線形代数のまとめ(基本整理編) ベクトルの利用 ベクトル𝑎と 𝑏の内積を< 𝑎, 𝑏 >と表す. nを直線や平面の法線ベクトルとする. 1 次結合(ベクトルの数が増えても同様に考えられる.) ベクトル𝑎, 𝑏, 𝑐の 1 次結合を𝛼𝑎 + 𝛽𝑏 + 𝛾𝑐と表す. 𝛼, 𝛽, 𝛾は係数 𝛼 + 𝛽 + 𝛾=0となる係数𝛼, 𝛽, 𝛾がα=0,β=0,γ=0のみのとき, ベクトルa, b, cを1次独 立であるという.(1次独立でないとき, 1 次従属であるという) 直線の方程式 𝑥が直線𝑙上の点 ↔ 𝑛と 𝑥 − 𝑝が垂直 ↔ < 𝑛 , 𝑥 − 𝑝 > = 0 ↔ < 𝑛 , 𝑥 > = < 𝑛 , 𝑝 > 𝑛= 𝑥 𝑝 𝑎 , 𝑥 = 𝑦 , 𝑝 = 𝑞 のとき, 𝑎𝑥 + 𝑏𝑦 = 𝑎𝑝 + 𝑏𝑞 であり, 𝑎𝑝 + 𝑏𝑞 = −𝑐とおくと, 𝑏 𝑎𝑥 + 𝑏𝑦 + 𝑐 = 0(直線の方程式) 平面の方程式 𝑥が平面𝜋上の点 ↔ 𝑛と 𝑥 − p が垂直 ↔ < 𝑛 , 𝑥 − 𝑝 > = 0 ↔ < n , 𝑥 > = < n , p > 𝑎 𝑥 𝑝 𝑛 = 𝑏 , 𝑥 = 𝑦 , 𝑝 = 𝑞 のとき, 𝑎𝑥 + 𝑏𝑦 + 𝑐𝑧 = 𝑎𝑝 + 𝑏𝑞 + 𝑐𝑟 であり, n 𝑐 𝑧 𝑟 𝑎𝑝 + 𝑏𝑞 + 𝑐𝑟 = −𝑑とおくと, 𝑙 𝑛 𝑥 p 𝜋 𝑥 p 𝑎𝑥 + 𝑏𝑦 + 𝑐𝑧 + 𝑑 = 0(平面の方程式) 1 次変換(1 次写像) (※簡単のため, 平面の 1 次変換を考える) 𝑥 𝑎𝑥 + 𝑏𝑦 定義平面上の点 𝑦 に対して点 𝑐𝑥 + 𝑑𝑦 1 次変換の組. ただし定数項=0 が定まる対応を 1 次変換という. 点の次元に制限がないものを 1 次写像という. 𝑥 𝑥 𝑎𝑥 + 𝑏𝑦 𝑎 表記:𝑥 = 𝑦 に対し, 一次変換𝑓(𝑥)は𝑓(𝑥) = 𝑓 𝑦 = =: 𝑐𝑥 + 𝑑𝑦 𝑐 𝑏 𝑥 と表される. 𝑑 𝑦 1 次変換の例 𝑥 𝑎𝑥 𝑎 (1) 拡大・縮小…𝑥軸方向に𝑎倍・𝑦軸方向に𝑏倍のとき, 𝑦 → 𝑏𝑦 = 0 0 𝑥 𝑏 𝑦 x 1 0 (2) 回転… y をθだけ原点を中心に回転させるとき, と 0 1 をそれぞれθ回転させることを考えると, 𝑐𝑜𝑠𝜃 −𝑠𝑖𝑛𝜃 と という変換になるから 𝑠𝑖𝑛𝜃 𝑐𝑜𝑠𝜃 𝑥 𝑥𝑐𝑜𝑠𝜃 − 𝑦𝑠𝑖𝑛𝜃 1 0 𝑐𝑜𝑠𝜃 −𝑠𝑖𝑛𝜃 𝑐𝑜𝑠𝜃 𝑦 = 𝑥 0 + 𝑦 1 → 𝑥 𝑠𝑖𝑛𝜃 + 𝑦 𝑐𝑜𝑠𝜃 = 𝑥𝑠𝑖𝑛𝜃 + 𝑦𝑐𝑜𝑠𝜃 = 𝑠𝑖𝑛𝜃 −𝑠𝑖𝑛𝜃 𝑥 𝑐𝑜𝑠𝜃 𝑦 (3) 対称移動(原点を通る直線に関する折り返し) 𝑥 𝑥𝑐𝑜𝑠2𝜃 + 𝑦𝑠𝑖𝑛2𝜃 𝑐𝑜𝑠2𝜃 𝑠𝑖𝑛2𝜃 𝑐𝑜𝑠2𝜃 𝑦 → 𝑥 𝑠𝑖𝑛2𝜃 + 𝑦 −𝑐𝑜𝑠2𝜃 = 𝑥𝑠𝑖𝑛2𝜃 − 𝑦𝑐𝑜𝑠2𝜃 = 𝑠𝑖𝑛2𝜃 𝑠𝑖𝑛2𝜃 𝑥 −𝑐𝑜𝑠2𝜃 𝑦 ※連続した 1 次変換を 1 次変換の合成という. 