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(p11 内部的なスルーレート)00884B JP

注意 : この日本語版文書は参考資料としてご利用ください。最新情報は必ずオリジ
ナルの英語版をご参照願います。
AN884
オペアンプによる容量性負荷の駆動
Author:
Kumen Blake
Microchip Technology Inc.
はじめに
概要
オペアンプで大きな容量性負荷を駆動すると、好まし
くない結果が生じる可能性があります。本アプリケー
ション ノートでは、考えられるいくつかの問題点を取
り上げ、各問題点に対する簡単で実用的な解決策を提
示します。
本書では、回路の解説と数式を最小限にして、詳細な
説明よりもわかりやすさを重視しています。また、こ
のような方針を補助するために、オペアンプ挙動の簡
単なモデルを使います。回路設計を全般的な回路挙動
に結び付けるために、簡単な数式も使います。
オペアンプの簡略化 AC モデル
容量性負荷がオペアンプにおよぼす影響について理解
するには、オペアンプの出力インピーダンスと帯域幅
に着目する必要があります。フィードバック回路に
よってオペアンプの挙動が変化するため、等価回路モ
デルにはこの影響を含めます。
オペアンプモデル
図 1 に、電圧フィードバック オペアンプの簡略化した
AC モデルを示します。開ループゲインは、周波数に
よって変化するゲインAOL(s) (s = jω = j2πf)により表
現します。出力段は、抵抗 RO ( 開ループ出力抵抗 ) に
より表現します。
VINP
さらに、簡単な事例を使って、問題の概念をわかりや
すく説明します。これらは具体的な結果を提示し、理
論をよりよく理解するための助けとなります。また、
これらは実践的であるため、実用的な回路の設計に向
けて感覚を養う事ができます。
目的
本アプリケーション ノートでは、オペアンプを使って
容量性負荷を駆動する回路の設計について解説しま
す。読者には、回路解析に関する基本的な理解だけが
必要です。
本書は、オペアンプ回路における容量性負荷にまつわ
る問題を、素早く効果的に解決するための手助けとな
る事を目的としています。本書では、問題の発生原因
に関する基本的な理解と、それらの問題の解決方法に
焦点を合わせます。
線形応答
VE
RO
VEAOL(s)
VOUT
VINM
図 1:
オペアンプの AC モデル
この開ループゲイン (AOL(s)) モデルには、利得帯域幅
積 (fGBP) と開ループゲインの「第 2 極」(f2P) を含めま
す。単純化するために、低周波での挙動は考慮しませ
ん。f2P を含める事により、高周波で内部寄生容量に
起因して発生する開ループゲインの位相マージンの減
少 (< -90°) をモデル化します ( 詳細はセクション B.1
「f2P の推定」参照 )。
式 1:
ω GBP
A OL ( s ) ≈ --------------------------------s ( 1 + s ⁄ ω2 P )
容量性負荷はオペアンプの線形応答に影響します。こ
の影響により伝達関数が変化し、結果として AC 応答
とステップ応答に影響が表れます。負荷の容量がある
程度以上大きい場合、オペアンプ回路の動作を安定さ
せて、AC 応答のピーキングとステップ応答のオーバー
シュートおよびリンギングを防ぐために、回路の補償
が必要となります。
オペアンプの線形応答は、サンプリング コンデンサと
の相互作用を理解する上でも、非常に重要です。これ
らのサンプリング コンデンサは、オペアンプにとって
非線形なリアクタンス負荷となります。このようなサ
ンプリング コンデンサは、多くの A/D コンバータ ( 低
周波 SAR、Δ-Σ 等 ) で使われます。
© 2012 Microchip Technology Inc.
DS00884B_JP - p. 1
AN884
回路モデル
図 2 と図 3 に、それぞれ非反転増幅と反転増幅のオペ
アンプ回路を示します。これらの回路を使って大部分
のアプリケーションに対応できます。
MCP6XXX
VIN
VOUT
図 4 に、ZOUT の挙動を示します。低周波では、開ルー
プゲインが一定であるため、出力インピーダンスも一
定です。周波数が高くなるにつれて、開ループゲイン
は減少するため、ZOUT は増加します。周波数が f3dBA
を超えると、フィードバック ループが影響しなくなる
ため、ZOUT は RO で一定となります。GN = +1 での
ピーキングは、f2P による位相マージンの減少に起因
します。
RF
RG
図 2:
非反転増幅回路
MCP6XXX
VOUT
VIN
RG
図 3:
RF
反転増幅回路
これらの回路は差動 DC ゲイン (K) と DC ノイズゲイ
ン (GN) を持ちます。GN は、フィードバック回路に
よって決まる入力ピンから出力までのゲインとして定
義できます。これは、オペアンプ回路の安定性の評価
にも役立ちます。これらのゲインは下式により表せま
す。
Output Impedance (:)
1000
MCP6271
100
10
1
GN = +1
GN = +10
GN = +100
0.1
0.01
0.001
0.1 1.E+
1 1.E+
10 1.E+
100 1.E+
1k 1.E+
10k 1.E+
100k 1.E+
1M 1.E+
10M
1.E01
00
01 Frequency
02
03 (Hz)
04
05
06
07
図 4: 周波数に対する閉ループ出力インピーダ
ンスの関係 (MCP6271)
図 5 に、この挙動を近似する簡略化した AC モデルを
示します。このモデルでは、増幅器を使って無負荷ゲ
インと帯域幅をモデル化し、インダクタと抵抗を使っ
て周波数に対する出力インピーダンスの挙動をモデル
化しています。
式 2:
MCP6XXX
K = 1 + R F ⁄ R G ; 非反転
K = –RF ⁄ RG ;
反転
GN = 1 + RF ⁄ RG
VIN
K
1+s/ω3dBA
LOUT
ZOUT
VOUT
ROUT
Note:
一部のアプリケーションでは、リアクタ
ンス素子 ( コンデンサ等 ) の影響により、
GN は一定ではありません。そのような場
合、よ り高 度 な設 計 手 法や シ ミュ レ ー
ションが必要となります。
オペアンプのフィードバック ループ (RF と RG) によ
り、開ループ挙動とは異なる閉ループ挙動が生じます。
利得帯域幅積 (fGBP) と開ループ出力インピーダンス
(RO) は、GN によって、閉ループ帯域幅 (f3dBA) と出力
インピーダンス (ZOUT) に変わります。図 1、図 2、
図 3 の回路を解析する事により、下式が得られます。
式 3:
図 5:
オペアンプの簡略化 AC モデル
f2P の位相シフト効果により、ROUT は RO よりも大き
くなります。これは特にゲイン (GN) が低い時に顕著
となります。LOUT と ROUT は下式により求まります。
式 4:
L OUT = R O ⁄ ( 2π f 3 dBA )
RO
R OUT ≈ -------------------------------------------------------------------max ( 1 – f 3 dBA ⁄ f 2 P , 1/2 )
f 3 dBA ≈ f GBP ⁄ G N
RO
Z OUT = -------------------------------------1 + A OL ( s ) ⁄ G N
DS00884B_JP - p. 2
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AN884
未補償の AC 挙動
以下では、容量性負荷がオペアンプ増幅回路に与える
影響について説明します。これらの結果は、回路の補
償が必要かどうかの判断材料として役立ちます。
原理
図 6 に、未補償の容量性負荷を持つ非反転増幅回路を
示します。この回路は簡単に反転増幅回路に変更でき
ます。容量性負荷が小さくてノイズゲインが高い ( 一
般的に CL/GN < 100 pF) 場合、この回路は良好に動作
します。
ここで、補遺 A: 「2 次システム応答モデル」に記載し
た式を使って、総帯域幅 (f3dB)、周波数応答のピーキ
ング (HPK/GN)、ステップ応答 のオーバー シュート
(xmax) を推定できます。f3dB は、オペアンプの無負荷
(-3dB) 帯域幅 (f3dBA) とは異なる事に注意してくださ
い。
MCP6271 の使用例
上記の式を使って求めたマイクロチップ社製
MCP6271 オペアンプの特性曲線を図 7 と図 8 に示し
ます。パラメータには表 B-1: 「代表的マイクロチップ
社製オペアンプのパラメータ推定値」からの値を使っ
ています。
