全国における予防
接種ワクチンの使用による副反応に関する報告状況については、国
務院衛生健康主管部門が国務院医薬監督管理部門と共同で統一的に
公表する。許可されてない限り、上記の情報を公表してはならない。
ワクチンの安全に関する重大な情報については、適時、正確、全面的
に公表し、規定に従って科学的な評価をし、必要な説明を行う。
県級以上の人民政府の医薬品監督管理部門は、公衆や世論を誤解
させるおそれのあるワクチンの安全に関する情報を発見した場合、
衛生健康主管部門及びその他の関連部門、専門機関、関連するワクチ
ン上市許可保有者等と共同で確認・分析を行い、速やかに結果を公表
する。
いかなる企業・団体及び個人もワクチンの安全に関する虚偽の情
報を捏造し、流布してはならない。
第 77 条
いかなる企業・団体及び個人も、法律に基づいてワクチン
についての情報を認知し、ワクチンの監督管理について意見、助言
をする権利を有する。
いかなる企業・団体及び個人も、ワクチンの違法行為について衛
生健康主管部門、医薬品監督管理部門などの部門に告発する権利を
有し、衛生健康主管部門、医薬品監督管理部門などの部門及びその
従業員が法律に基づいて監督確認の職務を遂行しない場合は、本級
又は上級人民政府及び関連部門、監査機関に告発する権利を有する。
関連部門・機関は確認・処理を速やかに行わなければならない。告
発が調査により事実であることが確認された場合は、規定に従って
告発者に賞金・賞品を与え、告発者が所属する企業・団体の重大な
違法行為を告発し、調査により事実であることが確認された場合は、
巨額の賞金・高価な賞品を与える。
第 78 条
県級以上の人民政府はワクチンの安全に関する事故の応急
対策案を制定し、ワクチンの安全に関する事故の格付け、処理組織
の指揮体系と職責、事前警戒システム、処置手順、応急保障措置な
どについての規定を設ける。
安全ワクチン上市許可保有者は、潜在的な安全上の問題を速やか
に取り除くために、ワクチンの安全に関する事故処理案を制定し、
各項の防止措置の実施状況を定期的に確認しなければならない。
ワクチンの安全に関する事故が発生した場合、ワクチン上市許可
保有者は、国務院医薬品監督管理部門又は省、自治区、直轄市の人
民政府の医薬品監督管理部門に直ちに報告する。疾病予防コントロ
ールセンター、防接種実施機関、医療機関は、県級以上の人民政府
の衛生健康主管部門、医薬品監督管理部門に直ちに報告する。医薬
品監督管理部門は衛生健康主管部門と共同で、応急対策案の規定に
基づいて、ワクチンの安全に関する事故処理指揮機関を設立し、医
療処置、リスク制御、調査処理、情報公表、説明などを行い、再接
種などの対応を行う。品質問題によるワクチンの安全に関する事故
が発生した場合、再接種費用はワクチン上市許可保有者が負担する。
関連企業・団体及び個人はワクチンの安全に関する事故について、
過少報告、虚偽報告、報告遅れ、報告漏れをしてはならず、証拠の
隠蔽・偽造・隠滅をしてはならない。
第 10 章 法的責任
第 79 条
本法の規定に違反し、罪を犯した場合は、法律に基づき厳
しい刑事責任を追及する。
第 80 条
ワクチンの偽造品を生産、販売した場合、省級以上の人民
政府の医薬品監督管理部門は、違法所得、違法に生産、販売された
ワクチン、及び違法生産に使用された原料・添加剤・包材・設備な
どの品物を没収し、生産・販売停止、休業及び是正を命じ、薬品登
録証書、医薬品生産許可証を取り消し、違法に生産、販売したワク
チンの売上の 15 倍以上 50 倍以下の罰金を科す。売上が 50 万元未満
の場合は、50 万元として計算する。
品質の粗悪なワクチンを生産、販売した場合、省級以上の人民政
府の医薬品監督管理部門は違法所得、違法に生産、販売したワクチ
ン、及び違法生産に使用された原料・添加剤・包材・設備などの品
物を没収し、生産・販売停止、休業及び是正を命じ、違法に生産・
販売したワクチンの売上の 10 倍以上 30 倍以下の罰金を科す。売上
が 50 万元未満の場合は、50 万元として計算する。事案が重大である
場合は、医薬品登録証書や医薬品生産許可証などを取り消す。
ワクチンの偽造品又は品質の粗悪なワクチンを生産、販売し、か
つ、事案が重大である場合、省級以上の人民政府の医薬品監督管理