合成は行列の積の形で表される(定義). 例1. 𝜃回転した後, 𝜑回転する変換は 𝑐𝑜𝑠𝜑 𝑠𝑖𝑛𝜑 −𝑠𝑖𝑛𝜑 𝑐𝑜𝑠𝜃 𝑐𝑜𝑠𝜑 𝑠𝑖𝑛𝜃 𝑐𝑜𝑠𝜑 𝑠𝑖𝑛𝜑 −𝑠𝑖𝑛𝜑 𝑐𝑜𝑠𝜃 𝑐𝑜𝑠𝜑 𝑠𝑖𝑛𝜃 −𝑠𝑖𝑛𝜃 と表される. 𝑐𝑜𝑠𝜃 cos(𝜃 + 𝜑) −sin(𝜃 + 𝜑) −𝑠𝑖𝑛𝜃 = sin(𝜃 + 𝜑) cos(𝜃 + 𝜑) 𝑐𝑜𝑠𝜃 であり, これから三角関数の加法定理を導ける. θ θ θ θ 𝑎×𝑏 外積…ベクトル𝑎と𝑏(𝑎 ≠ 0, 𝑏 ≠ 0)に対する以下のベクトルのこと. 𝑎 ×b∶= 大きさ:|𝑎||𝑏| sin 𝜃(ベクトル𝑎, 𝑏がなす平行四辺形の面積) 向き:𝑎から𝑏に𝜃だけ回す向きが時計回りに見える向き, かつ𝑎, 𝑏に垂直 𝑏 𝜃 𝑎 行列 行列…数を⾧方形に並べたもの ・行…数の横の並び ・列…数の縦の並び 1 4 7 10 例 1. 3 × 4 行列 2 5 8 11 3 6 9 12 ・成分…行列をなす 1 つ 1 つ ・行列の型(サイズ)…(行の個数,列の個数) 例1は 3 行 4 列の行列. (3,2)成分は 6 行列の型は(3,4)である. ・正方行列…(行の個数)=(列の個数)となる行列. ・行ベクトル…m×1行列.([𝑎 … 𝑏]) 1 0 0 𝑎 例 2.3 × 3 の単位行列 0 1 0 ・列ベクトル…1×n 行列.( ⋮ ) 0 0 1 𝑏 ・零行列…成分がすべて 0 である行列. 𝑂と表すことが多い. ・対角行列…正方行列であって, 対角成分以外すべて 0 である行列. (※対角成分…(𝑖, 𝑖)成分のことであり, 1 2 3 のとき, 対角成分は1と5である.) 4 5 6 ・単位行列…正方行列であり, 行列の左上~右下の 対角成分が 1 の行列.(例 2) 記号として𝐸が用いられることが多い. 例 3. a d a b c の転置行列は b e d e f c f ・正則行列…その行列に特定の行列をかけると単位行列になることができる行列. ・逆行列…正則行列に掛けると単位行列になる行列. 正則行列𝐴に対して𝐴 と表す. ・転置行列…行列の列と行の数字を入れ替えた行列. (例 3) ・区分け…行と列を分けて小さな行列に分けること. 行列の演算を小行列の演算に置き 換えることができる. (例4) a b c c A B a b 例4.S= d e f で A= ,B= ,C=[g h],D=[i]と分けると, S= f C D c d g h i ・行列の相等…2 つ以上の行列の型が同じで, 成分がすべて等しい. 