MCP6XXX
VIN
20
VOUT
15
CL
図 6:
CL = 10 nF
CL = 1 nF
CL = 100 pF
10
RF
未補償の容量性負荷
フィードバック回路 (RF と RG) も、オペアンプ出力に
対する負荷となります。この負荷 (RFL) は、ゲインが
反転か非反転かで下記のように異なります。
0
-5
-10
-15
-20
10k
1.E+04
式 5:
R FL = R F + R G ; 非反転ゲイン
R FL = R F ;
反転ゲイン
CL = 10 pF
5
Gain (dB)
RG
MCP6271
GN = +1
図 7:
100k
1.E+05
MCP6271
GN = +10
CL = 100 nF
CL = 10 nF
CL = 1 nF
CL = 100 pF
35
Gain (dB)
30
25
20
15
10
5
簡略化した伝達関数を下式に示します。
0
10k
1.E+04
式 6:
2
V OUT
⎛
s + -----s -⎞
------------- ≈ K ⁄ ⎜ 1 + -------------⎟
V IN
ωP QP ω2 ⎠
⎝
P
GN = 1 + RF ⁄ RG
K = GN ;
非反転
K = 1 – G N ; 反転
ω P = 2π f P = 1 ⁄ L OUT C L
100M
1.E+08
MCP6271 の AC 応答の推定 (GN = +1)
40
図 6 のオペアンプを図 5 の簡略化 AC モデルに置き換
えると、LOUT と CL によって LC 共振回路が形成され
ます。CL が十分に大きい場合、ROUT||RFL による LC
共振のダンピング効果が弱まるため、ピーキングとス
テップ応答のオーバーシュートが発生します。これは、
f2P と CL の両方の影響によって、フィードバック ルー
プの位相マージンが減少するためです。
1M
10M
1.E+06
1.E+07
Frequency (Hz)
図 8:
100k
1.E+05
1M
10M
1.E+06
1.E+07
Frequency (Hz)
100M
1.E+08
MCP6271 の AC 応答の推定 (GN = +10)
最良の総合性能を達成するには、ピーキング (HPK/GN)
を 0 dB 近くまで抑える必要があります。一般的に、
ピーキングを 3 dB よりも低く維持できれば、オペア
ンプ、抵抗、コンデンサの温度および製造ばらつきに
よる特性の変動に対して十分な設計余裕が得られま
す。ただし性能は、0 dB 近くまで抑えた場合よりも劣
ります。
Q P = ( R OUT R FL ) ⋅ C L ⁄ L OUT
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DS00884B_JP - p. 3
AN884
この例に関して、前述の式を使って推定した結果を
表 1 に示します。CL の増加およびゲインの減少によっ
てピーキングが高くなる事がわかります。
式 7:
表 1: 応答の推定
回路
2
V OUT
⎛
s + -----s -⎞
------------- ≈ K ⁄ ⎜ 1 + -------------⎟
V IN
ωP QP ω2 ⎠
⎝
応答
GN
(V/V)
CL
(F)
fP
(Hz)
QP
()
f3dB
(Hz)
HPK/K
(dB)
xmax
(%)
1.0
10p
9.3M
0.23
2.3M
0.0
0
100p
2.9M
0.73
3.1M
0.0
5
1n
0.93M
2.3
1.4M
7.5
50
10n
0.29M
7.3
0.46M
17.3
81
100p
930k
0.22
211k
0.0
0
1n
294k
0.69
285k
0.0
4
10n
93k
2.2
139k
7.0
48
100n
29k
6.9
46k
16.7
80
10.0
この回路の伝達関数は、下式のように RISO を含みま
す。
直列抵抗を使った補償
この補償では、共振ピーキングを低減するために、直
列抵抗 (RISO) を挿入します。負荷抵抗が存在しない場
合、この直列抵抗は余分な DC 電流を引き込まず、DC
ゲインの精度に影響しません。この補償方法では、抵
抗 1 個分のコスト増となります。
原理
図 9 の直列抵抗 RISO は、オペアンプの出力側で共振
回路を形成し、周波数応答ピーキングを低減します。
これは反転増幅回路でも同様です。
MCP6XXX
VIN
RISO
VOUT
P
GN = 1 + RF ⁄ RG
非反転
K = GN ;
K = 1 – G N ; 反転
⎛
⎞
R
R OUT R FL⎠
ISO
ω P = 2π f P = 1 ⁄ L OUT C L ⎜ 1 + ---------------------------⎟
⎝
QP
⎛ ⎛ L OUT
⎞⎞
= 1 ⁄ ⎜ ω P ⎜ --------------------------- + R ISO C L⎟ ⎟
⎝ ⎝ R OUT R FL
⎠⎠
次に、妥当な RISO の値を求める事ができます。
QP = 1/√2 の場合、応答の帯域幅はピーキングを生じ
ずに最高となり、式は下記のように最も単純な形態と
なります。
式 8:
R ISO = 0 ,
CL ≤ CX
2 CX C
R ISO = ( R OUT R FL ) ⋅ ---------- ⋅ ------L- – 1 ,
CL
CX
CL > CX
Q P = 1 ⁄ 2 ≈ 0.707
L OUT
C X = -------------------------------------2
2 ( R OUT R FL )
CL
RG
図 9:
RF
直列抵抗で補償した容量性負荷
DS00884B_JP - p. 4
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AN884
MCP6271 の使用例
表 2: 応答の推定 (NOTE 1)
これらの式を使って、図 9 の回路で MCP6271 の補償
済み特性を計算しました。結果を図 10 と図 11 に示し
ます。未補償の図 7 および図 8 と比較してください。
20
15
GN
(V/V)
CL
(F)
1.0
MCP6271
GN = +1
CL = 10 nF
RISO = 76.8:
10
Gain (dB)
回路
CL = 1 nF
RISO = 232:
CL = 100 pF
RISO = 187:
5
0
10.0
CL = 10 pF
RISO = 0:
-5
-10
-15
-20
10k
1.E+04
1M
10M
1.E+06
1.E+07
Frequency (Hz)
100M
1.E+08
Gain (dB)
CL = 10 nF
RISO = 76.8:
25
Estimated RISO (:)
MCP6271
GN = +10
30
CL = 10 nF
RISO = 226:
CL = 1 nF
RISO = 0:
20
15
CL = 100 pF
RISO = 0:
10
QP
()
f3dB
(Hz)
xmax
(%)
10p
0
9.3M
0.23
9.3M
0
100p
187
2.4M
0.71
1.4M
4
1n
232
0.74M
0.71
0.74M
4
10n
76.8
0.27M
0.71
0.27M
4
100p
0
930k
0.22
211k
0
1n
0
294k
0.69
285k
4
10n
226
73k
0.71
73k
4
100n
76.8
27k
0.71
27k
4
100k
1.E+05
1M
10M
1.E+06
1.E+07
Frequency (Hz)
MCP6271
100
100
GN = +1
GN t +2
10
10
10p
1.E-11
5
0
10k
1.E+04
fP
(Hz)
図 12 に、MCP6271 向けの RISO の推定値を示します
( 式 8 参照 )。解釈しやすくするために、X 軸の負荷容
量は正規化しています (CL/GN)。
1,000
1k
35
RISO
(Ω)
Note1: これらの補償済み結果の全てで HPK/K = 0 dB です。
100k
1.E+05
図 10: MCP6271 の補償済み AC 応答の推定
(GN = +1)
40
応答
100M
1.E+08
100p
1n
10n
100n
1.E-10
1.E-09
1.E-08
1.E-07
Normalized Load Capacitance; C L/GN (F)
図 12: MCP6271 の RISO の推定
図 11: MCP6271 の補償済み AC 応答の推定
(GN = +10)
前述の式を使って推定した補償済みの結果を表 2 に示
します。RISO を追加する事により、ゲインのピーキン
グが抑えられています。これらの結果は、未補償の結
果 ( 表 1) から大幅に改善されたと言えます。