部門は法定代表者、主要責任者、直接責任を負う主管者、重要部署
の人員、及びその他の直接責任者に対し、違法行為が発生した期間
に所属組織から得た収入を没収し、かつ、所得の 1 倍以上 10 倍以下
の罰金を科し、医薬品の生産経営活動に従事することを生涯禁止す
る。また、公安機関による 5 日以上 15 日以下の拘留に処す。
第 81 条
次のいずれかに該当する場合、省級以上の人民政府の医薬
品監督管理部門は違法所得、違法に生産、販売したワクチン、及び
違法生産に使用された原料・添加剤・包材・設備などの品物を没収
し、生産・販売停止、休業及び是正を命じ、違法に生産、販売した
ワクチンの売上の 15 倍以上 50 倍以下の罰金を科す。売上が 50 万元
未満の場合、50 万元として計算する。事案が重大である場合、医薬
品に関する許可証明書類、医薬品生産許可証などを取り消す。法定
代表者、主要責任者、直接責任を負う主管者、重要部署の人員、及
びその他の直接責任者に対して、違法行為が発生した期間に所属組
織から得た収入を没収し、かつ、所得の 0.5 倍以上 10 倍以下の罰金
を科し、10 年から終年まで医薬品の生産経営活動に従事することを
禁止する。また、公安機関による 5 日以上 15 日以下の拘留に処す。
1.ワクチン臨床試験、登録、バッチリリースを申請するため、虚
偽のデータ、資料、サンプルを提供した、又はその他の詐欺的
な行為があった場合
2.生産、検定記録を捏造した、又は製品のバッチ番号を変更した
場合
3.疾病予防コントロールセンター以外の企業・団体又は個人が予
防接種実施機関にワクチンを供給した場合
4.ワクチンの生産を委託することが承認されていなかった場合
5.規定に基づいて承認を得る必要があるが、承認を得られずに製
造工程、製造場所、重要な設備などを変更した場合
6.審査・承認を得る必要があるが、審査・承認を行わずにワクチ
ンの説明書、ラベルを更新した場合
第 82 条
本法以外で別途規定がある場合を除き、ワクチン上市許可
保有者又はその他の企業・団体が医薬品関連品質管理規範に違
反した場合、県級以上の人民政府の医薬品監督管理部門は是正
を命じ、警告をする。是正を行わない場合、20 万元以上 50 万元
以下の罰金を科す。事案が重大である場合、50 万元以上 300 万
元以下の罰金を科し、生産・販売停止、休業及び是正を命じ、
医薬品に関する許可証明書類、医薬品生産許可証などを取り消
す。法定代表者、主要責任者、直接責任を負う主管者、重要部
署の人員、及びその他の直接責任者に対し、違法行為が発生し
た期間に所属組織から得た収入を没収し、かつ、所得の 0.5 倍
以上 5 倍以下の罰金を科し、10 年から終年まで医薬品の生産経
営に従事することを禁止する。
第 83 条
本法の規定に違反し、ワクチンの上市許可保有者が次のい
ずれかに該当する場合、省級以上の人民政府の医薬品監督管理部門
は是正を命じ、警告をする。是正を行わない場合、20 万元以上 50
万元以下の罰金を科す。事案が重大である場合、生産・販売停止、
休業及び是正を命じ、かつ、50 万元以上 200 万元以下の罰金を科す。
1.規定に基づいてワクチンの電子追跡システムを確立していない
場合
2.法定代表者、主要責任者、生産管理責任者、品質管理責任者及
び品質管理の有資格者などの重要部署の人員は規定されている
条件を満たしていない、又は規定に基づいて教育訓練・評価を
受けていない場合
3.規定に基づいて報告又は記録していなかった場合
4.規定に基づいて上市後の研究を行わなかった、又は機関と人員
を配置して自主的に予防接種ワクチンの使用により疑われる副
反応情報を収集、追跡、分析をしていなかった場合
5.規定に基づいてワクチン責任強制保険に加入していなかった場
合
6.規定に基づいて情報公開制度を設けていなかった場合
第 84 条
本法の規定に違反し、バッチリリース機関が次のいずれか
に該当する場合、国務院医薬品監督管理部門は是正を命じ、警告を
する。主要責任者、直接責任を負う主管者、及びその他の直接責任
者に対して、法律に基づいて警告、降格処分を行う。
1.規定に基づいて審査と検査を行わなかった場合
2.市場に出回ったワクチンのバッチリリースの結果を適時に公表
していなかった場合