行に関する基本変形(列に関する同様の操作を列倍・列和・列換と呼ぶ) ・行倍…第𝑖行をα倍する. ・行和…第𝑖行に第𝑗行×αを加える. ・行換…第𝑖行と第𝑗行を交換する. 行列の基本計算 ・行列の和・差…同じ型の行列に対して定義される.(例 5) ・スカラー倍…数を行列の各成分に掛ける.(例 6) ・行列の積… 𝑚 × 𝑛 行列 × 𝑛 × 𝑙 行列 = 𝑚 × 𝑙 行列 の場合に定義される. 各行ベク トルと列ベクトルの内積を求めて行列の形に並べる. (例 7) ※積の順序が変わると値が変わってしまうことがある. そもそも積が定義できなくなる こともある. (例 8) 例 5. 𝑎 𝑐 𝑝 𝑏 + 𝑟 𝑑 𝑞 𝑎+𝑝 = 𝑠 𝑐+𝑟 𝑏+𝑞 𝑑+𝑠 例 6 .10 𝑎 𝑏 = 10𝑎 10𝑏 例 7. 𝑎 𝑑 𝑐 𝑑 10𝑐 𝑏 𝑒 𝑝 𝑐 × 𝑟 𝑓 𝑡 10𝑑 𝑞 𝑎𝑝 + 𝑏𝑟 + 𝑐𝑡 𝑠 = 𝑑𝑝 + 𝑒𝑟 + 𝑓𝑡 𝑢 𝑎𝑞 + 𝑏𝑠 + 𝑐𝑢 𝑑𝑞 + 𝑒𝑠 + 𝑓𝑢 1 2 1 2 例8.[1 2 3] × 3 4 = [22 28]は 3 4 × [1 2 3]とすることはできない. 5 6 5 6 和・積・スカラー倍の性質 ・𝐴 + 𝐵 = 𝐵 + 𝐴 ・𝐴 + (𝐵 + 𝐶) = (𝐴 + 𝐵) + 𝐶 ・𝐴 + 𝑂 = 𝐴, 𝐴 + (−𝐴) = 𝑂 (𝑂…零行列) ・(𝛼𝛽)𝐴 = 𝛼(𝛽𝐴) ・𝛼(𝐴 + 𝐵) = 𝛼𝐴 + 𝛼𝐵, (𝛼 + 𝛽)𝐴 = 𝛼𝐴 + 𝛽𝐴 ・(𝐴𝐵)𝐶 = 𝐴(𝐵𝐶) ・ 𝐴𝐸 = 𝐸 𝐴 = 𝐴 ( 𝐴は 𝑚 × 𝑛行列, 𝐸 は 𝑛 次の, 𝐸 は 𝑚次の単位行列) ・𝛼(𝐴𝐵) = (𝛼𝐴)𝐵 = 𝐴(𝛼𝐵) 階数(今回は行について述べたが, 列も同様の考え方ができる.) Ⅰ)行と列の基本変形を有限回繰り返すことで, すべての行列は 𝐸 𝑂 𝑂 の形にできる. 𝑂 (この行列の形を階数標準形という.) Ⅱ)行の基本変形を有限回繰り返して, すべての行列は次の形にできる. 0 … 0 1 0 * 0 * 0 ⎡0 … … 0 1 * 0 * 0 ⎤ ⎢ ⎥ … … 0 1 * 0⎥ ⎢0 … … … … … … 0 1 ⎢0 … … ⎥ ⎢ 0 … … … … … … … 0⎥ O ⎣ ⎦ ① 各行の最左非零成分(かなめ)は右にずれていくのみである. また, 0でない行の上 に0行ベクトルはない. ② 各行の最左非零成分は1であり, その上の成分はすべて0である. ① を満たすときは行階段形(𝑟𝑒𝑓)といい, ①②の両方満たすとき既約行階段形(𝑟𝑟𝑒𝑓)と いう. 