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DS00884B_JP - p. 5
AN884
シャント抵抗を使った補償
この補償では、応答ピーキングを低減するために、シャ
ント抵抗 (RSH) を出力側に追加します。直列にコンデ
ンサ (CSH) を接続する事により、RSH への余分な DC
電流引き込みを防げます ( この電流は DC ゲインの精
度を低下させます )。この補償では、抵抗 1 個とコン
デンサ 1 個分のコスト増となります ( ただしコンデン
サは必須ではありません )。RSH と CSH は 1 つの R-C
スナバ回路とみなす事ができます。
設計を簡略化するために、CSH の値は、共振回路との
相互作用が最小限になるように、下記のように計算し
ます。
式 11:
C SH = open
10
C SH ≥ ----------------- ,
ω P R SH
R SH = open
R SH < ∞
原理
MCP6271 の使用例
図 9 のシャント抵抗 RSH は、オペアンプの出力側で共
振回路を形成し、周波数応答のピーキングを低減しま
す。CSH は DC をブロックし、この補償方法の欠点を
補います。これは反転増幅回路でも同様です。
これらの式を使って、図 13 の回路で MCP6271 の補
償済み特性を計算しました。結果を図 14 と図 15 に示
します。未補償の図 7 および図 8 と比較してください。
便宜上、図には CSH を表示していません。
20
MCP6XXX
VIN
15
VOUT
RF
RG
CSH
CL = 10 nF
RSH = 42.2:
10
Gain (dB)
RSH CL
MCP6271
GN = +1
CL = 1 nF
RSH = 174:
CL = 100 pF
RSH = 12.7 k:
5
0
CL = 10 pF
RSH = open
-5
-10
図 13: シャント抵抗で補償した容量性負荷
-15
RSH だけを含む伝達関数 (CSH は短絡 ) は下式となり
ます。
-20
10k
1.E+04
式 9:
2⎞
V OUT
⎛
s + -----s------------- ≈ K ⁄ ⎜ 1 + -------------⎟
2
V IN
ω
Q
⎝
P P
ω ⎠
40
35
short
1 + RF ⁄ RG
非反転
GN ;
1 – G N ; 反転
ω P = 2π f P = 1 ⁄ L OUT C L
Q P = ( R OUT R FL R SH ) ⋅ C L ⁄ L OUT
QP = 1/√2 とする事により、下式を使って妥当な RSH
の値が求まります。
式 10:
G XX =
100M
1.E+08
MCP6271
GN = +10
30
Gain (dB)
=
=
=
=
1M
10M
1.E+06
1.E+07
Frequency (Hz)
図 14: MCP6271 の補償済み AC 応答の推定
(GN = +1)
P
C SH
GN
K
K
100k
1.E+05
CL = 10 nF
RSH = 43.2:
25
CL = 10 nF
RSH = 182:
CL = 1 nF
RSH = open
20
15
CL = 100 pF
RSH = open
10
5
0
10k
1.E+04
100k
1.E+05
1M
10M
1.E+06
1.E+07
Frequency (Hz)
100M
1.E+08
図 15: MCP6271 の補償済み AC 応答の推定
(GN = +10)
2C L
11 – ------------------- – ------------L OUT R OUT R FL
R SH = open ,
G XX ≤ 0
R SH = 1 ⁄ G XX ,
G XX > 0
C SH = short
Q P = 1 ⁄ 2 ≈ 0.707
DS00884B_JP - p. 6
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AN884
前述の式を使って推定した結果を表 3 に示します。こ
の表には、各設計条件における CSH の値も記載してい
ます。この結果から、RSH によってゲインのピーキン
グが抑えられた事がわかります。これらの結果は、未
補償の結果 ( 表 1) から大幅に改善されたと言えます。
表 3: 応答の推定 (NOTE 1)
回路
GN
(V/V)
CL
(F)
1.0
応答
RSH
(Ω)
CSH
(F)
fP
(Hz)
QP
()
f3dB
(Hz)
xmax
(%)
10p
open
open
9.3M
0.23
9.3M
0
100p
12.7k
47p
2.9M
0.71
2.9M
4
1n
174
10n
0.93M 0.71 0.93M
4
10n
42.2
120n
0.29M 0.71 0.29M
4
10.0 100p
open
open
930k
0.22
211k
0
1n
open
open
294k
0.69
285k
4
10n
182
100n
93k
0.71
93k
4
100n
43.2
1.2µ
29k
0.71
29k
4
Note1: これらの補償済みの結果の全てで HPK/K = 0 dB です。
式 10 を使って推定した MCP6271 向けの RSH と CSH
の値を図 16 に示します。このグラフでは、負荷容量
とシャント容量を正規化しています(CL/GN、CSN/GN)。
Estimated RSH (:)
10,000
10k
1,000
1k
MCP6271
1.E-06
1µ
RSH:
GN = +1
GN t +2
100
100
10
10
1.E-05
10µ
CSH/GN:
GN = +1
GN t +2
Estimated CSH/GN (F)
100,000
100k
マイクロチップ社の SAR および Δ-Σ A/D コンバータ
(ADC) は、入力側でサンプリング コンデンサを使いま
す。入力信号が DC に近付くと、これらのスイッチト
キャパシタは他の内部コンデンサと相互に作用し、そ
れらのコンデンサが大きな抵抗であるかのような挙動
を示します。周波数が高い場合、それらの挙動はさら
に複雑化します。
ADC の入力インピーダンスは、回路内の他の部品と同
様に非線形であり、非常に高い周波数までフーリエ成
分を持ちます。
以下では、この現象を解析するための各種方法を紹介
します。また、簡単な解決策も提示します。
不適正な DC 挙動の解析
通常、A/D コンバータ入力は、入力抵抗として表現
( モデル化 ) されます。スイッチトキャパシタは、抵抗
とは異なり、入力における低周波 (DC) インピーダン
スには応答せず、高周波インピーダンスに応答します。
Note:
スイッチトキャパシタは、それらを駆動す
る回路に対して DC 抵抗とはなりません。
オペアンプ回路でサンプリング コンデンサ入力を備
えた ADC を駆動する場合、予期した通りに動作しな
い事があります。たとえ「DC」アプリケーションで
あっても、オペアンプの低周波での挙動によって回路
の挙動が決まるわけではありません。
100n
1.E-07
例
10n
1.E-08
ここでは、不適切な回路の典型的な解析事例について
説明します。図 17 のように、MCP6031 オペアンプを
使ってユニティゲインでMCP3421Δ-ΣADCを駆動し
ます。MCP3421 は、3.75 SPS (18 ビット ) ~ 240 SPS
(12 ビット ) (typical) のデータレートを持ち、DC で動
作するように見えます。この理由から、MCP6031 は
ドライバとして適切な選択と思われます。このオペア
ンプは低無負荷時電流 : IQ = 0.9 µA、低オフセット電
圧 : VOS ≤ ±150 µV、低 DC 出力抵抗 ( 表 B-1 参照 ) と
いった特性を備えています。
1n
1.E-09
100p
11
1.E-10
10p
100p
1n
10n
100n
1.E-11
1.E-10
1.E-09
1.E-08
1.E-07
Normalized Load Capacitance; C L/GN (F)
図 16: MCP6271 の RSH の推定
A/D コンバータの駆動
式 12:
R ODC = G N ( R O ⁄ A OL ) = 0.13Ω
ZIND
2.25MΩ
MCP6031
VIN
RODC
0.13Ω
MCP3421
Δ−Σ
図 17: MCP3421 の駆動 ; 不適切な相互作用の
モデル
このモデルでは、RODC と ZIND 間の相互作用によって
ゲインエラーが約 -0.06 ppm しか生じないかのように
見えます。しかし、実際の回路の挙動は、この簡略化
したモデルとは大きく異なります。
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AN884