3.規定に基づいて確認していなかった場合
4.ワクチンに重大な品質リスクを発見したが、規定に基づいて報
告していなかった場合
本法の規定に違反し、バッチリリース機関は規定に基づいてバッ
チリリース証明書、又はバッチリリースが許可されない通知書を交
付しなかった場合、国務院医薬品監督管理部門は是正を命じ、警告
をする。主要責任者、直接責任を負う主管者、及びその他の直接責
任者に対して、法律に基づいて、降格又は免職処分を行う。事案が
重大である場合、主要責任者、直接責任を負う主管者、及びその他
の直接責任者に対して、法律に基づいて除名処分を行う。
第 85 条
疾病予防コントロールセンター、予防接種実施機関、ワク
チン上市許可保有者、ワクチン配送企業・団体がワクチンの保管・
輸送管理規範に規定されているコールドチェーンの保管・輸送要件
に違反した場合、県級以上の人民政府の医薬品監督管理部門は是正
を命じ、警告をする。違法に保管・輸送しているワクチンに対して
廃棄し、違法所得を没収する。是正を行わない場合、予防接種実施
機関、ワクチン上市許可保有者、ワクチン配送企業・団体に対して、
20 万元以上 100 万元以下の罰金を科す。事案が重大である場合、予
防接種実施機関、ワクチン上市許可保有者、ワクチン配送企業・団
体に対して、違法に保管・輸送しているワクチンの売上の 10 倍以上
30 倍以下の罰金を科す。売上が 10 万元未満の場合は、10 万元とし
て計算し、ワクチン上市許可保有者、ワクチン配送企業・団体に対
して生産・販売停止、休業及び是正を命じ、医薬品に関する許可証
明書類、医薬品生産許可証などを取り消す。ワクチン上市許可保有
者とワクチン配送企業・団体の法定代表者、主要責任者、直接責任
を負う主管者、重要部署の人員、及びその他の直接責任者に対して、
本法の第 82 条の規定に基づいて処罰を与える。
疾病予防コントロールセンター、予防接種実施機関は前項に規定
されている違法行為がある場合、県級以上の人民政府の衛生健康主
管部門は主要責任者、直接責任を負う主管者、及びその他の直接責
任者に対して、法律に基づいて、警告をし、免職処分を行い、責任
のある医療関係者に対して、1 年以上 18 か月以下の営業活動の一時
停止を命じる。結果が重大である場合、主要責任者、直接責任を負
う主管者、及びその他の直接責任者に対して、法律に基づいて、除
名処分を行い、予防接種実施機関の予防接種実施資格を取り消し、
免許証を発行した部門は責任のある医療関係者の免許証を取り消す。
第 86 条
疾病予防コントロールセンター、予防接種実施機関、ワク
チン上市許可保有者、ワクチン配送企業・団体が、本法の第 85 条に
規定されていないワクチンの保管・輸送管理規範に違反する行為が
ある場合、県級以上の人民政府の医薬品監督管理部門は是正を命じ、
警告をし、違法所得を没収する。是正を行わない場合、予防接種実
施機関、ワクチン上市許可保有者、ワクチン配送企業・団体に対し
て、10 万元以上 30 万元以下の罰金を科す。事案が重大である場合、
予防接種実施機関、ワクチン上市許可保有者、ワクチン配送企業・
団体に対して、違法に保管・輸送しているワクチンの売上の 3 倍以
上 10 倍以下の罰金を科す。売上が 10 万元未満の場合は、10 万元と
して計算する。
疾病予防コントロールセンター、予防接種実施機関が前項に規定
されている違法行為がある場合、県級以上の人民政府の衛生健康主
管部門は主要責任者、直接責任を負う主管者、及びその他の直接責
任者に対して、法律に基づいて、警告をし、免職処分を行い、責任
のある医療関係者に対して、6 か月以上 1 年以下の業務停止を命じる。
結果が重大である場合、主要責任者、直接責任を負う主管者、及び
その他の直接責任者に対して、法律に基づいて、除名処分を行い、
免許証を発行した部門は責任のある医療関係者の免許証を取り消す。
第 87 条
本法の規定に違反し、疾病予防コントロールセンター、予
防接種実施機関が次のいずれかに該当する場合、県級以上の人民政
府の衛生健康主管部門は是正を命じ、警告をし、違法所得を没収す
る。事案が重大である場合、主要責任者、直接責任を負う主管者、
及びその他の直接責任者に対して、法律に基づいて、警告をし、免
職処分を行い、責任のある医療関係者に対して、1 年以上 18 か月以