行階段形や既約行階段形は基本変形の手順によらず一意的である. 既約行階段形を作ることで階数(𝑟𝑒𝑓や𝑟𝑟𝑒𝑓のかなめの個数)がわかる. また, 階数=(1次独立となる行ベクトルの最大個数)が成立する. 基本行列 次の n 次正方行列を基本行列という.(例は 3 次単位行列で考える.) 1 0 0 [倍]𝑆 (𝑖, 𝛼) ∶= 𝐸 の𝑖行を𝛼倍した行列 例 9. 𝑆 (2,5) = 0 5 0 , 𝑆 (3,7) = 0 0 1 1 0 [和]𝑊 (𝑖, , 𝑗, 𝛼) ∶= 𝐸 の𝑖行に𝑗行×𝛼をたした行列 例 10. 𝑊 (2,3,4) = 0 5 0 0 1 0 [換]𝐾 (𝑖, 𝑗) ∶= 𝐸 の𝑖行を j 行と交換した行列(例.) 例 11. 𝐾 (2,3) = 0 0 0 1 以下の性質が成り立つ. 1 0 0 0 1 0 0 0 7 0 0 1 0 1 0 [左倍]=[行倍] [左和]=[行和] [左換]=[行換] [右倍]=[列倍] [右和]=[列和] [右換]=[列換] また, 正方行列 A が正則である ⇔ 𝐴 = (有限個の基本行列の積)が成立する. 行列式 行列式の定義…𝑛次正方行列𝐴に対して次のように定めた 𝑑𝑒𝑡𝐴 を 𝐴の行列式という. (やっていることは余因子展開.) (1)𝑛 = 1 のとき, 𝑑𝑒𝑡[𝑎] ∶= 𝑎. (2)𝑛 ≥ 2 のとき, 𝑛 − 1 次正方行列𝐵に対して𝑑𝑒𝑡𝐵が定まっているとする. このとき, 𝑑𝑒𝑡𝐴 ∶= 𝑎 , (−1) 𝑑𝑒𝑡 𝐴( ) + ⋯+ 𝑎 (−1) , 𝑑𝑒𝑡 𝐴( ) , (−1) 𝑎 , +⋯+𝑎 𝑑𝑒𝑡 𝐴( ) ここで𝐴( ) (k=1,2,…,n)を次のように定める. 𝑎 , … 𝑎 , , … 𝑎 , ⋮ 𝐴= 𝑎 … 𝑎 ⋮ ⋮ … 𝑎 𝑎 , に対し𝐴( ) ⋮ = 𝑎 , 𝑎 … , , ⋮ … 𝑎 , ⋮ 𝑎 , … 𝑎 , , ⋮ … 𝑎 , ・2 次正方行列の行列式 𝑑𝑒𝑡 𝑎 𝑐 𝑏 = 𝑎𝑑 − 𝑏𝑐 𝑑 以下のことが成り立つ. ① 𝑑𝑒𝑡 𝑑𝑒𝑡 ② 𝑑𝑒𝑡 𝑎+𝑝 𝑏 𝑎 =𝑑𝑒𝑡 𝑐+𝑞 𝑑 𝑐 𝐴𝑎 𝐴𝑐 𝑎 𝑐 𝑏 =𝐴𝑑𝑒𝑡 𝑎 𝑑 𝑐 𝑎 =0 𝑐 𝑑𝑒𝑡 𝑝 𝑏 + 𝑑𝑒𝑡 𝑞 𝑑 𝑏 𝑑 𝑎 𝑎 𝑏 =0 𝑏 𝑏 𝑑 𝑑𝑒𝑡 𝑎+𝑟 𝑐 𝑑𝑒𝑡 𝐵𝑎 𝑐 ③𝑑𝑒𝑡 𝑏+𝑠 𝑎 =𝑑𝑒𝑡 𝑑 𝑐 𝐵𝑏 𝑎 =𝐵𝑑𝑒𝑡 𝑑 𝑐 𝑟 𝑏 + 𝑑𝑒𝑡 𝑐 𝑑 𝑠 𝑑 𝑏 𝑑 1 0 =1 0 1 ・3 次行列の行列式…サラスの公式 𝑎 𝑑 𝑑𝑒𝑡 𝑔 𝑏 𝑒 ℎ 𝑐 