AC 解析
オペアンプと ADC 間の相互作用を表現可能な最も単
純なモデルでは、オペアンプのゲイン、ADC サンプリ
ング レートにおける 閉ループ出力インピーダンス、
ADC 等価入力抵抗を使います。解析を簡略化するため
に、その他の高調波成分は無視します。
例 -1
MCP3421 の入力サンプリング コンデンサのスイッチ
ングはデータレートよりも大幅に高速です ( オーバー
サンプリング比による )。18 ビットモードのサンプリ
ング レート(fSMP)は約16 kSPSです。これはMCP6031
の帯域幅 (10 kHz) を超えています。この特定の回路で
は、MCP6031 の開ループ出力抵抗 (RO) を使って DC
ゲイン精度を推定できます。ZO は fSMP 以上の周波数
で一定です。ZO が一定であるため、より複雑な解析は
不要です。図 18 に、オペアンプと ADC 間の相互作用
を表現可能なモデルを示します。
ZIND
2.25MΩ
MCP6031
VIN
ZOUT=RO
72.8kΩ
f≥fSMP
図 18: MCP3421 の駆動 ; 改良した相互作用モ
デル
このモデルの DC ゲインエラーは約 -3% となります。
これは MCP3421 の最大仕様 INL の約 900 倍にもなる
ため、このように大きなゲインエラーを許容する事は
できません。ベンチ試験でも、この結果に近いゲイン
エラー (-5%) を計測しました。
例 2 - オペアンプの高速化
より高速なオペアンプを使うと、2 つの利点が得られ
ます。まず、開ループ出力抵抗が小さくなり、利得帯
域幅積が向上するため、等価出力インダクタンスが小
さくなります。また、オペアンプが十分に高速である
ために ADC サンプリング レートにおいて誘導的であ
る場合、オペアンプのエラーへの寄与が大幅に減少し
ます。
Note:
VIN
オペアンプを高速化すると、既に述べた
問題の多くを解消できます。
オペアンプを MCP606 に交換すると、下記の特性が得
られます ( 図 19 と表 B-1 参照 )。
MCP3421
Δ−Σ
ZOUT
≈(217Ω)∠(87.7°)
図 19: MCP3421 の駆動 ; 高速なオペアンプの
使用
この回路の AC 解析は簡単です。MCP3421 のサンプ
リングレート (fSMP = 16 kSPS) における MCP606 の
出力インピーダンスは、下記のように概算できます。
式 13:
Z OUT = R OUT ( j 2π f SMP L OUT )
1
1 ⎞
+ -------------------Z OUT = 1 ⁄ ⎛⎝ -------------------------( 5.46 k Ω ) j ( 217Ω )⎠
Z OUT = ( 217Ω ) ∠87.7°
MCP3421
Δ−Σ
ZIND
2.25 MΩ
MCP606
ゲインエラーは、複素インピーダンスの比によって大
まかに概算できます。位相差がほぼ 90° である事によ
り、エラーが大幅に減少します。
式 14:
Z IND
( 2.25 M Ω )
-------------------------------- = ------------------------------------------------------------------------------------Z IND + Z OUT
( 2.25 M Ω ) + ( 8.7 Ω ) + j ( 217 Ω )
Z IND
-------------------------------- = ( 1 – 3.9 ppm ) ∠– 0.0055 °
Z IND + Z OUT
DC ゲインエラーと位相シフト ( 時間遅延 ) は、どちら
も無視可能です。MCP606 を使う事により、このよう
な改善を得る事ができますが、VOS = ±250 µV ( 前ペー
ジでは ±150 µV)、IQ = 18.7 µA ( 前ページでは 0.9 µA)
になります。
ステップ応答解析
この回路のステップ応答解析は、AC 解析よりも高精
度で有益です。この回路のスイッチング時の挙動を調
べるために、ステップ関数を入力し、出力が目標精度
で安定するまでの挙動を観察します。正確な ADC 結
果を得るには、セトリングタイムが十分に短い事が必
要です。
RO = 4.20 kΩ
fGBP = 155 kHz
f2P = 673 kHz
GN = K = 1 V/V
f3dBA ≈ 155 kHz
LOUT ≈ 4.31 mH
ROUT ≈ 5.46 kΩ
DS00884B_JP - p. 8
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例 -1
例-2
図 20 に、MCP6031 オペアンプを使った回路の時間領
域解析用のモデルを示します。
図 21 に、MCP606 を使った回路の時間領域解析用の
モデルを示します。
MCP6031
VIN
MCP606
LOUT
1.16H
K
1+s/ω3dBA
ROUT
80.7kΩ
MCP3421
Δ−Σ
VIN
LOUT
4.31mH
K
1+s/ω3dBA
MCP3421
Δ−Σ
ROUT
5.46kΩ
ZIND = ADC の差動入力インピーダンス
≈ 28 pF、fSMP ≈ 16 kSPS でスイッチング
ZIND = ADC の作動入力インピーダンス
≈ 28 pF、fSMP ≈ 16kSPS でスイッチング
図 20: 時間領域解析用のオペアンプおよび ADC
のモデル
図 21: 時間領域解析用のオペアンプおよび ADC
のモデル
ここでは 28 pF の負荷容量を使って、ステップ応答の
セトリングタイムを下記のように推定します ( 式 9、
式 A-5、式 A-15 参照 )。
ここでは 28 pF の負荷容量を使って、ステップ応答の
セトリングタイムを下記のように推定します ( 式 9、
式 A-5、式 A-15 参照 )。
CL ≈ 1 / (fSMPZIND)
≈ 28 pF
fP ≈ 27.9 kHz
CL ≈ 1 / (fSMPZIND)
≈ 28 pF
fP ≈ 458 kHz
QP ≈ 0.396
QP ≈ 0.440
f3dB ≈ 13.0 kHz
f3dB ≈ 246 kHz
tset ≈ 30 µs,
xset = 10%
tset ≈ 3.0 µs,
xset = 10%
tset ≈ 56 µs,
xset = 1%
tset ≈ 5.5 µs,
xset = 1%
tset ≈ 83 µs,
xset = 0.1%
tset ≈ 8.0 µs,
xset = 0.1%
tset ≈ 110 µs,
xset = 0.01%
tset ≈ 10.5 µs,
xset = 0.01%
fSMP は約 16 kSPS であるため、サンプリング期間
(TSMP) は約 62.5 µs です。xset が 1 桁減少するごとに、
tset が 27 µs ずつ増加する事に注意してください。こ
れに従い、5% のエラーは下記の条件で発生します。
tset ≈ 38 µs,
xset
= 5%
この事から、前述のベンチ結果の計測では、ADC のセ
トリングに約 61% の TSMP が使われたと推測できま
す。補償しない場合、MCP6031 オペアンプはこのア
プリケーションには低速すぎます。
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例 -1 から、tset が約 38 µs である事がわかっています。
xset が 1 桁減少するごとに、tset は 2.5 µs ずつ増加し
ます。これに従うと、38 µs における xset は、0.01%
よりも約 11 桁小さくなるため、セトリングエラーは
無視可能です。極の尖鋭度 (QP) が低い事も有利に働き
ます。MCP606 は、一切の補償を必要とせずに、この
アプリケーションに良好に適合します。
DS00884B_JP - p. 9
AN884
R-C スナバを使った改良型回路
この方法は、RSH と CSH によるスナバを使って、高周
波におけるオペアンプの出力インピーダンスを低減し
ます。これにより、ADC サンプリングレートにおける
抵抗ゲインエラーが減少します。このスナバは、フィー
ドバック安定性を維持するように設計でき、ADC サン
プリング レート ( およびその高調波周波数 ) における
出力抵抗を大幅に低減できます。この改良は低コスト
で実装でき、とりわけ、高消費電流のオペアンプを使
わなくて済みます。
例
式 8 を使って推定した MCP6271 向けの RISO と CL の
値を図 22 に示します。負荷容量は正規化しています
(CL/GN)。
VIN
1.00kΩ
ZIND
2.25MΩ MCP3421
RSH
1.00kΩ
CSH
2.2µF
Δ−Σ
RBAL