下の業務停止を命じる。結果が重大である場合、主要責任者、直接
責任を負う主管者、及びその他の直接責任者に対して、法律に基づ
いて、除名処分を行い、免許証を発行した部門は責任のある医療関
係者の免許証を取り消す。
1.規定に基づいて供給、受領、調達していなかった場合
2.予防接種が予防接種業務規範、免疫手順、ワクチン使用指導原
則、接種計画書を遵守していなかった場合
3.許可なく集団予防接種を行なった場合
第 88 条
本法の規定に違反し、疾病予防コントロールセンター、予
防接種実施機関が次のいずれかに該当する場合、県級以上の人民政
府の衛生健康主管部門は是正を命じ、警告をする。事案が重大であ
る場合、主要責任者、直接責任を負う主管者、及びその他の直接責
任者に対して、法律に基づいて、警告をし、免職処分を行い、責任
のある医療関係者に対して、6 カ月以上 1 年以下の業務停止を命じる。
結果が重大である場合、主要責任者、直接責任を負う主管者、及び
その他の直接責任者に対して、法律に基づいて、除名処分を行い、
免許証を発行した部門は責任のある医療関係者の免許証を取り消す。
1.規定に基づいて追跡情報を提供していなかった場合
2.ワクチンの受領又は仕入れの際に、規定に基づいて関連証明文
書及び温度モニタリング記録を取得して保存していなかった場
合
3.規定に基づいて、ワクチンの受領、仕入れ、保管、配送、供給、
接種、処理の記録を作成して保存していなかった場合
4.規定に基づいて接種対象者又はその保護者に関連事情について
知らせていなかったり、問い合わせていなかったりする場合
第 89 条
疾病予防コントロールセンター、予防接種実施機関、医療
機関が規定に基づいて予防接種ワクチンの使用により疑われる副反
応情報、ワクチンの安全に関する事故等を報告していなかった、又
は規定に基づいて予防接種ワクチンの使用は疑われる副反応に対し
て調査や診断などを行わなかった場合、県級以上の人民政府の衛生
健康主管部門は是正を命じ、警告をする。事案が重大である場合、
予防接種実施機関、医療機関に対して 5 万元以上 50 万元以下の罰金
を科し、疾病予防コントロールセンター、予防接種実施機関、医療
機関の主要責任者、直接責任を負う主管者、及びその他の直接責任
者に対して、法律に基づいて、警告をし、免職処分を行う。結果が
重大である場合、主要責任者、直接責任を負う主管者、及びその他
の直接責任者に対して、法律に基づいて、除名処分を行い、免許証
を発行した部門は責任のある医療関係者の免許証を取り消す。
第 90 条
疾病予防コントロールセンター、予防接種実施機関が本法
の規定に違反して費用を請求した場合、県級以上の人民政府の衛生
健康主管部門は、その違法に請求した費用を支払った企業・団体又
は個人に返金することを監督し、かつ、県級以上の人民政府の市場
監督管理部門は法律を基づいて処罰を与える。
第 91 条
本法の規定に違反し、県級以上の人民政府の衛生健康主管
部門の指定を受けずに許可なく予防接種プログラムワクチンの接種
業務に従事する、若しくは非予防接種プログラムワクチンの接種業
務が条件を満たしていない又は記録していなかった場合、県級以上
の人民政府の衛生健康主管部門は是正を命じ、警告をし、違法所得
と違法に保有するワクチンを没収し、休業及び是正を命じ、かつ 10
万元以上 100 万元以下の罰金を科す。主要責任者、直接責任を負う
主管者、及びその他の直接責任者に対して、法律に基づいて処分を
行う。
本法の規定に違反し、疾病予防コントロールセンターと予防接種
実施機関の以外の企業・団体又は個人が許可なく集団予防接種を行
った場合、県級以上の人民政府の衛生健康主管部門は是正を命じ、
違法所得と違法に保有するワクチンを没収し、違法に保有するワク
チンの売上の 10 倍以上 30 倍以下の罰金を科す。売上が 5 万元未満
の場合は、5 万元として計算する。
第 92 条
保護者が法律に基づいて適齢児童を予定通りに予防接種プ
ログラムワクチンを接種させなかった場合、県級以上の人民政府の
衛生健康主管部門は批評・教育を行い、是正を命じる。
保育施設、学校が子供の入所・入学時に規定に基づいて予防接種
証を確認しなかった、又は規定に基づいて接種しなかった子供を発