𝑓 = 𝑎𝑒𝑖 + 𝑏𝑓𝑔 + 𝑐𝑑𝑓 − 𝑐𝑒𝑓 − 𝑎𝑓ℎ − 𝑏𝑑𝑖 𝑖 𝑎 𝑑 𝑔 𝑏 𝑐 𝑎 𝑏 𝑒 𝑓 𝑑 𝑒 ℎ 𝑖 𝑔 ℎ 𝑐 𝑓 𝑖 ・4 次以上の行列式…工夫をして解く. (基本操作 or 余因子展開 or 区分け or 特殊パターン) 行列式では以下のことが成り立つ. (前述の 2 次の行列式の法則は具体例である.) ① 多重線形性…𝑑𝑒𝑡[… 𝛼𝐴 + 𝛽𝐵 ② 交代性…𝑑𝑒𝑡[𝑎 …] = 𝛼𝑑𝑒𝑡[… 𝐴 …] + 𝛽𝑑𝑒𝑡[… 𝐵 … 𝑎] = 0, 𝑑𝑒𝑡[𝑎 … 𝑏] = −𝑑𝑒𝑡 [𝑏 …]. … 𝑎]. ③ 積の公式…𝑑𝑒𝑡 𝐴𝐵 = 𝑑𝑒𝑡𝐴 × 𝑑𝑒𝑡𝐵. ④ 正則性の判定…正方行列𝐴が正則⇔𝑑𝑒𝑡𝐴 ≠ 0. ⑤ 転置…ある行列𝐴とその行列の転置行列 𝐴の行列式は等しい.(𝑑𝑒𝑡 𝐴 = 𝑑𝑒𝑡 𝐴) また, 行和は行列式を変化させず, 行倍は元の行列式のスカラー倍になり, 行換は一回 行うごとに元の行列式を( 1)倍する.(列についても同様) 𝑎 𝑎 = 𝑑𝑒𝑡 𝑏 + 𝛼𝑎 𝑏 行和…𝑑𝑒𝑡 行倍…𝑑𝑒𝑡[𝛼𝑎] = 𝛼𝑑𝑒𝑡[𝑎] 行換…𝑑𝑒𝑡 𝑎 𝑏 = −𝑑𝑒𝑡 𝑏 𝑎 行列式の応用例として, クラメールの公式がある. 𝑥 𝑐 ], 𝑥 = 𝑦 のとき, 𝑧 𝑐] 𝑑𝑒𝑡[𝑎 𝑝 𝑐] 𝑑𝑒𝑡[𝑎 𝑏 𝑝] ,𝑦 = ,𝑧 = 𝑑𝑒𝑡[𝑎 𝑏 𝑐] 𝑑𝑒𝑡[𝑎 𝑏 𝑐] 𝑐] 𝐴𝑥 = 𝑝 𝐴 = [𝑎 𝑥= 𝑑𝑒𝑡[𝑝 𝑏 𝑑𝑒𝑡[𝑎 𝑏 𝑏 余因子展開 𝑛次正方行列𝐴に対して, (1) A の(𝑖, 𝑗)小行列式𝛤 , (𝐴)を𝛤 , (𝐴) ∶= 𝑑𝑒𝑡 𝐴の𝑖行𝑗列を取り除いて詰めた行列 とする. (2) A の(𝑖, 𝑗)小行列式𝛤 , (𝐴)を余因子𝛤 , (𝐴) ∶= (−1) 𝛤 , (𝐴)とする. (3) 余因子展開 (ⅰ)𝑑𝑒𝑡𝐴 ∶= 𝑎 , 𝛤 , (𝐴) + ⋯ + 𝑎 , 𝛤 , (𝐴) + ⋯ + 𝑎 , 𝛤 , (𝐴). (ⅱ)𝑑𝑒𝑡𝐴 ∶= 𝑎 , 𝛤 , (𝐴) + ⋯ + 𝑎 , 𝛤 , (𝐴) + ⋯ + 𝑎 , 𝛤 , (𝐴). (4) 余因子行列 𝐴= 𝛤, ⋮ 𝛤, … 𝛤, ⋮ とすると, 𝐴𝐴=𝐴𝐴 = (𝑑𝑒𝑡𝐴)𝐸となり, 𝐴が正則のとき𝐴 … 𝛤, 成立.(クラメールの公式) = 𝐴が 固有値 𝑛次正方行列𝐴に対して, 𝜑( ) ∶= 𝑑𝑒𝑡 (𝑥𝐸 − 𝐴)を𝐴の固有多項式という. 固有多項式=0 の解𝜆を𝐴の固有値といい, (𝐴 − 𝜆𝐸)𝑥 = 0の解を𝐴の固有ベクトルという. 固有値や固有ベクトルは行列のべきを計算するときに用いられる.