1.00kΩ
図 23: MCP3421 の駆動 : R-C スナバを使用
次に、負荷容量が 28 pF の場合のステップ応答のセト
リングタイムについて検討します (CSH は短絡 ) ( 式 9、
式 A-5、式 A-16) 参照。
CL = 2.2 µF
fP ≈ 99.6 Hz
QP ≈ 1.36
100,000
100k
Estimated RISO (:)
MCP6031
MCP6031
10k
10,000
GN = +1
GN t +2
1k
1,000
10p
100p
1n
10n
100n
1µ
1.E-11 1.E-10 1.E-09 1.E-08 1.E-07 1.E-06
Normalized Load Capacitance; C L/GN (F)
図 22: MCP6031 の RISO の推定
図 23 では、ADC による容量性負荷は小さい (28 pF)
ため、この負荷に対してオペアンプを安定化する必要
はありません。それでもこの回路は、スナバ (RSH と
CSH) を使ってスイッチング周波数における出力抵抗
を低減し、結果としてステップ応答を改善します ( 共
振回路の Q を低減します )。図 22 を参考にして、オペ
アンプを安定に維持可能な RSH と CSH の値を選択で
きます (CSH は容量性負荷として作用します )。下記の
ように、まず妥当な RSH の値を選択します。
f3dB ≈ 140 Hz
tset ≈ 10 µs,
xset = 10%
tset ≈ 20 µs,
xset = 1%
tset ≈ 30 µs,
xset = 0.1%
tset ≈ 40 µs,
xset = 0.01%
ADC サンプリング レートに比べてアンプが大幅に低
速であり、スナバはサンプリング レートにおいて固定
抵抗とみなす事ができるため、アンプの出力インピー
ダンスが性能に対する支配的要因となります。DC エ
ラーは、予期した通り約 -0.044% になるはずです。
極が 2 つあるため、16 kHz における一切のクロストー
クは 88 dB で除去されます。
MCP3421 をこれよりも低精度の条件 ( 低サンプリン
グレート / 高データレート ) で動作させる場合、CSH
を大きくする必要があります。詳細は、補遺 C:
「MCP3421 のサンプリングレート」を参照してくださ
い。
• RSH (RISO) には、抵抗ゲインエラーを約 -0.044%
に低減するために、1 kΩ を選択します。
• CSH (CL) には、図 22 で上記の抵抗に対応する最大
の容量 (2.2 µF) を選択します。
RSH と CSH によって決まる極周波数 (72 Hz) は、ADC
サンプリング レート (16 kSPS) よりも大幅に低くなり
ます。従って、サンプリング レート ( およびその高調
波)におけるADC入力でのインピーダンスは一定です。
図 23 の回路では、サンプリング周波数において ADC
入力で のイン ピーダン スを平 衡させる ための 抵抗
(RBAL) を使っていますが、使わなくて済む場合もあり
ます。
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非線形応答
オペアンプが供給可能な出力電流よりも容量性負荷が
要求する電流の方が大きい場合、応答は非線形となり
ます。この非線形性により、出力電圧スルーレート
( データシートに記載されているオペアンプ内部のス
ルーレートではない ) が制限されます。
1 つの対策として、CL よりも前で、信号にローパス
フィルタを適用する方法があります ( 図 25 参照 )。入
力側のフィルタ (LPF) の帯域幅 (BW) は、下記の条件
を満たす必要があります。
式 18:
min ( SRCL, SR )
BW < -------------------------------------2π V M
スルーレートを制限する物理的要因
オペアンプからの出力電流 (IOUT) は、容量性負荷 (CL)
に流れます ( 図 24 参照 )。IOUT は、オペアンプの出力
短絡電流 (ISC) を超える事はできず、また CL の電圧
(VOUT) の変化率は IOUT に比例するため、VOUT のス
ルーレートは一定レベル (SRCL) 以下に制限されます。
SRCL は、オペアンプの内部的なスルーレート (SR) と
は物理的に無関係であり、回路の挙動は、どちらか低
い方のスルーレートにより制限されます。
MCP6XXX
VIN
MCP6XXX
VIN
LPF
IOUT
VOUT
CL
RG
RF
図 25: SRCL による制限を回避するためのロー
パスフィルタ
IOUT
VOUT
図 24: IOUT、CL、VOUT
別の対策として、図 26 に示すように、RISO を追加す
る方法もあります。これは、IOUT を制限するとともに、
出力にローパスフィルタを追加する効果も持ちます。
最大電流は VOUT(t) = 0 で発生し、この時の RISO の両
端電圧は VM です。従って、下記の条件満たす必要が
あります。
SRCL ( 単位 : V/s) は下式により求まります。
式 19:
CL
RG
RF
式 15:
R ISO > V M ⁄ I SC
dVOUT ( t )
I OUT ( t )
------------------------ = -----------------dt
CL
dV OUT ( t )
I SC
SR CL = max ⎛⎝ ------------------------⎞⎠ = ------dt
CL
MCP6XXX
VIN
RISO
IOUT
VOUT
CL
スルーレートと正弦波
RG
RF
SRCL または SR よりも高いエッジレートを持つ正弦
波では、信号歪みが生じます。最大エッジレートは下
式により求まります。
図 26: 分離するための抵抗 (RISO) による出力電
流 (IOUT) と帯域幅 (BW) の制限
式 16:
この回路は、VOUT における信号帯域幅を下記のよう
に低減します。
dV OUT ( t )
max ⎛ ------------------------⎞ = 2π fV M
⎝
⎠
dt
V OUT ( t ) = V M sin ( 2π ft )
回路設計
スルーレート制限を避けるには、下記の条件が必要で
す。
式 17:
2π fV M < min ( SRCL, SR )
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式 20:
I SC
SR CL
1
BW = -------------------------- < --------------------- = ------------2π R ISO C L 2π V M C L
2π V M
この方法でも、式 18 と同等の結果が得られますが、オ
ペアンプの内部 SR による制限を回避する事はできま
せん。これを回避するには、オペアンプよりも前の回
路で対策する必要があります。
信号のスルーレートが SR または SRCL を超えない限
り、これらの設計式と補遺 A: 「2 次システム応答モデ
ル」に記載した式を使って、回路の性能を推定できま
す。
DS00884B_JP - p. 11
AN884
例
例
ここでは、MCP6271 を G = +1 V/V、CL = 1.0 µF の条
件 で 使 い ま す。表 B-1 に 基 づ き、SR = 0.9 V/µs、
ISC = 25 mA であるため下記が求まります。
ここでは、MCP6271 を G = +1 V/V、CL = 100 nF の
条件で使います。表 B-1 から SR = 0.9 V/µs、
ISC = 25 mA であるため、下記が求まります。
SRCL = 0.028 V/µs
SRCL = 0.25 V/µs
これは SR よりも大幅に低い値です。最大ピーク電圧
が 2.5VPK の場合、入力信号の帯域幅は 1.8 kHz より
も低い事が必要です。
これは SR よりも極端に低い値です。最大電圧振幅が
5.0 VPP の場合、入力信号の立ち上がり時間は 16 μs よ
りも大きい事が必要です。
RISO を使って出力電流を制限する場合、100 Ω よりも
大きな抵抗値が必要です。RISO = 130 Ω とした場合、
下記の値が得られます。
オペアンプ入力側の矩形波のフィルタ処理の帯域幅は
22 kHz よりも下げる必要があります。
QP =
0.046
f3dB = 1.2 kHz
RISO を応答ピーキング除去用に使う場合(QP = 1/√2に
対して 7.6 Ω)、より広い帯域幅 (29 kHz) を達成します
が、出力電流制限と過大な信号歪みを避けるために、
VM を 0.15 VPK よりも低く維持する必要があります。
スルーレートと矩形波