見後、予防接種実施機関に報告していなかった場合、県級以上の人
民政府の教育行政部門は是正を命じ、警告をする。主要責任者、直
接責任を負う主管者、及びその他の直接責任者に対して、法律に基
づいて処分を行う。
第 93 条
ワクチンの安全に関する虚偽情報を捏造、流布したり、予
防接種実施機関に故意に損害を与えたり、トラブルを引き起こした
りして、治安管理違法行為が成立する場合、公安機関による法律に
基づいて治安管理の処罰を与える。
新聞、雑誌、ラジオ、テレビ、
ウェブサイトなどのメディアがワクチンの安全に関する情報を捏造、
流布した場合、関連部門は法律に基づいて処罰を与える。主要責任
者、直接責任を負う主管者、及びその他の直接責任者に対して、法
律に基づいて処分を行う。
第 94 条
県級以上の人民政府がワクチンに関する監督管理業務を行
う中で、次のいずれかに該当する場合、直接責任を負う主管者、及
びその他の直接責任者に対して法律に基づいて、降格又は免職処分
を行う。
事案が重大である場合、法律に基づいて、除名処分を行う。結果
が重大である場合、その主要責任者は引責辞職しなければならない。
1.職務遂行能力不足のため、重大な悪影響又は重大な損失をもた
らした場合
2.ワクチンの安全に関する事故の過少報告、虚偽報告、報告遅れ、
報告漏れをした場合
3.ワクチンに関する違法行為又はワクチンの安全に関する事故に
対する調査を干渉、妨害した場合
4.当該行政区域において特別なワクチンの安全に関する重大な事
故が発生した、又は重大なワクチンの安全に関する事故が連続
に発生した場合
第 95 条
医薬品監督管理部門、衛生健康主管部門はワクチンに関す
る監督管理業務を行う中で次のいずれかに該当する場合、直接責任
を負う主管者、及びその他の直接責任者に対して法律に基づいて、
降格又は免職処分を行う。事案が重大である、法律に基づいて除名
処分を行い、結果が重大である場合、その主要責任者は引責辞職し
なければならない。
1.監督確認の職務を遂行しなかった、又は違法行為を発見して速
やかに処置しなかった場合
2.許可なく集団予防接種を行った場合
3.ワクチンの安全に関する事故の過少報告、虚偽報告、報告遅れ、
報告漏れをした場合。
4.ワクチンに関する違法行為又はワクチンの安全に関する事故に
対する調査を干渉、妨害した場合
5.告発者の個人情報を流出した場合
6.予防接種ワクチンの使用により疑われる副反応に関する報告を
受け、規定に基づいて調査や処理を行わなかった場合
7.ワクチンに関する監督確認の職務を遂行しない、その他の行為
により重大な悪影響又は重大な損失を与えた場合
第 96 条
ワクチンの品質問題により接種対象者に損害を与えた場合
は、ワクチン上市許可保有者が法律に基づいて、その賠償責任を負
わなければならない。
疾病予防コントロールセンター、予防接種実施機関が予防接種業
務規範、免疫プログラム、ワクチン使用指導原則、接種計画書に違
反し、接種対象者に損害を与えた場合、その賠償責任を負わなけれ
ばならない。
第 11 章 附 則
第 97 条
本法の中にある用語の定義は次の通りである。
予防接種プログラムワクチンとは、住民が政府の規定に基づいて
接種するワクチンである。国の予防接種プログラムに確定されてい
るワクチン、省・自治区・直轄市の人民政府が国の予防接種プログ
ラムを実行する際に追加するワクチン、及び県級以上の人民政府又
はその衛生健康主管部門が組織する応急接種又は集団予防接種に使
用されるワクチンを含む。
非予防接種プログラムワクチンとは、住民が自発的に接種するそ
の他のワクチンである。
ワクチン上市許可保有者とは、法律に基づいてワクチンの医薬品
登録証書と医薬品生産許可証を取得した企業である。
第 98 条
国は、ワクチン生産企業が国際基準に基づいた調達要件に
従って、ワクチンを生産・輸出することを奨励する。
ワクチンの輸出は輸入国(地域)の基準又は契約の要件を満たさ
なければならない。
第 99 条
出入国時に予防接種と必要なワクチンの調達については、
国境衛生検疫機関と国務院財政部門が別途定める。
第 100 条
本法は 2019 年 12 月 1 日から施行する。
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