(試験範囲外) 問題の解き方や計算 連立方程式の解法(対角充填法) 𝑎 𝐴𝑥 = 𝑝を解く. , … 𝑎 ⋮ 𝐴= 𝑎 , ⋮ , … 𝑎 このときの𝐴を係数行列, 𝑚 × (𝑛 + 1)行列[𝐴 ,𝑥 = , 𝑥 𝑝 ⋮ , 𝑝 = ⋮ である. 𝑥 𝑝 𝑝]を拡大係数行列という. ① [𝐴 𝑝](拡大係数行列)の既約行階段形を求める. ② 𝑟𝑎𝑛𝑘 𝐴 < 𝑟𝑎𝑛𝑘[𝐴 𝑝]のとき解はなし. 𝑟𝑎𝑛𝑘 𝐴 = 𝑟𝑎𝑛𝑘[𝐴 𝑝]のとき解を求める. ③ かなめがない列には − 1 を含んだ行を補い, −1を補った列と右端の列を読む. 具体例として 𝑥−𝑦+𝑧 =3 1 -1 1 3 を解く. 拡大係数行列は である. 2𝑥 − 3𝑦 = 1 2 -3 0 1 1 0 3 8 1 -1 1 3 1 -1 1 3 1 -1 1 3 1 0 3 8 → → → から 0 1 2 5 2 -3 0 1 0 -1 -2 -5 0 1 2 5 0 1 2 5 0 0 -1 0 𝑥 3 8 よって解は, 𝑦 = 𝛼 2 + 5 (𝛼は任意の数)) 𝑧 −1 0 本質的には𝐴の𝑟𝑟𝑒𝑓を求めていることと同じ. また, 解=(基本解の 1 次結合)+特殊解 で, 解の自由度=基本解の個数=𝑛 − 𝑟𝑎𝑛𝑘𝐴で あり, 基本解は 1 次独立である. 行列方程式 [𝐴 𝑝](拡大係数行列)の既約行階段形を求めるという連立方程式のときと同じような考 え方で解くことができる. 具体例として 1 𝑎 0 -1 1 2 𝑥= を解く. 0 0 1 2 3 4 1 𝑎 0 0 拡大係数行列は 0 −1 1 2 で, これは既約行階段形であるので, 1 2 3 4 1 を補っ て, 1 𝑎 0 −1 0 −1 0 0 0 0 1 2 0 0 0 −1 1 0 3 0 2 𝑎 −1 0 −1 0 𝛼 から読み取って, 解𝑥は𝑥 = 4 0 2 𝛾 0 0 −1 𝛼 𝛾 1 𝛽 + 0 3 𝛿 0 2 0. 4 0 𝛽 は任意の 2 × 2 行列. 𝛿 逆行列 逆行列が存在する行列(すなわち正則行列)は(行列式)≠0 となる. 2 次正方行列𝐴 = ① 公式𝐴 ② 𝑎 𝑐 𝑏 𝑥 𝑑 𝑧 𝑎 𝑐 𝑏 について逆行列の求め方は 2 通りある. 𝑑 𝑑 −𝑐 = −𝑏 を用いる. (𝑎𝑑 − 𝑏𝑐は行列式.) 𝑎 𝑦 1 0 = を解く. (解いた解を整理すると①の形になる.) 𝑤 0 1 3 次以上の正方行列 A の逆行列の求め方は②のように, 行列方程式𝐴𝑥 = 𝐸(𝑥は求めたい逆行列, E は A と同じ型の単位行列)を解けばよい. また, クラメールの公式を使って求める方法もある. 