急峻なエッジを持つ矩形波も、容量性負荷で問題を生
じます。矩形波 (10 ~ 90% 立ち上がり時間 tr、ピーク
ツーピーク電圧 VPP) の最大エッジレートは、下式に
より概算できます。
式 21:
0.8 V PP
dV OUT ( t )
max ⎛⎝ ------------------------⎞⎠ ≈ ------------------dt
tr
回路設計
立ち上がり時間がスルーレートによって制限される事
を防ぐには、下記の条件を満たすように矩形波のエッ
ジレートを下げる (VPP を小さくする、tr を大きくする )
必要があります。
RISO を使って出力電流を制限(最大電圧振幅: 5.0 VPP、
入力立ち上がり時間 : 10 µs) する場合、RISO を 75Ω よ
りも大きくする必要があります。RISO = 100 Ω とした
場合、下記の値が得られます。
QP =
f3dB =
RISO を応答ピークの除去用に使う場合 (QP = 1/√2 に
対して 24.0 Ω)、より広い微小信号帯域幅 (92 kHz) を
達成しますが、出力電流制限を回避するともに立ち上
がり / 立ち下がり時間を低減するために、VPP を
3.7 VPP よりも低く維持する必要があります。
電力損失
リアクタンス要素 ( 理想的なコンデンサとインダクタ )
は電力損失を生じません。しかし、リアクタンス負荷
を駆動するオペアンプは電力を消費します ( 出力段の
負荷電流は出力トランジスタにより整流されます )。
図 27 に、以降の説明に使う回路を示します。CL は DC
成分を通さないため、DC 負荷電流は生じません。低
い周波数では、IQ ( オペアンプの無負荷時電流 ) と CL
の影響が支配的となります。高い周波数では、RISO の
影響が支配的となります。
式 22:
0.8 V PP
------------------- < min ( SR CL, SR )
tr
MCP6XXX
VIN
エッジレートは、出力側で RISO を使って制限できます
( 図 26 参照 )。立ち上がり時間だけにしか影響を受けな
いような理想的な出力波形が本来達したであろうレベ
IOUT < ISC
ルに出力が達した時、
IOUT は最大となります。
を維持するには、下記の条件を満たす必要があります。
式 23:
RISO
IOUT
VOUT
CL
入力側で矩形波にローパスフィルタ (BW = 0.35/tr) を
適用する事により、エッジレートを制限します ( 図 25
参照 )。
より低速の論理ゲートを使って tr を大きくする事もで
きます。
0.18
16 kHz
RG
RF
図 27: IOUT、CL、VOUT
周波数の低い正弦波の場合、オペアンプの平均電力損
失は下記のように計算できます。
式 24:
P OA ≈ ( V DD – V SS ) ( I Q + 2 V M fC L )
V OUT ( t ) = V M sin ( 2π ft )
V PP – ( t r ⁄ 0.8 )min ( SR CL, SR )
R ISO > ---------------------------------------------------------------------------I SC
RISO を使うと、エッジレートが低下するとともに波形
が変化します。
DS00884B_JP - p. 12
1
f « -------------------------2π R ISO C L
周波数が高くなるにつれて、負荷における CL の影響
が支配的となるため、電力損失が増加します。
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周波数がさらに高くなると、RISO が支配的となるた
め、オペアンプによる平均電力損失は下記のように一
定となります。
式 25:
2
VM ⎞ VM
P OA ≈ ( V DD – V SS ) ⎛ I Q + -------------- – ----------⎝
π R ISO⎠ R ISO
1
f » ------------------------2π R ISO C L
CL が支配的な領域と RISO が支配的な領域の中間の周
波数領域 (f ≈ 1/(2πRISOCL)) では、2 つの領域の計算結
果のうち小さい方の値を使って POA を推定します。実
際の POA は、この推定値より少し低くなります。
大きなコンデンサを高速に駆動する
容量性負荷が大きすぎてオペアンプでは高速に駆動で
きない場合、マイクロチップ社のパワー MOSFET ド
ライバ (www.microchip.com) の使用を検討してみる事
を推奨します。これらのドライバは容量性負荷向けに
設計されており、非常に優れた帯域幅、立ち上がり時
間、スルーレートを備えます。
回路の検証
設計した回路の性能は、SPICE シミュレーションと、
ブレッドボードによるベンチ試験により検証する事を
推奨します。異常なイベントや条件を防ぐために、一
般的慣例に従って設計してください。
マイクロチップ社製オペアンプのSPICEマクロモデル
は、弊社ウェブサイト (www.microchip.com) から入手
できます。
その他
本書における内容の簡略化
本アプリケーション ノートでは、検討結果を容易に理
解して実際のアプリケーションに適用できるようにす
るために、内容を下記のように簡略化しています。
• モデル ( および式 ) を簡略化しています。
- 実際の回路では、より高次 ( 例えば 4 次 ) のシス
テム応答が生じ、伝達ゼロ点を含む可能性があり
ます。
- 部品のばらつき ( 製造過程、温度、動作電圧によ
るばらつき、経時変化 ) を考慮していません。
• 表 B-1 はあくまでも参考データです。
• 最も一般的な問題と解決策だけを記載しています。
複数負荷の駆動
オペアンプを使って複数の負荷を駆動する場合があり
ます。各負荷には、下記を含む大きな寄生容量が存在
する可能性があります。
•
•
•
•
プリント基板トレースの静電容量
配線または同軸ケーブルの静電容量
RFI (EMC) 抑制用コンデンサ
負荷の入力静電容量
負荷点が複数あるため、これらの寄生容量が非常に大
きく影響する可能性があります。プリント基板上のオ
ペアンプ出力に、RISO を ( たとえそれが必要なさそう
に思えても ) 追加しておく事を推奨します。この場合、
回路を実用条件で試験するまで、RISO には非常に低い
抵抗を取り付けておきます。
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AN884
まとめ
オペアンプが大きな容量性負荷を駆動する場合、ピー
キングまたは発振、帯域幅の減少、出力スルーレート
の低下、消費電力の増加等を生じやすくなります。ス
イッチトキャパシタは、スイッチング周波数において、
オペアンプの出力インピーダンスと相互に作用し、DC
ゲインエラー等の問題を引き起こします。これらの問
題は「DC」アプリケーションでも発生します。出力電
圧の変化率は、出力短絡電流により制限されます。
1 個の抵抗と、必要に応じて 1 個のコンデンサを回路
に追加する事により、性能を大幅に改善できます。長
所 / 短所の異なる 2 種類の実装方式を紹介しました。
容量性負荷に対する影響を素早く評価できる簡略化し
た計算式も提示しました。
シミュレーション ツールとベンチ評価についても述
べました。さらに、要件の厳しい回路向けの代替部品
について説明しました。
参考資料
オペアンプ
[1] Bonnie Baker, “AN723 - Operational Amplifier AC
Specifications and Applications”, Microchip Technology
Inc., DS00723, 2000.
[2] Adel Sedra and Kenneth Smith, “Microelectronic
Circuits”, 3rd ed., Saunders College Publishing, 1991,
Chapter 8.
[3] Paul R. Gray and Robert G. Meyer, “Analysis and
Design of Analog Integrated Circuits”, 2nd ed., John
Wiley & Sons, 1984.
2 次システム応答
[4] Charles Phillips and H. Troy Nagle, “Digital Control
System Analysis and Design”, 2nd ed., Prentice Hall,
1990, pp 192-3.
[5] Benjamin Kuo, “Automatic Control Systems”,
5th ed., Prentice Hall, 1987.
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AN884
補遺 A: 2 次システム応答モデル
本書では、ゼロ点を持たない 2 次の伝達関数を使いま
した。この種の伝達関数は、本書に記載したオペアン
プ回路を良好に表現できます。
本補遺では、伝達関数を使いやすい等価な形態に変形
する方法について説明します。また、正弦波およびス
テップ応答に関する簡単な式をいくつか紹介します。
これらは、本書に記載した回路の性能を評価する上で
役立ちます [2、4、5]。さらに、計測結果からこれらの
パラメータを同定する際の注意事項についても記載し
ています。
この式を下記のように逆にすると便利な場合もありま
す。
式 A-4:
ωP =
ωP 1 ωP 2
⎛ ωP 1
ω P 2⎞
Q P = 1 ⁄ ⎜ --------+ --------⎟
ω
ω P 1⎠
⎝
P2
A.2 正弦波応答
図 A-1 に、代表的な周波数 ( 正弦波 ) 応答を示します。
A.1 等価な伝達関数
本アプリケーションの本編で使った伝達関数の形態は
下式で表せます。
式 A-1:
|VOUT/VIN|
(logscale)
HPK
2
V OUT
⎛
s + -----s -⎞
------------- ≈ K ⁄ ⎜ 1 + -------------⎟
V IN
ωP QP ω2 ⎠
⎝
P
制御理論を含む多くの技術分野では、この伝達関数を、
減衰係数 (ζ) を使った下記の形態で記述する場合があ
ります。この形態では、ζ の値によって応答のモードを
不足制動 ( アンダーダンピング : 0 < ζ <1)、臨界減衰
( クリティカル ダンピング : ζ = 1)、過制動 ( オーバー
ダンピング : ζ > 1) に分類できるので便利です。詳細
は [5] を参照してください。
式 A-2:
V OUT
⎛
s - s2 ⎞
------------- ≈ K ⁄ ⎜ 1 + 2ζ ⋅ -----+ -------⎟
V IN
ωP ω2 ⎠
⎝
P
1ζ = 減衰係数 = --------2 QP
K
f
(logscale)
K/√2
fPK
f3dB
図 A-1: 周波数応答
切り捨てまたは丸め誤差を最小限に抑えるために、
f3dB の計算には下記の厳密な式を使います。
式 A-5:
fP QP
f 3 dB = ----------------------------------------------------------------------- ,
1--- – Q 2 + ⎛ 1--- – Q 2 ⎞ 2 + Q 4
P
P⎠
P
⎝2
2
1
2
Q P ≤ -------
2
1 - + ⎛ 1 – --------1 -⎞ + 1 ,
f 3 dB = f P 1 – --------⎜
⎟
2
2
⎝
2 QP
2 QP⎠
QP ≤ 1/2 の場合、下式のように分母を 2 つの実数極に
因数分解すると便利です。
1
2
Q P > -------
10
式 A-3:
P1
QP ≤ 1 ⁄ 2
A = QP ⋅
P2
2
---------------------------------2
1 + 1 – 4 QP
ωP 1 = ωP A
f3dB / fP
1
V OUT
K
------------- ≈ -------------------------------------------------V IN
s ⎞ ⎛ 1 + --------s ⎞
⎛ 1 + --------⎝
ω ⎠⎝
ω ⎠
0.1
0.01
0.01
0.1
1
QP
10
100
図 A-2: QP と正規化した -3dB 帯域幅の関係
ωP 2 = ωP ⁄ A
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DS00884B_JP - p. 15
AN884
ピークゲイン (HPK) は、周波数 fPK で発生します。ゲ
インピーキング(HPK/K)は正規化したパラメータです。
式 A-6:
f PK = 0 ,
QP ≤ 1 ⁄ 2
1-,
f PK = f P 1 – --------2
2Q P
QP > 1 ⁄ 2
A.3 矩形波応答
図 A-5 に、代表的なステップ ( 矩形波 ) 応答を示しま
す。VOUT はゲイン K で正規化しています。図にはオー
バーシュート (xmax)、セトリング精度 (xset)、10% 時
間 (t10)、遅延 (50%) 時間 (td)、90% 時間 (t90)、ピーク
オーバーシュートまでの時間 (tmax)、セトリングタイ
ム (tset) を示しています。
VOUT/K
式 A-7:
1+xmax
H PK
---------- = 1 ,
K
H PK
1 ,
---------- = Q P ⁄ 1 – ---------2
K
4Q
QP ≤ 1 ⁄ 2
fPK / fP
1–xset
QP > 1 ⁄ 2
0.5
P
0.1
0
1.0
0.9
0.8
0.7
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
t
0 t10
td
t90 tmax
tset
図 A-5: ステップ応答
不足制動、臨界減衰、過制動での単位ステップ応答の
式をそれぞれ以下に示します。
式 A-8:
0.1
1
QP
10
V OUT
------------= [1 – A( t)] ⋅ u( t)
K
100
図 A-3: QP と正規化したピーク周波数の関係
QP < 1 ⁄ 2
V IN ( t ) = u ( t )
100
HPK / K
1+xset
1
0.9
ω P 2 exp ( – ω P 1 t ) – ω P 1 exp ( – ω P 2 t )
A ( t ) = ------------------------------------------------------------------------------------ωP 2 – ωP 1
10
式 A-9:
V OUT
= [ 1 – B( t)] ⋅ u(t )
------------K
1
0.1
1
QP
10
100
図 A-4: QP と正規化したピーク振幅の関係
DS00884B_JP - p. 16
QP = 1 ⁄ 2
V IN ( t ) = u ( t )
B ( t ) = ( 1 + ω P t ) exp ( – ω P t )
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式 A-10:
V OUT
------------= [1 – C(t )] ⋅ u(t)
K
tr f3dB
1
2
Q P > ---
V IN ( t ) = u ( t )
11 – --------2
4 QP
1
φ = acos ⎛⎝ ----------⎞⎠
2 QP
– ω P t⎞
- sin ( ω P At + φ )
exp ⎛⎝ ----------2 QP ⎠
A =
0.1
1
QP
10
100
図 A-7: QP と正規化した立ち上がり時間の関係
C ( t ) = -----------------------------------------------------------------A
遅延時間 (td = 50% 時間 ) は下式により概算できます。
式 A-11:
2
0.36
0.35
0.34
0.33
0.32
0.31
0.30
0.29
0.28
0.27
0.26
0.25
0.01
QP > 1/2 の場合、ステップ応答でオーバーシュート
(xmax) が生じます。xmax と、ピークオーバーシュート
までの時間 (tmax) は下記のように計算できます。
式 A-13:
x max = 0 % ,
3
0.110 + 0.005 Q P + 0.089 Q P + 0.298 Q P
1
t d ≈ --------------------------------------------------------------------------------------------------------, Q P ≤ 2--f 3 dB
⎛
⎞
0.0781 0.0954- + 0.0173
------------------⎟
⎜ 0.2587 + ------------------ – ----------------2
3
Q
⎝
P
QP
QP ⎠
1
, - Q P > --t d ≈ ------------------------------------------------------------------------------------------------2
f 3 dB
QP ≤ 1 ⁄ 2
2
x max = ( 100 % ) exp ( – π ⁄ ( 4 Q P – 1 ) ),
QP > 1 ⁄ 2
式 A-14:
t max = 0 ,
QP ≤ 1 ⁄ 2
2
t max = Q P ⁄ ( f P ⋅ 4 Q P – 1 ) ,
QP > 1 ⁄ 2
0.28
0.26
0.24
100
xmax
1.E+00
100%
0.20
0.18
0.14
0.12
0.10
0.01
10
10%
1.E-01
1
1%
1.E-02
tmax fP
0.16
0.1
1
QP
10
xmax
td f3dB
0.22
tmax fP
100
図 A-6: QP と正規化した遅延時間の関係
10 ~ 90% 立ち上がり時間 (tr) は下式により概算でき
ます。
0.1
0.1
1
QP
10
0.01%
1.E-03
100
図 A-8: QP と正規化したピークオーバーシュー
ト時間の関係
式 A-12:
t r = t 90 – t 10
2
3
0.350 – 0.013 Q P + 0.084 Q P – 0.165 QP
1
, - Q P ≤ --t r ≈ ----------------------------------------------------------------------------------------------------2
f 3 dB
⎛
⎞
0.1177 0.0409- + 0.00246
---------------------⎟
⎜ 0.2503 + ------------------ – ----------------2
3
QP
⎝
QP
QP ⎠
1
, - Q P > --t r ≈ ---------------------------------------------------------------------------------------------------2
f 3 dB
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DS00884B_JP - p. 17