行列式の計算のポイントと計算例 ① 「0」成分を増やす.(基本変形) ② 行列のサイズを小さくして考える. (余因子展開 or 区分け) ③ 対称性やパターンを利用して計算する. 1 1 1 例.𝐴 = 1 2 3 の行列式𝑑𝑒𝑡𝐴を求める. 1 3 6 1 1 1 1 0 1 1 0 1 1 0 1 𝑑𝑒𝑡𝐴 = 𝑑𝑒𝑡 1 2 3 = 𝑑𝑒𝑡 1 1 3 = 𝑑𝑒𝑡 1 1 0 = −𝑑𝑒𝑡 0 1 1 1 3 6 1 2 6 1 2 0 0 2 1 = −𝑑𝑒𝑡[1] × 𝑑𝑒𝑡 1 1 = 1 (サラスの公式 1 発でも ok.) 2 1 余因子の計算 𝑎 𝑏 例として, 𝐴 = 𝑏 𝑎 𝑐 𝑏 0 𝑐 𝑐 𝑏 𝑎 𝑏 1 𝑐 を考える. 𝑏 𝑎 例えば, (2,3)余因子は𝛤 , (𝐴) = (−1) 𝑎 𝑑𝑒𝑡 𝑐 0 𝑏 𝑏 𝑐 1 𝑏 = −𝑎 𝑏 − 𝑐 + 2𝑎𝑏𝑐 𝑎 余因子展開を行うと, 𝑑𝑒𝑡𝐴 = 𝑎(−1) 𝑎 = 𝑎𝑑𝑒𝑡 𝑏 𝑐 𝑏 𝑎 𝑏 𝑎 𝑏 𝑐 𝑎 𝑏 + 𝑏(−1) 𝑐 𝑏 𝑎 𝑏 𝑐 1 + 0(−1) 𝑑𝑒𝑡 𝑎 𝑏 𝑐 𝑏 𝑎 𝑏 𝑑𝑒𝑡 𝑏 𝑐 𝑏 𝑏 − 𝑏𝑑𝑒𝑡 𝑏 𝑎 𝑐 𝑐 𝑎 𝑏 𝑏 𝑐 1 𝑏 + 𝑐(−1) 𝑐 𝑏 𝑎 𝑑𝑒𝑡 𝑏 𝑎 1 𝑏 𝑏 + 𝑐𝑑𝑒𝑡 𝑎 𝑎 𝑐 𝑐 𝑏 𝑏 𝑏 𝑐 1 𝑐 𝑐 𝑏 𝑎 𝑑𝑒𝑡 𝑎 𝑏 1 𝑐 𝑎 = 𝑎(𝑎 + 2𝑏 𝑐 − 𝑎𝑐 − 2𝑎𝑏 ) − 𝑏(𝑎 𝑏 + 𝑏𝑐 + 𝑏 − 𝑎𝑐 − 𝑏 − 𝑎𝑏𝑐) + 𝑐(𝑎𝑏 + 𝑐 + 𝑎𝑏 − 𝑏𝑐 − 𝑏 𝑐 − 𝑎 𝑐) = 𝑎 + 2𝑎𝑏 𝑐 − 𝑎 𝑐 − 2𝑎 𝑏 − 𝑎 𝑏 − 𝑏 𝑐 − 𝑏 + 𝑎𝑏𝑐 + 𝑏 + 𝑎𝑏 𝑐 + 𝑎𝑏 𝑐 + 𝑐 + 𝑎𝑏𝑐 − 𝑏𝑐 − 𝑏 𝑐 − 𝑎 𝑐 = 𝑎 + 𝑏 + 𝑐 − 𝑏 4𝑎𝑏 𝑐 + 2𝑎𝑏𝑐 − 3𝑎 𝑏 − 2𝑏 𝑐 − 2𝑎 𝑐 − 𝑏𝑐 固有値計算具体例 𝐴= 4 1 の固有値・固有ベクトルを求める −3 8 固有値について𝜑( ) ∶= 𝑑𝑒𝑡 𝑥−4 1 = 𝑥 − 12𝑥 + 35 = (𝑥 − 5)(𝑥 − 7) −3 𝑥 − 8 よって, 固有値は 5 と 7 固有値 5 のとき固有ベクトルは𝐴 − 5𝐸 = x −1 1 𝑥 0 1 = ∴ −𝑥+𝑦=0 ∴ y =α 𝑦 −3 3 0 1 固有値 7 のとき固有ベクトルは𝐴 −3 1 𝑥 0 = ∴ −3𝑥 + 𝑦 = 0 −3 1 𝑦 0 7𝐸 = 𝑥 1 ∴ 𝑦 =𝛽 −3 ※固有ベクトルを出すときに引く行列は, 単位行列に固有値をかけたものであるとい うことを忘れないこと!