AN884
目標セトリング精度 (xset) が決まれば、これに対応す
るセトリングタイム (tset) を推定できます。QP ≤ 1/2 の
場合、下記の近似計算を使えます。
式 A-15:
2
3
x set = 10 %
3
0.738 – 0.221 Q P + 1.764 Q P – 3.076 Q P
t set ≈ ------------------------------------------------------------------------------------------------------ ,
f 3 dB
x set = 1 %
2
3
1.113 – 0.530 Q P + 3.884 Q P – 6.900 Q P
t set ≈ ------------------------------------------------------------------------------------------------------ ,
f 3 dB
x set = 0.1 %
2
図 A-9 は、QP ≤ 1/2 の時の tset f3dB と、
QP > 1/2 の時の tenv f3dB を示しています。
後者の場合、実際の tset は tenv よりも小さ
くなる可能性があります。
A.4 計測結果から 2 次モデルを同定する
0.367 – 0.013 Q P + 0.270 Q P – 0.232 Q P
t set ≈ ------------------------------------------------------------------------------------------------------ ,
f 3 dB
2
Note:
3
1.492 – 0.894 Q P + 6.319 Q P – 11.215 Q P
t set ≈ --------------------------------------------------------------------------------------------------------- ,
f 3 dB
x set = 0.01 %
1
2
Q P ≤ ---
周波数応答の計測結果がノイズをほとんど含まず、挙
動が 2 次応答に非常に近い場合、容易に K、fP、QP を
同定できます。
• ∠VOUT/VIN ( 単位は「 °」) からの同定
- fP ( 位相が -90° の時の周波数 )
• |VOUT/VIN| ( 単位は「V/V」) からの同定
- 低周波数におけるゲイン K (f << f3dB)
- 共振周波数におけるゲイン KQP (f = fP)
計測結果がノイズを多く含んでいる場合、または応答
が 2 次的ではない場合、データを多数の周波数点で近
似するために、より複雑な手法が必要です。多くの場
合、最小二乗近似で十分に良好な結果が得られます。
この際、安定性と信号応答波形に最も影響する -3 dB
帯域幅に近い周波数での近似を重視する必要がありま
す。
QP > 1/2 の場合、セトリングタイム (tset) を正確に計
算する事は困難です ( リンギングにより、xset の変化
に対して tset が不連続に変化するため )。そのかわり、
リンギングの包絡線が精度 xset に達するまでの時間
(tenv) を下式により推定できます。
式 A-16:
⎛
1 -⎞ ⁄ ω
t env = – 2 Q P ln ⎜ x set ⋅ 1 – --------⎟ P
2
⎝
4Q ⎠
P
t set ≤ t env
1
2
Q P > ---
1000
xset:
0.01%
0.1%
1%
10%
tset f3dB
100
10
1
0.1
0.01
0.1
1
QP
10
100
図 A-9: QP と正規化したセトリングタイムの関
係
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補遺 B: マイクロチップ社のオペアンプ
B.2 オペアンプの性能
表 B-1 に記載した代表的なマイクロチップ社製オペア
ンプの性能パラメータは、製品のデータシートから推
定しています。これらのデータシートには、公式にサ
ポートする仕様値が記載されています。これらのデー
タシートは、弊社ウェブサイト (www.microchip.com)
から入手できます。
B.1 f2P の推定
オペアンプモデルの f2P を推定するには、データシー
トの開ループゲイン線図で、位相が- 135°になる周波数
(f-135) を読み取ります。その線図で使われている容量
性負荷の代表値 (CLtyp)( マイクロチップ社のデータ
シートでは通常 60 pF) 向けに、f-135 を下記のように
調整します。
式 B-1:
φ CLtyp ≈ atan ( 2π f –135 R O C Ltyp )
f 2 P ≈ f – 135 ⁄ tan ( 45° – min ( φ CLtyp , 40 ° ) )
表 B-1: 代表的マイクロチップ社製オペアンプのパラメータ推定値
製品
GN_MIN
(V/V)
Specified
fGBP
(Hz)
Typ
SR
(V/µs)
Typ
f-135
(Hz)
Typ
ISC at min VDD ISC at max VDD
(mA)
(mA)
Typ
Typ
RO
(Ω)
Meas
ΦCLtyp
(°)
Typ
f2P
(Hz)
Typ
MCP6041
1
14k
0.003
23k
2
20
101k
41
263k
MCP6141
10
100k
0.024
15k
2
20
108k
31
111.1k
MCP6031
1
10k
0.004
23k
5
23
72.8k
32
102k
TC1034
(Note 1)
MCP606
1
60k
0.035
510k
8
8
72.8k
72
5.83M
1
155k
0.080
270k
7
17
4.20k
23
673k
MCP616
1
190k
0.080
300k
7
17
5.05k
30
1.10M
MCP6231
1
300k
0.15
800k
6
23
2.62k
38
6.83M
MCP6241
1
550k
0.30
1.20M
6
23
1.69k
37
8.99M
MCP6001
1
1.00M
0.60
1.00G
6
23
780
90
11.4G
MCP6271
1
2.00M
0.90
5.00M
25
25
368
35
27.6M
MCP601
1
2.80M
2.3
3.10M
22
12
350
22
7.39M
MCP6281
1
5.00M
2.5
11.0M
25
25
173
36
66.9M
MCP6291
1
10.0M
7.0
28.0M
25
25
108
49
320M
MCP6021
1
10.0M
7.0
20.0M
30
22
108
39
195M
Note1: TC1034 のパラメータは TC1026、TC1029、TC1030、TC1035 にも適用します。
B.3 MCP6V01/2/3 および MCP6V06/7/8
オペアンプ
これらの自動ゼロ調整オペアンプの出力インピーダン
スは、図 5 の簡略化したモデルよりも複雑です。これ
らのオペアンプを安定化するには、各製品のデータ
シートを参照してください。
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DS00884B_JP - p. 19
AN884
補遺 C: MCP3421 のサンプリングレート
MCP3421 の最新のデータシート (2008 年 11 月発行 )
には、サンプリング レートのデータを直接記載してい
ません。データレートはサンプリング レートに関連し
ており、マイクロコントローラと通信するためのオー
バーヘッドを含んでいます。
表 C-1: MCP3421 のサンプリング レート
選択した精度 データレート
(bit)
(SPS)
Typ
サンプリング レート
(SPS)
Typ
(Note 1)
12
240
256
14
60
1024
16
15
4096
18
3.75
16386
Note1: データシートの内容が公式の仕様値です。
上表はあくまでも参考データにすぎません。
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マイクロチップ社製デバイスのコード保護機能に関して次の点にご注意ください。
•
マイクロチップ社製品は、該当するマイクロチップ社データシートに記載の仕様を満たしています。
•
マイクロチップ社では、通常の条件ならびに仕様に従って使用した場合、マイクロチップ社製品のセキュリティ レベルは、現
在市場に流通している同種製品の中でも最も高度であると考えています。
•
しかし、コード保護機能を解除するための不正かつ違法な方法が存在する事もまた事実です。弊社の理解ではこうした手法は、
マイクロチップ社データシートにある動作仕様書以外の方法でマイクロチップ社製品を使用する事になります。このような行
為は知的所有権の侵害に該当する可能性が非常に高いと言えます。
•
マイクロチップ社は、コードの保全性に懸念を抱くお客様と連携し、対応策に取り組んでいきます。
•
マイクロチップ社を含む全ての半導体メーカーで、自社のコードのセキュリティを完全に保証できる企業はありません。コー
ド保護機能とは、マイクロチップ社が製品を「解読不能」として保証するものではありません。
コード保護機能は常に進歩しています。マイクロチップ社では、常に製品のコード保護機能の改善に取り組んでいます。マイクロ
チップ社のコード保護機能の侵害は、デジタル ミレニアム著作権法に違反します。そのような行為によってソフトウェアまたはそ
の他の著作物に不正なアクセスを受けた場合は、デジタル ミレニアム著作権法の定めるところにより損害賠償訴訟を起こす権利が
あります。
本書に記載されているデバイス アプリケーション等に関する
情報は、ユーザの便宜のためにのみ提供されているものであ
り、更新によって無効とされる事があります。お客様のアプ
リケーションが仕様を満たす事を保証する責任は、お客様に
あります。マイクロチップ社は、明示的、暗黙的、書面、口
頭、法定のいずれであるかを問わず、本書に記載されている
情報に関して、状態、品質、性能、品性、特定目的への適合
性をはじめとする、いかなる類の表明も保証も行いません。マ
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よる承認なしに、生命維持装置あるいは生命安全用途にマイ
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しています。マイクロチップ社の品質システム プロセスおよび手順は、
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